皆さま、こんにちは。
医師で予防スペシャリストの桐村里紗です。

コロナ禍が持続し、ニューノーマル生活へとシフトした2021年。
社会環境の変化から、人の意識も大きく変わらざるを得ず、ヘルスケアのトレンドもより社会課題を意識したものへとシフトしているようです。

ニューノーマル生活の中で、身の回りの生活を充実させて、いかにストレスを溜めずに心身の健康を維持するか。

そして、フェムテック元年と呼ばれた2020年に引き続き、女性活躍やジェンダーの課題に繋がるフェムケア・フェムテック関連の話題。

さらには、ビューティーやファッション、食の分野では、「サスティナブル」「エシカル」「SDGs」などのワードが頻回に登場し、メジャーなファッション雑誌や各メディアでも特集が組まれるなど、トレンドを通り越し、当たり前のリテラシーになっています。

それを踏まえて、2022年、ヘルスケアのトレンドは?

ヘルスケアから女性の活躍を推進し、ながらプラネタリーヘルスを掲げている桐村が注目しているヘルスケアトレンドを主観たっぷりにお伝えしたいと思います。

1.より良質な睡眠をスリープテックに注目

ニューノーマルな生活様式においては、仕事のペース配分を自ら行う管理能力と共に、しっかり休んでストレスをケアする能力が求められるようになります。

自粛生活が開けても、呼吸しづらいマスク生活は引き続き、オンライン会議は場所を選ばず楽ではあるもののデジタル疲れの原因になりますね。
不安を高めるニュースも目に入り、まだまだストレスとは無縁でいられません。

そこで、重要になるのが睡眠の質。良質な睡眠は、心身の回復に何よりも必要です。
かくいう私も、環境的なストレスからすぐに眠れなくなるタイプです。
何としてでも、良質な睡眠を手に入れたい! そんな時に助けてくれるのがスリープテックです。

1-1.スリープテックとは何か?

ウェラブル端末

スリープテックとは、睡眠の改善を図るための技術を応用したプロダクトやサービスのことです。AIを使ったウェアラブル端末での睡眠分析など、個々人の睡眠の状態に合わせたオーダーメイドな技術もあります。

「24時間戦えますか」というキャッチコピーが美徳であった時代は今や昔。睡眠の質は、財産であると、一般認知が拡がってきたことはとても素晴らしいことですね。

1.業界をリードする睡眠管理デバイス Whoop

https://www.whoop.com/

業界をリードしているのは、アメリカのスタートアップWhoop(フープ)で、ソフトバンクビジョンファンドなどから200億円の資金調達を受けて注目されています。
端末は無料で、アプリ利用料が月額30ドル。

スマホと連動するウェアラブル端末から心拍変動(HRV)、安静時心拍数(RHR)、皮膚温度などを測定し、日々の活動量や運動量などから、休養スコアや運動負荷スコア、睡眠状況などが分析されます。それらを元に、必要な睡眠時間が通知されます。また睡眠に影響を与える水分量やカフェイン量などの記録や実際の睡眠時間などをもとに、睡眠のためにどれくらい運動すれば良いかが分析されます。

良質な睡眠を得るためにライフスタイルをどう整えれば良いか、自己管理するには最適です。
日本ではまだサービスを展開していないため、今後に期待です。

2.静寂の世界での眠りを実現デジタル耳栓 QuietOn SLEEP

https://amzn.to/3Fpe0Mk

睡眠を妨げる要因として、ノイズがあります。
隣に眠る人のいびき、ご近所の生活音、電車や飛行機の音など、敏感な人にとっては耐え難いものです。

このデジタル耳栓は、音が外部から入り込まないようにするパッシブノイズキャンセルに加えて、騒音を打ち消す逆位相の音を作ってキャンセルするアクティブノイズキャンセルの両方を組み合わせた完璧な耳栓です。塞ぐだけではキャンセルしきれない、約500Hz以下の低周波騒音もブロックでき、さまざまな騒音をキャンセルすることができます。

日々の眠りだけでなく、出張先や移動中、会社でのちょっとした昼寝などにも使えます。

3.音・香・光の3要素で5分で快眠 Sleepion3

https://cheero.net/sleepion3/

不快な感覚を遮断するだけでなく、睡眠に最適な心地よい感覚刺激を加えるのも効果的です。
睡眠を誘うためのサウンドとアロマ、そして心地よく揺らぐロウソクを再現した光。

五感のうち、聴覚、視覚、嗅覚を心地よく刺激することで、寝具を工夫しても睡眠を得られない人を5分で睡眠に誘うことをコンセプトとしています。

2.フェムケア・フェムテックは常識になるか

女性ならではの健康にまつわるプロダクトやサービスは、フェムケア・フェムテックと呼ばれ、2020年は日本においてフェムテック元年とも呼ばれました。全世界的に、2025年までに500億ドル(約5兆4,000万円)規模に成長が見込まれると考えられています。

女性だけでなく、ジェンダーについては、SDGsの観点からも注目が集まっており、美容やコスメ、ファッションなどには、ジェンダーフリーのプロダクトもみられるようになってきました。

2-1.男女格差は先進国で最低レベルの日本

ジェンダー平等

一方で、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月に発表する男女格差を測る指数であるジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)をみると、日本は何と意識の低いことかと毎年呆れます。

日本は、ジェンダーギャップ指数が154ヶ国中120位と、先進国中最低レベル。前年2020年は、121位と横ばいです。
上位は、1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランドという常連国。アジア諸国の中でも最低レベルで、タイ、ベトナム、韓国、中国などよりも低いレベルです。

WEFによると、日本は、政治分野と経済分野において特にスコアが悪いことがあげられます。

政治分野において女性の参加割合が低く、また、経済分野についても、管理職の女性の割合が14.7%低いことや、72%の女性が労働力になっている一方でパートタイムで働く女性の割合は男性のほぼ2倍。また、女性の平均所得は男性より43.7%低くなっていることなどが指摘されています。

The Global Gender Gap Report 2021
https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2021

2-2.フェムケア・フェムテックは日本でも拡大

そんな社会的な事情はありつつ、フェムケア・フェムテックの市場は日本でも拡大しています。

私自身も、2021年に健康・美容系の博覧会でフェムケアの基調講演を依頼されましたが、全公演の中で最も人が集まり、満員御礼で立ち見が出るほどでした。
それだけこの分野への注目が高まっていることを肌で感じています。

2021年はブームとなった感があるこの分野ですが、2022年からもこのまま盛り上がる見込みで、ブームを超え、ヘルスケア業界の一分野として定着すると考えられます。様々なプロダクトやサービスが増え、本当にユーザー目線に立ったより洗練されたものが残る時代になるだろうと予測されています。

2021年10月には、以前にWELLMETHODでも取材した日本を代表するフェムテック企業fermata主催の初のリアルイベント「フェムテック・フェス(Femtech Fes!)2021」が開催され、世界各国から150社を超えるフェムテック企業のプロダクトやサービスが集結して注目が集まりました。月経、妊活・不妊、妊娠・産後、更年期、女性特有疾患、メンタルヘルス、セクシャルウエルネスといったカテゴリーに分類された会場で、全てのプロダクトに触れられる体感型のイベントは初の試みだったそう。

2-3.WELLMETHODは女性応援ブランド

手でハートを作る女性

WELLMETHODは、ブランドリリース当初から、一貫して女性目線で女性に寄り添い、女性の活躍を応援するブランドです。
それに、WELLMETHODの母体である株式会社ダイセルのヘルスケア部門(ヘルスケアSBU)を統括しているリーダーは、何と42歳の女性です。

株式会社ダイセルは、創業100年を超える老舗の原料メーカーで、ユーザーにはあまり知られていませんが、実は有名な化粧品メーカーなどにも素材を提供している上場企業です。
上場企業の部門長というポストに、42歳の女性を起用するという人事に、企業の姿勢を感じます。
私もお会いしたことがありますが、しなやかな雰囲気に新しいリーダーの在り方を見せていただいたと感じました。

WELLMETHODブランドには、自社で素材を開発したエクオールがあり、10mgと高用量でありながら小粒で飲みやすいと更年期世代の女性に人気です。
プレ更年期からの備えに、揺らぐ更年期に、そして閉経後の生涯に渡って女性をサポートしてくれるフェムケアプロダクトだと思います。

3.サスティナブルは当たり前のリテラシーに

そして、SDGsを社会全体で達成していかなければならない今、ヘルスケアやビューティー、ファッション分野では、「サスティナブル」「エシカル」「地球に優しい」というキーワードがかなり目立っています。

3-1.ファッション業界はいち早くシフトしている

バッグ

ハイファッション誌は、1冊丸ごとSDGsやサスティナブル特集を組むなどの力の入れようです。
ファッションやビューティーに敏感な人たちほど、サスティナブルであることに意識は高く、エシカルでないものを使ったり、身につけたりすることは「Coolじゃない!」と考えるようになってきました。

ファッション業界は、特に、大量生産大量消費で、プラスチックによる環境汚染、温室効果ガス排出、農地の荒廃、大量の廃棄物などの問題に加担してきたという黒歴史があります。

ハイブランドも軒並みサスティナブルな循環にシフトしています。

グッチは、完全なるカーボンニュートラルを達成済み。
ナイロンバッグで有名だったプラダは、海から集めたプラスチック廃棄物や繊維廃棄物などをリサイクルして、再生し続けられるナイロン糸「エコニール(ECONYL®)」に切り替え。
ルイ・ヴィトンは、2025年までに100%責任を持った原料の調達を達成し、2030年までに使い捨てプラスチックを0%にすると宣言しています。

私自身も、2021年8月に、人と地球の健康「プラネタリーヘルス」をテーマにした新著『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)を発売し、それがきっかけでFIGARO japonにお声かけいただき、WEB版madame FIGAROで、「プラネタリーヘルス」をテーマにした連載を持つようになりました。

決して我慢するのではなく、サスティナブルな生き方は、心地よく、楽しく、美しい。
そんな意識が、ファッションやビューティーへの興味を通して拡がれば、全体がシフトしていくと思うのです。

『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』
https://amzn.to/3iOpEY2

3-2.健康や美の基本はサスティナブルであること

消費者の意識の高まりを受けて、イギリスのブリティッシュ・ビューティー・カウンシルは、「プラネット・ポジティブ・ビューティー・ガイド」を発表しました。

https://britishbeautycouncil.com/ppbg/

より環境に優しい美しさを選択するために、美容業界で頻用される専門用語を解読するためのガイドです。

普段使う口紅やファンデーションや化粧品が、自分にとって良いものであることは当たり前ですが、それを使うユーザーには、選択に伴って責任があります。
ユーザーが購入することは、「人気投票」のようなものですから、多くのユーザーが投票したものは、市場において「売れる」と判断されて生産し続けられることになります。
投票するのであれば、人にも動物にも環境にも負担がないだけでなく、さらにみんながハッピーになり、その喜びが循環していくものにしたい。

その成分が、どんな由来なのか。
限りある地球の資源を絞り出させたり、土地を破壊し生物多様性を脅かしたり、海洋にマイクロプラスチックをばら撒いたり、労働者を苦しめたりしていないか。
誰かや何かに負担をかけるものは、持続不可能です。

健康や美しさとは、本質的にサスティナブルであることを意味します。
自分だけでなく、自分を含む地球全体がサスティナブルであること、それがつまり、人と地球を一体とした健康を実現する「プラネタリーヘルス」です。

プラネタリーヘルスの実現は、SDGsの達成につながりますから、切っても切れない関係なのです。これから、自分の健康や美容のためだけでなく、地球全体のサスティナブルを意識したモノを選ぶことが当たり前のリテラシーになっていくでしょう。

3-3.生活者と企業の二人三脚で実現する持続可能な未来

SDGs 地球とグリーン

プラネタリーヘルスを実現し、SDGsを達成するには、生活者の意識の高まりと同時に、企業の姿勢が問われます。
人類の活動によって地球を痛めつけ過ぎてしまい、必死に行動しないと地球上に暮らせなくなってしまう未来は差し迫っています。
企業も、抜本的なシフトを求められています。

株式会社ダイセルは、1919年(大正8年)にセルロイドというプラスチックを製造していた8社が合弁で設立したのが始まりです。しかし、時代の流れから、現在は、持続可能な林業(FSC認証)由来の生分解性プラスチック・酢酸セルロースを開発し、さらに将来は、林業・漁業・農業由来の森林資源・海洋資源・穀物資源や廃棄物などを活用し、バイオマス新素材化することで、地域全体の循環を実現する「バイオマスプロダクトツリー構想」を掲げています。

WELLMETHODの栗本編集長も同社においてSDGsアンバサダー/キーパーソンとして社内でSDGsの正しい理解のために活動されています。今後WELLMETHODでも、こうした素材を使った製品が登場するのが楽しみです。

4.まとめ

SDGs 土とグリーン

2021年の傾向をみると、やはり社会的な情勢とは切っても切れない印象があります。
ヘルスケアやビューティーも、「自分のためだけ」ではなく、より社会性が増し、社会課題解決、SDGs目標達成を見据えた拡張的な概念でとらえられています。

サスティナブルであることは、この地球上の誰もがハッピーであること。
全体がここに向かっていくことは、とてもポジティブなシフトだと思うのです。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか