コンビニランチ派に栄養失調リスク!美と健康のための回避法とは?【医師解説】
皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。
今日は、読者の方からのお悩みを頂きましたので、解決策を一緒に考えてみたいと思います。
目次
Q:「毎日仕事でコンビニランチですが、コンビニ食を健康に食べる方法はありますか?」
という、お問い合わせを頂きました。
正直言いまして、これについては、私自身、本当に返答に困ります。
A:「う〜ん、マシにする方法はなくはない」
というお答えが、正直なところです。
コンビニで買えるお惣菜は、同じメニューであっても自宅で手作りするものとは全く別物で、「理想的」とは言えないからです。この理由は後ほどご説明します。
しかし、しかしです。
忙しく働きながら、家事に育児にと日々追われている女性陣にとって、節約できるのは自分のための料理を作る時間だというのはよくわかっています。
わざわざお弁当を作る暇はないし、お昼休みにちょっとランチに行こうにも良いお店がなかったり、それほどの心の余裕がなかったり。
そうなると、「コンビニでパっと買ってすませよう」という考えになることも理解できます。
コンビニランチと自宅で作る食事との違いを知って、そのリスクを回避する方法をお伝えします。
1.コンビニランチで致命的に不足する栄養素
コンビニで何となく「ヘルシー」だろうと選ぶとしたら、サラダやひじきやキンピラなどのお惣菜や「野菜半日分」などと明記された野菜中心のお惣菜や食品だと思います。
「野菜を食べている」「低カロリー」という安心感から罪悪感も減らせます。
うどんやパスタ、パンなど炭水化物だけですませてしまうよりは、ベターな選択です。
が、ここで注意したい点は、これらの野菜には、美容と健康のためにとても重要なミネラル類が抜けてしまっているというところです。
1-1.コンビニの野菜はミネラル不足
コンビニの煮物は、元々水煮された水煮野菜が使われます。
通常、煮物は、煮汁の方にミネラルが流れ出しますから、煮汁ごと頂けば、野菜の栄養素が流出してしまう分を回収できます。
ところが、水煮野菜を使う場合には、煮出した水を排水に捨ててしまうことになりますから、ミネラルが排水溝に流れてしまいます。
これらの栄養素が不足した水煮野菜に、調味液を使って味付けされたのが、コンビニの煮物です。
サラダは、長時間店頭に置いても変色や劣化しないよう、また食中毒を防ぐ目的で、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤につけ洗いし、塩素を抜くために水にさらすという工程を行います。
水煮野菜と同じく、水溶性の栄養素は排水溝に流れてしまいます。
コンビニのサラダやスーパーに並ぶカット野菜は、いずれもこのように処理されていますから、いつまでもシャキッとして変色はしません。
その一方で、野菜の味の薄さも感じると思います。
コンビニだけでなく、スーパーのお惣菜や多くの惣菜チェーン、ファミレスなどは、同じような方法で業務用の水煮野菜を使ったり、生野菜を処理したりしていますので、気づかないうちにビタミンミネラルが不足してしまう可能性があります。
1-2.ミネラルを排泄する添加物に注意
加工食品の中には、ミネラルを吸着して排泄してしまう添加物もあります。
食品の色や品質を保つために添加される「リン酸化合物」と呼ばれる添加物で、「ポリリン酸Na」「ピロリン酸Na」「メタリン酸Na」などとも表示されています。
【リン酸化合物】
・ポリリン酸Na
・ピロリン酸Na
・メタリン酸Na
骨の強化に必要なカルシウムや性機能の維持に不可欠な亜鉛などの重要なミネラルを腸管から排泄する可能性があります。
肉や魚の加工食品、プロセスチーズ、インスタント食品、缶詰など、多くの加工食品の裏の原材料表示をみると添加されているのが分かります。
さらに、トリックがあって、原材料表示をみても「リン酸化合物」と書いていないのに、実は添加されている場合があります。
食品添加物は、原則的に全てを「物質名」で表示することになっていますが、例外があり、一部の食品添加物については使用目的を表す「一括名」で表示できることになっています。
例えば、pHを調整する目的で入れられている複数の添加物がある場合、それらの目的は同じである為に、一括して「pH調整剤」と表示されます。
リン酸化合物もpH調整目的で添加されることがあり、この場合「pH調整剤」としか表示されません。
表示がなくても、「リン酸化合物」が入っている可能性があるのは、以下のような添加物です。
・肉・魚の加工品:pH調整剤、結着剤
・プロセスチーズ:乳化剤、pH調整剤
・インスタント食品:かんすい、乳化剤
・加工パン:乳化剤、膨張剤
・シリアル類:乳化剤 など
コンビニのお惣菜の裏の表示をみると、ほとんどにこれらは添加されています。
食品添加物は、健康への安全性が確かめられているとは言え、食べ続けることで栄養不足を引き起こす可能性があることを知っておいて頂きたいと思います。
2.一緒に買うならこの食べ物
コンビニ食を続ける場合には、ミネラル不足になりやすいという前提を知った上で、ミネラルを意識して補って頂きたいと思います。
コンビニにも、ミネラル補給できる食品がありますが、いくつか注意点もあります。
2-1.雑穀入りおにぎり
最近では、雑穀を使ったおにぎりがありますが、コンビニおにぎりの多くはpH調整剤入り。これを避けることは難しいため、白米のおにぎりよりはマシ。プラスマイナスゼロ程度に考えておくと良いかもと思います。
2-2.海藻を使った惣菜やおやつ
コンビニでも買えるミネラル補給食品といえば、海藻類です。
海藻サラダやひじき、もずく酢、めかぶなどの食品や、根昆布のおやつなど、何かしらの海藻をとり入れるとベターでしょう。
2-3.ナッツ類
原材料に植物性油脂が入ったものは、油が劣化、酸化している可能性があります。細胞の老化や炎症の原因になるオメガ6系脂肪酸が多いため、摂り過ぎたくない油です。ローストタイプの食塩無添加のものがベターです。食塩添加のものは、精製された塩化ナトリウムの摂りすぎに注意を。
2-4.ハイカカオのチョコレート
コンビニに並んでいる多くのチョコレートは、本来のカカオの油脂だけでなく、植物性油脂が入っています。こちらも、摂り過ぎには注意を。
カカオ70%以上のものの方が余計なものが少ないためおすすめです。
腸内環境のためには砂糖よりもオリゴ糖を使ったものの方がベターですが、植物性油脂は入っています。
良し悪しというところ。
2-5.ナチュラルチーズ
プロセスチーズは、生乳から作られたナチュラルチーズに乳化剤などを加えて加熱して再び成形したものです。乳酸菌も死滅しています。
コンビニにも、カマンベールタイプのナチュラルチーズがありますから、こちらがベターです。
2-6.ヨーグルト
無糖のプレーンタイプを選びましょう。
砂糖は、腸内でカンジダ菌のエサになり、腸内環境を悪化させて炎症を起こします。腸内環境が悪化すると、栄養素の吸収が悪くなります。
3.ベースサプリという方法も
そもそも、食品からのミネラル補給は、とても難しいものです。
家で野菜を買って調理をしても、日本の土壌は元々海外と比較してミネラルが少ない上に、農薬を使用することでミネラルを生み出すはずの土壌の微生物が減っている現代の畑は、特にミネラル不足です。
よほど、土壌改良にこだわった畑の野菜以外は、ミネラルを十分に摂ろうと思っても難しいのが現状です。
カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などのミネラルは、必須栄養素で、必ず食品から摂取すべき栄養素ですが、日常的な食事方法では、よほど意識しなければ十分に補うことができません。コンビニ食を日常にしていると、さらにミネラル不足が進行します。
不足を補うために手軽な方法としては、ベースサプリメントとして「マルチミネラル」を補給することも一つの手かと思います。
コンビニのサプリメントコーナーにも、「マルチミネラル」は必ず並んでいます。
ミネラルは、相乗効果が働きますから、何かひとつ取るのではなく、必ずマルチでバランスよく配合されたものを摂取するのが基本です。
4.手抜きご飯を家から持参
コンビニ食を工夫することはできなくはありませんが、私個人の意見としては、家から簡単なものを持っていくことをお勧めしたいと思います。
私自身、病院勤務で朝の時間がない時には、こんな風にしていました。
前日に、茹で卵を茹で、保温ポットに味噌と乾燥わかめを入れておきます。
当日に、海藻のふりかけをふった雑穀ご飯を包みます。
それらを、納豆パックと共に持参。
そして、お昼に保温ポットにお湯を注ぐと、即席味噌汁ができます。
納豆をぐるぐる混ぜていると、一緒に働く看護師さんたちから
「わ、納豆臭い!」などと言われますが、そこは開き直って、堂々と食べます。
これだけでは、少々栄養バランスが悪いですが、難しく考えず、1日トータルで考えて帳尻を合わせたら良いと思います。
前日の残り物があればもっと豪華になりますし、前日の夕食の片付けのついでにお弁当箱に詰めてセットして冷蔵庫に入れておけば、当日の手間も省けます。
私自身も、忙しい上に大変ずぼら人間なので、いかに手間を省くかはとても重要なポイントとしています。
現代的な食生活では、知らず知らずに栄養不足に陥り、不要なものを口にしている可能性もあります。ちょっとした知識と知恵で工夫していきましょう。
この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
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