かかとのひび割れ5大原因。ガサガサかかとのケアと3つの予防法
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
乾燥しやすい季節になってきましたね。
みなさまは、乾燥対策を始めていますか?
筆者は以前、毎年冬になると乾燥に悩まされてきました。
顔や手は人目につくため念入りに乾燥対策をしているのですが、ついついおろそかにしてしまいがちなのが、かかとです。
その結果、かかとはひび割れ、ストッキングはすぐに伝線し、ひどいときはかかとから出血してしまい歩くのも苦痛になることがありました。
ガサガサなかかとを見て切なくなることも。
これまでさまざまなかかとケアを行ってきましたが、改善するこはなく、年々悪化していくばかりでした。
そして夏になってもかかとはガサガサ状態で、恥ずかしくてサンダルを履くこともあきらめていました。
このままではダメだ! と意を決してかかとの保湿を重点的に行ったところ、ひび割れせずに冬を乗り切ることができました。
いまも継続してケアを行うことで、かかとのガサガサに悩むこともなくなりました。
今回は、かかとのひび割れの原因と、効果を実感したおすすめの改善・予防方法をご紹介します。
目次
1.かかとがガサガサ・ひび割れになる原因
かかとがガサガサしたりひび割れしてしまう原因には、かかとの特性によるものと日常的に行っている習慣によるものがあります。
1-1.かかとの特性によるもの
皮膚は、頭の先から足の先まで一枚の皮膚でつながっています。
人間の皮膚はどこの部位でも、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織(脂肪など)」の3層構造でできています。
さらに表皮は4層構造となっており、一番内側にある基底層で生まれた表皮細胞が約1ヵ月かけて一番外側まで押し上げられ、その押し上げられた層を「角質層」といいます。
角質層にはラップのように皮膚の下の組織を覆い、潤いを保ったり異物や病原性の細菌などから守る役割があります。
かかとのひび割れは、この角質層の状態と大きなかかわりがあります。
1.かかとの硬質化
足の裏は、人間の体重を支える部位です。立つ・歩くという動作を行う際は、常に足の裏に全体重がかかり体を支えています。
その結果、足の裏に摩擦や圧迫が生じ、体を守る働きとして、徐々にかかとの角質層は硬く厚くなってしまうのです。
2.毛穴がない
足の裏やかかとには、毛穴がありません。
毛穴には皮脂を分泌する皮脂腺という器官が存在しているため、毛穴がない足の裏やかかとには皮脂腺もありません。
皮脂には皮膚の表面で汗と混ざり皮脂膜を形成し、皮膚表面から水分の蒸発を防ぐ役割があるのですが、かかとにはこうした機能がないため皮脂による保湿作用を期待することはできないのです。
一方、足の裏やかかとには汗腺が多いため、たくさん汗をかきます。
汗は蒸発するときに周囲の水分も奪ってしまうため、皮脂の分泌がなく汗をかきやすい足の裏やかかとは乾燥しやすく、ガサガサしてひび割れしやすいのです。
3.血流が悪くなりやすい
かかとは体の末端部位です。
心臓からもっとも遠いことから血流も悪くなりがちなため、水分や栄養が十分に行き渡りません。
体の細胞は血液が届けてくれる栄養から作られるため、その栄養が足りないと新しい細胞が作られにくくなり、肌のターンオーバーの乱れや乾燥を引き起こしてしまいます。
1-2.日常的に行っている習慣によるもの
私たちが普段何気なく行っていることや仕事上やらなくてはいけないことが、かかとのひび割れを引き起こす原因の一つとなっています。
1.足への刺激・負担
足に合っていない靴を履いて歩くと、必要以上の摩擦や圧が生じ、かかとへの刺激が大きくなってしまいます。
また営業職や立ち仕事の方は、体重を足の裏で支える時間が長くなるため、かかとにかかる摩擦も大きく角質層が厚くなりやすいといえます。
その他にも、お尻の筋肉や腹筋が弱っていると骨盤がうしろに傾くため、重心がかかと寄りになったり、O脚の方は骨盤が不安定になるため、歩くときに体重を骨盤で支えにくく、かかとの外側から地面に着地するような形になってしまうため、かかとに摩擦が起きてしまいます。
2.足の蒸れ
夏よりも冬にかかとのひび割れに悩む方が多くなる原因として挙げられるのは、足の蒸れです。
足の裏からの発汗のしやすさは、体質や体温を上げる運動習慣の有無などによって違います。
また、冬は冷え対策として、足元にヒーターを置いたり床暖房を使用したり、外出時にはブーツを履く機会も増えると思います。
冷え対策やおしゃれを楽しむためにはとても良いのですが、こうした環境下では足の裏に汗をかきやすくなるため、足の裏の乾燥を助長する可能性があります。
2.かかとのひび割れに効果的! 自宅でできる改善方法
かかとのひび割れが起こる原因は、足の角質層の摩擦や乾燥でしたね。
原因がわかれば、改善に向けてケアを行いましょう。
かかとのひび割れはなんらかのケアをしたからといってすぐに効果が出るわけではありません。
継続していくことが大切です。
たくさんのアイテムを揃えたり時間がかかってしまうと続きにくいですよね。
そこでここでは、自宅で簡単にできる改善方法をご紹介します。
2-1.削らない角質ケア
かかとの乾燥や摩擦によって起こるひび割れケアのポイントは、古い角質の除去と保湿です。
古い角質を除去すると聞くと、やすりや軽石でゴシゴシと削ることをイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、無理に削ることは肌を傷める上に、削り過ぎることで角質がさらに厚くなる可能性もあるのでおすすめはできません。
最近人気がある、足用の角質パックも注意が必要です。特に、ケミカルピーリング剤に使用されているヒドロキシ酸を配合している商品では、角質を溶かす作用が強すぎるために熱傷などの事故の報告が消費者センターに多く寄せられています。
おすすめは、保湿をしながらターンオーバーに合わせてしっかりと古い角質を落とすことです。
詳しくは2-3にて説明していきます。
多少時間はかかりますが、キレイなかかとを保つためには重要なことです。
「削らないこと」が角質ケアにつながるのです。
2-2.保湿
硬くなったかかとにおすすめしたい保湿アイテムは、尿素が配合されたクリームです。
尿素で保湿することで、皮下の水分が角質層まで持ち上げられ保持し、乾燥によって硬くなった角質を柔らかくすることができます。
尿素が配合されたクリームはドラッグストアなどで購入することができます。尿素の含有量が高いものや低いもの、主成分の尿素に清涼感を与えた成分が配合されたものなど、さまざまな種類があります。
自分に合ったものを選んでみましょう。
もし尿素配合クリームが肌に合わないと感じる方は、保湿力が高く血流改善を促すヘパリン類似物質を含むクリームやワセリンをおすすめします。
入浴後、保湿することを習慣にしましょう。
2-3.ターンオーバーに合わせて角質を落とす集中ケア
2-1で説明した「削らない角質ケア」についてご紹介します。
ポイントは、角質を無理に落とすのではなく、保湿をしながらターンオーバーに合わせて角質を落とすことです。
1. 入浴後、かかとの角質が柔らかくなっている間に尿素配合クリームをかかとの表面にたっぷりと塗り込む。
2. かかとをラップでしっかりと覆い、靴下を履いて寝る。これを数日繰り返す。
3.かかとのひび割れを予防する3つのポイント
かかとのひび割れはつらいですよね。
ひび割れてしまう前に、予防することが大切です。
ここでは、自宅で簡単にできる4つの予防法をご紹介します。
3-1.入浴後すぐに保湿
前章のかかとのひび割れの改善方法でもご紹介しましたが、やはり予防をする上でも保湿がポイントとなります。
保湿された状態を長く保つためには、こってりしたテクスチャーものがおすすめです。
しかし重たい使用感が苦手で、さらさらしたテクスチャーのものを使用する場合は、何回かにわけて頻繁に塗るようにしましょう。
3-2.歩き方や靴を見直す
かかとに重心がかかるような歩き方やすり足気味の方は、かかとからつま先の方へ体重を移動させて歩くように意識してみましょう。
靴は、ハイヒールやパンプスよりもスニーカーがおすすめです。
ハイヒールなど高さのある靴は、歩行で足を前後に動かす際に足首が動きません。
足首を動かす動作は、ふくらはぎの筋肉であるヒラメ筋を伸び縮みさせます。
ヒラメ筋は第2の心臓といわれており、この伸び縮みによりポンプの役割を果たし、足の血液を重力とは逆に上へ戻します。
ヒールを履くと足首が動かず、このポンプが働かず、血液やリンパ液がひざ下にたまり、むくみの原因になります。
また、足の血流だけでなく全身の血流も滞るため、末端冷え性だけでなく全身の冷え性にも繋がります。
もしも仕事柄どうしてもヒールのある靴を履かなければならない場合には、自分の足に合ったものを選ぶことが大切です。
▼ハイヒールを履いても痩せません! 監修医・桐村里紗の「スニーカーのススメ」
https://wellmethod.jp/sneaker/
3-3.冷え対策を行う
冷えにより血行が悪くなると、かかとを乾燥させ、かかとのガサガサの要因になります。
冷え対策としては、
・下半身を温める
・膝から足首までを冷やさない
・お腹を冷やさない
・ガードルや補正下着で締め付けない
・末端冷え性を招くハイヒールやブーツではなくスニーカーを履く
・シャワーではなく湯船にゆっくり浸かる
といったポイントを抑えることや、日頃から運動をして筋肉をつけ、基礎代謝を上げることが大切です。
また、外用剤で血流改善を促す場合、ビタミンEやヘパリン類似物質を配合した軟膏やクリームがおすすめです。
その他、体を温める食材についての詳しい解説はこちらをご参照ください。
4.改善しない場合は病院へ
保湿をしていても改善しない、夏でもかかとのひび割れが気になる場合は、乾燥以外の原因による可能性もあります。
かかとのガサガサを引き起こす病気は、以下のようなものがあります。
4-1.足水虫
水虫と聞くとジュクジュク・痒いといったイメージがあるかもしれませんが、かかとに多い水虫は「角質増殖型」です。乾燥型水虫ともいわれています。
ジュクジュクしたり痒みはなく、ガサガサして粉をふいたような見た目が特徴です。
乾燥が強い季節には、かかとにひび割れも伴うことがあります。
▼近年増えている女性の水虫! うつさない・うつされない為に注意すること
https://wellmethod.jp/athletes-foot/
4-2.タコ(胼胝:べんち)
タコは皮膚の一部が均一に厚く、硬くなる病気です。
足の指が重なり合う場所にできやすいものですが、その他の圧のかかる場所にもできることがあります。
見た目が「うおのめ(鶏眼:けいがん)」と似ていますが、うおのめには芯がありますが、タコにはありません。
痛みは、芯がある「うおのめ」の方が鋭く強いのが特徴です。
4-3.イボ(尋常性疣贅:じんじょうせいゆうぜい)
イボは、ウイルス(パピローマウイルスの一種)が小さな傷から角質に感染して起こる病気です。一つだけではなく複数できることも多くあります。
かかと全体がガサガサするというよりも、イボの部分がガサガサします。
見た目は、うおのめやタコと似ていますが、イボ同士がくっつき、モザイク模様のように見えることもあるため、見た目でもわかりやすいのが特徴です。
5.きれいを導くポイントは無理せず丁寧なケアを
以前、筆者が行ってきたかかとのひび割れケアは「角質を削る」ことでした。
しかし削っても削っても、症状は悪化していくばかり。
しかし、今回ご紹介したケアを続けてからは、かかとのガサガサが軽減され、人前で裸足になることも恥ずかしくないくらいにきれいになりました。
手っ取り早く見た目のきれいさを求めてかかとを無理やり削っていたことが、返って悪化させていたとは、なんだか皮肉なものです。
私たちの人生にも同じことがいえるのかもしれません。
人の目を気にして自分を装ったり、年齢に逆らうようにもがいてみたり、自分に無理をすることで心も体を追い込んでしまっては、元も子もありませんよね。
一つ一つ丁寧にケアをすることが大切なのではないかと感じています。
年齢を重ねることで「あの人、なんだか余裕があるよね」「素敵に年齢を重ねているよね」と言われるような生き方が、いまの筆者の理想です。
自分に正直に、無理せず素敵に年齢を重ねていきたいと思います。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。