更年期から増えやすい「子宮体がん」原因・病期・治療|がんを防ぐための向き合い方
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
みなさま、子宮体がんといった病気をご存じでしょうか。
子宮体がんは、名前の通り子宮にできるがんの一つです。
「いまは下腹部に不調がないし、自分には関係がなさそう」と思いがちですが、実はこの子宮体がんは女性の中でも更年期を迎えた私たちの世代から60歳代までをピークに発生するといわれている、とくに注意すべき病気の一つです。
一般的にがんのイメージは「怖い」「治らない」「抗がん剤が辛い」などがあるかと思いますが、実のところがんは種類によって、進行スピードや10年後の生存率、予後、治療方法などが全く異なります。
中でも子宮体がんは早期発見・早期治療ができれば決して治りにくい類のがんではありません。
子宮体がんとは、どのようながんで、治療はどのようなことをするのでしょうか。
また、日常生活においてどのような点を注意すれば良いのでしょうか。
今回、女性なら知っておきたい病気として、子宮体がんとその治療法についてご説明します。
目次
1.子宮体がん(子宮体癌)とは
子宮体がんは子宮体部から発生したがんを指します。
子宮は、妊娠時に赤ちゃんを育てる子宮体部と、分娩時に赤ちゃんの通り道となり子宮の入口につながる子宮頸部とに分けられます。
この子宮体部は筋肉でできており、内側は子宮内膜で覆われています。
子宮内膜は妊娠していないときは月経周期に合わせて毎月増殖・剥離を繰り返しています。
子宮内膜の剥離は月経として出血します。
この子宮内膜細胞が悪性化したものが子宮体がんです。子宮内膜にできるため、別名子宮内膜がんとも呼ばれています。
ちなみに、子宮の筋肉に起こる悪性腫瘍を子宮肉腫と呼び、子宮体がんとは分けられています。
ここでは、子宮体がん(子宮内膜がん)について説明します。
1-1.子宮体がんの患者数
日本全国において1年間に約16,000人が子宮体がんであると診断されています。
子宮体がんと診断される人は40歳ごろから増加して、50歳から60歳代でピークを迎えます。
参考)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000624853.pdf
https://gdb.ganjoho.jp/graph_db/gdb1?showData=&dataType=30&graphId=101&totalTarget=11&year=2015&years=1975&years=1976&years=1977&years=1978&years=1979&years=1980&years=1981&years=1982&years=1983&years=1984&years=1985&years=1986&years=1987&years=1988&years=1989&years=1990&years=1991&years=1992&years=1993&years=1994&years=1995&years=1996&years=1997&years=1998&years=1999&years=2000&years=2001&years=2002&years=2003&years=2004&years=2005&years=2006&years=2007&years=2008&years=2009&years=2010&years=2011&years=2012&years=2013&years=2014&years=2015&avgStep=&ageSybt=0&ageSt=009&ageEd=A85¤tAge=0&smTypes=16&smType=1&sexType=2&stage=0
2.子宮体がんの原因
子宮体がんには、エストロゲンという女性ホルモンの刺激により発生するケースと、エストロゲンとは関係なく発生するケースの2つに分けられます。
2-1.エストロゲン(卵胞ホルモン)の刺激が長期間続くこと
多くの子宮体がんには、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が深くかかわっています。
エストロゲンは、子宮内膜を厚くする働きがあるため、このエストロゲンが相対的に高く長期間の刺激を受けている方は、子宮内膜増殖症という前段階を経て、子宮体がん(子宮内膜がん)の発生率が高くなることが知られています。
1.肥満、月経不順、エストロゲン製剤のみのホルモン療法
エストロゲンに関係している原因として、肥満や月経不順・出産経験がない・閉経が遅いなどが挙げられ、子宮体がんのリスク因子と考えられています。
例えば、肥満は体脂肪からのエストロゲン分泌が多くなり、月経不順により排卵回数が少なくなると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が減り、相対的にエストロゲン過剰状態を招くことが要因と考えられます。
また、ホルモン補充療法で、エストロゲン(卵胞ホルモン)製剤だけの投与を受けている場合も同じリスクが生じます。
ただし、エストロゲンについては、黄体ホルモン製剤を併用することによって、子宮体がんの発生リスクが高くならないことがわかっています。
2.エストロゲンの刺激と関係ない場合
子宮体がんにはホルモンの刺激とは関係なく発生するがんもあります。
特徴の多くは萎縮した内膜にがん関連遺伝子の異常が起こり発生することがわかっており、高齢者に多くみられるといわれています。
また、遺伝的に子宮体がんを発生しやすい方もいます。がん抑制遺伝子に生まれつきの異常があり、若くして発症する傾向があります。子宮体がんとともに大腸がんや卵巣がんにもなりやすく、家系にこれらの疾患が目立つ場合は遺伝性腫瘍に注意して若い頃から子宮体がん健診を受けるようにしましょう。
3.子宮体がんの症状
・月経とは関係のない出血や茶色いおりものがある
・排尿しづらい、排尿痛がある
・性交中に痛みを感じる
・下腹部や腰が痛い
子宮体がんの初期症状は、何よりも不正性器出血です。出血は褐色のおりものだけの場合もあります。がんが進行し骨盤内に広がると排尿や性交による痛みが出てきます。早い段階で少量の出血があり気づけることが多いので、月経以外の時期に少量であっても不定期な出血を自覚した場合は、ホルモンバランスのためかなと放置せず医療機関に相談しましょう。早期発見・早期治療に繋がります。
とくに子宮体がんの好発年齢は50-60代と比較的高いため、閉経後あるいは更年期での不正出血には注意が必要です。
また、閉経前でも月経不順、乳がんを患ったことがある方は注意が必要です。
▼その不正出血の原因は? 生理以外の出血に潜む危険な理由と分類別特徴
https://wellmethod.jp/unjust-bleeding/
4.子宮体がんの検査
子宮体がんの診断には子宮内膜細胞診が必要です。
人間ドックや健康診断では取り扱っていないことが大半なので、産婦人科を受診して受けましょう。
4-1.子宮内膜細胞診
子宮内膜細胞診は、子宮の内部に細い棒状の器具を挿入して細胞を採取し、がん細胞の有無を顕微鏡で診断する方法です。高齢のため器具の挿入が難しい場合以外は、診断のために必ず行います。
麻酔は必要なく、外来通院で簡単にできますが、採取後数日は少量の出血が続きますのでスケジュールには注意して申し込みましょう。
4-2.超音波検査
子宮内膜の厚みや腫瘤のサイズ・位置をみる補助的検査として、細胞診と同時に超音波検査を行います。子宮の中の様子を見るためには、専用の細いプローブを膣から挿入して観察する経膣超音波検査を行います。
4-3.子宮体がんの精密検査
診断がはっきりしない場合、さじ状の器具を使って組織を採取して診断する組織診を行います。がんが疑わしい場合は、子宮鏡(ヒステロスコピー)という内視鏡検査で子宮の中を観察し組織を採取します。
また子宮体がんと診断されると、CTやMRIなどの画像検査によってがんのサイズや広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無などを調べます。
5.子宮体がんの病期(ステージ)について
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。
治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的です。
5-1.病期(ステージ)
子宮体がんの病期は、がんの大きさだけでなく、子宮の筋肉の層内にがんがどの程度深く入っているか、リンパ節転移や肺などへの遠隔転移があるかどうかで分類されています。
子宮体がんでは、手術で摘出したものを病理学的に診断した結果をもとに、がんがどの程度広がっていたかを調べて決定する、手術進行期分類を用います(表1)。
このため、手術前に推定される臨床病期とは一致しないことがあります。
最初の治療で手術をしなかった場合は、CT検査やMRI検査、PET/CT検査などの画像診断により病期を推定します。
表1:手術進行期分類
I期:がんが子宮体部に限局するもの |
IA期 がんが子宮筋層1/2 未満のもの IB期 がんが子宮筋層1/2 以上のもの |
II期:がんが頸部間質に浸潤するが、子宮をこえていないもの* |
*頸管腺浸潤のみはⅡ期ではなくⅠ期とする |
III期:がんが子宮外に広がるが、小骨盤腔をこえていないもの、または所属リンパ節へ広がるもの |
IIIA期 子宮漿膜ならびに/あるいは付属器を侵すもの IIIB期 腟ならびに/あるいは子宮傍組織へ広がるもの IIIC期 骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの IIIC1期 骨盤リンパ節転移陽性のもの IIIC2期 骨盤リンパ節への転移の有無にかかわらず、傍大動脈リンパ節転移陽性のもの |
IV期:がんが小骨盤腔をこえているか、明らかに膀胱ならびに/あるいは腸粘膜を侵すもの、ならびに/あるいは遠隔転移のあるもの |
IVA期 膀胱ならびに/あるいは腸粘膜浸潤のあるもの IVB期 腹腔内ならびに/あるいは鼠径リンパ節転移を含む遠隔転移のあるもの |
参考)
https://jsgo.or.jp/guideline/taigan/2018/taigan2018_02.pdf
5-2.術後の再発リスク分類
手術後の治療方針を決めるために、手術で採取したがん細胞の組織型や悪性度と、がんの広がりから再発のリスクを予測します。
子宮体がんは、組織型や悪性度により3つのグループに分けられます。
具体的には、再発の低い順に、「類内膜(るいないまく)がんのうち悪性度が比較的低いもの」「類内膜がんのうち悪性度が高いもの」「漿液性(しょうえきせい)がん・明細胞(めいさいぼう)がん」の3つです。
手術後は、これら3つのどのグループに所属するのかと、子宮の筋肉の層、血管、リンパ管、子宮頸部、子宮の周りへのがんの広がりから、再発リスク分類のうち、低リスク、中リスク、高リスクのどれに当てはまるか予測した上で治療方針を決めていきます。
6.子宮体がんの治療法
6-1.基本は外科的手術(外科的治療)
子宮体がんの基本は外科的手術です。
手術により、子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を取り除くことが基本です。
がんが転移していく先であるリンパ節も摘出(リンパ節郭清)することで最終的ながんの広がり(=進行期、ステージ)を評価しますが、がんの種類や広がりによってはこれを省略することもあります。
また、一部の早期子宮体がんに対しては、従来のお腹を大きく切る開腹手術だけではなく、カメラを用いた腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も、保険診療として行われるようになってきています。
手術後は、摘出した子宮や卵巣、リンパ節を顕微鏡で調べて子宮体がんの進行期を決め、再発リスク分類による判定を行い、結果に応じて術後補助療法を選択します。(「5-1.病期(ステージ)表1:手術進行期分類」参照 )
再発のリスクが高いと考えられる場合には、抗がん剤による化学療法や放射線療法が術後に追加されます。日本国内では主に化学療法が行われることが多いです。
6-2.手術以外の治療法
がんが再発した場合や手術不能例に対しては、化学療法や放射線療法、ホルモン療法などが行われますが、遺伝子変異と関連する一部の子宮体がんでは免疫チェックポイント阻害薬が使用できる場合もあります。
1.化学療法(抗がん剤)
化学療法(抗がん剤)は再発高リスク群やと中リスク群の術後補助治療として使われます。
また再発した場合、遠隔転移や進行して手術が困難な場合にも用います。
子宮体がんに効果を示すとされる抗がん剤は、シスプラチン、カルボプラチン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、エピルビシン、ドセタキセル、フルオロウラシルなどがあり、これらの抗がん剤を組み合わせて投与します。
抗がん剤の効果が認められれば、少なくとも3~6回繰り返します。
体内に入った抗がん剤は、血流にのって全身を巡り、がん細胞を攻撃しますが、同時に正常な組織もダメージを受けます。これが副作用となります。
2.ホルモン療法
ホルモン療法は、妊娠する可能性を残すために子宮を温存したい場合や、全身状態が悪く手術・放射線療法・抗がん剤療法が難しい場合などに考慮することがあります。
治療には、合成黄体ホルモン製剤を用います。一般には内服投与ですが、子宮内リングによる局所投与も併用される場合があります。子宮を温存した場合、比較的再発率が高いことや血栓症などの有害事象もあり、限界や問題点について理解が必要です。
また、ホルモン療法への抵抗性と再発のリスク因子として肥満が挙げられています。代謝的要因が関与するため、インスリン抵抗性改善を目的としてメトホルミンの併用も行われています。
3.放射線療法
放射線療法は、高齢者や他にかかっている病気などによって手術ができないとき、また、がんの進行や転移による痛みなどのがんによる症状や、止血の難しい出血を抑えるときに行うこともあります。
放射線による治療では、高エネルギーのX線やガンマ線でがん細胞を傷つけ、がんを小さくします。
手術後の再発予防を目的として、体の外から放射線を照射する外部照射、または、腟内から子宮の中に放射線を照射する腔内(くうない)照射を行います。
副作用は人によって程度は異なりますが、子宮体がんの放射線治療の場合、直腸炎、膀胱炎、小腸の閉塞(へいそく:ふさがること)や下痢などが起こることもあります。
治療が終わって数ヵ月から数年たって起こる症状(晩期合併症)もあります。
6-3.子宮を残したい場合
子宮体がんの標準治療は、子宮と卵巣・卵管の摘出です。
しかし、妊孕性温存(妊娠する力を保つ)のためには、子宮と卵巣を残す必要があります。
子宮と卵巣の温存は、あくまでも出産を希望する40歳未満が対象となり、低悪性度の組織型で、浸潤と転移がない場合に限って適応されます。
この場合、ホルモン療法を行いますが、比較的再発率が高いことや血栓症などの有害事象があることについて理解した上で、医師と十分に相談し慎重に検討する必要があります。
7.子宮体がんの再発
子宮体がんでは、子宮や腟などの骨盤内で起こる限られた範囲(局所)での再発の他、肺や肝臓などの子宮から離れた臓器で転移として再発することがあります。
局所での再発の場合は、手術を行うこともありますが、化学療法や放射線治療を行うことがほとんどです。
再発といっても、それぞれの患者さんで病気の状態は異なります。
がんの広がりや再発した時期、これまでの治療法などによって、今後の方針を決めていきます。
8.子宮体がんを予防するための5つの生活習慣
子宮体がんをはじめ、がんを予防するためには、日頃からがんになるリスクを抑える生活を意識することが大切です。
国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づいた日本人のためのがん予防法」では、現時点で科学的に妥当な研究方法で明らかにされている結果をもとに、日本人のためのがん予防を提示しており、以下の5つの生活習慣を実践することによりリスクが軽減されるとされています。
参考)
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/
・禁煙する ・節度のある飲酒 ・バランスの取れた食生活 ・体を動かす ・適正な体重を維持する |
8-1.禁煙する
喫煙は、がん全体のリスクが確実に上げる明らかな要因の一つです。
そのため、たばこを吸っている人は禁煙することが大切です。
また、受動喫煙は、肺がんの確実なリスク因子とされています。
吸わない人も他人のたばこの煙を避けましょう。
禁煙する際は、禁煙外来など専門家とともに取り組むことが成功への近道です。喫煙をしている方は、ぜひ禁煙に取り組んでみましょう。
8-2.節度ある飲酒
多量の飲酒は、がん全体のリスクを上げることになります。
特に飲酒は食道がん、大腸がんと強い関連があり、女性では男性ほどはっきりしないものの、乳がんのリスクが高くなることが示されています。
女性のほうが男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。
飲酒量の目安として、純エタノール量換算で1日あたり約23g程度にとどめるよう意識しましょう。
【1日の飲酒量の目安(1日の純エタノール量換算で23g)】
※いずれかの量までにとどめましょう
日本酒…1合 ビール…大瓶1本 焼酎・泡盛…原液で1合中2/3 ウィスキー・ブランデー…ダブル1杯 ワイン…ボトル1/3程度 |
8-3.バランスの取れた食生活
がんのリスクを抑えるためには、バランスのとれた食生活をとることが大切です。
とくに「塩分の取りすぎ」「果物や野菜をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとる」ことは、がんのリスクを上げるとされています。
そのため、食事の中では、以下の3点を意識するようにしてみましょう。
・減塩をする(1日当たりの食塩摂取量は、男性は8.0g未満、女性は7.0g未満を目安に行う) ・野菜と果物不足にならないように、意識的に摂取する ・熱い飲み物や食べ物は冷ましてから口にする |
8-4.体を動かす
仕事や運動などで、身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。
また、身体活動量が高い人では、がんだけでなく、心疾患のリスクも低くなることから、死亡全体として考えた場合のリスクも低くなります。
普段の生活の中で、可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。
運動量の目安として、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行う。
もしくは、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行うことが理想です。
8-5.適切な体重を維持する
これまでの研究から、男性の場合、肥満度の指標であるBMI(※)値21.0~26.9でがんのリスクが低く、女性は21.0~24.9で死亡のリスクが低いことが示されています。
つまり、がんを含むすべての原因による死亡リスクは、太りすぎでも痩せすぎでも高くなることがわかりました。
また、健康全体のことを考えると、男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理するのが良いといわれています。
※BMI:Body Mass Index 肥満度を表す指標です。値が高くなるほど、肥満度が高いことを表します。
BMI値=(体重kg)÷(身長m)の2乗
9.エストロゲン過剰に関与する生活因子
近年、子宮体がんは増加の傾向にあり、疫学的に動物性脂肪を好む地域に多いことが知られています。食事が肉食に偏らないように注意しましょう。
乳製品の摂取量は、閉経後女性の子宮体がんリスクの上昇に関与することが報告されています。牛乳に含まれる性ホルモンが関与していると考えられ、牛乳と乳製品を控えることは子宮体がんの予防に役立つと考えられます。
また、エストロゲンに似た作用を示す環境ホルモン(内分泌かく乱物質)が指摘されています。生活を便利なものにしているプラスチック製剤、洗剤、農薬などがこれらの化学物質を含みます。子宮体がんはエストロゲン依存性に発生する疾患の一つですので、環境ホルモンが発症・進行に関係している可能性があります。現在のところ、ヒトへの影響について確たる因果関係を示す報告はありませんが、野生動物の調査、疫学調査等から女性生殖器系への影響が指摘されています。
これらの使用を極力控えた生活を送ることも、健康を守るために役に立つ可能性があります。
10.気になる症状がある場合には早期受診しましょう
子宮体がんは近年増加傾向にありますが、婦人科系のがんの中では比較的予後が良いがんで、早期発見・早期治療を行えば完治が見込める病気です。
そのためにも、自分の体としっかり向き合い、ちょっとした変化にも気付けるようにしたいものですね。
筆者も婦人科検診に通い、定期的に婦人科系のがんがないかをチェックしています。
定期的に検診を受けることで、発見が早くなりますし、ご自身の意識づけにもなるのではないでしょうか。
生理と生理の間に出血がある、生理がなくなったのに出血があるといった場合は注意が必要です。
もし、心配な症状があれば婦人科での診察を躊躇することなく受けることが大切です。
輝く日々を過ごしていく私たちのためにも、体を大切にしていきましょう。
この記事の監修は 医師 藤井 治子先生

藤井 治子
監修医
産婦人科専門医・医学博士
医療法人ハシイ産婦人科副院長
奈良女子大学非常勤講師
資格
日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本抗加齢医学会認定医
国際認定ラクテーション・コンサルタント
乳癌検診超音波検査判定医師A判定
マンモグラフィー撮影認定診療医師B判定
日本母体救命システム認定ベーシックインストラクター
臨床分子栄養医学研究会認定医
所属学会
日本産婦人科学会医会
日本女性医学学会
日本生殖医学会
日本産婦人科乳腺医学会
日本東洋医学会
日本超音波医学会
日本ラクテーションコンサルタント協会
学歴
高知大学医学部医学科卒業京都大学大学院医学研究科卒業
大学卒業後産婦人科一般診療に従事し、大学院では胚着床メカニズムについて研究。
現在は地域医療を担う分娩施設で妊娠・出産を支えつつ予防医療にも力を注ぎ、
思春期から更年期まで全てのライフステージにおける女性特有の症状に、分子栄養療法や漢方療法を取り入れ診療を行なっている。
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https://hashii-hp.jp/
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。