皆さま、こんにちは。
医師で予防スペシャリストの桐村里紗です。

新著『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書) がご好評をいただいております。自分の腸内の土である腸内フローラについて詳しく知り、さらに、人と地球を一体としたプラネタリーヘルスを実現するヒントになれば幸いです。

『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』

https://amzn.to/3iOpEY2

先日、ダイエット&ビューティーエキスポの基調講演に呼んでいただきました。
こうした展示会で、最近特に目立っているのが、「CBD」です。

体内の恒常性・ホメオスターシスを維持し、ストレスフルな現代人の健康をサポートしてくれると今話題の成分です。
わたし自身も、不眠になりやすいため、生理活性の高いCBDオイルを摂っていますし、CBDを扱う医療機関も増えてきました。

「CBD」について聞いたことはあるものの、使い方がわからない、安全性が心配という方も多いと思います。
今日は、CBDのお話です。

1.CBDの効果と選び方

1-1.CBDとは?

大麻草

CBD:カンナビジオールは、大麻草に含まれる多くの化合物の一種です。
いわゆる、植物の生理活性物質・ファイトケミカルのひとつですね。

「大麻草」と聞くと、違法薬物を思い浮かべると思いますが、CBDには、同じく大麻草に含まれる日本を含む多くの国で規制対象となっている薬物成分である「THC:テトラヒドロカンナビノール」のような精神活性作用、向精神作用はありません。

THCは、中枢に作用して気分を高揚させるのに対し、CBDは、違う受容体に作用し、睡眠の質の改善、緊張感の緩和、抗炎症作用、痛みの緩和などの目的で使用されます。

1-2.カンナビノイドとは?

麻には、CBDやTHCの他にも、CBN、CBGなど数百種類のフィトケミカルが含まれています。これらを総合して、「カンナビノイド」と呼ばれています。

その中で、THCが含まれていると、気分に影響して規制対象となります。

一方で、複数のカンナビノイドは複合的に作用する(アントラージュ効果)ため、THCを完全に除去した上で、複数のカンナビノイドの総合力を得られる製品の方が、植物のサポートをより得ることができると言えます。

2.人に備わる内因性カンナビノイドシステム(ECS)

リラックス 花

人を含む哺乳類の生体には、内因性カンナビノイドシステム (ECS) と呼ばれる、ホメオスターシス・恒常性を維持するシステムが元々備わっています。
心身のバランスを維持する司令塔のような役割で、これが乱れると、心身の全てのバランスが崩れて健康が維持できません。

代謝、免疫、消化、睡眠、内分泌、心機能、体温調整、気分、記憶力、認知機能、また、細胞間の情報伝達など、環境に最適化し、生存するために必要な生体の機能を調節しています。

外的な強いストレスやストレスの持続、また加齢現象や栄養の偏りなどによって、カンナビノイドが欠乏し、「カンナビノイド欠乏症」と呼ばれる状態になると、これらの機能が維持できなくなり、心身の不調、病気を引き起こすとされています。

元々備わる内因性カンナビノイドシステム(ESC)が乱れたときに、植物由来のカンナビノイドを食品として補うことが注目されています。

3.全身にあるカンナビノイド受容体の種類と分布

CBD受容体イメージ

カンナビノイドは、全身にある受容体を通して働きます。

人間の身体にある受容体の中でも最も数が多いとされています。

カンナビノイド受容体タイプ1(CB1)とカンナビノイド受容体タイプ2(CB2)があり、作用するカンナビノイドの種類や作用する部位が異なります。

・CB1
主に中枢神経系に作用
(個体差があるが、特に大脳皮質、海馬、扁桃体、大脳基底核、視床、小脳などに多い)
・CB2
主に免疫系に作用
(免疫細胞、消化器、脳、心臓、腎臓、骨、血管、内分泌腺、生殖器など)

違法となるTHCが作用するのが、CB1です。
その作用により、時間および空間感覚の混乱、幻覚、視覚や聴覚の鋭敏化、陶酔感、食欲亢進、離人感など、精神神経系を中心に様々な症状が現れます。

CB1に作用せず、CB2のみに作用する成分が安全です。

4.CBDの安全性と違法成分の取り扱い

大麻草

THCの扱いは各国で違います。
例えば、アメリカでは、THCが0.3%未満の大麻由来のCBD製品は連邦法で合法ですが、一部の州法では依然として違法扱いです。

日本では、THCの残留は違法となるため、CBD製品を輸入する際にTHCを除去した証明が求められています。

麻の品種は、100種類以上ありますが、このうちTHCの含有量が多い品種は、いわゆる「マリファナ」に分類されます。
THCの産生量が少ない品種は「ヘンプ」と呼ばれます。
ヘンプシード(麻の実)やヘンププロテインは、日本でもヘルシーフードとしても人気ですね。

日本の現行法では、健康食品や化粧品に使用する目的で、国内でヘンプを栽培することもできません。

また、ヘンプの花穂、葉、未成熟の茎から抽出したCBDは、THC成分を含有するリスクから大麻として扱われます。

CBDを含む原料やプロダクトを輸入する際には、THCが除去されている事を証明する必要があります。
ただし、正規輸入を行っていた大手メーカーのプロダクトの一部の製品にTHCが混ざっていたことが問題になったこともあります。

信頼できる第三者機関でTHCフリーを確認しているプロダクトを選ぶ必要があります。

5.CBDの抽出方法による種類

CBDプロダクトには抽出方法による種類があります。

CBD抽出イメージ

5-1.CBDアイソレート

様々な化合物の中から、純粋なCBDのみを分離抽出しており、THCなどの他の化合物は存在しません。
CBDのみの抽出物であり、複数のカンナビノイドが複合的に作用するアントラージュ効果を得ることができません。
ただし、CBDのみを抽出した製品は、THCを除去できている確実性が高く、他の物質や化合物からの干渉なしに、CBD自体の働きが発揮されます。

5-2.ブロードスペクトラムCBD

ブロードスペクトラムCBDは、CBD以外にも含まれるカンナビノイド類やその他のファイトケミカル類(CBC、CBN、またはミルセン、リモネン、ピネンなどのテルペンなど)も含まれています。
そのため、化合物の複合的な作用としてのアントラージュ効果が得られると期待ができます。

ブロードスペクトラムCBDには、通常THCは含まれていません。ただし、一部の製品には微量が含まれる可能性があります。
国内に流通しているものであっても、これがまだ確実性に欠けることが問題です。

第三者機関で確実にTHCフリーであることを証明した信頼できるメーカーのものを購入するなど注意が必要です。

5-3.フルスペクトラムCBD

フルスペクトラムCBDには、ブロードスペクトラムCBDと同じ化合物が含まれています。ただし、通常は少量のTHCも含まれています。
そのため、国内でフルスペクトラムCBDが流通することはまずありません。

6.CBDプロダクトの種類

プロダクトには様々な使用方法ができる種類があります。
オイル、錠剤、グミ、チョコレート、外用などの食品、ベイプなどがあります。

6-1.オイル・チンキ剤

CBDオイルイメージ

CBDオイルは、ベースオイル、またはアルコールなどにより溶解したリキッド状のものです。
スポイトから直接口に垂らすか、食べ物や飲み物に自分で加えて摂取します。

ノンフレイバーのタイプと、ハーブやフルーツなどのフレイバーがあるものがあります。

6-2.錠剤

オイルや抽出物をカプセルに入れたタイプになります。
サプリメントとして、水で手軽に飲むことができます。
含有量はメーカーやプロダクトによって様々です。

6-3.食品

グミやチョコレートなどの食品にCBDを加えたものです。
手軽に摂取できるのが魅力です。

牛乳から抽出したオイル・ギーにCBD抽出物を加えたものなどもあり、パンなどに塗って食べることができる面白い製品もあります。

CBDチョコレートイメージ

6-4.ベイプ

ベイプは、CBDの抽出物を気化させ吸入するタイプのものです。
ただし、リポイド肺炎という肺の損傷の報告もあり、長期の連用にはリスクがあると考えられています。

6-5.外用製品

局所に外用するための軟膏、クリーム、ローションなどの形状のものもあります。
プロダクトや個人の感受性により、感じ方は様々です。

わたし自身は、肩が凝ったなと感じたら、軟膏タイプを塗り込んでいますが、迅速に緩みます。

7.使用上の注意

医療 医師の問診

CBDを含むプロダクトは、薬と相互作用する可能性があることにも注意する必要があります。
基礎疾患があり通院治療中の場合は、医師または医療提供者に相談してください。

ただし、日本の多くの医療従事者は、まだCBDに対しての知識を十分に持ち合わせていません。
違法なTHCと混同しているケースも多いため、十分に理解ある統合的な視点を持ち合わせた医療従事者に出会わなければ、全てNGと言われる可能性もあると考えておいてください。

臨床CBDオイル研究会のホームページには、CBDを診療に活用する実践医療機関のリストがありますので、参考になさってみてください。

また、プロダクトによって抽出の方法も違いますし、体質によって体感の仕方も様々です。
そのため、初めて使用する場合、新しい製品を試す場合は、少量から試してみることをお勧めします。

疲労感や胃のむかつきなどを感じる場合もあります。
また、CBDが妊娠中に安全に使用できるかどうかまだ明らかになっていませんので、妊娠中の女性はCBDを控えるべきとされています。

わたし自身は、様々試した結果、100%オーガニック農法の遺伝子組み換えでない麻由来で、EUのオーガニック認証もあり、第三者機関でしっかりと日本国内向けにTHCがフリーであることを確認した、ブロードスペクトラムの製品を使用しています。
医療機関でも使用されている高品質なプロダクトで、しっかりと体感が得られています。

8.まとめ

日本ではまだまだ誤解もあるCBDプロダクトですが、しっかりと製品を選び、上手に使えば、ストレスフルな現代人の助けになってくれます。

様々なCBDプロダクトがありますので、自分に合うものを見つけてくださいね。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

続きを見る

著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか