皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

あけましておめでとうございます。

世界的にウイルスのパンデミックによって緊張感とストレスが増した2020年がようやく明けましたね。
誰1人無関係ではいられず、新しい生活様式を迫られると共に、優先順位を変えざるを得なくなり、これまでと同じ意識では居られなくなりました。

健康の危機に直面したことで、食のトレンドも大きく変化しているようです。
免疫システムをサポートしたり、ストレスを緩和し、気分を高める機能性を持った食品や、環境への影響を減らす食品や飲料の需要が高まっています。

2021年は、この流れを受けてどんな食品がトレンドになるでしょうか?

1. 2021年フードトレンド予測5つの潮流

世界的な健康危機が訪れた2020年を経て、健康意識やエコ意識がこれまで以上に高まると予測されている2021年。

アメリカの大手グロッサリーチェーン・ホールフーズや大手穀物メジャーADM(Archer Daniels Midland)、イギリスのロイヤルファミリーもご愛用の高級スーパーマーケットWaitrose&Pertnersなどが発表しているトレンド予測を踏まえて、今年日本にも来そうな5つの大きな流れをみていきたいと思います。

1-1. 心と体を癒して元気にする機能性食品

ADMの調査によると、消費者の31%が健康を意識した商品をより多く購入し、50%が健康にとって有益な機能性成分を自然に含む食品や飲料を好むと報告しています。

免疫システムをサポートしたり、ストレスを緩和したり、うつうつとした気分を高めたりすることを食品や飲料を通じて行いたいという願望が高まっており、機能性を持つ食品の需要が高まっています。

1. アダプトゲン

2021フードトレンドアダプトゲン

引き続き、ストレスフルな状況が続く中、心身のストレスへの適応力・抵抗力を高める働きがある「アダプトゲン」が本格的に注目され始めると考えられます。

アダプトゲンは、元々アジアなどで古来から使われてきたハーブ類や生薬などが主で、アメリカではアダプトゲンを使ったジューススタンドやショップもあり、スーパーマーケットのサプリメントコーナーにも常設されています。

私自身は、元々ストレスに弱く、すぐに不眠になってしまうため、以前からL.A.で人気のアダプトゲン入りのフードショップ「Moon Juice」のアダプトゲン入りプロテインやハーブミックスを使っていました。

日本では食薬区分で医薬品に相当するとして使用できない成分もあり、そのまま輸入することが難しい場合もありますが、昔から馴染みのある成分も多数あります。

高麗人参や霊芝、冬虫夏草、ホーリーバジル、アマチャヅル、マカなどは、アダプトゲンに分類されます。

2. スーパーフード

2021フードトレンドスーパーフード

以前から健康志向の人には人気のスーパーフードですが、より人気が高まると予測されます。
スーパーフードとは、「栄養バランスに優れ、一般的な食品に比べて栄養価が高い食品」や「一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれている食品」と定義されています。

特に、第7の栄養素と呼ばれる食品の機能性成分・ポリフェノール類などのファイトケミカルを多く含んでいるものが多い傾向です。

アサイー・キヌア・チアシード・ヘンプシード・クロレラやユーグレナなどの微細藻類。
ジンジャーやシナモンなどの高機能なスパイス類など、色々なスーパーフードがありますね。

普段の食事や飲み物などにちょい足しすることで、圧倒的に栄養価を高めることができます。

1-2. プロバイオティクス・土壌菌SBO

2021フードトレンド腸内環境

腸内環境の良し悪しによって、免疫機能やストレス耐性、メンタルの状態、体重や生活習慣病の状態、若々しさなど、心身のコンディションが全く変わってしまうことがわかっています。
コロナ禍には、腸活によって免疫力を高めようという意識がより高まり、発酵食品の需要が増えています。

また、特定の乳酸菌やビフィズス菌には、特定の機能性があることがわかっており、ウイルスへの免疫力を高める種類もあります。
また、心に作用するプロバイオティクスを、サイコバイオティクスと呼び、今後ますます注目度が高まると予測されます。

一般的なプロバイオティクスだけでなく、土壌菌(SBO:soil based organisms)も注目されています。
ある種の土壌菌には、ストレス耐性を高める作用が確認されているものもあります。

※Psychopharmacology volume 236, pages1653–1670(2019)

土壌菌は、胃酸や加熱に強く腸まで届き、腸内細菌と共同で腸内環境を改善します。
土壌菌を含むサプリメントも、すでにアメリカでは複数のブランドがありますが、農作物からも摂取することができます。

2021フードトレンド土壌菌SBO

例えばりんご1個には、有機農法と従来型の農薬や化学肥料を使う農法いずれもで1億個程度の土壌菌を含むことがわかっていますが、有機の方が多様性が高く、病原性の種類を含まないことがわかっています。

※Front. Microbiol., 24 July 2019

腸内細菌のエサとなるプレバイオティクス。
また、発酵食品に含まれる有用菌が生み出す様々な栄養素バイオジェニックス。
これらも含めて、日常的に有用菌の恵みを食品から受けることは、単に「腸活と言えばヨーグルト」という理解を超えた深みを持って、広く活用されると思います。

1-3. 持続可能な食の選択

2021フードトレンドエシカル消費

新しい生活様式に迫られることで、多くの人がこれまでのように贅沢をしなくなり、シンプルな生活に回帰せざるを得なくなりました。
それと共に、多くの無駄にも気付くことになったのではないでしょうか?
日常の行動を通じて環境にプラスの影響を与えたい、持続可能な方法で生産された商品を購入したいと考える人が増えています。

人と地球を一体と考え、その両方の健康を「プラネタリーヘルス」ということを『自分らしく“エシカル”な暮らし』シリーズでもお伝えしてきました。

1. 認証つきの食品の選択

食品関連のエシカル消費に役立つ認証マークとしては、オーガニック認証である「有機JAS」や「ユーロリーフ」、「国際フェアトレード認証」、持続可能な漁業・養殖業の認証「MSC」や「ASC」などがあります。
https://wellmethod.jp/ethical/

2. プラネタリーヘルスダイエット・プラントベース

プラネタリーヘルスを実現するための地球人類にとっての既定食「プラネタリーヘルスダイエット」をアレンジしながら実践するのも良いですね。

完璧な実践は難しくても、なるべく植物性の食品を増やすことや、月曜日には肉をお休みする「ミートフリーマンデー」など、セミ・ベジタリアンやフレキシタリアンも増加してくると思われます。

植物性食品「プラントベースフード」のショップやカフェ、またベジタリアン対応のレストランなども増加しています。
大豆やひよこ豆などを使った代替肉の加工品もスーパーマーケットの店頭に並ぶようになりました。

海外ではこうした人口も多いため、海外との行き来が回復すると、この流れは必然的に加速するでしょう。

https://wellmethod.jp/planetary-health-diet/

3. アップサイクル食品

廃棄されるはずの規格外の野菜、皮や茎などを活用したアップサイクル食品も、これからますます増えてくると思われます。

https://wellmethod.jp/upcycle/

4. ローカルな食の選択

2021フードトレンド地産地消

地元でとれる地元の食材を使った食べ物を食べることは、食品の流通に伴うコストや環境負荷を下げ、持続可能な食の選択の一つです。
2020年、国際社会が分断され、誰もが自国の地元にとどまったことで、改めて、ローカルに根ざした生き方が見直されています。

特に、日本の伝統的な食生活は、様々な野菜や海藻、きのこなどをふんだんに使った食物繊維が豊富な料理や様々な発酵食品があります。
日本の長寿村と呼ばれる地域では、こうした食生活が残っていることにより腸内細菌の多様性と長寿菌が多いことも分かっています。

戦後、日本にアメリカから持ち込まれたパン食や肉や乳製品を中心とした洋食やファストフードによる健康被害が問題になっています。
特に輸入小麦などの輸入穀物や、それらをエサに与える畜産は、その生産方法によって、環境に負担を与え、気候変動などの環境問題の大きな原因となっています。

私たちは、本来の伝統的な食生活に戻ることで、大きな健康上のメリットが得られるだけでなく、食の持続可能性にも貢献ができます。

1-4. 家での食事の充実やアルコール嗜好の変化

2021フードトレンドおうちご飯

在宅ワークをする人が増加した2020年ですが、コロナ禍が終わっても、オフィスで働く必要性が本来なかった場合、引き続き在宅ワークが継続する人も多くなると予測されます。

その流れから、外食離れが進み、家での食事を充実させようという流れが続くでしょう。

1. 朝ごはん習慣や家ごはんの充実

外食に使う分、健康的な朝食や充実した夕食にお金を使う傾向が増えています。

これまで慌ただしく出勤することで朝ごはんの時間がなかった人も、在宅ワークによって朝ごはんの習慣ができ、より健康的なライフサイクルの一助となっているようです。
健康志向によってハイファイバーなグラノーラや小麦粉の代わりにグルテンフリー粉を使ったグラノーラやパンなども売れています。

また、在宅ワーク者にとって、料理をすることは良い気分転換になっているようです。
ロックダウンが長引いたイギリスにおいて、スーパーマーケットWaitrose&Pertnersの調査によると、年間の大半を在宅ワークで過ごしてきた数千万人のうち、4分の3は、「夕食を作ることで、仕事と家庭生活の間に休憩ができる」と感じているとのこと。
これまでの生活では、オフィスからの帰路に寄り道をすることが気分転換でしたが、料理というワークは、その代わりになっているようです。

料理する時間が増える分、内容もより充実しているようです。

主婦の意見としては、子供や夫が家にいることで家事の負担が増えた!とストレスに感じているかも知れませんが!

2. ノンアルコール・低アルコール嗜好

お酒を飲む機会が減ったことで、「以前より飲めなくなった」と感じる人も多いようです。

家飲みにあたっては、たくさん飲むよりも食事がメインになることが多いですし、これまでお付き合いで飲むことが多かった人では、「もはや、飲む必要がない」と感じてアルコール断ちをする人も目立ちます。
アルコールを分解する酵素の一部は、鍛えれば増えますが、飲まなくなればまた減少します。
以前と同じように飲むことをしんどく感じる人も増えるでしょうし、無理に飲むことは健康を害します。

世界的な傾向として、アルコールを含まない代替品や、アルコール度数が低いお酒にスイッチする人が増えており、この流れは継続しそうです。

元々お酒が好きな人にとって全くジュースは物足りないというニーズを踏まえて、ノンアルコールカクテル・モクテルやノンアルコールビール。
また、アメリカでは、強いワインやハードリカーに変わって、低アルコール飲料のハード・セルツァーやハード・コンブチャなどが売れています。

日本でも、ワインよりも低アルコールのものが多いりんごの発泡酒・シードルもブームの兆しで、日経トレンディと日経クロストレンドは、「2021年ヒット予測ランキング」の18位に「国産クラフトシードル」を選出しています。

私としては、一般的に甘い食用りんごで作る日本のジュースのようなシードルより、タンニンの苦味や酸味を含む醸造用りんごで作る海外のドライなシードルの方が好みですし、よりヘルシーなのでおすすめです。

https://wellmethod.jp/cider/

1-5. ヘルシースナッキングの充実

2021フードトレンドヘルシースナック

ヘルシー志向の一方で、在宅時間が長引くと、ついつい、おやつを摘んでしまいがちです。
そんな時に嬉しい味方になるのが、おやつの”“くせに”ヘルシーで、罪悪感ゼロの「ヘルシースナッキング」です。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットでも、栄養機能が高いものや糖質の低いものなどがラインナップされています。

従来のナッツ類やドライフルーツなど、シンプルなものだけでなく、元々ジャンキーな人たちに向けた代替品が人気です。
日本でも少しずつ増えてきていますが、もっと充実するでしょう。

1. チップス類

糖質の多いポテトチップスの代わりに、大豆やひよこ豆を使ったハイプロテインのチップスや、ケールや人参、ゴボウなどを使ったベジチップス、フルーツを使ったフルーツチップス。
低カロリーのこんにゃくチップスなど色々なチップス類があります。

私は、混ぜて焼くだけなので、家でベジチップスを自作しています。
おすすめは、しいたけ。うなるほどおいしいです。

2. 天然のゼロカロリー甘味料やオリゴ糖のスイーツ

砂糖や異性化糖など、従来の糖類は、血糖値の乱高下による心身の不調や肥満、腸内環境の悪化の原因となります。

その代わりに、血糖値を上げない天然のゼロカロリー甘味料である羅漢果糖やステビア、腸内細菌のエサになる難消化性オリゴ糖を使ったチョコレートやスイーツ、キャラメルナッツ、プロテインバーなどがあります。

3. 野生肉ジャーキー

2021フードトレンド野生肉ジャーキー

赤身の動物の肉は、健康への悪影響と同時に、環境にも悪影響であるとして、持続不可能な食品の代表とされています。
ジャーキーと言えば、ビーフやポークですが、その代わりに、持続可能な肉を使ったジャーキー類が増えています。

アメリカでは、穀物牛の代わりに放牧され牧草で育ったグラスフェッドビーフ(牧草牛)や、バイソンやイノシシ、鹿などの野生肉を使ったジャーキーが人気です。
野生肉は脂肪分も低く、高タンパク高栄養です。

日本でも、イノシシや鹿は、増え過ぎて畑を荒らすことから駆除の対象となる害獣と呼ばれてしまいますが、これを活用したジャーキーが発売されています。
全国の物産店などでよく見かけますので、ローカルフードを探しがてらに立ち寄ってみては?

2. ポップにトレンドに乗ってみよう

2021フードトレンド

これまで流行してきたスイーツやドリンク、高級食パンなどは、人の欲望をかき立てる一方で、アンヘルシーなものが多かったのではないかと思います。

コロナ禍を経験した2021年のフードトレンド予測は、そうしたトレンドとは全く違い、自分の健康や家族の健康、そして地球の健康にまで配慮したものとなっています。

2020年は本当に大変な一年でしたが、その経験を踏まえ、多くの人の意識がよりヘルシーになったことは、救いとなるポジティブな影響と言えます。

でも、義務感でそうすることを窮屈に感じるならば、「トレンドに乗っちゃおう!」というポップな気持ちで良いと思います。
その方が長続きしますし、ライフスタイルも楽しくなりますね。

2021年、未来に向けて明るい年にしたいものですね!

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか