あなたの布団は大丈夫? 「ダニ退治」をもっと効率良くするための9つの対策
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
みなさまは、布団のお手入れは定期的にされていますか?
「布団くらいそんなにまめにお手入れしなくても、シーツを洗えば大丈夫!」と自分で自分に言い聞かせたくなるなんてこと、ないでしょうか?
しかし、ほとんどの布団の中には多かれ少なかれダニがいるのは事実。
「ダニが布団の中にいるかも…」と思うとそれだけで良い気分はしませんよね。
さらにダニが大繁殖した布団で寝ることで、体にさまざまな影響を与えてしまいます。
夏はダニが繁殖しやすい時期。
その一方、夏の強い日差しがダニ対策を効果的にしてくれます。
今回は布団にダニが繁殖しやすい原因と自分でできるおすすめのダニ対策についてご紹介します。
目次
1.布団にいるダニとは?
ダニには多くの種類があり、その特徴もさまざまです。
とくに布団や枕・カーペット・ソファ・ほこりなど、私たちの家の中にもっとも多く生息しているのは「ヒョウヒダニ」です。
ヒョウヒダニは体長約0.1~0.3mm程度と小さく肉眼で確認することはほとんどできません。
また人を刺すこともないため布団の中にいても気づくこともないでしょう。
しかしヒョウヒダニが布団の中で大量に繁殖すると、そのヒョウヒダニをエサとするツメダニが繁殖します。
ツメダニは人を刺すので寝ているときにダニに刺された場合は、ヒョウヒダニだけではなくツメダニも布団の中にいると考えられます。
人を刺すのは、ツメダニ、イエダニ、マダニです。
ツメダニとイエダニは室内で発生するダニで、一方マダニは、野外で発生するダニです。
イエダニは、体長0.6~1.0mmほどの吸血性のダニで、ネズミや鳥類に寄生していますが、人を吸血することもあります。家の中にネズミがいれば、イエダニがいる可能性があります。感染症を媒介することもあります。
イエダニは、ネズミの巣や毛の中に住んでいて、5月頃から増え始め、6~9月に繁殖のピークを迎えます。この場合は、ネズミの駆除などが必要になります。
今回は、主に、布団で繁殖するツメダニについて解説します。
2.布団にダニが繁殖する理由とは?
ダニは、「25℃前後の温度・70%前後の湿度・髪の毛やフケなどのエサ」を好み、この3つの条件が揃うと繁殖しやすくなります。
布団は、その構造自体が3つの条件を満たしやすいため、ダニの住処となりやすいのです。
特に、ダニが住みやすい環境を作る条件を満たす6~9月は、ダニがもっとも繁殖しやすい時期といわれています。
2-1.温度
ダニが好む温度は25℃前後といわれています。
夏になると気温はさらに上昇しますが、家の中ではエアコンをつけていることが多いため、ダニにとっては常に快適な温度が保たれています。
2-2.湿度
ダニは、高温多湿な環境を好み、湿度が70%前後になると活動率が高まります。
人にとって最適な部屋の湿度は50〜60%とされています。
気象庁による2020年のデータでは、2月の55%に対し、7月の平均湿度は89%、8月は76%まで上昇しています。
外の湿度が高まるのに比例して室内湿度も高くなるため、夏場は、ほかの季節と比べてダニが活動しやすい状況をつくってしまうことになります。
そのため、エアコンの除湿機能を使用したり、部屋に湿度計を置くなどし、湿度70%を超えないように注意することが必要です。
▼部屋を快適に保つための湿度と温度の関係について詳しくはこちら
https://wellmethod.jp/room-drying/
2-3.エサ
ツノダニのエサとなるヒョウヒダニの主食は、髪の毛やフケ・垢・食べカスなどです。
とくに睡眠中にはこれらが布団に付着しやすく、ダニの好む条件を与えてしまいやすくなります。
また新陳代謝によって、睡眠中だけではなく、活動中もダニのエサとなる髪の毛やフケなどは落ちてしまいます。
布団だけではなくソファや床にも落ちやすいため、家の中にはダニのエサが大量に落ちていることになります。
2-4.布団の構造
ダニにとって温度・湿度・エサの3つの条件を効率良く満たしているのが布団です。
人は睡眠中に大量の汗をかき、布団にはダニの栄養源となる髪の毛やフケなどが落ちています。
また布団は繊維が密集しているため、ダニにとっては隠れやすい場所でもあります。
生息しやすいだけではなく、ダニが安全に卵を産むのに適した環境でもあるのです。
3.ダニがもらたらす健康への影響とは?
ダニに刺されるとその数時間後、赤く腫れ、強いかゆみを生じます。
衣類に隠れた太ももや二の腕、腹など柔らかい部位が刺されやすく、一度に数カ所刺されることもあります。
ダニがもたらす健康への影響はそれだけではありません。
ダニはアレルギー疾患の原因となり、ダニの死骸・糞・抜け殻が、アレルゲンとなりアレルギー反応をもたらし、アレルギー性の鼻炎やアトピー性皮膚炎・結膜炎・気管支ぜんそくの症状悪化に繋がりやすくなります。
4.布団に繁殖したダニの対策方法
布団に繁殖したダニの対策方法について知っている方も多いのではないでしょうか?
布団を干す・掃除機をかけるといった方法はよく知られています。
しかし、それだけでは不十分な点もあります。
一般的に知られている方法にひと手間かけることで、ダニを効率良く退治することができます。
4-1.黒い布をかけて天日干し
ダニが死滅する温度は50℃以上の熱を20~30分以上、もしくは60℃以上の熱を当て続けることが必要です。
通常の天日干しでは布団内部の温度は60℃まで上がらないため、ダニは布団の中で生き続けることができます。
また天日干しをしている間、ダニは日光の当たらない布団の裏側に逃げていき、布団を裏返してもまた同じように反対側に逃げていくため、天日干しだけではダニを死滅させることは難しいのです。
そこでダニ退治の効果を上げるために欠かせないのが黒い布や不織布です。
黒色は日光を吸収するため、布団を黒い不織布で覆って天日干しすることで、布団内部の温度が60℃以上になりダニは死滅します。
黒い不織布で覆った場合も、表裏しっかり天日干しすることが大切です。
また布団を外に干す場所がない場合は、黒い不織布の袋に布団を広げ入れ、車内に置いておくことで、ダニを退治することができます。
ただし天日干しをしても布団の表面についているダニの死骸やフンは付着したままので、布団を取り込んだあとは、必ず掃除機をかけるようにしましょう。
また布団の湿気や臭い対策として天日干しは有効です。
そのままにしておくと、ダニの温床になってしまいます。
4-2.掃除機をかける
天日干しをせずに布団に掃除機をかけてダニを駆除しようと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし掃除機で吸い取れるのは、4-1章でもお伝えしたとおり、布団の表面に付着した死骸やフンのみです。
掃除機の吸引力は強いように感じますが、布団の内部に潜むダニを吸い取ることは難しいのです。
その理由は、ダニにはかぎ爪と吸盤があり、布団の繊維にしがみついているからです。
また布団叩きで布団をたたいても、ダニは死滅しません。
布団の表面を叩くことで表面に付着した死骸やフンが粉々になり、叩くことで空気中に舞い上がり、それを吸ってしまう危険性が大きくなるため、叩くよりもなでるようにして落としましょう。
4-3.布団乾燥機
布団乾燥機にかけることで布団内部の温度を50℃以上にすることができるため、ダニ退治におすすめです。
しかし布団の向きと平行になるように設置する一般的な使い方では、布団の隅の方にダニが逃げていきます。
今回はより効果的にダニを退治する布団乾燥機の使い方をご紹介します。
▲乾燥機シートを布団でくるみ、その上から掛け布団をかける
1. 布団の上に乾燥機シートを直角に置く
2. 乾燥機シートをくるむようにして布団をたたむ
3. 2の上から掛け布団をかける
4. 表裏2~4回繰り返しかける
乾燥時間は90分~120分に設定しましょう。
乾燥機をかけたあとは、掃除機で死骸やフンを吸引しましょう。
4-4.コインランドリーで乾燥させる
タオルケットや薄い布団やシーツなどは自宅で洗うことができますが、ダニは水に強く洗濯しただけでは死滅しません。
しかし洗濯をすることでダニの死骸やフン、ダニの栄養源になる汚れなどを落とすことはできるため、洗うことでダニが好む条件を軽減することはできます。
洗濯した寝具からダニを退治するためには、コインランドリーのタンブラー乾燥機がおすすめです。
いまからご紹介する方法は、通常の洗濯とは手順が反対になりますが、効率良くダニ退治ができるおすすめの方法です。
1. タンブラー乾燥機に布団を入れる
2. 洗濯をして死骸を洗い流す
3. 再度、タンブラー乾燥機に入れ乾燥させる
しかしこの方法では、一度だけでは卵が布団内部で生き残っています。
2週間後にもう1度この手順で行うことで効率的にダニを退治することができます。
4-5.ダニ捕りシート・スプレー
ドラッグストアなどで購入できるダニ捕りシートや防ダニスプレーも効果的です。
ダニ捕りシートは布団やマットの下に置くだけでダニを捕獲してくれます。
ここではダニ捕りシートと防ダニスプレーを使ったダニ退治の方法をご紹介します。
・ダニ捕りシートの使い方
1. 敷布団やマットレスの大きさに合わせた枚数を準備する
2. 敷布団とシーツの間、もしくはマットレスとベッドパッドの間に敷く
ダニは暗い場所や高温多湿を好みますので、ダニ捕りシートはじゅうたんの下やソファの隙間、シーツと敷き布団の間などに置くと効果的です。
畳などのダニを捕獲したいときは、ダニ捕りシートを畳に置き、その上にタオルなどをかけ暗くしておくとよいでしょう。
また、ダニ捕りシートは使用期限を過ぎると効果が薄れてしまいますので、説明書に記載してある期限を守るようにしましょう。
・防ダニスプレーの使い方
1. 防ダニスプレーをかける
2. 1時間程度放置する
3. 掃除機をかける
換気をしながら使用するように注意しましょう。
5.ダニが住みにくい環境を作る! おすすめ防ダニ対策
ダニが住みやすい環境を作らないことがダニを寄せつけないためには大切です。
慣れるまでは大変と感じることもあるかもしれませんが、運動も兼ねて習慣化してみてはいかがでしょうか。
5-1.こまめにシーツを変える
シーツやカバー、汗パッドなどはこまめに交換して清潔を保つようにしましょう。
シーツやカバーには、汗やフケ・垢などが付着しています。
目で確認できる汚れがない場合でも、こまめに洗うようにしましょう。夏場は週に2~3回を目安にしましょう。
5-2.押し入れに保管したままにしない
押し入れの中は湿度が高く空気の通り道もないため、ダニが繁殖しやすい環境といえます。
普段使っていない布団も定期的に天日干しをしたり掃除機をかけたり、お手入れをしておくと良いでしょう。
圧縮袋に入れて保管する場合は、湿気がこもらないように除湿剤を一緒に入れることをおすすめします。
5-3.部屋を換気して布団の上げ下ろしを行う
布団を敷きっぱなしにしていると、髪の毛やフケや垢・食べカスなどが布団に蓄積され、ダニが繁殖しやすくなります。
また、布団と床との間に湿気が溜まることもダニが増えやすくなる原因となります。
布団やマットレスは湿気を吸いやすいため、風通しを良くすることが大切です。
1週間に1度はマットレスを立てて干すようにしましょう。
干すことが難しい場合は窓を開けて風通しを良くすることで除湿の効果が期待できます。
5-4.ダニのつきにくい布団を選ぶ
最近では防ダニ機能を備えたシーツや布団が商品化されており、そうした寝具を使ったりダニがつきにくい素材のものを選ぶのも良いでしょう。
一般的な布団に多く使われる木綿や羊毛などの天然素材はダニのエサになります。
一方、ポリエステルやウレタン・樹脂などの化学繊維はダニがつきにくい素材です。
その中でもとくに樹脂は湿気が少なく保温力も低いのでよりダニがつきにくい特徴があります。
▼その不調は睡眠の質が原因? 快適な眠りをつくる「寝具」の選び方
https://wellmethod.jp/choose-bedding/
6.ダニが繁殖しにくい環境作りを! 丁寧な暮らしが健康への第一歩
今回はダニが健康にもたらす影響やダニ退治対策についてご紹介しました。
布団を干したり掃除機をかけたりするのは、毎日仕事や家事に忙しい世代にとって簡単なことではないかもしれません。
しかしお布団のお手入れは体を動かすチャンスと思うと、習慣化できそうな気がしませんか?
人は1日の3分の1を寝具の中で過ごします。
その寝具がダニの温床と思うとそれだけで気分も良いものではありませんよね。
丁寧な暮らしが健康にの第一歩。
より豊かな毎日のためにも寝具のお手入れをはじめてみましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。