手足は冷えているのに顔・頭は熱い! 現在女性に多い「冷えのぼせ」5つの改善法
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
「手足は冷たいのに顔がほてる」
「温かい部屋に入ると、体がカーッと熱くなり汗をかく」
「冷え性のはずなのに、顔や頭はボーッと熱をもっている」
みなさまは、このような症状を感じたことはありませんか。
もしかしたら「冷えのぼせ」という症状かもしれません。
似たような症状として、更年期症状にみられるホットフラッシュがあります。
「更年期で汗がなかなか止まらない」
「職場で一人だけ暑そうにしていて、恥ずかしい」
筆者の同年代の友人達の間でも、こんな話題も日常茶飯事です。
私たち40~50歳代の女性であれば、止まらない汗や体のほてりなどはホットフラッシュである可能性も十分ありえます。
一方で、「冷えのぼせ」とは、手足は冷えているのに上半身がほてるという症状で、ホットフラッシュと大変似ているので注意が必要です。
とくに、エアコンを使い慣れた環境・食生活の変化・運動不足に伴う筋力の低下など、冷えのぼせは現代の女性に多い症状といわれています。
一体、冷えのぼせは更年期症状と何が違うのでしょうか。
また、予防方法や注意点などはあるのでしょうか。
今回は、この冷えのぼせと更年期症状について、違いや対策について解説したいと思います。
目次
1.冷えのぼせとは
冷えのぼせとは、名前の通り「末端の冷え性の症状があるのに、上半身がのぼせる」状態で、冷え性の悪化した症状の一つです。
具体的な症状としては、
(1)手足は冷たいのに、上半身はほてるように感じる
(2)運動や室内外の移動など環境の変化により暑さを感じると、胸から頭にかけてカーっと熱くなり、大量に発汗することがある
(3)手のひらや足の裏に汗をかく
などがあります。
では、冷えのぼせは日常生活で具体的にどのような影響があるのでしょうか。次の章で解説します。
2.冷えのぼせが日常生活にもたらす影響
冷えのぼせは、単に手足が冷えて上半身がほてるだけではなく、体調面にも影響が出ることが知られています。
とくに代表的なものが精神面への影響や睡眠の質などであり、自律神経の乱れによるものが影響しています。
具体的には以下のような症状があります。
2-1.精神的に不安定になりやすい
冷えのぼせがある場合、精神面に影響を及ぼすことがあります。
イライラしたり急に不安になったり、落ち込むことが多くなるなど、精神的に不安定になりやすくなります。
2-2.睡眠トラブル
睡眠トラブルも、冷えのぼせに合併しやすい症状の一つです。
とくに寝つきが悪くなる・夜ぐっすり寝た気にならない・夜間、途中で目を覚ますなどの症状は、自律神経の乱れにより影響します。
2-3.その他
冷えのぼせの生活への影響は、精神面や睡眠トラブルだけではありません。
頭痛・肩こり・腰痛・口が乾くなどの症状が出ることもあります。
さらに肌トラブルとしてニキビ・吹き出物・皮脂が出やすくなる・赤味が増す・べたつくなども冷えのぼせから引き起こされる可能性がある症状です。
3.あなたも冷えのぼせ? 簡単セルフチェック
自分も冷えのぼせかもしれないと思ったらぜひ以下をチェックしてみましょう。
チェック項目に当てはまるものが多いほど、更年期症状ではなく、冷えのぼせかもしれません。
・下半身は冷えを感じるが、上半身には冷えを感じない
・手足は冷えているのに、頭は熱くボーっとする
・運動の直後や暖房がきいた部屋に入るなど温度変化を感じる場合、体が熱くなり、場合によっては大量の汗をかく
・手のひらや足の裏にじっとり汗をかく
・冷たいものを食べるとトイレが近くなる
4.原因は「冷え」による自律神経のバランスの乱れ
冷えのぼせの原因は、「冷え」による自律神経のバランスの乱れです。
自律神経が乱れると、体温を調節するための血管の拡張や収縮の働きが乱れてしまいます。
末端の血流が低下して冷えを感じる一方で、上半身に熱が集中します。
しかし、脳が高温になることを避けるため、頭部や胸まわりから汗と共に熱を放出することでのぼせた感じになります。
血行不良が起こると、血流の循環の流れが滞りやすくなり、体の手や足先がむくみやすくなります。
上半身が熱くなる一方で、手足は冷えたままといった温度差が大きくなり、その結果、「冷えのぼせ」といった状態になります。
この「冷えのぼせ」状態は、体温を一定に維持するために体温調節の働きを行う自律神経のバランスが崩れます。
この自律神経のバランスの乱れは、精神的不安定にさせ、さらに交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなるため、不眠や寝つきが悪くなるといった症状がみられるようになります。
4-1.更年期症状との違い
更年期症状によるホットフラッシュも自律神経のバランスの乱れが関係しています。
しかし、ホットフラッシュは女性ホルモンのバランスの乱れによるものが原因ですが、冷えのぼせの症状による場合は、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で自律神経の乱れが起こります。
つまり、どちらも自律神経の乱れによるほてりではあるものの、更年期症状の場合は、原因は加齢に伴う卵巣機能低下による女性ホルモンの分泌の乱れによって起こりますから、根本的な原因には違いがあります。
5.冷えのぼせを悪化させる要因
「冷え」は、寒い冬場はもちろんですが、暑い夏でも寒暖差の大きい環境で体が冷えることが原因になることがあります。
体を冷やす環境や行動習慣は自律神経のバランスを乱す原因にもなるため注意が必要です。
以下のような要因は、体を冷やし、冷えのぼせを悪化させることにつながるため、注意しましょう。
・クーラーが効いている環境に慣れている
・体を冷やす食事を取る傾向にある
・薄着や露出の多いファッションをする
・外出を避けるために起こる運動不足
・筋肉や食事量が少なく、十分な熱を産生することができない
・生活リズムの乱れ
・持続するストレス
6.のぼせの対策
冷えのぼせを予防するためには、末端の冷えを防ぎ、自律神経を整えることが大切です。
冷えのぼせの体では、部分的に冷えている部分とほてっている部分に分けられます。
その中でも、ほてりに対して熱を逃す一時的な症状に対するケア、冷えている部分には温めるケア、そして根本的な原因となっている「冷え」に対して日常的にケアを行うことが大切です。
6-1.一時的なケア
冷えのぼせの体は、極端に冷えている部分とほてっている部分に分けられます。
一時的なケアでは、冷たい部分は温め、ほてっている部分は冷やして熱を逃してあげるようにしましょう。
体がほてりやすい部分として、顔・上半身が代表的です。体がほてりやすい場合は、このような部分を意識して熱を逃がしてあげましょう。
一方で、体を温める場合は下腹部・お尻・足首など下半身を中心に温めるよう意識しましょう。
6-2.日常的なケア
冷えのぼせを予防する日頃からできる対策のポイントは「体を芯から冷やさない」「体温調節ができる服装を意識する」「リラックスした環境づくり」などがあります。
1.ぬるめの温度でゆっくり入浴
入浴は体を芯から温め、血流の流れを改善するために効果的です。
さらに心身ともにリラックスする効果があります。
入浴前には、下半身にかけ湯をしてから湯船に浸かりましょう。
お湯の温度は、気持ちがほっとする40℃前後がおすすめです。
注意点としては、胸までつかった状態での長風呂は避けるようにしましょう。
胸までつかった状態で長時間入浴すると、のぼせやすくなります。
さらに無理して浸かることで、浴槽から出る際にめまいや動悸を起こすことがあるので注意が必要です。
長湯をする場合は下腹部までお湯に浸かり、半身浴をする方がベターです。
2.リラックスする環境を作る
現代はストレス社会と呼ばれており、私たちは常にストレスにさらされています。
しかし、ストレス環境を放っておくことは自律神経のバランスの崩れにつながり、冷えのぼせの症状を悪化させる原因になりかねません。
そのため、日頃から体がリラックスできる環境を作るように意識しましょう。
お気に入りのアロマを焚く・好きな音楽を聴く・部屋の一部を間接照明に変えて明るく照らすなど、五感に優しい環境づくりを意識すると良いでしょう。
また、深夜までテレビやスマホの画面を見続けていると、脳の興奮状態が続くため良質な睡眠につながりません。
夜や寝る前はなるべくスマホやテレビ、PCの画面は見ないように心がけましょう。
3.服装に気を遣う
冷えのぼせの対策としては、体の温度調節がしやすいように服装にも気を遣いましょう。
とくに上半身がほてりやすいため、胸から上部は熱を逃しやすくするために首回りの開いたものを選びましょう。
寒さを感じるようであれば、マフラーやストールで温度を調節しましょう。
首のつまった洋服は、のぼせたときに汗を逃すことができず、逆に体を冷やす恐れがあります。
また、吸汗速乾タイプのインナーは、汗冷えを防ぎます。できるだけ汗冷えを防ぐためにも、インナー選びも大切です。
一方、冷えを感じやすい足元は温めるように意識しましょう。
靴下・スパッツ・レッグウォーマーなど足の冷えを防ぐグッズを取り入れましょう。
締め付けの強い矯正下着などは、血流を悪化させる恐れがあるため、避けたほうが無難です。
7.正しい対策・予防をすることが改善の一歩です
冷えのぼせは更年期症状に似ていることから、勘違いされやすい症状の一つです。
「手足が冷えているのに顔がほてるように熱い」
このように思っている人は、冷えのぼせの可能性はないのか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
さらに、冷えのぼせは正しい対策や予防法をすることで症状を防ぐことが可能です。
筆者も日々、体を冷やしすぎないように意識しています。
ゆったり湯船に浸かる・好きなアロマを焚くなど、自分にご褒美タイムを設けることは、冷えのぼせの予防だけではなく、自分を大切にする一歩であることを感じます。
冷えのぼせの心当たりがある場合は、まずは日常的にできることから実践してみましょう。
毎日を健やかに明るく生きていくために、自分自身を大切にしていきましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか