【教えて先生!!カンナさんの更年期相談室Vol.9】~更年期の生理不順について教えて!~
「カンナさんの更年期相談室」は、WELLMETHODのPR担当猫で、読者のお悩み相談窓口担当の「猫のカンナさん」が、みなさまから日々寄せられるヘルスケアや美容に関するお悩みについて、ご本人に代わって監修医の先生からのコメントを頂戴し、記事に仕立て上げるコーナーです。
さて、今日のお悩みは「更年期の生理不順について教えて!」ということで、今回はWELLMETHOD監修医で、産婦人科医の藤井治子先生にアドバイスをいただいてきました!
カンナさん:
藤井先生、こんにちは。今日は生理不順に悩める女性の相談をもってきたよ
Q:更年期による生理不順に困っています…
47歳の女性です。40代半ばを過ぎたころから、生理不順に悩まされています。はじめは、少しずつ生理が遅れるようになって、今では数ヶ月に1回で、毎月こなくなってしまいました。経血の量も少なくなったような気がします。
また、少なくなっただけでなく、ある日突然ドバッと大量の経血が出ることもあって、万が一それが仕事先や外出中に起こったらと思うととても不安に感じています。日々ナプキンを手放せなくなり、それもまたストレスになっています。
「いつ生理がくるんだろう…」という不安で外に出るのが億劫になりましたし、職場の誰かに相談できたら楽なのですが、男性ばかりの職場で、同年代の女性がいないため、体調不良を言い出しにくいと感じています。
30代のころは特に不順ではなかったですし、生理がはじまるころにはなんとなく頭痛や眠気、腹痛を感じていたので備えられていたのですが、いまは予測ができず、生理に振り回されているような生活で、毎日不安です。
これは更年期の影響なのかなと思うのですが、この症状とうまく付き合っていくためには、日々どのようなことを心がけるのが良いでしょうか?(hikari 47歳)
カンナさん:
藤井先生、さっそく教えてくださーい!
A:みんなにやってくる更年期。 うまくつき合うコツはコレ!
藤井先生:
私もhikariさんと同じ症状に悩んだ時期がありました。
生理が不意に始まり、しかもドバッと多量に出て仕事中に洋服を汚さないかヒヤヒヤしたものです。
閉経って、急にくる訳ではないんです
40代半ばから50代半ばの10年間は更年期と呼ばれ、これまで「女性らしさ」を支えてきた卵巣が、そろそろ役目を終える時期です。
卵巣は、卵子を育て女性ホルモンを分泌します。この2つの機能が衰えてくると、排卵が遅れ、生理と生理の間隔が長くなります。
女性ホルモンも急な下り坂を下り始めます。もともと毎月1回生理があった方でも、1ヶ月半になり3ヶ月になり、とうとう1年以上生理がなくなったとき、閉経と判断します。
卵巣はいきなり役目を終えるのではなく、徐々に排卵が遠のき閉経し、閉経後もしばらく女性ホルモンの分泌があり、それも次第に衰え遂には終わりを迎えます。
閉経は、長い更年期の旅路を歩んでいると、ちょうど中盤ごろに出会う道しるべのようなものなのです。「あ、ここまできたんだな」って。
カンナさん:
更年期という期間の真ん中あたりにあるのが「閉経」なんだね。
藤井先生:
更年期って、不安定なんです
更年期にさしかかると、卵巣の衰えを脳がキャッチし、卵胞刺激ホルモンの分泌を増やし始めます。すると、まだ余力のある卵巣では卵胞発育がスピードアップし排卵日が早まる現象がみられます。40代になると生理日がなんだか前倒しになってきたなと感じるのはこのためです。
子宮内膜はもともと女性ホルモンがたっぷりあると止血し、ホルモンが減ると出血する仕組みがあります。これを消退出血と言います。卵胞が育ちにくい年齢になると女性ホルモンが期待通りに上昇しなくなるので、子宮は不定期に出血し、出血も長引く傾向があります。
このような訳で、卵巣の機能が衰えると、月経が早まったり、不正出血が続いたりもするのです。
カンナさん:
なるほど!卵巣の変化に脳の指令がおいつかずに、いつもと違う状況が起こるんだね。
藤井先生:
更年期の不正出血、女性疾患がひそんでいるかも
女性ホルモンが乱れると、不正出血を経験することはよくあります。しかし、生理以外の出血を繰り返すとき、何かの病気が隠れている可能性もあり注意が必要です。
出血の原因になる病気の多くは、子宮筋腫やポリープなどの良性疾患です。子宮内膜が肥厚する子宮内膜増殖症で出血が長引く場合もあります。
また、思いがけなく、まさかの妊娠、まさかの流産ということも。
万一、子宮にがんができた場合、最も頻度の高い自覚症状は不正出血です。出血の様子から自分で原因を見分けることは難しいので、診断の為には婦人科受診が欠かせません。
出血が10日以上続くときや、少量であっても何度も繰り返すときは相談しましょう。
カンナさん:
10日以上、もしくは繰り返す時は、注意が必要なんだね!
藤井先生:
日常生活の改善で、更年期障害よサヨウナラ
更年期のトラブルは、普段の生活が影響を与えることも多いので、生活習慣を見直すことも大切です。
例えば、バランスの良い健康的な食事。私たちの体は食べるものでできています。
特に、ホルモンは油とたんぱく質が重要ですので、良質なものをしっかり摂りましょう。
マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸はホルモン分泌を低下させます。オリーブオイルやアマニ油などの天然油脂を選んでください。たんぱく質は、牛や豚に偏らず植物性や魚介類を積極的に。
また、精製された砂糖や小麦粉は、血糖の乱高下、腸内環境の悪化の原因となり、更年期の体調を不安定にします。乳製品は、ホルモンへの悪影響が指摘されていますので摂取量を控えましょう。
そしてもう一つ大切なのが適度な運動習慣や質の良い睡眠。
運動はあらゆる慢性疾患を予防します。毎日20分のウォーキングでも十分ですし、適度な筋トレもおすすめですよ。運動は眠りの質の向上にも役立ちます。
現代人は毎日ストレスにさらされています。慢性的なストレスは、副腎からコルチゾールというストレスホルモンを過剰に分泌させます。このコルチゾールが女性ホルモンの産生を邪魔してしまうのです。
好きなことを思い切り楽しんだり、大きな声で笑ったり、瞑想や呼吸法なども取り入れてリラックスできる時間を持ってください。
カンナさん:
うん、うん。食事と運動は性別や年代関係なくおろそかにしない方が良いポイントだよね。猫のわたしだって、気にしているよ。
藤井先生:
それでもダメなら、ホルモン補充療法
更年期の生理不順に、ホルモン補充療法が行われることもあります。
女性ホルモンを補うことで生理を定期的に整え、更年期の症状を軽減することができます。一般には、エストロゲンとプロゲステロンの合成薬を飲み薬や貼り薬などで補充します。
不意に始まる出血や、ドバッと出る出血に悩まされることも少なくなります。
ただ、このホルモン補充療法は全ての方に行える治療ではないんです。
血栓ができやすい方や乳がんの既往歴がある方、タバコを吸う方、高血圧や糖尿病を患っている方には向いていません。気になる方は婦人科医に相談してください。
海外では、合成ホルモンより副作用が少ない天然ホルモンを補充する方法を選択することもできます。日本ではやっと2021年に天然型黄体ホルモンが保険採用され安全性が高まりました。
カンナさん:
最新の情報も踏まえた藤井先生のお話、とっても役に立ちそう!
藤井先生、アドバイスありがとうございました!
hikariさんのように、40代になってからの生理不順を感じ始めている方は、是非、藤井先生のアドバイスを参考にしてみてね。
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- 生理がなかなか止まらない! 更年期の女性に起こりやすいトラブル回避の対策
- https://wellmethod.jp/menstruation-doesnt-stop/
WELLMETHOD編集長の飼い猫

猫のカンナさん
神無月に拾われた女の子。
WELLMETHOD編集長と旦那様、その他6匹の同居猫と日々暮らしている。
最近、美しく年を重ねるためのメソッドと大人の女性に伝えたいあれこれを猫なりに勉強中。
猫のカンナさんTwitter https://twitter.com/nekonokanna