手足が冷たくて眠れない! 末端冷え性の原因と冷えないための毎日の対策
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
すっかり春の陽射しが心地良い季節となりました。
厳しい寒さを乗り越えて訪れる春は、とても過ごしやすく感じますよね。
しかし気温が高くなっても季節を問わず、手や足先の冷えに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は筆者も一年を通して手や足先が冷たく、小さい頃から冬になると重度のしもやけに悩まされてきました。
また「なんでそんなに手が冷たいの?」と驚かれることや、ベッドに入っても足だけが冷たくて眠れないということもありました。
当時はなぜこんなに手足が冷たいのだろうと悩んでいました。
手や足などの体の末端が冷えているのは「末端冷え性」が原因です。
冷えと聞くと気温が低いことが原因だと思われがちですが、実はさまざまなことが原因となっています。
今回は多くの女性を悩ませる末端冷え性の原因や自宅でできる改善法をご紹介します。
目次
1.冷えとは
冷えとは、体の血液循環が悪く新陳代謝が低下している状態のことをいいます。
冷えには、その症状が現れる場所によって大きく4つのタイプにわけることができます。
・末端が冷える「末端型」
・下半身が冷える「下半身型」
・内臓が冷える「内蔵型」
・全身が冷える「全身型」
末端冷え性とは末端型のことをいいます。
2.末端冷え性とは?
末端型冷え性とは、全身の血流が悪く体の末端部分である手足まで血液が循環しないことより、お腹周りよりも手足の先が冷えている状態のことです。
とくに筋肉量や運動量が少ない女性が末端冷え性になりやすいと考えられています。
2-1.どんな症状?
冷えはそれぞれのタイプによって、特徴的な症状があります。
では末端冷え性の特徴的な症状をご紹介します。
・手先や足先だけが冷える
・寒い場所に行くと手足の先から冷える
・冷えと同時に肩こりや頭痛に悩まされる
・足先が冷える一方で、顔がほてることがある
3.末端冷え性の原因とは?
末端冷え性の原因は、生活習慣が大きくかかわっています。これまで行なってきた習慣が実は冷えを引き起こす原因となっている場合もあります。
3-1.筋肉量が少ない
私たちの体が持つ熱は、主に筋肉で産出されており、これを熱産生といいます。
筋肉の役割というと物を持ち上げり動かしたりすることと思われがちですが、それ以外にも熱を産出するという体にとって大切な役割があります。
筋肉が伸縮することによって血液を全身に送り出すポンプのような働きし、体のすみずみまで血液を循環させます。
血液の循環がスムーズに行われることで体を温めることができます。
とくに女性に末端冷え性が多いのは、男性に比べて筋肉量が少ないため熱産出が少ない上にポンプの力が弱いため、体の末端まで血液が十分に行き届かず手足が冷えやすくなるからです。
3-2.ホルモンバランスが乱れやすい
40代以降の女性は更年期の影響もあり、ホルモンのバランスが乱れやすい傾向にあります。
ホルモンバランスが乱れると、体温調整をしている自律神経が影響を受けて、血液の循環がアンバランスになり、末端に冷えを感じやすくなります。
その一方で、顔がのぼせるというホットフラッシュの状態になります。
3-3.ストレスの影響
子育て、家事、仕事に追われる毎日の中、ストレスを感じる方も多いのではないでしょうか?
また寒暖差が大きくなると体がその変化に対してうまく対応できず、ストレスを感じてしまうことも少なくありません。
人はストレスを感じると自律神経のバランスを崩しやすくなります。
自律神経はリラックスしたときに優位になる「副交感神経」と、緊張したときに優位になる「交感神経」がバランスを保つことで体の機能を調節しています。
しかしストレスを感じると交感神経が優位となるため末端の血管が収縮し血行不良となり、冷えを引き起こしてしまいます。
3-4.生活習慣の乱れ
食事の時間が不規則だったり昼夜逆転したような生活を送っていると、自律神経のバランスが乱れ、血行不良や体温調節機能が低下し冷えを招くことがあります。
またファッション性が優先され、寒い日でも薄着でいることも冷えの原因となります。
3-5.鉄分の不足
鉄分の不足は体が冷える原因になります。
閉経前の女性は月経がありますし、ダイエットなどで食事量を極端に減らした生活を送っている人は鉄分の摂取量が少なくなっています。
月経による定期的な出血と同時に、鉄分が不足した状態が長く続くと、いずれ鉄欠乏性貧血を起こします。
貧血とは血液中の赤血球量が少ない状態のことです。
そもそも赤血球の役割は酸素を体全体に運搬することで、この機能は赤血球内に含まれるヘモグロビンが担っています。
ヘモグロビンは鉄とタンパク質が結合したものなので、体内の鉄が不足しているとヘモグロビンが十分に作られなくなります。
結果的に体中に酸素を届けることが難しくなり、体力不足や手足が冷える原因となります。
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4.自分で簡単にできる末梢冷え性の改善方法
末端冷え性を改善するためには、冷えている手足だけを温めても根本的な解決にはなりません。
血流を良くし、生活習慣を見直すことが末端の冷えを改善する近道となります。
長く続けるためには、短時間で無理なく簡単にできることがポイントです。
忙しい毎日でもできる改善方法をご紹介します。
4-1.ストレッチ
大きな関節を動かすと体の末端がポカポカしてきます。
肩や股関節といった体の中でも大きな関節には大小さまざまな筋肉があり、細い血管も密に張り巡らされているため、血流が滞りやすい場所です。
こまめに動かすことで効率良く血流が促されます。
自宅や仕事の休憩中など、気づいたときに行うようにしましょう。
1.肩甲骨回し
1. 両肘を曲げて、両肩で円を描くように大きく回す。
このとき肩甲骨が動いているのを意識する。
2. 前回し・うしろ回しともに数回ずつ行う。
2.上半身ストレッチ
1. 体の前で両手を組み、伸ばす。
背中や左右の脇が伸びているのを意識する。
2. そのまま頭の上まで両手を挙げる。
3. 頭の上で組んでいた手を離し肩を肩甲骨が動くのを意識しながら、3秒数えながら口からゆっくり息を吐き出し、同じように3秒数えながら鼻から息を吸いながら、ゆっくりおろす。
4-2.ツボを刺激する
足先のツボである「八風(はちふう)」を、ストレッチにより伸ばしてツボを刺激することで、足先の血流改善をはかります。
1. 椅子に座り、左足の足首を右足の太ももの上に置きます。
2. 左足の足先を右手でぎゅっと握るようにつかみます。
3. 3~5秒伸ばします。
4. 手を離し、3~5秒そのまま休みます。
5. 5回繰り返します。
6. 反対の足も同じように行います。
1日1~2セット行います。足首を伸ばす際は、力を入れすぎないようにしましょう。
4-3.適度な運動
血液の流れを良くするためには新陳代謝を促進することが大切です。
運動することで新陳代謝が促進されるため、血流を改善する効果が期待できます。
運動といっていもすぐに息が上がってしまうようなハードなものではなく、自分のペースで続けることができるウォーキングがおすすめです。
ウォーキングをする時間のない方は、いつもよりも少し歩く機会を増やしたり、階段を使うなどでも効果はあります。
普段の生活で少し体を動かすことを意識しながら生活をしてみましょう。
4-4.湯船に浸かる
忙しいとついシャワーで済ませたくなりますが、湯船に浸かって体を温めるようにしましょう。
湯船に浸かることは末端冷え性の改善にもっとも有効な方法といえます。
40℃くらいのぬるめのお湯に入浴しましょう。じんわりと汗をかくくらいまで、少し長めにお湯につかることをおすすめします。
炭酸ガスを発生させる入浴剤や岩塩、エピソムソルト(硫酸マグネシウム)などを入れることで、温浴効果を高めリラックスすることができます。
リラックスした状態で体の芯から温めましょう。
4-5.食事を見直す
食べ物は身体を温める「陽性食品」と身体を冷やす「陰性食品」があります。
末端冷え性を改善するには「陽性食品」を毎日の食事に取り入れて、冷えを改善していきましょう。
1.体を温める「陽性食品」
陽性食品は寒い土地で採れる野菜に多く、また寒さが厳しい地域で好まれるものも多いです。
体を温める陽性食品は、以下のようなものがあります。
・根菜類:ごぼう、レンコン、人参、山芋など
・玉ねぎ、カボチャ
・肉や卵、魚介類
・味噌、醤油
・塩
・発酵食品:漬物や梅干しなど
末端冷え性に悩んでいる方は、これらの食材を食べるようにしましょう。
東洋医学的には、塩は体を引き締めて温め、砂糖は体を緩めて冷やすとされています。
塩分過剰には注意が必要ですが、冷え性体質の人には、適度な塩味を摂ることも大切ですので、発酵食品を積極的に取り入れることがおすすめです。
2.体を冷やす「陰性食品」
陽性食品とは反対に陰性食品は暑い地域で採れる野菜などが多く含まれています。
・夏野菜:きゅうり、茄子、トマト、葉物野菜など
・南国のフルーツ:バナナ、パパイヤ、マンゴー、パイナップルなど
・フルーツ全般:りんご以外のフルーツは陰性食品に分類(りんごは中庸にあたる)
・砂糖、黒糖
・コーヒー、緑茶などカフェイン入り飲料
・アルコール飲料
・唐辛子など香辛料
・大豆製品(発酵していないもの)
・牛乳
体を冷やすからといって陰性食品を全く食べないということは避けましょう。
これらの生の野菜や果物は、腸内環境を整える酵素を多く含むため、日常的に食べたい食品です。
陰性食品と陽性食品を組み合わせることで「中庸(ちゅうよう)」というバランスのとれた状態にすることも可能です。
また、発酵させることで陽性に転換することもできます。例えば、豆腐や牛乳は陰性食品ですが、味噌や納豆、チーズなどの発酵食品にすると陽性に転換します。
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4-6.冷えない工夫をする
冷え対策は冬だけではありません。
春や秋は寒暖差が激しく、夏になるとエアコンが効いている部屋に長くいると体は冷えてしまいます。
体を冷やさないために4つのことを意識しておきましょう。
・補正下着で体を締めつけない
・下半身を温める
・お腹を温める
・ハイヒールやブーツは控える
とくにハイヒールやブーツは末端冷え性の原因となります。ハイヒールやブーツを履いていると、足首があまり動きません。
歩くときにしっかり足首が動かすことで、ふくらはぎの筋肉である「ヒラメ筋」が心臓に血液を押し上げることができます。
「ヒラメ筋」は第二の心臓と呼ばれ、血液循環において大きな役割を担っています。
しかし女性にとってヒールを履かなければいけない場面もあります。
そうしたときは、ヒールの高さが3cmほどまでのものを選ぶようにしましょう。
理想はスニーカーのようなしっかりと地面を踏みしめて歩ける靴です。
4-7.呼吸を意識する
日頃、自分がどのように呼吸をしているのか意識することは少ないと思いますが、ストレスなどの影響で呼吸が浅くなることがあります。
ゆったりとした気持ちで腹式呼吸を1日15~20分行うと、自律神経のバランスが整いやすくなります。
入浴中や一人の時間に行うと良いでしょう。
5.冷えは女性の大敵! 一年を通して冷え対策を
今回は多くの女性が悩む末端冷え性についてご紹介しました。
「手先、足先が冷たいのはいつものこと」とあきらめがちですが、冷えを改善することは決して難しいことではありません。
「冷えは万病のもと」
「冷えは女性の大敵」
そういわれるほど、見過ごしてはいけないものです。
冷えは、毎日の生活習慣を見直すことや自分のためだけの時間をほんの少し持つことで改善することができます。
できることからはじめて、冷え知らずな毎日を送りましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか