ゆらぎ世代は骨の健康に注意を! 日常に取り入れるべき骨密度を増やす運動
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
ゆらぎ世代に気にかけてほしいものの一つに「骨密度」があります。
骨密度とは、骨に含まれているカルシウムやマグネシウムが骨にどのくらい含まれるのかを表す指数です。
骨密度が低下すると骨粗しょう症を引き起こし、骨の強度が弱まり骨折しやすくなります。
とくに女性の場合、骨密度が一気に低下する時期があり、注意が必要です。
それは閉経を迎え、女性ホルモンが大きく減少する時期です。
そのため、ゆらぎ世代の女性は、日頃から骨がもろくならないよう、骨密度を増やす運動をする必要があります。
ここでは骨密度を強化する具体的な運動方法や、骨を強くする食べ物などを詳しく紹介します。
1.ゆらぎ世代は急に骨がもろくなる人が増えている
骨密度が低下して起こる骨粗しょう症は、女性に多い病気です。
男性も加齢とともに骨密度は低下していきますが、男性ホルモンであるアンドロゲンが骨の維持に働いているため、女性ほど急に骨がもろくなることは少ないのです。
骨粗しょう症が原因で起こる大きな障害として、骨折があります。
骨折と聞くと高齢者が転倒した際に骨を折るといったイメージもありますが、近年は若い女性の間でも骨折する人が増えています。
とくに閉経を迎える40~50代の女性の中には、よろけて体を支えただけで手首を折ったり、ちょっとしたタイミングで骨折をしてしまう人が増えています。
1-1.女性は閉経期に骨粗しょう症になりやすい
そもそも女性が閉経後に骨粗しょう症になりやすいのは、女性ホルモンと大きな関係があるからです。
女性が閉経を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。
しかしエストロゲンには、骨の破壊を抑制する「骨吸収抑制」と、骨の形成を促進する「骨形成促進」の作用があります。
つまり閉経とともにエストロゲンが減少すると、これらの骨を維持する作用も働かなくなり、急激に骨密度が低下してしまうのです。
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1-2.努力で骨密度は上がるのか?
骨密度は、努力次第で上げることができます。
そもそも女性が骨密度の低下を招くのは、閉経とともにエストロゲンの減少が起きるためであり、仕方のないことともいえます。
しかし、普段から「骨を鍛えるトレーニング」を実践し、「骨密度を上げる食べ物」も意識して取って行けば、どの年代でも骨密度を上げることができます。
2.さっそく実践! 骨密度を増やす運動
骨を丈夫にするには、重力や衝撃を加えることでが大切です。
そのため骨密度を上げるためには、次の3つの運動を行うと良いでしょう。
・体に重力をかける荷重運動
・骨に衝撃を与える衝撃運動
・強度の筋肉トレーニング
荷重運動は、スクワットなどの筋力トレーニングが中心であり、衝撃運動はジャンプなどの骨に衝撃を与える運動です。
そして強度の筋肉トレーニングは、ダンベルスクワットが有効です。
ここからは、これら3つの運動について詳しく紹介します。
2-1.片足立ちやスクワットなどの荷重運動
片足立ちは下半身を整え、骨を丈夫にする荷重運動として有効です。
家のなかでもすぐにできるので、ぜひ実践してください。
<片足立ち運動のやり方>
1. まずはまっすぐに立つ
2. 腰に手を当てる
3. 膝・股関節をなるべく90度にして上げる
4. そのまま10秒間キープ、両足変えて行う
まずは姿勢を整えて立ち、片足をあげるときは体が前後に曲がらないよう注意しましょう。
片足立ちは下半身を鍛えるほかにも、体幹を鍛えることにも有効です。
まずは1日1回からはじめ、できる範囲で徐々に回数を増やしていきましょう。
そしてスクワットも荷重運動として有効です。
スクワットは筋力トレーニングの王様です。
筋力を上げることにより骨密度アップに期待できるほか、骨盤底筋を強化できるため、更年期に起こりやすい尿漏れも予防できます。
1. 足を肩幅に開く
2. 腹筋に力を入れる。このとき、なるべく骨盤底筋にも力を入れる
3. 背中を丸めずピンと伸ばした状態で10秒程度でゆっくりと腰をおとし、スクワットの体勢をとる
4. 10秒程度でゆっくりと1の体勢に戻る
5. 1セット20回程度、繰り返し行う
スクワット初心者の場合は、まずは5回を目安に行ってください。
スクワットはダイエットにも効果的なので、骨や筋肉を鍛えつつ、消費カロリーを増やすこともできますよ。
2-2.かかと落としやジャンプなどの衝撃運動
骨は「衝撃」を与えることで作られます。
そのため、かかと落としといった骨に衝撃を与える運動は、骨密度を増やすのに効果的です。
<かかと落としのやり方>
1. 安定した椅子や机に片方の手をつく
2. 背すじを伸ばして立ち、まっすぐ前を見る
3. 両足のかかとをゆっくりと上げ、ストンと下ろす
4. 回数の目安は10回を1セット。1日3セット行う
かかと落としは、骨に衝撃を与えることで骨形成に働きかけ、骨粗しょう症予防に有効です。
またふくらはぎの筋肉も強化することから、転倒防止にも役立ちます。
テレビを見ながらでもできる運動なので、毎日3セットを意識して行いましょう。
そして、骨に衝撃を与えるという意味ではジャンプも有効です。
ここでは、筋力トレーニングも併用できるスクワットジャンプを紹介します。
<スクワットジャンプのやり方>
1. 両手を後頭部に当てる
2. 足を肩幅に開き、つま先を前方にまっすぐ向けて立つ
3. 直立した体勢から太ももと床が平行になるまで腰を落とす
4. そのまま真上にジャンプする
5. 20秒間、3.〜4.を繰り返す
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また、かかとに衝撃を与える方法として「ジョギング」があります。
継続してジョギングを続けることは、常に骨に衝撃を与えることになり、骨を鍛えるうえではとても有効な運動です。
2-3.強度の筋肉トレーニング、ダンベルスクワット
ダンベルスクワットは、通常のスクワットよりも体に負荷が掛かり、下半身の筋力を上げるのに効果的です。
通常のスクワットに慣れた方は、ぜひダンベルスクワットを実践してみましょう。
<ダンベルスクワットのやり方>
1. 両手でダンベルを持ち、脚を少し開いて立つ
2. 肩甲骨を寄せて胸を張りながら、ダンベルを下げていく
3. 両足を踏ん張った状態で、できるだけ深くしゃがみ込む
4. 1日5回、3セットが目安
背中が丸まらないよう行うのがポイントです。
ダンベルは、ペットボトルでも代用可能です。
ダンベルの重さは、自分が重いと感じるもので構いません。参考として、女性の場合は2kg〜5kgの重さを目安にしましょう。
2-4.ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ
かかと落としなど骨を鍛える運動とともに行って欲しいのが、ストレッチです。
ストレッチを日常に取り入れると、体の柔軟性もアップすることから、うっかり転ぶような事故も防ぐことができます。
1. 壁に両手をつき、前に出した足の膝を曲げてゆっくり体重をかける
2. うしろ足のかかとは床につけたまま、アキレス腱も伸ばすようにふくらはぎをゆっくり伸ばす
3. 片足ずつ30~40秒ずつを左右交互に行う
2-5.足痩せ効果もあり! 太もものストレッチ
太もものストレッチは、足の血流を促し、足やせの効果も期待できるストレッチです。
寝ながら行うことができるので、寝る前の柔軟体操として取り入れるのもおすすめです。
1. 仰向けに寝る
2. 片方の膝を曲げ、両手で膝を抱える
3. 両手で膝をぐーっと押すようにして、膝を胸の方へ引き寄せる
4. 太もものうしろ側が伸びているのを感じながら、5秒間キープ
5. 反対の脚も同様に行う
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2-6.日常の運動量を増やすだけでも効果あり
日常で歩く歩数を増やすだけでも、骨に刺激を与え、丈夫にすることは可能です。
骨は刺激を受けることで、骨を作る細胞が活性化され強くなります。かかと落としをはじめとした運動はもちろん有効ですが、日常で歩く歩数を増やし、骨に刺激を与えていきましょう。
・日常生活に散歩を取り入れ、歩くことでかかとから骨に刺激を与える
・エレベーターなどを使わずに階段を利用する
・車や自転車を使わずに常に歩くことを意識する
骨を丈夫にするためには、「寝るよりも座り、 座るよりも立ち、立つよりも歩く」ということが大切です。
骨密度を低下させないためにも、まずは日常生活でこまめに体を動かすことから始めてみましょう。
3.骨密度を上げる食べ物は?
骨密度を上げるためには、骨に刺激を与える運動とともに食事に気を使うことが大切です。
骨といえばカルシウムを連想しますが、骨密度を上げるためにはカルシウムだけでは不十分です。
3-1.基本はカルシウムとビタミンD
骨の新陳代謝をサポートするものはカルシウムです。
カルシウムは骨の新陳代謝に必要ですが、カルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶けだしてしまい、骨粗しょう症につながります。
そのため毎日の食事にはカルシウムが欠かせないのですが、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDも一緒に取るのがポイントです。
・カルシウムを多く含む食材:小魚やいりこ出汁・干しエビ・乳製品・小松菜・チンゲンサイ
・ビタミンDを多く含む食材:サケ・ウナギ・サンマなどの魚・干し椎茸
また、ビタミンKは骨形成を促してくれます。
ビタミンKを多く含む食材は、納豆・小松菜・ほうれん草などの緑黄色野菜です。
そしてマグネシウムもカルシウムのブラザーミネラルとも呼ばれており、丈夫な骨を作るのに欠かせません。
マグネシウムを多く含む食材は、海藻類・大豆・ナッツ類・魚介類です。
▼【医師解説】更年期骨粗しょう症問題 “カルシウム”だけじゃダメ!? 骨を育む必須栄養素と運動法
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1.日光浴も大切
カルシウムの吸収をサポートするビタミンDは、紫外線B波を浴びることでも形成されます。
しかし、紫外線は肌へのダメージがあることでも有名で、なるべく日に当たりたくないという人もいるでしょう。
ただ、ビタミンDを生成するための紫外線は、1時間程度外にいるだけで十分です。
暑い時期なら、木陰で30分程度過ごすだけでも良いでしょう。
肌に長時間紫外線を浴びるのはシミやシワを作る要因にもなりますが、まったく日に当たらないのはビタミンD不足の原因にもなります。
帽子や日傘を利用しながら散歩するなど、紫外線とうまく付き合っていきましょう。
3-2.骨に悪い食べ物はあるのか
カルシウムやビタミンDは、丈夫な骨を形成するのに有効です。
反対に「リン」の取り過ぎは、カルシウムの吸収を妨ぐため骨にとってよい栄養とはいえません。
・リンを多く含む食材:加工肉などの加工食品、スナック菓子・インスタント食品など
加工食品などに含まれるリンは、リン酸塩系の添加物として体内に摂取されるため、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を排泄してしまいます。
これらの添加物が多い食材を取り過ぎることは、ミネラル不足を加速させるので控えましょう。
また、アルコールの過剰摂取やタバコも、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。
4.骨の衰えはすでに始まっている! 骨密度を意識した生活を
骨密度の低下は自覚症状がなく、転んだ拍子に骨折したことでわかった、ということも少なくありません。
40代以降の女性が、ふとした拍子に骨折する事例も増えており、骨密度の低下は高齢者だけの問題ではないのです。
また女性の場合は女性ホルモンが低下するとともに骨密度も低下するため、40歳を過ぎたら定期的に骨密度検査を受けることが大切です。
たとえ骨密度が低くても、骨に刺激を与える運動で骨を丈夫にすることも可能です。
今回紹介した「かかと落とし運動」をはじめ、日頃から歩く機会やカルシウムを意識して取り、骨粗しょう症を予防していきましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか