こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

もうすぐ、本格的な冬がやって来ますね。そんな季節になると、肌だけでなく鼻の中まで乾燥しませんか? なんだか鼻の中がカサカサする、かゆみがある、鼻が詰まるなど。

そのような状態を「ドライノーズ」といい、実は多くの人が冬の乾燥した時期に鼻のトラブルに見舞われているようです。

かくいう筆者も毎年ドライノーズに悩まされており、寝ている間に無意識に鼻をさわって、出血してしまうことがあります。

命に係わるような疾患ではありませんが、ドライノーズを放置しておくと、インフルエンザといった感染症にかかりやすくなる可能性も高まります。

ただ鼻がムズムズするだけだからといって放置してしまうと、いま問題になっている新型コロナウイルスにかかるリスクも高まる可能性もあるのです。

今回は、ドライノーズが起こる原因とその対策や解消方法について詳しくご紹介します。

1.ドライノーズとは

ドライノーズ

ドライノーズは簡単にいうと「鼻の中の粘膜が乾燥している状態」です。通常、私たちの鼻のなかはほど良い粘膜と線毛で覆われており、花粉やウイルスなどの侵入を防いでいます。
粘膜からは、潤い成分だけでなく、感染防御のための成分を含む粘液が分泌されます。

しかし、ドライノーズになると鼻粘膜が乾燥し、花粉やウイルスなどが侵入しやすくなります。

また、症状としては鼻の中がカサカサして、乾燥感やムズムズ感を感じます。

こうして鼻のなかに違和感が続くと、つい鼻を強くつまんだり、ほじったり、鼻を何度もかみたくなります。

こうして鼻を触ることにより症状が進行することも多く、鼻水がカサブタ状になったり、 出血や炎症が起きたりします。

1-1.ドライノーズの具体的な症状とは?

ドライノーズに多い具体的な症状は次のようなものです。

・鼻の中がカサカサしてかゆい
・鼻の中にピリピリとした痛みがある
・鼻をかむと血液が混じる
・鼻水がかさぶた状に固まっている
・毎年秋や冬の乾燥した時期になると鼻に違和感が生じる 

これらの症状に一つでも当てはまる場合は、ドライノーズの可能性があります。

ドライノーズになると、鼻に侵入した異物やウイルスなどを追い出す繊毛の働きが鈍くなります。

これにより、花粉症などのアレルギー性鼻炎やウイルスが原因の感染症に掛かりやすくなってしまうのです。

新型コロナウイルスが流行っている現在、ドライノーズを放置しておくことは決して良いとはいえないでしょう。

1-2.ドライノーズになりやすい人とは

ドライノーズは乾燥が主な原因です。そのため冬場には誰もがなりやすいといえるでしょう。ただ、普段の生活において次に当てはまる人はとくに注意が必要です。

・長時間エアコンを使っている部屋にいる
・利尿剤を飲んでいる
・水分摂取が少ない
・アレルギー治療薬(点鼻薬)を常時使用している
・口呼吸をしている
・高齢者

エアコン

エアコンは部屋の湿度をもっとも下げる暖房器具です。季節にかかわらず長時間エアコンがついている部屋にいると、鼻の中の粘膜が乾燥し、ドライノーズにかかりやすくなります。

また利尿剤を飲んでいたり水分摂取が不足すると、粘液分泌が低下し、ドライノーズになりやすくなります。

また、アレルギー治療として、スプレータイプの点鼻薬を長期使用していると、鼻腔が乾燥しやすくなり、ドライノーズを引き起こすことがあります。

そして高齢者の場合は、加齢とともに粘膜が萎縮するため、粘液の分泌量が減少して鼻粘膜が乾燥し、ドライノーズになりやすいです。

1-3.アレルギー性鼻炎の点鼻薬とドライノーズ用のスプレーの違い

アレルギー性鼻炎の場合の点鼻薬は医薬品ですが、ドライノーズのスプレーは点鼻薬ではなく、医薬品ではありません。

1.アレルギー性鼻炎の点鼻薬の特徴

点鼻薬

・ステロイド成分主体の点鼻薬

花粉症による、くしゃみや鼻水、鼻づまりに優れた効果があり、全身的な影響が少ないとされています。

初期症状から使用することで、花粉の飛散ピーク時に症状が悪化するのを抑制してくれます。

・血管収縮成分主体の点鼻薬

腫れた鼻粘膜の血管を収縮させ、充血をとることにより、鼻づまりなどの症状を緩和します。

鼻づまりを一時的に改善する効果が高いのですが、続けて使用すると効果が減弱する傾向があり、逆に血管が拡張することがあるため、長時間の連続使用は避けましょう。

・抗アレルギー成分主体の点鼻薬

ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質の放出を抑制することで、アレルギー反応を抑えてくれます。効果が現れるまでに時間がかかる場合があります。OTC医薬品の場合は、血管収縮薬が配合されていることが多いです。

点鼻薬のほか、症状に合わせて、内服薬である抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬との併用や、アレルギー症状を引き起こす炎症性生物質の一つであるアレルゲンに慣らすことでアレルギー反応を弱めるアレルゲン免疫療法(減感作療法)と併用しながら治療していきます。

▼つらい花粉症を和らげるための治療法と生活習慣の見直し方

https://wellmethod.jp/hay_fever/

2.ドライノーズ用のスプレーの特徴

ドライノーズを気にする女性

対してドライノーズスプレーは、その主成分が0.9%の塩化ナトリウムでできており(ほか塩化ベンザルコニウム(保存剤)や精製水が含まれる)、医薬品ではありません。

欧米では、対症的に生理食塩水の点鼻が一般用に市販されています。

そのため、妊婦や授乳中の患者など、年齢や使用回数に制限がない鼻洗浄機として安心して使用できます。

ドライノーズスプレーは、鼻に乾燥感やムズムズ感を感じた時に使用すると良いでしょう。

ただし、鼻の中の乾燥症状が進んで発生したカサブタや出血、ただれには効きめがないため、症状がかなり進んでいる場合には耳鼻科を受診するようにしましょう。

・花粉症などのアレルギー症状への効果

花粉症などのアレルギー症状を緩和させる効果はありませんが、鼻の中をスプレーで洗浄することで、花粉はハウスダストなどを洗い流すことができます。

また、ほかの点鼻薬と併用することができますが、時間をあけて使用することと、念のために医師または薬剤師に相談の上使用するようにしましょう。

・使用の際には医師や薬剤師へ相談を

その鼻の症状が、アレルギー性のものかドライノーズのものか判断するのは難しいでしょう。ドライノーズスプレーは医薬品ではありませんが、医師または薬剤師に症状を伝えた上で使用するようにしましょう。

例えば、鼻の症状がアレルギーによるものである場合には、アレルギー性の点鼻薬が効きますが、その症状が、くしゃみはほとんどないのに鼻をかむ回数が多い、鼻をかんでも鼻水はほとんで出ないといったドライノーズだった場合に継続的にアレルギー性の点鼻薬を使用することで、かえって悪化する可能性もあります。

自己判断をせず、必ず相談するようにしましょう。

その他のドライノーズの改善方法については3章にて後述します。

1-4.放置しておくとどうなる?

ドライノーズを放置しておくと、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染、花粉症や喉の過敏症などに罹患しやすくなります。

健康的な鼻の中は粘膜や線毛があり、ほこりや花粉、ウイルスなどが侵入しても、粘膜や線毛が体内への侵入を防いでくれます。

しかし鼻の中が乾燥するとこれらのバリア機能が大きく低下し、体内にウイルスなどが侵入しやすくなるのです。

現在問題になっている新型コロナウイルスに関しても、ドライノーズが原因で感染のリスクが高まる可能性があります。

新型コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染によりうつる病気です。
最近では、見解が新たになり、空気感染も起こり得ると発表されています。

感染者のくしゃみや唾などを口や鼻から吸い込むことで罹患し、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ると、粘膜から感染してしまいます。

ドライノーズによって鼻のバリア機能が失われしまうと、新型コロナウイルスをはじめ、さまざまな病気になるリスクが高まってしまうのです。

ウイルス

1-5.自覚症状が低いため厄介

このようにドライノーズを放置しておくことと、風邪やインフルエンザといった病気にかかりやすくなってしまいます。

しかしドライノーズの厄介なところは、自覚症状がほとんどなく「ただ単に鼻がムズムズするだけ」といって放置してしまう人が多い点です。

放置しておくと病気にかかりやすいだけでなく、次第に鼻の機能が低下していくことも考えられます。

鼻のトラブルを放置して慢性炎症状態が続くと、免疫機能の異常にもつながります。

2.ドライノーズが起こる原因

ドライノーズが起こる原因は乾燥です。そのためドライノーズの症状が出やすいのは、湿度の高い春や夏よりも、乾燥した秋冬です。

またドライノーズが増えた原因として、エアコン暖房が指摘されています。

住宅の気密性も高まったことからエアコン暖房はさらに効きやすくなり、部屋の湿度が下げられることから、 ドライノーズに罹患する人が増えたとされています。

エアコン暖房が効いた部屋の湿度は、20%以下にもなります。このような乾燥した部屋に長時間いると、乾燥した空気によって鼻の粘液が乾き、ドライノーズを発症してしまいます。

さらに乾燥した時期はインフルエンザをはじめとした病気が流行し、ドライノーズにより感染症にも罹患しやすくなるのです。

3.ドライノーズの改善方法

ドライノーズを改善する方法は鼻粘膜を保湿することです。

ドライノーズが起こる原因は乾燥なので、部屋や鼻自体を保湿をすることで、ドライノーズの症状は緩和されます。

ここからは、日常的にできるドライノーズの予防や改善方法について見ていきましょう。

3-1.マスクをつける

マスクをした女性

マスクをつけると、鼻粘膜を保湿することができます。

新型コロナウイルス対策として、ここ最近はマスクをつける日常が当たり前になりました。そのためか筆者のドライノーズも、例年に比べると症状がやや和らいでいる気がします。

マスクは鼻を覆って正しくつけることにより、鼻粘膜の保護と保湿につながります。

息苦しいために口呼吸になってしまうことがありますが、感染症予防、ドライノーズ予防のためには、意識して鼻呼吸をしましょう。

市販の不織布マスクでも、手作りの布マスクでも構いません。症状が重い人は、家の中や寝ているときにもマスクを装着するのがおすすめです。

とくに睡眠中のマスクはドライノーズに効果的です。

寝ている間にマスクをすると、自分の吐く息がマスク内に溜まり、保湿効果が高まります。また、呼吸で排出された息は温かいため、低温乾燥が好きなウイルスも予防することができます。

3-2.加湿をして空気を乾燥させないようにする

加湿器

ドライノーズを防ぐには、基本的に部屋を乾燥させないことが大切です。

外ではマスクを着用して乾燥を防ぐことができても、部屋のなかで常にマスクを装着するのは難しいこともあるでしょう。

ですので、乾燥しがちな部屋では、常に加湿器をつけることが大切です。また、加湿器がなくても、次のような方法で部屋の湿度をあげることができます。

・洗濯物を室内に干す
・水を張ったボウルを部屋に置いておく
・バスタオルをかけ、定期的に水でスプレーをする

外気の乾燥が激しい冬の場合、部屋の理想的な湿度設定は50~60%です。部屋の乾燥を防ぐことは、ドライノーズの改善や予防をするだけでなく、喉や肌の乾燥を防ぐこともできます。

▼部屋の乾燥対策の詳しい解説はこちら

https://wellmethod.jp/room-drying/

3-3.薬を使い鼻をいじらない

ドライノーズを気にする女性

ドライノーズの症状があると、常に鼻がムズムズしたり、ヒリヒリとした違和感を感じたりします。

一度鼻をかんで症状がおさまれば良いものの、ドライノーズの場合はその症状が長く続くことが多いです。その場合は市販されている点鼻薬などを使い、必要以上に鼻を触らないことが大切です。

例えば鼻の中の粘膜が固まって出血をしている場合は、ドライノーズ用のスプレーや、ワセリンなどを使うと良いでしょう。

ドライノーズ用の点鼻薬やスプレー薬は市販でも多く売られています。

鼻腔内をしっとりとさせてくれるスプレーや、鼻腔内の湿度を保つジェルなどがあり、これらを使うことにより、年間を通して鼻の乾燥対策ができます。

埃やダニといったハウスダストや、PM2.5は年間を通して飛散しているので、鼻の乾燥を感じるときは点鼻薬を利用するのがおすすめです。

また、ドライノーズは鼻のなかの違和感から常に鼻を触ってしまう人もいます。

しかし鼻を触ること鼻の中にダメージが加わり、出血する原因にもなります。

鼻の中が出血してカサブタになると、また違和感が生じて触ってしまう、という悪循環を起こすでしょう。

そして鼻を触ることは手に付いた細菌を体内に取り込むことにもなります。カサカサした感じがひどくなる前に、点鼻薬を通じて適切に処理することが大切です。

3-4.症状がひどい場合は耳鼻科に相談を

ドライノーズは鼻に違和感があるものの、花粉症と違ってくしゃみや充血などはさほど出ないため、放っておいてしまう人もいます。

しかし放置するとさまざまな病気に罹患しやすいため、すぐに適切な処置をした方が良いのです。

また、市販スプレーでも対処できるものの、あまりにも鼻の中が傷ついていると市販スプレーでは対応しきれない場合もあります。

症状がひどかったり毎年ドライノーズを繰り返す場合は、一度耳鼻科で診てもらいましょう。

なかにはドライノーズだと思っていたら別の病気が隠れているケースもあります。ドライノーズは自己判断で放置せず、適切な治療を受けることも大切です。

4.ドライノーズを甘く見るのはNG、適切な処置をしよう

ドライノーズを予防する女性

ドライノーズは内臓疾患とは違い、放置しても直接命に関わるようなことはほとんどありません。

しかし放置しておくと、鼻からウイルスが入りやすくなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。それは新型コロナウイルスも例外ではありません。

ドライノーズを防ぐには、まずは乾燥を防ぐことが大切です。

部屋の湿度に注意し、マスクで鼻腔内を保湿するのも有効です。すでに出血していたり鼻水が固まっていたりする場合は点鼻薬などを使い、ドライノーズの症状を緩和していきましょう。

コロナ禍のいま、今年の冬はいつも以上に乾燥には気をつけましょう。
つらい症状が気になる方は我慢せずに、はやめに耳鼻科で診てもらうことをおすすめします。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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