こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

「春眠暁を覚えず」という言葉。

春の夜はとても眠り心地が良いため、朝が来たことも忘れてぐっすり眠ってしまうという意味です。

それだけ春は眠りに最適な季節なのかもしれませんが、気候が良くてもぐっすり眠れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は筆者も数年前までは、夜中に目が覚めたり朝起きると腰が痛いという悩みを抱えていました。

そんな夜を過ごした次の日は決まって体の調子が悪く、その日一日調子が悪く、仕事に影響が出てしまう…なんてことも。

あまりの不調を感じ、寝具を見直したところ、夜中に目が覚めることや腰痛が軽減し、朝すっきりと目が覚めるようになりました。

寝具の質や選び方で睡眠の質が変わり、ホルモンバランスの乱れにつながることもあるので、寝具選びはとても大切です。

今回は、健康的な毎日を送るのに欠かせない睡眠の質を上げるための寝具の選び方についてご紹介します。

1.睡眠ホルモン・メラトニンの役割

睡眠ホルモンメラトニン

睡眠は、健康を維持するための大切な役割があります。

睡眠不足になると翌日のパフォーマンスが極端に低下し、怠さや重さ、頭も働かないなど、日常生活においてさまざまな悪影響を引き起こします。

人は、太陽が生み出す朝・昼・夜の変化に呼応し、朝は自然に起き、昼間に活発に活動をし、夜は眠くなり体を休めるという、体のリズムを生み出します。

この体のリズムのことを「生体リズム=バイオリズム」といい、これを調整する中枢が脳にある体内時計です。

この「体内時計」は、全身の各臓器や細胞の一つ一つにも備わっており、それぞれがバラバラに動いてしまうと、少しずつ誤差が生まれてしまいます。そのため、その全てを調整し、1日1回リセットするのが「中枢時計」です。

脳の松果体から分泌される睡眠ホルモン・メラトニンは、中枢時計の情報を他の組織に伝え、1日24時間のバイオリズム(概日リズム・サーカディアンリズム)を作り、全身の働きを外的な環境に適合させます。

メラトニンは、睡眠を調整し、睡眠中に体を修復する大切なホルモンで、あらゆるホルモンの支配者とされています。

メラトニンの役割

1-1.自律神経の調整

自律神経は、日中に活発になる「交感神経」と、夜間に活発になる「副交感神経」の2つに分けることができます。

自律神経が乱れると交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、日中に副交感神経が優位になったり、夜間に交感神経が優位になったりすることで、睡眠をうまくとることができなくなります。

こうしたことが起こらないように、松果体から自律神経の中枢である視床下部に情報が伝えられ、メラトニン分泌が低下すると、交感神経が優位になり、覚醒することになります。

1-2.ホルモン分泌の調整

ホルモン分泌の中枢は、視床下部で、その後、視床下部から下垂体に情報が伝えられ、体中のホルモンの分泌が調整されます。
視床下部のさらに上位に、睡眠ホルモン・メラトニンがあります。

メラトニンがリズム良く分泌されることで、女性ホルモン・甲状腺ホルモン・副腎ホルモンなどの臓器から分泌されるホルモンの分泌リズムも調整されているのです。

女性ホルモン分泌は月経のリズムにも関係しますので、睡眠が乱れると月経に影響があります。

1-3.末梢の臓器の体内時計・細胞の体内時計の調整

体内時計を整える

あらゆる臓器や各細胞も、環境にあわせて活動していて、それぞれの時計があります。
ただし、放っておくとバラバラに動いてしまう為、中枢時計が支配して1日のリズムを合わせます。

1-4.その他の作用

メラトニンは、それ以外にも、睡眠中に体のあちこちを調整し、修復する作用があります。

・抗がん作用
発症予防、血管新生の抑制、腫瘍増殖抑制作用

・抗酸化作用
最も悪性度の高い活性酸素・ヒドロキシラジカルを消去

・免疫機能調整作用
リンパ球・サイトカインの分泌調整、炎症の抑制

・細胞の修復作用
成長ホルモンの分泌を助け、睡眠中に細胞を修復

よって、メラトニンが正しく分泌されることは睡眠の質に関わり、良質な睡眠をとれないと寝ている間に体がうまく修復されません。

メラトニンの分泌を正常にするためには、朝起きてから寝るまでの間の習慣を整える必要があります。

良質な睡眠を取るための習慣について詳しくはこちらの記事で解説していますのでご参照ください。

▼【医師が解説】“良質な睡眠”をつくるために毎日やるべき習慣・やめるべき習慣

https://wellmethod.jp/sleep_hormones/

2.質の良い眠りにつくための寝具の役割とは?

良い寝具

質の良い睡眠をとるために睡眠環境を整えることが大切だということはWELLMETHOD読者のみなさまは、よくご存じかと思います。

寝具選びもまた、質の良い睡眠を得るためには欠かせないものです。

寝具には寒さから身を守るだけではなく、睡眠の質に影響を与えるような大切な役割があります。

2-1.汗の処理

人は季節を問わず睡眠中に約コップ1杯(200~300ml)の汗をかきます。

汗をかく理由は、深い眠りにつくためには体温を下げることが必要だからです。

睡眠中にかいた汗がずっと布団の中で吸収されずにいると、布団の中はまるでサウナのような状態になってしまいます。

サウナのような状態では、質の良い睡眠をとることはできません。

汗を素早く吸収・発散させ深い眠りにつきやすい環境にすることが、寝具のもっとも大切な役割の一つです。

2-2.睡眠中の姿勢の保持

質の良い眠りにつくためには睡眠中の姿勢も大切です。

私たちの体には2つの「S字」が存在しています。

一つは後頭部から首・肩甲骨の部分までの「小さなS字」、もう一つは背中の中心から腰・尾てい骨までの「大きなS字」です。

この2つのS字は2足歩行をして生活をする上で体にかかる衝撃を吸収するサスペンションのような役割を果たしています。

理想の睡眠姿勢とは、直立した状態をそのまま横に倒した姿勢です。

不自然な姿勢で長時間寝ていると体に違和感を感じ、肩こりや腰痛・不眠などさまざま不調を引き起こしてしまう可能性があります。

そのため、とくに体を支えるマットレスや敷布団・枕には理想の睡眠姿勢を保持できるような役割があります。

3.質の良い眠りにつくために必要な寝具

寝具といえば枕や敷布団・掛け布団をイメージする方が多いと思いますが、それ以外の寝具を準備することでより質の高い睡眠を得ることができます。

基本的にベッドであっても、フローリングに敷布団を敷く場合も、必要なものは同じです。

 

〇:必需品 ■:より快適に

寝具の役割

4.寝具の選び方

それぞれの寝具にはさまざまな素材によって特徴が異なります。寝具選びのポイントを押さえて、自分に合った寝具を見つけましょう。

4-1.マットレス

マットレス

マットレスは自分の睡眠姿勢に合ったものを選ぶことが大切です。選び方のポイントは「硬さ」「厚み」「品質」の3つです。

硬すぎるマットレスは体の一部分だけに負担がかかり、血行不良や腰痛などの原因になることがあります。

また柔らかすぎるマットレスは寝返りがうちにくいため、硬すぎるマットレスと同じように腰や背骨に負担がかかってしまいます。

理想のマットレスは、寝たときに頭からかかとまで一直線な状態になる硬さのものです。

マットレスの種類は、主にクッション材の違いで「スプリングタイプ(コイル)」か「ノンスプリングタイプ(ノンコイル)」の2種類にわかれます。

スプリングタイプとは、クッション材にバネ(硬鋼線等)を用いたマットレスで、荷重分散性(マットレスにかかる体の重さを分散させる)に優れており、耐久性が高いことが特徴です。

スプリングタイプは主に、この3種類にわかれます。

・ボンネルコイルマットレス
・ポケットコイルマットレス
・高密度連続スプリングマットレス

1.ボンネルコイルマットレス

らせん状のコイルを繋いで作られており、弾力性に優れています。

適度な硬さがあるため、体重が面で支えられて身体が沈み込みにくく通気性にもすぐれています。価格も比較的リーズナブルです。

しかしすべてのコイルが連結されているため、寝返りをうったときにマットレス全体が揺れやすいというデメリットがあります。
夫婦二人や子供と一緒に寝る場合には、あまり向きません。

2.ポケットコイルマットレス

それぞれのコイルが小さな袋に入っておりコイルが独立しているため、点で体を支えます。

体重が分散されて寝心地がよく、身体の特定箇所に負担がかかりにくいです。
複数人で寝る際にも振動が伝わりにくいのがメリットです。

しかし通気性や弾力性についてはボンネルコイルマットレスと比較すると劣る上に、価格もボンネルコイルマットレスより高くなります。

3.高密度連続スプリングマットレス

高密度連続スプリングは、1本の硬鋼線を列の端から端までひと繋ぎで作る構造が特徴で、すべてのマットレスの中で最も耐久性が高いタイプです。

寝心地は柔らかめの寝心地のものもありますが、硬いものが多いです。

・スプリングマットレスの耐久性の目安

スプリングマットレスの耐久性は、コイルスプリングの品質を知ることが目安になります。

コイルスプリングの品質は、以前は品質表示の「コイルスプリングの材料の種類」の項目で確認ができ、「SWRH 70 A 硬鋼線A種」などと記載されていました。

この「70」の数字が大きければ大きいほど耐久性が高いといえます。

現在は品質表示が簡素化され、この数字を自身で確認ができないのですが、優れた一品と出会うために店頭で確認をすると良いでしょう。

4.ノンスプリング(ノンコイル)マットレス

ノンスプリング(ノンコイル)マットレスは、クッション材にウレタンフォームやファイバー(樹脂)素材を使った、スプリングコイルを用いないタイプです。

主に、「高反発ウレタン」「低反発ウレタン」「高反発ファイバー」などに分類されます。

ノンスプリングマットレス

・ウレタンの特徴

ウレタンは石油を発砲させて作られた素材のため、安価で軽量な傾向があります。

メーカーやモデルによって品質が大きく異なり、安すぎる商品は耐久性が低いため注意が必要です。

また、通気性が良くなく、気温によって硬さが変化することがあります。

耐久性については、ウレタンの密度が高ければ高いほど高まります。

ウレタンマットレスの密度は「D」(Density=密度)という単位で表され、それぞれの耐久性の目安はこのようになっています。

ウレタンマットレスの密度と耐久性

一般的には、ウレタン・ファイバーともに、スプリングタイプよりも耐久性が低いのですが、高密度な高級ウレタンマットレスと数千円の激安スプリングマットレスでは、使用されている素材の品質が良い高級ウレタンマットレスの方が長持ちします。

・ファイバーの特徴

ファイバー(樹脂)は、ポリエチレンやポリエステルを網目状に固めた素材でできており、さまざまな方向に反発力が働くため、寝返りがしやすいのが特徴です。

空洞が多い素材のため、通気性が圧倒的に良く、蒸れにくいというメリットがあります。
また商品によっては洗えるタイプもあります。

しかし、ウレタンと同様に耐久性が低めで、ポリエチレンのタイプは熱に弱いため、電気毛布の使用や天日干しは控えましょう。

4-2.敷布団

敷布団もマットレスと同じように柔らかすぎると体が沈み込み寝返りが打ちにくくなります。

また硬すぎると体の一部に負担がかかるため必要以上に寝返りをうち、筋肉に十分な休息を与えることができずに、翌朝疲れが残ってしまうこともあります。

敷布団を選ぶ際は「保温性」「吸湿性」「吸湿性」をポイントとし、お手入れのしやすさや価格、耐久性を考慮して選ぶようにしましょう。

敷布団の中綿は「羊毛」「コットン」「真綿」「合成繊維(ポリエステル)」「低反発ウレタン」などさまざまですが、「サポート性(寝心地/体圧分散性)」や「吸湿性」という点でみると羊毛が優秀です。

マットレスの素材

4-3.敷きパッド

敷パット

敷きパッドは敷布団やマットレスなどの体を支える寝具の中で、もっとも上に敷くものです。

敷きパッドの厚さは薄いですが、一枚敷くだけでとても寝心地が良くなります。

自分好みの肌触りのものを選ぶことができ、温度や湿度の調整がしやすいので、使うことをおすすめします。

快適に眠れるように季節に応じた素材を使用している敷きパッドも多くあります。

夏は吸湿・速乾・消臭・接触冷感、冬は吸湿発熱や遠赤外線のものを選ぶとより質の良い眠りへと導いてくれます。

4-4.枕

枕

枕の役割は敷布団やマットレスと頭部・頸部の間にできるS字を埋めることです。

このS字のカーブは人によって異なるため、枕は自分に合ったものを使うことをおすすめします。
適切な枕の高さを測る場合、首のカーブの深さを測り、それに2cm程度をプラスしたものが理想の高さとされています。

枕が高すぎても低過ぎても、首の痛みや肩こり・いびき・首のしわ、また肩こりやめまい・頭痛・顔のむくみなどを引き起こします。

枕もさまざまな硬さや種類のものがあるため、実際に寝て自分に合った枕を選びましょう。

4-5.掛け布団

掛け布団は、体温を保ち寝返りをうっても体を包み込むのが役割です。

掛け布団を選ぶときに大切なことは、体を圧迫したり寝返りを妨げない「軽さ」と体に自然と馴染む「フィット性」「あたたかさ」です。

掛け布団の中の詰め物は綿や合成繊維・羽毛などさまざまな素材が使われています。

4-6.シーツ

シーツ

シーツは掛け布団や敷布団・マットレス・枕にかけます。

シーツは寝具を汚れから守る役割がありますが、その他にも好きな色や柄をえらぶことで自分の好みに合った寝室を演出できます。

シーツにはサイズがあります。

寝具にはシングル・セミダブル・ダブルなどのサイズがあるため、シーツもそのサイズに合ったものを選ぶことが大切です。

サイズが大きいものを選ぶとシーツがたるんでしまったり、また小さなものを選ぶとすぐにはずれたり、敷布団の端が丸まってしまったりするため、寝心地が悪くなってしまいます。

とくにマットレスの場合は、マットレスの大きさだけではなく、厚みにも注意が必要です。

マットレスのシーツを選ぶ際は、実際のマットレスの高さよりもプラス5cm高いものを選ぶようにしましょう。

またシーツにはさまざまな素材のものがあります。

毎日体に触れるものだからこそ、お手入れがしやすく肌触りのよいものを選びましょう。

綿・麻・シルクなどの天然素材100%のものは、吸湿性や発散性が備わっているためおすすめです。

5.寝具を見直して健康的な毎日を

良い寝具で目覚めの良い女性

健康的な毎日を送るために欠かせない睡眠。

睡眠は「時間」だけでなく「質」も大切です。

自分に合った寝具を選ぶことで睡眠の質を高めることができます。

睡眠時間をしっかり確保できても、夜中に何度も目が覚めたり朝起きて腰が痛かったりすると、その後の活動に影響が出てしまいますよね。

健康が気になる年代になったいまだからこそ寝具にこだわり、より豊かでハツラツとした毎日を楽しみましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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