こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

突然ですが、アトピー性皮膚炎の方は、スキンケアや化粧品について何を基準にして選んでいるでしょうか。

アトピー性皮膚炎は本来の皮膚状態と違い、敏感でバリア機能が低下しやすい状態です。

そのため、スキンケア製品や化粧品は、より慎重に選びたいところです。

では、アトピー性皮膚炎の場合、一体どんなことに気を付けてスキンケア製品や化粧品を選べば良いのでしょうか。

「口コミで話題だった製品を使用したらアトピー性皮膚炎が悪化した」
「肌が荒れそうでメイクができない」
「ファンデーションは何を選べば良いのかわからない」
「アトピー性皮膚炎の赤味だけでも取りたい」
「アトピー性皮膚炎でも使えるスキンケア製品を知りたい」

このように、スキンケアや化粧品など選び方に困っている方も少なくありません。

実は、筆者の娘もアトピー性皮膚炎で、子供の頃から皮膚科にかかっています。

そのため肌荒れには人一倍敏感で、「シャンプーや石鹸、保湿剤など何を使うのがベストなんだろうか?」と悩んでいた時期もありました。

そんなアトピー性皮膚炎で悩む方のために、今回はアトピー性皮膚炎の方が気をつけたいスキンケア製品や化粧品の選び方・スキンケアの方法・日常生活で気をつけたい工夫などについてご紹介します。

1. アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、アトピー素因(※)とよばれる体質と、ダニやホコリ・花粉などの環境的要因、汗やフケなど身体的要因が重なって発症するといわれています。

強いかゆみを伴う湿疹が大きな特徴で、乾燥して皮がむけることもあり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚疾患です。

(※)アトピー素因…(1)家族にぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎にかかったことがあるか、患者さん自身がいずれか、あるいは複数にかかったことがある。
もしくは(2)アレルギー反応に関わるIgE抗体ができやすいことをいいます。

1-1. アトピー性皮膚炎の皮膚の状態

アトピー性皮膚炎が発症した皮膚では、バリア機能が低下しやすくなります。

そのため、さまざまな刺激に皮膚が反応し、炎症や皮疹が起こりやすくなります。

さらにアトピー性皮膚炎では、皮膚の水分が蒸発しやすく乾燥しやすい肌状態となります。

乾燥した皮膚では、外部からの刺激物質(アレルゲン)が侵入しやすくなり、外部からのささいな刺激にも反応し、かゆみが起こります。

かゆみが起こった部分を掻いてしまうと、あらたな傷ができて皮膚の修復が遅くなり、掻いた刺激によりかゆみがさらに増すなど、悪循環に陥りやすくなります。

1-2. アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎では、以下のような症状がみられます。

・かゆみが起こる
・皮膚が赤くなり、ブツブツや皮がむけてかさぶたになる
・長期的にみると、皮膚に厚みができ硬くなる
・乾燥肌(ドライスキン)
・慢性的(乳児は2ヵ月以上、その他は6ヵ月以上)な疾患
・おでこ・目の周り・くび・肘・膝・手首など左右対称に症状が現れる 

1-3. アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎では、適切な治療を行い、症状がコントロールできれば、症状を抑えることができる「寛解(かんかい)(※)」を目指せる疾患です。

しかし、患者さんの生活環境などによっては、再び症状が現れることがあるので完全に「治癒」したとはいえず、長期間にわたり付き合っていく疾患でもあります。

(※)寛解(かんかい)…全治とまではいえないが、病状が治まっておだやかであること。
治療では「薬物療法」「外用療法やスキンケア」「悪化因子の探索と対策」の3つに分けて行います。

1. 薬物療法

薬物療法では、ステロイド外用薬・保湿剤の使用・かゆみを抑えるための内服薬の3つに分けて治療します。

症状に対しては、重症度に合わせて主にステロイド外用薬を使用します。

さらに皮膚バリアが壊れるとかゆみが増強するため、保湿をするための保湿剤、かゆみをコントロールするための内服薬(抗ヒスタミン薬)を使用することもあります。

さらに近年では、タクロリムス外用薬やJAK阻害剤・プロアクティブ療法・生物学的製剤など、アトピー性皮膚炎では多くの薬剤が使用可能になりました。

いずれも、症状をみて処方されますので、専門医の話をよくきき、用法用量をきちんと守り続けていくことが大切です。 

ステロイドや免疫を抑制する薬剤は、中長期的な副作用の可能性もありますので、メリットとデメリットを十分に理解した医師の判断の上で適切な使用法を守ることが大切です。

アトピー性皮膚炎の薬

2. 適切なスキンケアを行う

アトピー性皮膚炎は皮膚機能異常のために水分を保持する能力が低下し、乾燥しやすい状態になっています。

そのため、適切なスキンケアを行い、皮膚状態を整えることが大切です。適切なスキンケアについては、次の章でご紹介します。

3. 悪化因子を見つけて対策する

アトピー性皮膚炎は、悪化因子が関連することで症状が悪化します。

悪化因子は、発汗、環境、ストレスなど人により異なるため、把握することが治療への重要な近道となります。悪化因子についても後ほどの章で解説します。

2. アトピー性皮膚炎の方のスキンケアのポイント

アトピー性皮膚炎では、治療が最優先ですが、スキンケアも肌バリアを守るためにとても大切です。

つまり、治療とスキンケアによる保湿、両方を行うことが必要です。

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインにも、薬物療法をはじめ、毎日のスキンケアが治療の大切な要素であることが記載されています。

2-1. 丁寧に保湿する

肌の保湿をする女性

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能と保湿機能が低下しているため、肌が少しの刺激でもかゆみを感じやすくなります。

さらに多くのアレルゲンが肌へ侵入しやすくなり皮膚炎が起こりやすいと考えられています。

丁寧な保湿は、アトピー性皮膚炎における角質層の水分含有量の低下を改善させ、皮膚のバリア機能を高める効果があります。

皮膚のバリア機能が高まることで、皮膚へのアレルゲンの侵入を防ぐことができ、かゆみを抑え、皮膚の炎症を予防する効果があります。

そのため、毎日丁寧なスキンケアを行い、しっかりと保湿するように心がけることが大切です。

保湿剤は、こすらずやさしく手のひらで広げることがポイントです。目や耳の周りなども忘れずに塗りましょう。

一見何もない皮膚状態であってもドライスキン状態であることも多く、アトピー性皮膚炎の方こそ、きちんとした保湿を行い、皮膚バリア機能を高めて潤いを与えることで、かゆみを防ぐことができます。

(発疹がでている場合は皮膚科を受診し、保湿剤の使用については医師の指示に従いましょう)

1. 保湿剤の種類

保湿剤にはさまざまな種類があります。医師とよく相談しながら、症状や好みに合わせて選ぶようにしましょう。

ここでは、アトピー性皮膚炎に使用される代表的な保湿剤とその特徴についてご紹介します。

保湿剤の種類

保湿剤の剤形

2-2. 適切な入浴やシャワー浴を行い、皮膚を清潔にする

アトピー性皮膚炎の肌では、皮脂の汚れ・外用薬・汗などの体液・感染のもととなる細菌の付着などが皮膚症状を悪化させる原因になるため、常に清潔であることを心がけることが大切です。 

1. 38~40℃のぬるま湯で

給湯温度 40度

お湯は熱めが好きな方もいるかもしれませんが、熱すぎるお湯は皮脂を奪い、肌のかゆみを悪化させる原因になるので好ましくありません。

皮膚のバリア機能を回復させるために、38~40℃程度のお湯に浸かりましょう。 

2. 入浴後は保湿剤で肌をケア

入浴後は、肌から水分が蒸発しやすく乾燥します。

肌から水分を逃さないためにも、入浴後に汗やほてりがおさまったら速やかに保湿をして、皮膚の水分を保持するようにしましょう。

3. 適切な石けんを選ぶ

乾燥が強い場合、石けんなどの洗浄剤の使用を控えた方が良い場合もあります。
しかし、古い軟膏を落とし、皮膚を清潔に保つためには、洗浄剤の存在も必要です。

一般的なボディソープには、洗浄力が高い合成界面活性剤が含まれており、誤った使用方法で使うと乾燥を助長させる原因になりかねません。

また、色素・香料などの添加物が肌への刺激になる可能性も否定できません。

洗浄剤を選ぶ際は、低刺激・低アレルギー性・無添加などの、添加物ができるかぎり少ないものや、刺激がなく使用感の良いものを使用するようにしましょう。

また、洗浄後に乾燥を感じるものは避けるなど考えて選ぶことが大切です。 

4. 洗浄剤はよく泡立てる

ボディソープのもこもこ泡

洗浄剤を使用する際には、皮膚を傷つけないようによく泡立てから使用しましょう。
基本的にタオルは使用せず、泡のみを手にのせて優しく洗いましょう。

きめ細やかな濃密な泡をクッションにして、やさしく物理的な刺激のない方法で皮膚の汚れを落とし、洗浄剤は皮膚に残存しないよう、よくすすぎましょう。

症状が強い場合は、洗浄剤を使用せずお湯をかけて流すだけでも良いでしょう。

2-3. 紫外線対策を行う

過度な紫外線は、アトピー性皮膚炎の皮疹の悪化因子の一つと考えられています。

厳密な遮光は必要ではありませんが、紫外線量の多い5~8月、日中の日差しが強い時間帯などは、帽子を着用する・日傘を使用するなど紫外線対策を行うようにしましょう。

また、アウトドアや長時間の外出など紫外線を長時間浴びる際は、肌に負担のかからない日焼け止めを使用しましょう。

アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインでは、紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)の紫外線散乱剤を使用している日焼け止めが推奨されています。

ただし、ジュクジュクした部分や、掻いて傷がついた部分などへの使用は避けるようにしましょう。

参考)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018(P71)
 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf

2-4. メイクアップ

メイクアップは、身だしなみやマナーとして必要な面もありますが、アトピー性皮膚炎の症状が悪化している場合、控えたいものです。

しかしどうしても必要な場合はあらかじめ医師に許可を得て、肌に負担の少ない低刺激なものを選ぶようにしましょう。

3. アトピー性皮膚炎の方の化粧水の選び方

化粧水を選ぶ際、アトピー性皮膚炎の方は何を基準にして選べば良いのでしょうか。

スキンケアは高価なものほど効果がある、というわけではありません。

まずは、化粧水にどのような成分が含まれているか確認することが大切です。

少しの刺激でも反応することがあるアトピー性皮膚炎の肌は、化粧水の成分が刺激となり、肌へ負担をかけてしまうこともあります。

3-1. 気をつけたい添加物

化粧水の成分を確認する女性

アトピー性皮膚炎の方は、化粧品に添加物が使用されているのかチェックすることが大切です。

とくに気を付けてみていただきたい添加物について、下に示しました。

・防腐剤
・香料
・石油系界面活性剤
・着色料

防腐剤は、化粧水の品質を保つために使用され、石油系界面活性剤は、化粧水の成分を混ぜ合わせるために使用されています。

もちろん使用しても問題ない肌の方もいますが、体調によっては過敏に反応する場合もあるため、化粧品を選ぶ際は気を付けてみるようにしましょう。

さらに自分がどの成分に反応しやすいか、確認しておくと良いでしょう。

・アルコール成分の有無

アルコールが含まれている化粧水もありますが、肌に負担をかける可能性がありますので、チェックが必要です。

3-2. シンプル処方の化粧水を選ぶ

化粧水は、肌を保湿するためには重要なアイテムです。

近年、デパートやドラッグストアではあれこれたくさんの成分が含まれている化粧水が販売されていますが、敏感に反応しやすいアトピー性皮膚炎の肌の場合、逆に刺激になることがあります。
湿疹がある場合、化粧水の使用を控えた方が良い場合もあります。

そのため、アルコール分を含まない、できるだけシンプルな化粧水を選び保湿しましょう。

肌の水分を補うための水と油があれば保湿は十分に可能です。

つまり、シンプルな化粧水とは「水」と「油」により作られる保湿に最低限必要な成分で作られた化粧水のことをいいます。

先にも述べましたが、化粧水は製品の品質を保つために防腐剤や石油系の界面活性剤などが使用されることがあります。

しかし、アトピー性皮膚炎の場合はこの添加物がかえって刺激となり症状を悪化させてしまうことがあります。

アトピー性皮膚炎の方の化粧水は、できるだけ添加物の含まれないシンプルな製品を選ぶように心がけましょう。

一方で、天然成分であっても、刺激がないわけではありません。
精油などにかぶれることもあるため、刺激を感じたり、痒みや赤みが強くなるようであれば、使用を控えましょう。

3-3. パッチテストを行う

化粧品パッチテスト

パッチテストはアレルギー反応や刺激が起こらないか確認するための大切なテストです。

はじめて化粧品を使用する際は、皮膚の柔らかい場所へ少量を塗り、時間をみてアレルギー反応が起こらないかチェックしましょう。

また、新しい化粧品を取り入れる際は、肌の調子が良く、トラブルがあった場合に原因を追究できるように、一品ずつ試すようにしましょう。

少しずつ、自分に合う化粧品を探すことが大切です。

4. 症状が強いときのスキンケア

痒みや赤みなど、症状が強いときはどんな化粧品を使用しても刺激になりやすくなります。
そのため、基本的に化粧品の使用は中止しましょう。

症状が強く出ている時は自己判断せず、皮膚科による適切な治療を受けて、医師から許可が得られたら、化粧品でのスキンケアを再開するようにしましょう。

症状によっては、ぬるま湯洗顔やワセリンなどの保護剤を使うことが指導されることもあります。

5. 日常生活で気をつけること

アトピー性皮膚炎は生活環境も影響しやすく、症状を悪化させないために対策をすることが大切です。

5-1. 悪化因子を取り除く

アトピー性皮膚炎では、悪化させる因子を取り除き、症状を悪化させないことがポイントです。症状を悪化させる因子には以下のようなものがあります。

・環境アレルゲン

ダニ・ホコリ・花粉・ペットの毛

 ・接触アレルギー

金属・化粧品・シャンプーやリンス・消毒薬・香料

ダニやホコリなどがアレルゲンとなることから、普段から室内をこまめに掃除する・風通しを良くするなど、アトピー性皮膚炎の原因となるものを溜め込まないように注意しましょう。

金属にアレルギーがある場合、汗の中に含まれる金属で湿疹が悪化する場合があります。
汗はこまめに拭き取りましょう。

さらに、身に着ける衣類も下着やストッキングなども刺激のない、なめらかな肌ざわりのものを選ぶようにしましょう。

衣類の洗濯用洗剤も、人によっては刺激になることがあります。すすぎは十分に行うように心がけましょう。

さらに、アトピー性皮膚炎では唾液・毛髪・汗や衣類の摩擦により症状が悪化することもあります。

日頃から汗や唾液は、洗い流すか柔らかい布でふきとる・毛髪は肌にかからないように束ねる・肌にやさしい衣類をえらぶなど対策をしましょう。 

5-2. ストレスマネージメントを心がける

ストレスマネージメントでヨガをする女性

成人のアトピー性皮膚炎では、精神的ストレスにより症状が悪化することが知られています。

日頃からストレスをリリースできるように、自分自身のストレスの発散方法を見つけましょう。

好きな音楽を聴く・睡眠をとる・アロマを焚くなども良いでしょう。ヨガやストレッチ・軽いジョギングなど適度に体を動かすこともおすすめです。

日頃からストレスマネージメントに気を配りましょう。

6. アトピー性皮膚炎だからこそ、化粧品選びは大切にしましょう

アトピー性皮膚炎 化粧品

アトピー性皮膚炎は、健康な皮膚に比べて非常に敏感です。

また、ささいなきっかけで症状が悪化したりと、周りが思う以上に肌トラブルで悩んでいる人も少なくありません。

だからこそ、アトピー性皮膚炎の肌には自分に合う化粧品選びが大切です。

値段や見た目のパッケージに惑わされず、本当に自分の肌に合うものかどうか、必ず自分の目でみてチェックしましょう。

肌へのちょっとした気遣いが、より健やかな肌作りにつながります。
これからも肌本来の魅力を引き出せるように、化粧品選びはより大切にしていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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