こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

みなさま、はしか(麻疹)は大人も気をつけなくてはいけない病気であるということをご存じですか?

「子どもが小さいときに受ける予防接種の一つ」
「子どものころにかかる病気」

と思う方もいるのではないでしょうか。

筆者自身も、はしかは子どもが小さなころに予防接種を行うもの、予防接種を受けていれば病気にならず安心、といった印象を抱いていました。 

現在日本において、はしかは子どもの定期接種として2回接種することが義務づけられています。しかし国内で、はしかの流行のニュースをたびたび目にします。なぜ、はしかの流行は起こるのでしょうか。

はしかは感染力が高く、子どもはもちろん、私たち大人も気をつけなくてはいけない病気の一つです。

とくに私たち40~50代の世代は子どもの頃に予防接種を1回しか受けていないという場合もあります。

また、予防接種を打ったとしても年齢が上がるにつれて、抗体価が下がる場合があり、はしかに感染するリスクも高くなってしまいます。

そもそも、はしかとは一体どのような病気で、どういった感染対策が必要となるのでしょうか。実は大人もかかるはしか(麻疹)について、正しい知識をきちんと整理しておきましょう。

1.はしか(麻疹)とは

はしかとは、麻疹ウイルスによる感染症の病気です。医学的には、「麻疹(ましん)」と呼ばれます。

はしかは感染力が非常に高く、はしかの免疫を持たない人が感染すると、ほぼ100%発症するといわれています。

はしかはかかった人の約30%がなんらかの合併症を引き起こすといわれており、重症化すると死に至るケーもあります。 

2.はしかの症状

大人はしか

はしかの主な症状は、38℃以上の発熱、全身に現れる発疹、風邪に似た症状(咳・鼻水)、目の充血などがあります。症状が出現し軽快するまでは以下のような流れをたどるといわれています。

2-1.感染初期

はしかは感染すると約10~12日の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱・咳・鼻水・目やになどの症状が出現します。

2-2.感染中期

2~4日発熱が続いた後、熱は一時的に1℃程度下がります。しかし、すぐに39℃以上の高熱とともに全身に鮮紅色(鮮やかな紅色)の発疹が出現します。

発疹が現れる1~2日前から、口の中の粘膜にはしかに特徴的な「コプリック斑」とよばれる発疹がみられることがあります。かゆみはありません。

2-3.感染後期

合併症などのトラブルがなければ、熱は1週間ほどで下がります。また発疹も鮮紅色から褐色になり、約1週間~10日ほどで消えていくことが多いとされています。

しかし、その後も、食欲不振、咳、倦怠感などが続き、全体的には、回復までに10日間~2週間くらいかかります。

2-4.合併症

はしかは、肺炎、中耳炎、クループ(喉の奥あたりの炎症で、ゼイゼイとした呼吸音や呼吸困難になること)、心筋炎、脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。このうち、もっとも多いものが半数以上を占める肺炎です。脳炎と併せ、はしかの2大死因とされています。

また、ごく稀(10万人に1人程度の割合)ですが、はしかを発症して7~10年後に知的能力の低下や運動能力に障害がでる「亜急性硬化性脳炎(SSPE)」を発症し、死に至るケースもあります。

3.どうやって感染するの

麻疹ウイルス

はしかは、強力な感染力をもつといわれています(免疫力をもたない集団の中に、はしかの感染者が1人いると12~14人感染するといわれています。インフルエンザの場合は1~2人程度)。

とくに発疹の出る1日前から発疹が現れた4~5日後程度の期間は感染力が強力で注意が必要です。

感染者の口の粘膜や唾液の中には、麻疹ウイルスが含まれます。このウイルスは主に飛沫感染、空気感染、接触感染の3つの感染経路を通り他の人に感染します。

3-1.飛沫感染

はしかにかかった人の飛沫(咳やくしゃみ、唾など)を口や鼻から吸い込むことにより感染します。

3-2.空気感染

はしかにかかった人の飛沫が乾燥すると、ウイルスはしばらく空気中を漂い、このウイルスを含んだ空気を周囲の人が吸い込み、感染します。そのため感染者の近くにいなくても同じ部屋にいるだけで感染することがあります。

これが、インフルエンザやコロナウイルスと違い、はしかが高い感染力を持つ所以です。

これを防ぐには、一般的なサージカルマスクでは効果がなく、N95マスクが必要になります。

N95マスク

3-3.接触感染

ウイルスを含んだ飛沫を触わった手やモノを介してうつることもあります。

4.治療方法

薬

はしかそのもののウイルスに効く治療薬は現在のところありません。

高熱を下げるための解熱剤、咳を抑えるための咳止め薬、炎症を抑える抗炎症薬、合併症を防ぐ目的での抗生物質など、はしかによる症状をやわらげるための薬を使用されることがあります(対症療法)。 

重症化して病院に入院したとしても、対症療法しかできないのが現状です。

5.大人のはしかはなぜ怖い?

はしかは子どもだけではなく、大人もかかることがあり注意が必要です。なぜ大人はしかは怖いといわれているのでしょうか。

5-1.感染を拡大しやすい

マスクについたウイルス

はしかは強い感染力をもつことが特徴です。はしかの初期症状は風邪によく似た症状のため、はしかに気がつかず職場や学校などに行き周囲に感染させてしまう危険性があります。

5-2.合併症の危険性

はしかは治療薬がない上に約30%の割合で合併症を引き起こすといわれています。

とくに肺炎と脳炎は死に至るケースもあります。

妊婦がはしかに感染すると、早産や流産の危険性が高まるといわれています。高齢者や基礎疾患がある方、妊婦、がんの治療中などの免疫力が低い方は注意が必要です。

5-3. 30代以上の人は感染しやすい世代

乳児予防接種

はしかは、非常に重症の感染症のため、一度、はしかにかかると抗体ができ、それが生涯持続するのが一般的です。

ワクチンの場合は、やや注意が必要です。

現在、はしかの予防接種は子どもが1歳になったときに1回、小学校入学前の1年間のうちに1回と2回受けることが義務づけられています。

1回摂取では十分に抗体ができない場合や年齢と共に抗体価が下がり免疫が低下する場合があるため、追加摂取をすることでしっかりと免疫をつける目的です。

しかし世代によっては2回の予防接種を受けていない場合があります。

はしかの定期接種が始まったのは1978年以降からで2006年までは1回接種でした。

そのため、1977年~1990年に生まれた人(40代前半~30代の人)は予防接種を1回しか受けていない人がいます。また、1977年以前に生まれている人の中には予防接種すら受けていない人もおり、はしかに感染しやすい世代といえます。

海外では日常的にはしかが流行している国があります。

そのような地域に、はしかの免疫を十分に持たない日本人が渡航した場合、はしかに感染しウイルスを国内に持ち込むことがあるので注意が必要です。

実際、国内で発生した麻しん患者数は2018年 149人、2017年 187人、2016年 165人といった報告がみられます。

これは全て、はしかの流行国から持ち込まれたものです。

参考)国立感染症研究所 感染症発生動向調査 2018年第20週
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2018.html
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/idwr/IDWR2018/idwr2018-20.pdf

1.修飾麻疹とは

近年、はしかに対し免疫が不十分な人(ワクチン接種が1回だけの人や過去に免疫を獲得したが何年も経ち、免疫が減衰してきた人など)に対して「修飾麻疹」が認識されてきています。

修飾麻疹は、はしかに感染しても典型例に比べて症状が軽く、場合によっては症状がでないこともあります(※)。

感染力は本来のはしかよりはるかに弱いとされていますが、全く感染しないわけではないので、感染を拡大させないため周囲への配慮が必要です。

(※)修飾麻疹でみられるケース:症状が現れるまでの潜伏期間が長い、発熱期間が短くなる、発疹が手足の一部にしか出ないなど

6.はしかかも?と思ったら

はしかに似た症状が現れた場合、医療機関にかかる前に、はしかかもしれない旨を電話で伝えて、受診する際の注意点などを確認し、指示を仰いでください。

医療機関によっては、受診の入り口を一般の患者と分ける場合や、感染対策の換気施設がない場合は、受診を断られる場合もあります。

7.はしかにかかってしまったときの家での過ごし方

はしかにかかってしまった場合は「人にうつさないようにすること」が大切です。

とくに一緒に生活している人の中で免疫をもっていない方や妊婦がいる場合はできるだけ接触しないように気をつけましょう。仕事は熱が完全に下がった後も3~4日は休むようにしましょう。

脱水症を防ぐためにも水分を十分に摂り、食事は口当たりのいい食べやすいものを食べましょう。重症化・長期化を防ぐためにも体力を低下させないように安静にしましょう。

8.はしかを予防するためには

8-1.予防接種を受ける

予防接種

はしかを防ぐためにもっとも有効な予防策は予防接種です。

・予防接種の記録がない

・予防接種を1回しかしていない

・妊娠を希望する女性とその家族

など、過去にはしかの予防接種を受けていない、もしくは1回しか受けていない場合、予防接種を受けることが可能です。

不確かな場合は、血液検査で麻疹の抗体価を測定することもでき、抗体が不十分な場合に、予防接種がすすめられます。

注意点としては、妊娠中は予防接種ができません。

妊娠希望の方は妊娠前に予防接種を受けておくことをおすすめします。

最近は、妊娠を希望する場合、風疹の抗体検査を行うことが多いですが、この際に不安があれば、麻疹の検査も依頼しましょう。

大人が予防接種を受ける場合は子どもと違い任意接種になるため、費用が発生します。

自費であるため値段は医療機関ごとで多少異なりますが、はしか単体の接種の場合は1回7,000~8,000円程度、はしかと風疹の混合ワクチン(現在の子どもたちの予防接種に使用されるワクチン)の場合は10,000円前後かかります。

はしかの予防接種は主に内科を中心とした医療機関で行うことができるので、希望される際はあらかじめ医療機関にはしかの予防接種を行っているか、また料金の確認をしましょう。

過去に予防接種を受けたかわからない場合、はしかの抗体を十分に持っているか抗体検査を行った上で、接種の是非を判断することもできます。

8-2.マスク・手洗い・うがいは必要…でも過信しない

手についたウイルス

はしかのウイルスはインフルエンザのように飛沫感染や接触感染もします。

手を介して感染を広げてしまうことがあるため、手洗いはきちんと行いましょう。

うがい・マスクも大切です。しかし、はしかは空気感染するほど感染力がとても高く、手洗い・うがい・マスクだけでは麻疹ウイルスを防ぎきれないことがあります。

手洗い・うがい・マスクは感染症予防の上では大切な要素ですが、それでもはしかは感染してしまうケースがあることを頭に入れておきましょう。

8-3.人ごみを避ける

はしかの流行が起こった場合、外出や人ごみは、はしかに感染するリスクが高くなるため注意が必要です。

とくに「妊娠しているので予防接種が受けられない」「なんらかの事情で予防接種を受けることが難しい」といった方は、できるだけ混雑する場所や人ごみには近づかないように気をつけましょう。

9.はしかの正しい知識をもち、感染を防ぎましょう

海外から持ち込まれる感染症

はしかの流行は、2回の予防接種義務づけにより、以前よりも減りました。

しかし、私たち40~50代の中には予防接種を受けていない人や、1回しか予防接種を受けていない人がいるなど、はしかの免疫が不十分の人も含まれています。

「これまで大丈夫だったから」と思っていても、海外から麻疹のウイルスを持ち込まれ流行するケースもみられます。

はしかは、重大な感染症ですが、免疫が十分にあれば防げる病気です。

もしご自身や家族ではしかの予防接種受けてないかもしれない…など心当たりがあるようでしたら医療機関に相談してみましょう。

ご自身や大切なご家族・友人のためにも、この記事をきっかけに考えてみてはいかがでしょうか。

これからも健やかで輝く自分でいられるように、毎日をすごしていきましょう。

監修:内科医 桐村里紗

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和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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