こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

みなさまは、目のトラブルを経験したことはありますか。

私たち更年期の世代になると体のあちこちにトラブルが出るものですが、中には「全体的にかすみがかったように見える」「一部だけがかすんでみえる」「目がみえにくくなってきた」などといった目のかすみを訴える方がいます。

筆者もいつもより視界がみえづらかったりすると、この症状が年齢のせいなのか病気のせいなのか、放っておいても治るのか、治らないのか、など不安を覚えたことがありました。

目のかすみの主な原因は、目を酷使しすぎたことによる目の周囲の筋肉の疲れや年齢による老眼などですが、まれに早急に治療をしなくてはいけない病気がかくれていることもあります。

今回はかすみ目について、原因・対処・予防法についてご紹介したいと思います。

目のかすみに心当たりがある方は、ぜひとも今回の記事を参考にしてみてください。

1.目がかすむ症状とは?

かすみ目に悩む女性

目のかすみとは、一般的に鮮明に見えていたものが徐々に低下すること、いわゆるすりガラスを通して物をみているような状態のことで、「かすみ目」とも呼ばれます。

一方、突然片目もしくは両目が見えなくなる状態のことを失明とよび、目のかすみとは別の症状として考えられています。

2.どうして目がかすむ? 4つの理由

目のかすみは、目の構造に何らかの異変が起きていることが考えられます。

目の構造のどの部分に異変がみられるのか、同じかすみ目であっても、人によりさまざまですが、大きく4つに分けられます。

目の構造

2-1.目の構造部分(角膜や水晶体、硝子体など)に傷がつく・濁る

私たちの目は、角膜・水晶体・硝子体などで構成されています。これらは本来、無色透明です。

しかし、何らかのきっかけにより傷がついたり、濁ったりすると、すりガラスを通して物をみているように目がかすんで見えることがあります。

2-2.網膜に異常がみられる

網膜とは、目の奥にある光や色を感じる部分です。この網膜になんらかの理由で異常があると目がかすむことがあります。

2-3.目が見た情報をうまく脳に送ることができない神経系の異常

目からみた情報は、信号となり脳へ送ることではじめて視覚が生まれます。

この経路を視神経の経路とよびます。この視神経に何らかの異常が起こると、目がかすむことがあります。

2-4.ピントがうまく合わせられない(屈折異常)

屈折異常は、かすみ目の最も一般的な原因とされています。

目には、ピントの調節にかかわる「毛様体筋」があります。この毛様体筋が何らかの理由によりピントがうまく合わせられない場合、目がかすむことがあります。

3.日常生活において、目がかすみやすくなる行動

日常生活にて、目がかすみやすくなる行動としてモニター画面を長く見続けたことによる「目の酷使」や、エアコン下などで長時間作業をした場合におこる「乾燥」などがあります。 

また、コンタクトレンズの不適切な使用方法によっても角膜が傷つき、目がかすむこともあります。

3-1.パソコンやスマホの画面を長時間みる

集中してPCを見る女性

目の疲れは、目のかすみを引き起こす原因の一つです。

とくにスマホ、パソコン、ゲームなどで長時間、モニター画面を見続けると目の緊張状態が続くため、目が疲れやすくなります。

目の疲労が続くと、視界のピントを調節する「毛様体筋」の機能が低下し、かすみ目を引き起こします。

また、集中して画面を見続けるとまばたきの回数が極端に減り、目が乾きやすくなります。

この目の乾燥は、涙の量が一時的に少なくなり、涙の質が悪くなることから視界がかすむ原因になることがあります。 

3-2.エアコンの使用などによる目の乾燥

エアコンの効いた空間は常に乾燥しています。

この乾燥した空間に長時間いると、目の表面を守るための涙が蒸発して目が乾きやすくなります。

目が乾くと、角膜に傷がつきやすくなるため、視界全体がかすむことがあります。

3-3.コンタクトレンズの使用

コンタクトレンズの使用方法によっては、角膜に傷がつき目がかすむことがあります。

また、コンタクトレンズの管理方法が不十分な場合、レンズについた傷によって角膜が傷つき、目がかすんだ状態になることがあります。

4.かすみ目のうらに潜んでいる病気

目のかすみの原因には、目の病気が隠れているケースもあります。

これらは専門医による診断が必要です。早期に治療が必要なものもあるので、気になる場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

4-1.老眼

老眼の女性

加齢により、水晶体の弾力が低下することで、目のピントがうまく合わせられず、近くのものが見えにくくなる状態が老眼です。

老眼は、文字がかすんで見えたり、ピントを合わせたりする時に目の筋肉に負担がかかることから目が疲れやすくなります。

個人差がありますが、40歳を越えたころから老眼になることが多く、誰もがなる症状です。

▼老眼は改善できる? 気になる症状といますぐできる予防法

https://wellmethod.jp/improvement-of-presbyopia/

4-2.ドライアイ

ドライアイとは、目を守るために必要な涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れたりしてしまう病気です。

ドライアイになると、目の角膜が傷つきやすくなります。透明な角膜に細かい傷ができることで、すりガラスを通してものを見ているような目のかすみが起こります。 

加齢や生活習慣によっても起こりますが、自己免疫疾患「シェーグレン症候群」などの原因も考えられます。この場合、涙液と共に唾液も減るため、ドライマウスも合併することが一般的です。

4-3.近視、遠視、乱視

かすみ目を伴う目の疾患としてもっとも多いものが、近視・遠視・乱視による屈折異常です。屈折異常が原因である場合には、通常は矯正レンズまたは手術により目のかすみを矯正できます。 

女性の目

4-4.白内障

白内障は、目の水晶体が白く濁る病気です。視界に白いフィルターがかかったようにものがかすんで見えたり、光をまぶしく感じたり、明るい場所では見えづらくなるといった症状があります。

多くは、加齢現象や糖尿病などの生活習慣病に伴って発生します。

4-5.緑内障

緑内障は、眼圧が上がり網膜に異常が起こることで視野が鼻側から欠けたり、かすんだりして視力が低下する病気です。

大きく分けて慢性・急性、正常眼圧力緑内障と別れますが、症状によっては放置すると失明することもあるため、早めの対処が必要です。 

4-6.加齢黄斑変性症

目の網膜の中心部にある黄斑部が変質し、視覚の異常や視力の低下を引き起こすことを加齢黄斑変性症と呼びます。

60歳を超えた男性に起こりやすいとされる疾患で、片方の視野の中心がかすむ・黒ずむ・物が歪んで見えるなどの視力の障害が起こります。

4-7.ぶどう膜炎(硝子体の混濁)

かすみ目が起こる原因の一つに硝子体が濁る病気があります。この代表的な疾患がぶどう膜炎です。
感染症、けが、自己免疫疾患などが原因で起こりますが、原因がわからない「特発性」であることが多いのが特徴です。

目を構成する組織(虹彩(こうさい)、毛様体、ぶどう膜)に炎症が起きる病気で、炎症成分や血液の成分が硝子体に入ることで濁り、目がかすむ症状が起こります。

白内障・緑内障・黄斑浮腫(おうはんふしゅ)、またベーチェット病などの全身疾患などを一緒に併発することがあります。 

4-8.糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は、糖尿病による血糖値のコントロール不良が長く続くと、目の網膜の血管に障害が起こり、視力の低下や、目のかすみ、飛蚊症(ひぶんしょう)などの症状が現れます。 

放置すると、眼底出血を起こし失明することもあるため、糖尿病治療中、もしくは糖尿病を放置している場合には、必ず眼科受診を定期的に行う必要があります。

また、一般的ではありませんが、遺伝性の視神経の病気や、ビタミンA欠乏症(先進国ではまれ)によりかすみ目が起こることがあります。

5.かすみ目の治療法

目のかすみといっても、目を休ませることで回復する一時的なかすみ目もあれば、放置することで失明につながりかねない危険な病気が隠れている場合があります。

自分では原因の特定は難しいことが多いので、少し休んでも回復しない場合は眼科で検査することをおすすめします。

・原因の治療(基礎疾患がある場合)
・見え方の鮮明さを改善する方法(視力の回復)

まず、かすみ目の原因となっている基礎疾患がある場合には、その病気に合わせた点眼薬や注射などの薬を使い、治療します。全身疾患が原因になっている場合には、専門科と同時に治療を行う必要があります。

また、視力を改善するため、矯正レンズまたは手術が行われる場合もあります。

メガネ

6.かすみ目予防のためのセルフケア

一時的な目のかすみは、休ませることで回復するといわれています。そのため目のかすみを予防するためには、目を休ませることが大切です。

ここでは、目を休ませるためのセルフケアのポイントについてご紹介します。

6-1.こまめに休憩をとる

長時間、パソコンやスマホなどのモニターを見続けることは目に負担がかかるため、こまめに休憩を入れるように意識しましょう。

1時間ごとに15分ほど休憩するなどあらかじめ時間を決めておくと良いでしょう。

休憩時間は、ホットタオルなどをあてて目の周りの血行を良くする・遠くの景色を眺める・十分な睡眠をとるなどすると効果的です。 

目を休める女性

6-2.パソコンやスマホなどの画面から適切な距離を保つ

パソコンやスマホなどのモニター画面と目の距離は適切な距離を保ちましょう。

パソコンは40cm以上。
最近の高解像度テレビでは、画面の高さの3倍以上離れて見ることが理想的です。

また、これらの画面が目より上の位置にあると、目がいっそう乾燥しやすくなります。

そのため、画面が目線よりも低い位置にくるように椅子の高さ・配置などを調節しましょう。首や腰に負担がかかるため、猫背にならないように調整しましょう。

6-3.室内の明るさを適切にする

照明

室内の明るさが適切でないと目が疲れやすくなります。

とくに読書や細かい作業を行う場合、部屋全体を明るくするか、部分照明を活用しましょう。

また、パソコンを使うときは、読書をするときよりも室内照明を少し暗くすると目が疲れにくくなります。

6-4.目の周りの筋肉をほぐす

目の周りの筋肉をほぐすことは、疲れ目の予防につながります。

目頭から目じりに向けて、目の上下をそれぞれ目の周りの骨にそって指で滑らせるようにやさしくこすることがポイントです。このとき目に圧力をかけすぎないように注意しましょう。

6-5.紫外線を防止する

サングラス

目の水晶体は、目から紫外線が入るとダメージを受け、弾力を失っていきます。白内障予防や老眼を遅らせるためにもUVカットの効果があるサングラスを使用しましょう。

ブルーライトは、水晶体で吸収されず、直接網膜に届くことで、網膜への影響が懸念されています。現在のところ、特定の病気を引き起こすという研究結果は出ていませんが、使用の歴史が浅いために実際のところはわかりません。

ブルーライトは、疲れ目や目の刺激になることは確かなので、ブルーライトもカットするグラスが理想的でしょう。

7.目にやさしい生活を心がけましょう

アイマスクの女性

年齢を重ねていくと、体のトラブルはどうしても出てくるものです。

筆者も意識的に運動したりストレスをためない生活を心がけたりしていましたが、目のことについては深く考えることはありませんでした。

しかし、目は一生使うものです。

生活習慣を少し工夫することで、目の負担を減らすことは、自分の健康管理にもつながります。

ご自身の体とこれからも上手に付き合っていくために、これをきっかけに目のことについて考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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