皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

緊急事態宣言が解除されたとは言え、外出自粛ムードと在宅ワークが長引き、家飲みやオンライン飲み会が拡まっています。

ストレスをアルコールで発散しようとして、ついつい酒量が増えてしまうと不健康ですし、ヘルスケア的にはもちろん、過度な飲酒はNGです。

でも、全くお酒のない人生なんてつまらないと思う方もおられるでしょうし、実は、発酵食品でもあるお酒は、上手に飲めば、ヘルスケアに役立てることも可能です。

そこで注目なのが、昨今、ブームの兆しがあるりんごのお酒・シードルです。

腸活もでき、グルテンフリー、プリン体フリー、低アルコール。さらにドライタイプを選べば糖質制限も可能です。

今日は、シードルについてお話ししたいと思います。

1.シードル入門編

シードルは、ワインやビールに比べると日本ではマイナーですが、世界では男女共に愛されているお酒です。

甘いイメージがありますが、ドライなタイプや苦味の強いタイプもあり、奥深い飲み物です。

まずは、基本的なところを押さえましょう。

1-1.シードルはりんごの醸造酒

林檎

シードルは、りんごを発酵させて作られる醸造酒です。

ブドウを発酵させて作られるワインやスパークリングワインのりんご版とでも申しましょうか。

りんごを絞り、その果汁に発酵用の酵母を加えてアルコール発酵させます。一次発酵の状態では、炭酸ガスが抜けてしまい、無発泡の状態です。

二次発酵を行うことで、炭酸ガスが発生してスパークリングになりますが、タンクや樽で二次発酵を行うものと、二次発酵を行わずに炭酸ガスを注入するもの、さらには、シャンパンのように瓶内二次発酵を行い繊細な泡を発生させるものがあります。

750ml1本のシードル作りに使われるりんごの数は、1kg程度。日本のりんごだと、平均4〜5個です。
当然、りんごの栄養価もギュギュっと詰まっていますので、この辺りは後で説明します。

1-2.シードルの種類は4種類

シードル

1-2-1.発泡タイプ

酵母によって発酵するシードルは、自然な泡立ちがあり、微発泡タイプが主流です。炭酸ガスを後から添加し、シュワシュワ感を高めているタイプもあります。

1-2-2.スティルタイプ

スティルとは、無発泡という意味です。「りんごのワイン」と呼ばれることもあります。通常は発酵で炭酸が生まれますが、これを除いたものです。

1-2-3.アイスシードル

「アイスワイン」と同様に、りんごを凍らせて糖度を増してから作られるお酒です。
糖度もアルコール度数も高く、こっくり感が特徴です。

日本にはあまり輸入されておらず、レアです。

1-2-4.フレーバード・シードル

伝統的なシードルは、りんごの果汁100%を酵母を中心とした微生物で発酵させるだけのものですが、最近では、イギリスを中心に、ベリーやパッションフルーツなどの果実、ジンジャーやハーブ、スパイス類などで香り付けしたものも作られています。
砂糖が添加されたり、果汁100%では無いものもあるので、裏の原材料表示をよくみて選んでください。

1-3.世界での呼び名は「シードル」「サイダー」

日本では、「シードル」というフランス語読みが一般的ですが、イギリスでは「サイダー」と呼ばれます。

日本では「サイダー」というと、いわゆる炭酸ジュースというイメージがありますので、区別する意味で「シードル」と呼ばれます。

また、アメリカでは、アルコールの無いりんごの炭酸ジュースを「アップルサイダー」、そしてアルコール発酵したものを「ハード・サイダー」と呼び、区別しています。スペイン語では、「シドラ」です。

1-4.シードルは世界中で親しまれる

りんごの木

日本では、ワインの方がメジャーなイメージがありますが、歴史を辿るとシードルはワインと同じくらい歴史が古く、人気を二分してきた飲み物です。

世界最古の果物とされるりんごが、畑に落ちると土壌の酵母や乳酸菌が付着します。

それを放置して自然に発酵してお酒になったことが始まりです。

最古の記録として知られているのは、紀元前55年。かの有名なローマ皇帝のカエサルがブリテン島(イギリス)に侵攻した際に、土着のケルト人が野生のリンゴを醸造していた話が残されています。

1-4-1.シードルの伝統的三大産地

ヨーロッパや北米などで、広く生産されるシードルですが、主な産地は、フランス、スペイン、イギリスです。

フランスでは、ノルマンディー地方、ブルターニュ地方。
スペインでは、バスク地方、アストゥリアス州。
イギリスでは、ヘレフォードシャー州、サマセット州、ウェールズなどが主な産地です。

フランスでは、ワインのような雰囲気のシードルが一般的ですが、イギリスでは、パブでビールのようにガブガブ飲むのが一般的です。
スペインには、シドラ専門バル「シドレリア」があり、香りを出すために高いところから注ぐ「エスカンシアール」という独特な注ぎ方をします。

各地にそれぞれの楽しみ方があるのですね。

1-5.ドライ派にもスイート派にも

りんごのお酒と聞くと甘いイメージがありますが、ぶどうのお酒であるワインにもスウィートなものからドライなものまであるように、シードルのテイストも様々です。

残留する糖度によって、

・甘口
・中甘口
・中辛口
・辛口

のタイプがあります。
砂糖を添加したタイプでは、これに砂糖の甘味が加わります。

1-6.りんごの種類がポイント

市場の林檎

シードルのテイストを決めるのは、りんごの種類です。

世界には、数百種類のりんごがあります。単一品種で作られることもありますが、伝統的に作られる世界のシードルは数種類から数十種類のりんごを組み合わせて、独特な味わいのシードルが出来あがります。

日本では、「デザートアップル」と呼ばれる食用の甘いりんごを使用するのが一般的で、フルーティーなシードルが多くなります。

一方で、ヨーロッパでは、醸造用のりんご「シードルアップル」を使うのが一般的です。

「シードルアップル」は、

・スイート・・・甘い
・シャープ・・・酸っぱい
・ビタースイート・・・渋くて甘い
・ビターシャープ・・・渋くて酸っぱい

の4種類の味わいに分類され、このブレンドによって複雑な味わいが生まれます。ここでいう「ビター」というのはタンニン分のことです。個性的なシードルが好きなら、輸入のシードルを試してみると、これまでのイメージとは違った世界が広がると思います。

1-7.個性は土地で決まる

1-7-1.シードルのテロワール

ワインの個性は、「テロワール」と呼ばれる、ぶどうの畑の土壌のミネラルや微生物の状態、気候風土など、畑を取り巻く環境が大いに関連しています。

りんごも同様で、りんごの種類だけでなく、テロワールの違いによって味の個性があります。

1-7-2.土着のりんごと微生物

元々は、その土地の土着のりんごが、土着の微生物によって発酵されるものですから、その土地伝統の発酵食品の一種とも言えます。

伝統的には、土壌の天然酵母で発酵されるものですが、生産者によっては、畑の乳酸菌などの微生物を付着させて個性を出すものもあります。

スペインの伝統製法では、酵母発酵に加えて、乳酸菌を加え、りんご酸から乳酸を発生させる発酵「マロラクティック発酵」を行います。

酸味が丸くなり、個性が加わります。

2.シードルの健康効果

シードル

シードルの健康効果は、りんごそのものの栄養成分に加え、発酵の恵みが加わります。
有用微生物の発酵は、その食品の健康効果をさらにアップグレードさせるのですね。

まず、りんごそのものの栄養成分を含んでいます。

2-1.ポリフェノール類

りんごの皮には、ポリフェノール類がたくさん含まれています。

エピカテキン・カテキン・クロロゲン酸・プロアントシアニジン・アントシアニンなど、多数のポリフェノール類が含まれています。

これらのポリフェノール類は、

・抗酸化作用
・メラニン抑制作用
・脂肪吸収抑制作用
・脂肪燃焼作用
・アレルギー抑制作用

などの働きがあります。

特に、りんごに含まれる高分子プロアントシアニジンには、肥満マウスでの体重増加抑制作用、痩せ菌と呼ばれるアッカーマンシア菌の増加作用が確認されています(※)。

※Masumoto S. et al. (2016) Sci. Rep. 6:31208

2-2.ミネラル類

りんごに含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排泄する働きがあります。
その他、亜鉛やマグネシウムなどの微量ミネラルも含まれます。

2-3.腸活に嬉しいシンバイオティクス食品

腸内環境を整える

上手に選択すれば、シードルは腸内環境を改善するシンバイオティクス食品になります。

「シンバイオティクス」とは、有用微生物自体を含む発酵食品「プロバイオティクス」と腸内の常在細菌を増やすエサである食品「プレバイオティクス」を合わせたものです。

2-3-1.プロバイオティクス|酵母・乳酸菌

酵母や乳酸菌で発酵させるシードルは、プロバイオティクス食品です。
特に、加熱処理をして殺菌したり、濾過をしていないものは、有用菌が生きています。
発酵が進んでいくため、保管によって味は変わってきますが、味の変化も楽しむと良いですね。

2-3-2.プレバイオティクス|水溶性食物繊維

りんごに含まれる水溶性食物繊維・ペクチンは、腸内細菌が大喜びするエサになります。

これを摂ることによって、腸内細菌が酪酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸を生み出し、人の体の免疫機能やエネルギー代謝、認知機能などをサポートします。

特に、水溶性食物繊維が多く残るのは、無濾過のタイプ。少し白濁しているのが特徴です。

無濾過のシードル、750ml1本には、りんご約1kg分の水溶性食物繊維が溶けています。

生のりんごでは、特に皮や芯の部分に多い為、こんなにたくさん摂ることは出来ませんから、嬉しいですね。

2-3-3.発酵の恵み|有機酸

シードルには、りんご自体のもつ有機酸であるリンゴ酸やクエン酸が含まれるだけでなく、発酵の力でより有機酸が増えています。

有機酸は、腸内環境を改善したり、人のエネルギー代謝をサポートしてくれます。

「酸っぱい」と感じるのであれば、それは有機酸の酸味であり、発酵の恵みです。

2-4.不要なものが色々フリー(FREE)でロー(LOW)

グラスで乾杯

シードルは、あまり摂りたく無い成分が色々フリーでローなのも嬉しいところです。

2-4-1.グルテンフリー

ビールは、麦が原材料のためグルテンありですが、ビールの代わりにシードルはいかがでしょう。
ホップで香りをつけたシードルは、よりビール感があります。

2-4-2.プリン体フリー

こちらもビール好きには悩ましいプリン体。シードルはプリン体が含まれません。

2-4-3.ローカーボ・シュガーフリー

甘いシードルや砂糖を添加したものは、糖質を含みますので、原材料表示をまず確認してください。
ドライなタイプを選べば、糖質がほぼ含まれないものもあります。

2-4-4.ローアルコール

シードルのアルコールは、糖分を酵母が分解することで、炭酸ガスと共に生まれるものです。
糖度が高いほど、アルコールが発生しやすくなります。

ぶどうの方がりんごよりも糖度が高い為、ワインの方がアルコール度数が高くなります。
種類によりますが、シードルは、3〜9%程度、ワインは、6〜14%程度のアルコール度数です。

同じ量を飲むのであれば、低アルコールの方が肝臓に負担がありませんね。もちろん、アルコールであることには変わりありませんから、飲み過ぎに注意は必要ですし、休肝日も必要です。

2-5.オーガニックは人にも環境にも嬉しい

さらに、体にも環境にも嬉しい物を選ぶのであれば、オーガニック栽培のものを選びましょう。

一般的に醸造用のりんごは、食用りんごと比べてりんごの見た目にこだわる必要がないため、農薬は控えめであるとされます。

食用りんごでは、完全無農薬栽培は難しいとされますが、醸造用りんごでは、完全無農薬無化学肥料栽培も可能です。

実は、オーガニックで育つりんごの方が圧倒的に付着する有用微生物の種類が多いことが分かっています。また、農薬を使うものに比べて、ポリフェノール類を多く含むりんごが育ちます。

農薬や殺虫剤の使用で河川の汚染や生物多様性が減少することが指摘されていますので、オーガニックなプロダクトの選択は、地球環境にも貢献するエシカル消費に繋がりますね。

さて、ここまで読むと、シードルを飲んでみたくなったのではないでしょうか?

3.ヘルシー目線な厳選シードル

ここで、ヘルシー目線で選ぶ、私のお勧めをご紹介します。もちろん、国内で手に入るものです。

3-1.酸っぱいバスクシードル【イサステギ】(スペイン)

バスクシードル
(写真提供:株式会社TRAVESIA

スペイン・バスク地方は、伝統的なシードルの産地です。
他の地方のシードルと比べて、圧倒的に個性的で、その個性がヘルシーに繋がります。

3-1-1.酸っぱいの力で健康に

イサステギのシードルは、伝統的なバスクシードルの中でも随一のこだわりを持つ自然派のナチュール・シードルです。

天然酵母と環境由来の数種類の乳酸菌による発酵で、りんご酸、クエン酸、乳酸などの有機酸が加わり「酸っぱい」。でも、この酸っぱさが、有用微生物の生み出す健康の素なのです。

さらに

・完全無農薬無化学肥料栽培
・酸化防止剤などあらゆる添加物無添加
・無濾過・非加熱
・ローカーボ (糖質<0.4g/100ml)
・ローアルコール(6%)
・受賞歴
フジ・シードル・チャレンジ2019(日本):銀賞
The San Sebastian International Cider Contest 2019(スペイン):銀賞

有用微生物が生きていますので、どんどん味わいが変化しますが、その変化も楽しんでください。

3-1-2.食事と共に楽しむ

バスクシードル「イサステギ」
(写真提供:株式会社TRAVESIA

イサステギは、完全にドライで酸味が強い為、それだけを飲むよりも食事と合わせ、食中、食後酒として飲むのがお勧めです。

幅広くどんな料理にも合いますが、油料理や脂身のある肉、焼肉や焼き鳥などのタレを使った料理をさっぱり流します。魚では、あっさりした白身よりも、脂の乗った青魚などが合うでしょうか。烏賊の塩辛やスルメなどの酒のつまみとの相性もバッチリです。

シードルと言えば、ドライな白ワインに合う料理をイメージしがちですが、全く違いますので、果敢に試してみてください。

3-1-3.パフォーマンスを楽しむ

エスカンシアール
(写真提供:株式会社TRAVESIA

スペインには、伝統的なシードルの注ぎ方の作法があります。

リンゴのみずみずしい香りを引き立たせるために、高いところから勢いよく注いで、空気を含んで泡立てることで、シードルの香りを開く方法です。スペイン語で「エスカンシアール」と言います。

バスク地方のバルを巡ると、シドラ(シードル)だけでなく、微発泡の伝統白ワイン「チャコリ」を注ぎ落とすパフォーマンスが、日常の風景としてみられます。

イサステギのコルクは、抜いてからはめると、この「エスカンシアール」に挑戦できるようになっています。瓶の注ぎ口とグラスをできるだけ遠くに離して注ぎますので、最初は、失敗が必須ですが、それもイベントの一つ。

バスクシードルを文化ごと楽しむために、ぜひ、「エスカンシアール」に挑戦してみては、いかがでしょうか?

【取扱い】ガーデン自由が丘、いまでや、いかりスーパー、ビック酒販、うきうきワインの玉手箱(楽天市場)

3-1-4.土にこだわるシードル 【ダンカートン】(イギリス)

ダンカートンシードル
(写真提供:株式会社TRAVESIA

ダンカートン・シードルは、圧倒的に味わい深く、複雑で重厚なクラフト・シードルです。
これを飲むと、既存のシードルのイメージが一気に変わることは間違いありません。
タンニンの渋みと果実味のバランスが秀逸です。

野生動物まで遊びに来るりんご畑は、1980年の創業以来一貫して、完全無農薬無化学肥料栽培の畑にこだわっています。りんごを収穫する際に手積みではなく、ふるいにかけて土に落とす作業をする為、土壌の有用微生物を活かした発酵になります。添加されるシャンパーニュ酵母と畑由来の土壌菌の恵みです。

・完全無農薬無化学肥料栽培
・ローアルコール(6.8%)
・酸化防止剤は最低限の添加

3-1-5.ドライDRY:辛口

ドライシードル
(写真提供:株式会社TRAVESIA

渋みや酸味がはっきりした5種類のリンゴをブレンド。度数7.0%の、しっかりとした飲み応えの辛口スパークリング。

相性が良いのは、スモークサーモンやカルパッチョ、オイルサーディンなど魚介料理、フレッシュなシェーブルチーズ(山羊乳のチーズ)など。

【受賞歴】
GLINTCAP 2017 (アメリカ):最高金賞
US Open Cider Championship 2017 (アメリカ):金賞
ジャパン・シードル・アワード2019(日本):入賞

3-1-6.ブラックフォックスBlack Fox:中辛口

ブラックフォックス
(写真提供:株式会社TRAVESIA

リンゴ10種類を使った中辛口のブレンド。果肉の甘みと皮の渋みが重層的に広がり、優雅な余韻を残します。
相性が良いのは、カツオのたたきなど脂の乗った魚料理や鶏肉料理、チェダーやコンテなどのハード系のチーズです。

【受賞歴】
フジ・シードル・チャレンジ2019(日本):トロフィー賞(最高賞)
GLINTCAP 2019  (アメリカ):最高金賞 他

【取扱い】紀ノ國屋スーパー、成城石井、いかりスーパー、ビック酒販、うきうきワインの玉手箱(楽天市場)

上手に飲めば、シードルは大地と微生物の恵みのドリンクとも言えます。
ぜひ、色々なものを飲み比べて、自分に合ったシードルを見つけてみてくださいね。

 

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