こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

お水、ちゃんと飲んでいますか?
私はどうにも、水を飲むとお腹がチャプチャプしてしまい苦手なのですが、腸内細菌にも自分の細胞機能にも必須なので、ミネラルウォーターをしっかり飲むようにしています。

喉が乾いた時にはもう脱水。
乾く前に飲むのが基本です。
水の重要な働きと、上手なとり方、選び方をお伝えします。

1. 水の効果ととり方、選び方

水は、生命の基本です。

脱水は老化

1-1. 老化は水が枯れること?

私たちの体の6割は水です。
体を機能させているのは、水に他なりません。

胎児期は羊水にどっぷり浸かり、水の中に浮いている人。
赤ちゃんの頃が最も水分含有量が多く、年齢と共に水分量が低下して、老化と共に水が枯渇し、文字通り枯れていきます。

老化とはつまり、水を失っていることとも言えます。

1-2. 水がないと体は機能しない

水がなければ、体は機能しません。

水の主な働きは、

・必要な栄養素や酸素を運ぶ
・不要な老廃物を運び出す
・体温を維持、調節する
・恒常性(ホメオスターシス)を維持する
・腸内細菌を機能させる
・全身の情報伝達や保持を行う

全身の細胞、細胞の間、血管、リンパ管などにはくまなく水があります。
水がないと、遺伝子も酵素もホルモンも、神経伝達物質も神経も働くことができず、体は機能しないのです。

また、腸内細菌は、その活動のために酵素を使います。
タンパク質をアミノ酸に変えるなどして、栄養素を生み出します。
そのためにも水がないと、酵素が機能しないため、腸内細菌の機能維持にも水が重要です。

水の研究者であるワシントン州立大学のGerald H. Pollack(ジェラール・H・ポラック)博士の研究によると、細胞内や血管の壁などに存在する第4相の水と呼ばれるゲル状の水の層には、情報が保持されることもわかっています。

(※ポラック研究所 https://www.pollacklab.org

2. 水はどれくらい飲めば良いの?

では、水をどのくらい飲めば良いのでしょうか?

水

2-1. 何もしなくても出ていく水・生まれる水

私たちは、何もしなくても、

呼吸:400ml程度
発汗(不感蒸泄:感じないが揮発していく水):600ml程度
排泄:1300ml 程度

それらを合計すると1日のうちに、2300ml程度の水分が体から出ていきます。

一方で、何もしなくても、体の中で生まれる水があります。
体の内の活動の結果生まれる水です。

代謝水:200ml

代謝水を引いた2100mlを口から摂取する必要があります。

2-2. 食事と飲み物合わせて約2L摂取

つまり、食事に含まれる水分と飲み物を合わせて、2100ml程度、約2Lの水分を口から摂取する必要があります。

食事も、汁物や野菜などに含まれる水分があり、概ね、600ml程度と考えますと、残りの1500ml、つまり、1.5Lは飲料水として水分を摂取する必要があります。

もちろん、汗をかくシーズンや活動量が多い時、熱があるときなどは、これ以上に水分摂取が必要です。

3. 水分を摂るタイミングは?

水分は、一気に摂取しても、体の外に排泄されてしまいます。
ちびりちびりと四六時中飲んでいるのが正解です。

3-1. 2時間に200mlずつちびちび

水を飲む女性

24時間のうち、8時間睡眠をとるとして、残り16時間に水分補給のチャンスがあります。

概ね、2時間のうちに200mlずつ摂取するとすれば、16時間で1600mlの水分が摂取できます。

3-2. 1日の水分補給のコツ

夜は、発汗でコップ1杯程度の水が失われますから、体は脱水に傾いています。
朝は起き抜けにまず、コップ1杯の水分を補いましょう。
たくさん汗をかく熱帯夜を経て、喉が乾いていたら、もっと飲んでください。

朝の水は、胃腸を刺激し、内臓の目覚めを促します。

運動や入浴前後は、多く発汗して水分を失うため、水分を前後で補いましょう。
発汗量や運動量に応じて調整したら良いですが、開始前にコップ1杯程度は最低限補う方が良いですね。

就寝中はコップ1杯程度汗をかきますから、それを補うために就寝前にコップ1杯の水を飲むことで、就寝中の脱水を予防できます。

こうして摂取していれば、1.5L程度は簡単に飲めるはずです。

4. 水の選び方は?

水の質も大切です。
毎日飲む水は体内環境を左右しますから。

一口に水といっても、たくさんの種類がありますね。
ご自宅に浄水器をつけておられる方は、それを使用したら良いですね。
ここでは、水を買う時に、どのように選べば良いかをお伝えします。

4-1. コクのある硬水

水

硬水は、主に輸入されている水に多いものです。
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が多い水を硬水と言います。
ミネラルの味が特徴的です。
硬水は、ミネラル分が多いので、肉料理など力強い味の料理に合います。

硬水の中でも、特にミネラル分が多いのは、コントレックスやクールマイヨールです。
特に、マグネシウムが多いため、便の水分を増やし便秘がちな人にも人気です。

炭酸があるものが好きな方は、ゲロルシュタイナーやサンペレグリノがミネラル成分が多いものです。

4-2. 日本の水は軟水が基本

日本の水は、主に軟水です。
ヨーロッパなどに比べて、元々土壌のミネラル成分が少ないため、ミネラル分が少なめでクセのない味になります。

ナチュラルミネラルウォーターやミネラルウォーターと表示されたものには、微量のミネラルが含まれ、これらが味の違いになりますが、基本的にはまろやかです。

水は、純粋であればあるほど、分子を溶かす働きがありますから、ミネラル分が少ない軟水の方が、出汁やお茶などを味や香りを抽出しやすく、素材の味を引き出し微妙な風味や旨味を重視する繊細な和食には向いています。

酒も、仕込む水によって全く味が変わりますが、それは軟水の中でも硬度に違いがあるためです。
その土地の水があり、その土地の食の個性があります。

コーヒーを入れる時、軟水で入れるとまろやかで香りが高く、硬水で入れると苦味が強くコクが出ます。
比べてみるのも面白いですよ。

4-3. 炭酸水でも大丈夫?

胃が弱い人の場合、胃酸が薄まってしまうため、食事時にあまりたくさんの水を摂取すると消化力が弱まる可能性もあります。
その場合は、食事から1時間程度時間を置いてから、水分を補給するなど、工夫をすると良いですね。

炭酸水は、炭酸ガスの働きで胃の血流を促進します。
胃の弱い方は、少量の炭酸水で胃を刺激すると逆に消化力を助けてくれます。

ただし、胃酸が逆流しやすい人、逆流性食道炎がある人は、症状を悪化させる可能性があります。また、食後に腸がガスで張って膨満するタイプの人にも向きません。

4-4. コーヒーなどカフェイン飲料は水分になる?

コーヒー

私もですが、なかなか、ただの水が飲めないという方も多いと思います。
そんな時、カフェイン入りの緑茶や紅茶、コーヒーを水分にカウントして良いのかという疑問は、常にありますね。

「カフェインは利尿作用をもたらしてしまうから、水分補給にならない!」とされていますが、最近では、日常的にカフェインを摂取している人ほど、耐性ができ、ただの水を摂取した時とコーヒーを飲んだ時の尿量に変化はなくなるとされています。

▼【医師解説】コーヒーの科学|5つの健康効果とリスクを避ける上手な付き合い方

https://wellmethod.jp/coffee-science/

良識的な範囲のカフェイン量は、コーヒーの場合1日2〜3杯程度とされていますから、それ以外は水を摂取したいものです。

4-5. スポーツドリンクや清涼飲料水は?

スポーツドリンク

スポーツドリンクや清涼飲料水は、基本的に、血糖値の上がりやすい糖分やゼロカロリー人工甘味料が入っています。

ショ糖やブドウ糖、異性化糖などの糖分は、血糖値をあげるリスクがあり、たくさん飲むことで、「ペットボトル症候群」という急性に発症する重症の糖尿病になるケースもあります。

また、ゼロカロリーの人工甘味料も、食欲を増したり、インスリン分泌を刺激して血糖値を乱すことなどが指摘されています。

そのため、基本的には、これらでの水分補給はお勧めしたくありません。

夏場に塩分不足が気になる場合は、食事でしっかり塩分を補給し、水分は、水で補給する方がベターです。

5. むくみがちな人も水分を摂って循環を

脱水は老化

特に、むくみがちな人は水分を嫌う傾向にありますが、水分が十分に足りていなければ、リンパ管の流れも悪くなり、逆にむくみがちになります。

腎機能や心機能が低下して水分制限がない限り、一般的なむくみがある人であっても水分はむしろ摂って、しっかり循環させる方がむしろ、むくみづらくなります。

「潤い」があるということは、若々しくエネルギッシュであるということ。
水がなければ、生きられませんし、人の細胞、腸内細菌の細胞も機能しません。
十分に潤いを保つことが、いつまでも美しく健康であるための基本ですから、毎日コツコツ摂りたいですね。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか