こんにちは、ライターの廣江です。

女性は特に、便秘に悩まされている方、少なくないのではないでしょうか?

便秘になると不快感を覚えるだけでなく、腸内に悪玉菌が発生しやすくなります。そのため、早急に対処して体調を整えたいところです。

筆者も、旅行中や環境が変わった時、仕事などでハードワークが続き、身体のバランスが崩れた時など、ダイレクトに腸に影響が出やすい体質です。

食事や飲み物を変えてみたり、ウォーキングしてみたり、時には便秘薬に頼る、なんてことも。

もちろん、肌にも影響しますよね。

健康だけでなく、美容面でも大きく影響する便秘問題。

この記事では、便秘時におすすめの飲み物や、なりにくい身体をつくる生活習慣についてお届けしていきます。

1.便秘になるメカニズム

1-1.大腸の働きは年齢とともに落ちてくる

ではなぜ、便秘が起こるのでしょうか?

そもそも、排便行為は、大腸で起こる「ぜん動運動」によって成り立っています。

たまった便は、大腸が伸びたり縮んだりすることを繰り返して押し出されていきます。

若年層はぜん動運動が正常に行われているので、排便時に不具合を感じることがあまりありません。しかし、年齢を重ねると大腸の働きも低下していくので、ぜん動運動も弱まっていきます。

そのため、若いころと比べて極端に食生活が変わっているわけではないのに、便秘が起こりやすくなっていくのです。

多くの人が50歳を超えたあたりから大腸に不調を感じ始めます。便秘になる頻度が高くなったなら、加齢の影響を疑ってみましょう。

1-2.更年期障害と便秘の関係

さらに、女性の場合は更年期障害も大腸に関係してきます。

更年期障害とは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が少なくなったことにより、心身のさまざまな部分で支障が生じる症状です。

具体的には、50歳を基準とした前後10年ほどが更年期にあたります。

更年期障害では腸の働きをコントロールする自律神経も乱れるので、ぜん動運動が上手く行われなくなっていくのです。

さらに、食欲がなくなったり、体力が低下したりして便を押し出すための筋力が低下するのも原因でしょう。

個人差はあるものの、急に便秘が訪れやすくなったら医療機関に診てもらうのもひとつの方法です。

2.この便秘はすぐ治る? 加齢の影響や更年期障害の兆候

一次的に便秘が起きている状況と、加齢や更年期の影響で腸の働きが低下しているときとでは対処法が異なります。

以下の条件にあてはまるときは、年齢による可能性が高まります。便秘が長引く可能性もあるでしょう。

便秘対策

2-1.排便時に爽快感がない

ぜん動運動がスムーズにできなくなっているとき、たとえ排便を行ったとしても大腸の中がきれいに出ていきません。

一部が残ったままなので、便意がなくなった後も残便感が続きます。あまりすっきりした感覚になれないのは、更年期障害の特徴といえるでしょう。

2-2.腹痛を伴う

更年期障害の便秘は、過敏性腸症候群によって引き起こされている危険もあります。

ストレスによって大腸の働きが乱れ、便秘や下痢、またはそのどちらかを繰り返すようになります。便秘が続いた後で腹痛を感じたり、会議やプレゼンなど緊張するシーンで、急にお腹が痛くなり下痢をするようであれば要注意です。

2-3.便秘以外の症状も見られる

便秘以外にも、更年期障害にはさまざまな症状があります。頭痛や肩こり、冷えなどは代表的な症状でしょう。

また、更年期に突入すると精神的に不安定となり、理由もなくイライラする人がいます。

便秘だけでなく、心身ともに他の症状が表れているなら更年期障害の確率は高くなるでしょう。

2-4.原因が思い当たらない

便秘には食生活の乱れや忙しさからくるストレスなど、さまざまな原因があるはずです。いたって健康に過ごしているはずなのに、便秘が続くようであれば加齢が原因とも考えられます。

3.便秘のときに選びたい飲み物

腸の働きを活性化させることで便秘を克服できることもあります。

そのためには、飲食物に工夫してみましょう。

特に、飲み物は仕事や家事の合間で手軽に補給できます。腸を助けてくれる飲み物を知っておけば、更年期の便秘対策として役立つでしょう。

3-1.発酵飲料

甘酒や飲むヨーグルトなどの発酵飲料には、乳酸菌やビフィズス菌、麹菌などの善玉菌が含まれています。これらの善玉菌は、腸内の善玉菌を活性化させる働きがあります。

3-2.抹茶

抹茶に多く含まれる不溶性の食物繊維を摂取すれば、ぜん動運動を刺激することが可能です。

飲み物の中でも特に食物繊維が豊富な抹茶は高い頻度で飲みたいところです。なお、抹茶独特の苦みが不得意な人も、抹茶ラテなどにすると味がマイルドに変わります。

3-3.スムージー

食物繊維たっぷりの野菜やフルーツをミキサーにかけたスムージーは、食物繊維を補給するのに効果的です。

特に、リンゴやバナナに含まれる水溶性の食物繊維は、腸の善玉菌のエサになり、腸内環境を改善します。

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3-4.こまめな水分補給

ミネラルウォーターやハーブティなど、ノンカロリーノンカフェインな飲み物はこまめに摂取しましょう。(注:スポーツドリンクは砂糖が大量に含まれているのでNG!)

腸の動きは水分と関係しています。腸内の水分が不足していると便が固まってしまい、ぜん動運動の妨げとなるからです。

逆に、腸内に多くの水があると便が移動しやすくなるでしょう。

4.便秘のときに避けたい飲み物

腸に働きかける飲み物だけでなく、かえって負担となる飲み物を覚えておきましょう。少量では問題ないものの、たくさん飲んでいると腸を悪化させてしまうものもあります。

4-1.カフェイン

紅茶などに含まれるカフェインは利尿作用をともなっています。

そのため、たくさん飲むと体内の水分を奪っていく傾向が顕著です。

便秘を克服するためには腸内の水分が欠かせないので、カフェインは飲みすぎないようにしましょう。

ただ、コーヒーや紅茶が好きな人にとっては完全に禁止してしまうのもストレスにつながります。どうしても飲みたいなら1日2~3杯ほどで、お腹の調子を見ながら付き合うことが大事です。

4-2.アルコール

お酒もまた、利尿作用を含んでいますが、大量に飲むと胃腸を刺激するので便秘を克服できたと錯覚することもあります。

しかし実際には体の水分が奪われてしまい、下痢の後で便秘になる可能性も少なくありません。

付き合いなどでアルコールを摂取するときは、チェイサーとして水を同時に飲みながら、食物繊維を含んだ食べ物など、消化にいいおつまみと一緒に頼むようにします。そして、適量を意識して飲みすぎに注意しましょう。

5.バランスの取れた生活習慣が便秘対策になりえる

5-1.交感神経を落ち着ける生活習慣を

更年期障害では、交感神経が乱れる影響で脳が緊張しやすくなっています。

せっかく食事や飲み物を意識的に変えても、脳が落ち着いてくれないことにはなかなか便秘が解消できないといえます。

便秘対策

そこで、生活全体を見直し、正しい習慣を繰り返すことが大切です。

たとえば、ジョギングなどの軽い運動はストレスを発散させ、体に心地いい疲労感をもたらしてくれます。
自律神経を整えるには、ヨガも効果的です。

そして、何より大切なのが睡眠です。
睡眠のリズムを整えることで、自律神経と全てのホルモンが整っていきます。

22~2時の間にベッドに入り、たっぷり睡眠をとるようにします。そして、朝は規則正しく同じ時間に起きるようにしましょう。そうすることで、睡眠のリズムが整います。

そのほか、趣味の時間などを大切にし、1日のストレスを翌日まで持ち越さないようにしましょう。

6.生活全体を見つめ直すこと

便秘には、さまざまな原因があることがわかりましたね。

日常摂取している飲み物や食べ物だけでなく、年齢を重ねることで腸の動きが鈍くなり、影響が出やすくなるのです。

何より、便秘になる前に常に身体を整えておくことが重要で、そのためには生活全体を見直すことが必要です。

つい、若い時の勢いで、アルコールや甘いもの、暴飲暴食したくなる時だってあります。

でもそんな時は、思い出して。

毎日の積み重ねが、腸にも確実に影響します。

何かと忙しい世代ではありますが、リラックスできる時間を増やしながら栄養バランスに気を配り、長い視点で便秘対策を続けていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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