毎日数分の“健康時間”を。丈夫な足を保つアキレス腱ストレッチ5つのコツ
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
年齢を重ねるとともに、体の柔軟性が悪くなった。
そのように感じる方、少なくないのではないでしょうか?
特に、日常的に運動をされない方の場合、体を動かすといえば、毎日の通勤や家事くらい。少し運動しようものならば、すぐに筋肉痛に。
これでは、“しなやかさ”とは程遠い……。
なんて気を落としてしまうようなこと、ありますよね。
筆者も、年々あきらかに体が硬くなり、柔軟性が失われているのを自覚しています。
やはり、毎日少しでも運動が必要だと実感しています。
しかし、20代のころとはわけが違います。
大人女性は、体を本格的に動かす前に、たくさんの準備が必要です。
今回は、下半身、特にアキレス腱に着目。
実は、アキレス腱はコラーゲン繊維でできているため、加齢による影響を受けやすいのです。
そこで本記事では、アキレス腱の仕組みと加齢とともに起きやすい症状、それから健康を保つためのストレッチ法をお伝えしていきます。
目次
1.アキレス腱とは?
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいる体の中で最も太い腱です。
他の部分の腱よりは太いので比較的丈夫ですが、足首は可動域が広く、複雑な動きができる部位なので、運動によって大きな負荷がかかります。
そのため、運動によって傷めやすい腱の一つです。
アキレス腱のアキレスとは、ギリシャ神話に登場する英雄の名前です。
アキレスは不死身の勇者ですが、たった一つ弱点がありました。その部分がアキレス腱だったのです。
アキレス腱はコラーゲン繊維からできているので、加齢とともに柔軟性を失い、硬くなりやすいという特徴があります。
全身の体重がかかる足首を支える腱でもあるため、アキレス腱が硬くなると、足首がうまく曲がりません。
足首が曲がらないと歩行の際の蹴り出しがスムーズにできなくなるので、疲れやすくなってしまいます。
2.アキレス腱に起こりやすいトラブル
アキレス腱は、体重がかかりやすい足首の後ろ側にあるため、トラブルが起こりやすい部位でもあります。
運動の負荷によってアキレス腱そのものが傷つくだけでなく、その周囲も痛み出すことが少なくありません。
この段落では、アキレス腱にどのようなトラブルが起こりやすいのかをみていきましょう。
2-1.アキレス腱炎
アキレス腱に強い負荷がかかり炎症を起こしている状態です。
地面を蹴ってつま先立ちになる運動を繰り返し行うことで負荷がかかった後に、十分な回復期間が無いと炎症が起こります。
合わない靴を履いた時など、地面にかかとがつくたびにかかと周囲が前後左右に動いてしまうので、足首がねじれて必要以上にアキレス腱が引っ張られることもあります。
激しい運動をしている方だけでなく、歩くたびに重い体重がかかっている方もなりやすいトラブルで、普段高いヒールを履いている女性が慣れないかかとの低い靴を長時間履いた時にも起こることがあります。
2-2.アキレス腱断裂
アキレス腱断裂とは、ふくらはぎとかかとをつなぐ腱が切れてしまった状態をいいます。
急激な動きの変化で、ふくらはぎの筋肉が縮んだり、伸びたりした時に発生します。
具体的には、ダッシュやストップ、ターン、ジャンプなど急に動きの種類や向きをかえた時に起こりやすいトラブルです。
丈夫な腱が突然切れるというケースは少なく、退行性変性などで細かい傷がいくつも入って腱が脆くなっている時、何らかのきっかけによって切れてしまうということが多い傾向があります。
また、アキレス腱の断裂の仕方には完全断裂と部分断裂があります。
3.意外と多い40代からのアキレス腱断裂
アキレス腱断裂は、日ごろ運動を行う機会が多いアスリートにだけ起こるトラブルではありません。
意外と多いのが、めったに運動を行わない一般の40代以降の方。
普段ほとんど運動していないのに、運動会で子どもにいいところを見せようと張り切ったところ断裂してしまったということも珍しくありません。
もともと運動が得意だった方は特に要注意です。
昔できたことは今でもできるはずだと思ってしまうため、硬く動きが悪くなっているアキレス腱に無理な負荷をかけてしまいます。
アキレス腱断裂は30代ぐらいから増え始めるので、40代、50代の方がスポーツをする時は十分なストレッチをして、足首をスムーズに動かせるようにしてからはじめることが大事です。
4.傷ついたアキレス腱は修復されにくい
アキレス腱はコラーゲン繊維でできていますが、それ自体もともと柔軟性が高いわけではありません。
それなりに硬さのある腱なので、伸び縮みする範囲を超えてしまうと炎症を起こしたり、切れやすくなります。
急な動きによってふくらはぎの筋肉が収縮したのを足に伝え、つま先を上げ下げするように命令する時、アキレス腱を無理やり伸び縮みさせてしまうことになりがちです。
アキレス腱が切れる時は、「ブチっ」と大きな音がして、後ろから蹴られたり棒で叩かれたりしたような衝撃があるとよくいわれます。
その治療方法は、手術的治療か保存的治療のいずれかです。
保存的治療とは手術をしない方法で、ギプスによって長期間固定して体重をかけないようにする必要があります。
手術をした方が筋力の低下や可動域制限が少ないので、できるだけ早く競技を再開させたいスポーツ選手などは、手術的治療を選ぶことが多いようです。
ただし、手術をした場合でも長期間のリハビリが必要で、完全に競技に戻れるようになるのは4~5ヵ月後になります。
5.間違ったアキレス腱伸ばしとは?
運動でアキレス腱を傷めないようにするためには、アキレス腱をしっかり伸ばしてから運動することが大事です。
しかし、アキレス腱をかえって痛めてしまうような伸ばし方をしているケースが少なくありません。
基本的なアキレス腱ストレッチの方法は、まずは片方の足を半歩前に出し、膝を曲げます。一方、伸ばしたい方の足を後ろに下げ、かかとを上げたり下げたりすることでアキレス腱が伸びていることを意識しながら、ゆっくりと伸ばすというやり方です。
この段落では、間違ったアキレス腱伸ばしの例を紹介します。
5-1.足の指先の向きが斜め
基本的なアキレス腱の伸ばし方は上記に書いたとおりですが、アキレス腱を伸ばしたい方の後ろ側の指先の向きが誤っていると、正しくアキレス腱が伸びない、または返って痛めてしまう可能性があります。
自分の後ろ側にある足は、どのようになっているのかよく見えないため、前の足と同じ方向を向いていない場合があります。
後ろに引いた足の指先が外向きに開いていると、しっかりアキレス腱を伸ばすことができません。
アキレス腱を伸ばす時は、前の足と後ろに引いた足の指先は両方ともに、真正面を向くように配置しましょう。
▲足の指先は上記の写真のように真正面に向ける
5-2.伸ばす時に反動をつけすぎない
また、アキレス腱を小刻みに伸ばしたり縮んだりするやり方をする方もいますが、その方法を続けていると返って痛みにつながることもありますので注意しましょう。
ストレッチを行う時は、基本的に息を吐きながら、伸ばした時に自然に起こる反動でゆっくりと伸び縮みさせるスタイルが鉄則です。
特に、普段運動をしない方が急に反動をつけて筋肉を動かすことは怪我につながる可能性もあるので避けましょう。
5-3.上半身を倒しすぎない
基本的なアキレス腱ストレッチをする時、上半身は正面を向けて行います。
上半身を倒しすぎると、へそが下を向いてしまい、脚に体重がうまく乗らず、ストレッチの効果があまり得られません。
6.正しいアキレス腱ストレッチのやり方
ストレッチは正しいやり方で行うことで、効果も得られやすくなります。
では、アキレス腱ストレッチの正しいやり方とはどのような方法なのでしょうか?
6-1.一気に体重をかけすぎない
アキレス腱とふくらはぎの筋肉に体重をかけていく時には、徐々にかけていくようにしましょう。
最初から全体重をかけてしまうと負荷がかかりすぎるため、かえってアキレス腱を傷めてケガをしやすくなってしまいます。
片方の足を床にピッタリつけて膝を深く曲げ、重心を前に移していくと、ふくらはぎとアキレス腱を気持ちよく伸ばせます。
6-2.小さな段差を使ってかかとの上げ下ろしをする
アキレス腱のストレッチというと、伸ばしっぱなしにしてしまいがちです。
ポイントは、伸ばしたり縮ませたりといった動きを繰り返すことで、アキレス腱の柔軟性を上げるということです。
例えば、階段や小さな段差があれば、ジムに行かなくとも日常でストレッチを行うことができます。
まず、(踏み台昇降運動のように片足ずつ段を上り下りをするのではなく)両足とも揃えた状態で段の上に登ります。この時、つま先から足の中心までのみ段の上に乗せ、かかとは宙に浮かせます。
この段差を利用しながらかかとを上げたり下げたりすることで、アキレス腱が伸び縮みします。
ここで注意したいのは、常にかかとが段から浮いている状態ですので、思わぬ転倒を避けるためにも、壁や手すりに掴まりながら行うことをおすすめします。
6-3.アキレス腱を意識しながら行う
アキレス腱を意識しながら行うと、どこがどの程度伸びているのかが感じられるはずです。
きちんと意識しながら行うことで、しっかり負荷をかけることも、負荷のかかりすぎを防ぐこともできます。
6-4.前後に開いた足は平行に
足を前後に開いてストレッチする場合、前の足を曲げる場合と伸ばす場合がありますが、いずれの場合でも、前後の足の向きは平行です。
外に向いてしまうと、しっかりアキレス腱を伸ばせません。前の足を曲げる時は前側に体重を、前の足を伸ばす時は、後ろ側に体重を乗せて行います。
6-5.呼吸しながら伸ばす
ストレッチをする時は、息を止めないようにするのがポイントです。
息を止めてしまうと力が入りすぎてしまいます。
通常の呼吸を続けながら、徐々に負荷をかけ、ゆっくり伸ばすようにしましょう。姿勢をキープする時間は30秒程度で十分です。
7.アキレス腱ストレッチは疲労回復やけが防止にも役立つ
アキレス腱ストレッチは、スポーツをする前の準備運動のためだけのものではありません。
足首を柔らかく動きやすくしておくことは、健康にも美容にも良い効果をもたらしてくれます。
足がスムーズに出るようになれば、歩行しやすくなり、転倒やケガを防ぐこともできます。ひいては、足首を動かすことで血の巡りがよくなれば、冷え性の解消や疲労回復につながります。
どうしても、年齢を重ねることで、今までできていたことが難しくなってしまうもの。
はじめから長時間のストレッチにチャレンジせずとも、毎日短時間でも良いので、健康に向き合う時間をとることを意識していきましょう。
何より、いつまでもイキイキと健康体で、好きなことを楽しむために。毎日数分の“健康時間”が、数年後の楽しい時間をつくるのだと思います。
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。