皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

新型コロナウイルスの感染拡大で続くこの自粛生活・在宅生活をポジティブに捉え、これまでの不健康や無駄をリセットしてライフスタイルを一新するための知恵と技をお伝えしたいと思います。

前回は、コロナ太りの解消とこれから習慣化したい食べ方のルールについて共有しました。

コロナ太り解消! 医師が勧める9つの食事術とは? 自粛で見つめ直す私の不健康習慣

今回は、運動不足の解消です。ずぼらでも、たった4分なら、めげずにトライできそうですか?

1. 家で運動不足を解消する方法

外出が減り、運動不足に拍車がかかる今日この頃。

普段から行っていたジムも休業してしまい、運動する場所がない運動難民になる人。
普段から運動不足な上に、通勤もしなくなり、ますます動かない人。

場合によっては、1日の歩数が1000歩も行かない日もあるはずです。

家で何とか運動をしようと、ビリーズブートキャンプブームが再び到来しているようですが、しかし、ビリー隊長は、やっぱり「キツイ!」

あんなに激しい運動は「無理無理!」と感じる方も多いのではないでしょうか。

ジムで走る女性

1-2. たった4分! 運動嫌いにもできる

今日オススメしたいのは、たった4分のサーキットトレーニングです。
かく言う筆者も、どちらかと言うと運動嫌いです。

海上や海中は好きなのですが、日常的にできる陸上の運動はちょっと・・・。

と、事あるごとにサボろうとします。

そんな訳で、放っておくと運動不足になるのですが、先輩ドクターにオススメされて、「これならできる!」と目を輝かせたのが、この方法です。

1-3. たった4分間「タバタ式トレーニング」

「タバタ」という名前は、実はアメリカのフィットネス業界では最も有名と言っても過言ではありません。

立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が研究・開発したインターバル・トレーニング方法で「タバタ式」「タバタ・プロトコール」などと呼ばれ、ジムや一般の人たちの間に浸透しています。

1-4. タバタ式の方法はシンプル

その方法は、シンプル。

強度の高い運動を20秒、次の10秒は休息。
この30秒を1ラウンドとして、8回繰り返します。

つまり、合計4分間。

たったこれだけで、有酸素運動と無酸素運動の両方の効果があり、心肺機能が向上することがわかっています。

1-5. 短時間で燃焼ボディになる「HIIT(ヒット)」とは?

ジムでトレーニングをする女性

強度の高い運動と休息を短時間に交互に繰り返す運動方法を「HIIT(High Intensity Interval Training)」と呼びます。

「高強度のインターバルトレーニング」のことを意味します。

特に体重を減らすには、筋トレで筋肉を増やすだけでなく、有酸素運動で脂肪を燃焼することが重要です。
一方で、筋肉量を増やし、燃焼しやすいボディを手に入れるには、有酸素運動だけでは不足です。

短時間で筋トレにもなり、脂肪燃焼効果も期待できる運動が、「HIIT(ヒット)」です。
短時間であるために、運動の時間内のカロリー消費は多くないものの、日常的な代謝をあげることでダイエットにも繋がることが期待できます。

その中でも「最強」の呼び声が高いのが、「タバタ式」なのです。

1-6. タバタ式の効果と注意点は?

1-6-1. タバタ式に見込まれる効果

・筋力アップ
・心肺機能アップ
・持久力のアップ
・結果が短期で得られる

運動効果だけではありません。
脳機能やメンタル、学習や認知などにも関連します。

・神経栄養因子BDNFの分泌促進:神経の成長・修復・学習・記憶など

この神経栄養因子BDNFは、アルツハイマー病やうつ病などにも関連が指摘されていますが、分泌を高めるためには筋肉を使うことが効果的になります。

タバタ式は、とにかく短期集中。

アスリート向けのトレーニングにも活用されるほどです。
結果が早く見える化するので、効果がゆっくりなトレーニングでは挫折してしまいがちな人にもオススメです。

1-6-2. タバタ式の注意点は?

・高強度パートが結構キツイ
・急な高強度運動で故障の可能性

たった4分とはいえ、高強度の20秒では「もうこれ以上無理!」というほど全力で行う必要があります。

ですから、普段あまりにも運動していない人が、ストレッチなどをせずに急に動かすと故障する可能性があります。

膝などを痛めている場合も、負担をかけない方法を選んだ方が無難です。

何れにせよ、始める前には、必ずウォーミングアップとして、ストレッチを行いましょう。

▼ウォーミングアップのストレッチはこちらをご参照ください

毎日数分の“健康時間”を。丈夫な足を保つアキレス腱ストレッチ5つのコツ

2. 一瞬の限界に挑戦すべし

タバタ式のポイントは、とにかく20秒のうちに自分の全てをかけて、限界に挑戦することです。

ここで抜かると、効果が半減します。

当初は、3〜4ラウンド目あたりから、ふらふらになって同じペースでは続けられないかも知れませんが、続けるうちにできるようになってきます。

ビリー隊長と過ごす地獄の1時間を思えば、たった4分間なんて一瞬です!
「いざ、自分に挑戦!」と鼻息荒くいきましょう。

ダンベルを持ち上げる女性

3. 実践タバタ式トレーニング

3-1. 1)まず、アプリをダウンロード

タバタ式は、時間管理が必要です。
家で実践する場合は、タバタ式タイマーのアプリ(無料)をダウンロードしましょう。
「タバタ式 タイマー」などで検索すると、無料アプリが見つかります。

3-2. 2)メニューの組み立て

1ラウンド=「高強度運動:20秒」→「休息:10秒」×8回

高強度は、20秒続けられたらどんな運動でも可能です。
筋トレメニューでも良いですし、自宅にエアロバイクやランニングマシーンがあれば、それを最強の強度で行っても良いものです。

慣れたら1日1回でも可能ですが、はじめのうちは週2〜3回がやっとです。
それでも十分に効果が得られるのがタバタ式です。
「1日何回でもできる」としたら、それは緩すぎてタバタ式とは言えません。

トレーニングに励む女性

3-3. 3)例えばこんなメニューを

これらの高強度トレーニングは、ゆっくりではなく、素早く行います。

1ラウンドのメニューが全て同じだときつくて続けられないため、4種類のメニューを8ラウンドで2回転行うのが実践しやすいと思います。

3-3-1. ラウンド1:スクワットジャンプ

ターゲット:全身運動と下半身

1. 両手を後頭部に当てる
2. 足を肩幅に開き、つま先を前方にまっすぐ向けて立つ
3. 直立した体勢から太ももと床が平行になるまで腰を落とす

スクワットをする女性

4. そのまま真上にジャンプする
5. 20秒間、3.〜4.を繰り返す

スクワットをする女性

3-3-2. ラウンド2:ヒップブリッジ

ヒップブリッジ

ターゲット:臀部・太もも

1. 床に仰向けになり、膝を90度に曲げ、立てる
2. お尻を持ち上げて、2秒間キープする
3. 床に戻して、素早く2.の動作へ
4. 20秒間、2.〜3.を繰り返す

3-3-3. ラウンド3:マウンテンクライマー

マウンテンクライマー

ターゲット:体幹・大胸筋・下半身

1. 腕立て伏せの体勢になり、軽く肘を曲げてキープする
2. 片膝ずつ、交互に、地面に足がつかないように胸に引き寄せる
3. 20秒間、2.を繰り返す

3-3-4. ラウンド4:ジャックナイフ

ジャックナイフ

ターゲット:腹筋・背筋

1. まっすぐ横になり、膝を軽く立て、両手は頭上にバンザイする
2. 両手と両足を持ち上げ、足と体がV字になるように持ち上げる
3. 手でスネに触る(はじめの内は、触ろうとする でもオッケー)
4. 両手両足をゆっくり下ろし最初のポジションに戻る
5. 20秒間、2.〜4.を繰り返す

これらを、20秒ずつ。
20秒の中でなるべく回数を多く、体勢を崩さないように意識しながら行います。
そして、各ラウンドの間には、10秒のインターバルを挟みます。

きっと「きつ〜い!」と感じます。

感じなければ、緩すぎて効果は得られないと思いましょう。

ただし、その先に「あ、筋肉にスイッチが入った!」とはっきりと自覚するはずです。

眠れる体の筋肉を叩き起こすことで、全身の血流が循環し始め、気分は晴れ晴れとし、頭はクリアになります。

運動不足と感じている皆さん、在宅時間が長い今こそ、「最強」と名高いこのタバタ式を習慣化するチャンスです。

まずは週に2〜3回を2週間続けてみて下さい。
4分間の極限の先にある爽快感に病みつきになり、薄着の季節までには引き締まったボディが手に入れられるはずですよ。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか