こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

みなさまは子宮内膜症にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

子宮内膜症という病気があることは知っているけれど、どんな検査や治療が必要になるのか知らないという方も多いのではないでしょうか。

「生理痛がひどい」
「生理が長引く」

こうした症状があっても「またいつものことか」とそのままにしておく方も少なくありません。

また40代以降になると更年期症状も現れてくるため、とくに婦人科系の疾病については「更年期だから」と様子を見てしまいがちです。

実は筆者の姉がそうだったんです。

生理痛がひどくなったり腰に痛みがあったりといった症状はあったものの、そのまま様子を見ていました。

しかしあまりに痛みがひどくなってきたため婦人科を受診すると子宮内膜症という診断でした。

子宮内膜症は他の病気と間違われることも多く、さまざまな検査が必要となることも多い病気です。

また婦人科系の病気は、とくに受診するまでに時間がかかってしまうことも少なくありません。

子宮内膜症は年代問わず発症する病気ですが、更年期世代の女性はとくに子宮内膜症の症状や検査や治療法などを知っておくことが大切です。

今回は40代を過ぎたゆらぎ世代の女性だからこそ知っておきたい、子宮内膜症の症状や検査・治療法についてご紹介します。

1.子宮内膜症とは

子宮内膜症 お腹にハートを持つ女性

子宮内膜症とは本来骨盤内の子宮腔に存在するはずの子宮内膜組織が、子宮腔以外の部位に存在し、増殖する病気です。

一般的に子宮内膜症は腹膜または骨盤内臓器の表面を覆う膜にでき、一般的には卵巣や子宮筋層、卵管、子宮広間膜(しきゅうこうかんまく)・ダグラス窩(だぐらすか)・仙骨子宮靱帯(せんこつしきゅうじんたい)など骨盤内に広くに発生し、直腸、膀胱や尿管を巻き込んで発育することがあります。

その他にも比較的稀ではありますが、小腸・大腸の表面や腟・子宮頸部・手術創に発生することがあります。

またさらに稀なケースとして肺・胸膜・心膜でも発生することもあります。

1-1.子宮内膜症は不妊の原因になるの?

子宮内膜症の最大の問題は、「痛み」と「不妊」です。

妊娠希望のある子宮内膜症患者さんの約30-50%に不妊症があり、不妊症患者さんの25-50%に子宮内膜症があると考えられており、不妊症最大の原因といわれています。

妊娠を阻害するメカニズムはまだ十分解明されていませんが、骨盤内の正常構造の歪みと慢性炎症によって、卵管による卵子の取り込みや輸送、受精が阻害されるためと考えられています。

2.子宮内膜症の原因とは

子宮内膜症の原因 月経イメージ

子宮内膜症の原因はいまだ明確になっていません。

子宮内膜症の発症メカニズムとしてもっとも広く受け入れられているのは、月経時に子宮内膜細胞が子宮腔から他の部位に運ばれ定着し、増殖することで発症するというものです。

子宮内膜組織が月経により剥がれ、卵管内を逆流するのはよく見られる現象であり、腹腔内に子宮内膜細胞が運ばれる可能性は否定できません。

またリンパ系や循環系によって子宮腔から離れた部位に子宮内膜細胞が運ばれる可能性も考えられます。

その他にも子宮内膜症の原因として体腔上皮化生(たいくうじょひかせい)と呼ばれる仮説もあり、体腔上皮が子宮内膜腺様に変化するというものです。

また子宮内膜症患者の第一度近親者(親・子・姉妹・二卵性双生児)で子宮内膜症の発病率が高いことから、遺伝が関与しているとも考えられています。

2-1.子宮内膜症の危険因子

子宮内膜症の明確な原因はわかってはいませんが、潜在的な危険因子としていくつかわかっているものがあります。

・第一度近親者の子宮内膜症の家族歴
・高齢での出産または未経産
・早い初経
・遅い閉経
・月経周期が短く(27日未満)月経が重くて長い(8日を超える)
・ミュラー管欠損
・ジエチルスチルベストロール(流産防止剤などに使用された合成エストロゲン)の子宮内曝露

2-2.子宮内膜症の防御因子

子宮内膜症には防御因子として考えられているものもあります。

・複数回の出産
・長期間の授乳
・遅い初経
・低用量の経口避妊薬の使用(連続的または周期的)
・定期的な運動:とくに15歳未満で運動を開始した・週4時間以上運動を行うといったこれら両方に該当する場合は防御因子となります。

3.子宮内膜症の症状とは

子宮内膜症 症状 カウンセリングを受ける女性

子宮内膜症は痛みを伴う症状が多く見られるのが特徴です。

・生理痛
・下腹部痛
・腰痛
・性交痛
・排便痛
・排卵痛

これらの症状は徐々に痛みが進行していくとともに、6カ月以上症状が続くことがあります。しかしこうした症状がある一方で、無症状の方もいます。

また子宮内膜症の部位によって症状はさまざまです。

・大腸:排便時の痛み・腹部膨満・下痢または便秘・月経中の下血
・膀胱:血尿・排尿時の恥骨上部痛または骨盤痛・頻尿
・卵巣:子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の形成、排卵障害
・卵管:子宮・卵巣・卵管の癒着による卵管閉鎖、卵管留血腫
・骨盤外の構造:腹部の鈍い痛み

4.子宮内膜症の検査・診断

子宮内膜症 検査イメージ 聴診器

子宮内膜症の診断は難しく骨盤内炎症性疾患や尿路感染症・過敏性腸症候群との識別が困難といわれています。

そのため、医師が必要と判断したときはさまざまな検査が行われることがあります。

4-1.問診

問診によって症状などを聞き取ります。生理の周期や痛みを感じる部位・程度、妊娠の希望があるかなどが主な内容です。

4-2.内診

内診では子宮の大きさや子宮の可動性を確認します。

子宮は骨盤腹膜(こつばんふくまく)と靭帯によって骨盤内で支えられているため、内診をすると子宮は上下左右にある程度動きます。

子宮内膜症が進行し、ダグラス窩や子宮広間膜に病変が広がると、子宮が骨盤内にある他の臓器と癒着するため子宮の動きが悪くなります。腟からの診察に加えて、肛門から直腸の診察も行い、癒着やダグラス窩の硬結、腸の巻き込みを調べます。

内診は、超音波やMRIなどの画像検査では子宮の動きまで確認することが難しいため、判断に際して大切な検査です。

4-3.超音波検査(エコー検査)

経腟超音波検査では子宮や卵巣の腫れや癒着の有無を調べることができます。

また子宮内膜症の範囲が明らかになるため、その他の検査が必要かどうかの判断材料の一つとなります。

最も簡便で情報を得やすい検査法で、子宮内膜症の診断と治療効果の判定や経過観察のために欠かせません。

4-4.MRI検査

MRI検査は超音波検査よりも骨盤内にある臓器の状態をより詳しく知ることができます。

しかしMRI検査を行っても癒着などの確実な評価は難しいといわれています。

4-5.血液検査

子宮内膜症 血液検査イメージ

子宮内膜症の診断で血液検査が行われることがあります。

血液検査では血清CA125の値を検査します。CA125の正常値は35U/mlですが子宮内膜症が疑われる場合、値が上昇することがあります。

しかしこのCA125の値は特異度が低く、診断や管理に用いられることは少なく、診断の補助的な検査として行われています。

4-6.腹腔鏡検査・生検

腹腔鏡検査とは腹腔に小さな穴を開け腹腔鏡によって骨盤腔内を観察します。

腹腔鏡検査は体に負担がかかるため、自覚症状が乏しいときは積極的に行うことはなく、主に不妊治療の一貫として行います。

また医師が必要と判断したときは生体検査(生検)が行われることがあります。

5.子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療は薬物療法と手術療法があります。妊娠希望の有無や症状の重症度・進行度によって医師と相談し決めていきます。

5-1.薬物療法

子宮内膜症 薬物療法

薬物療法は痛みを抑える「対症療法」と子宮内膜症の進行をコントロールする「ホルモン療法」にわけられます。

1.対症療法

対症療法は痛みを軽減するために有効ですが、子宮内膜症の進行を防ぐ作用はありません。

よく処方される薬剤は以下のとおりです。

・鎮痛剤:ロキソニンなど
 子宮内膜において痛みを発生させる物質「プロスタグランジン」の産生を抑えることで痛みを軽減させます。

・漢方薬:桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・芍薬甘草湯など
 漢方的な考えでは生理痛は「うっ血」「水毒」によるものと考えられています。

これらの原因を緩和するために漢方薬が処方されることがあり、強くはないが疼痛緩和効果があり、補助的に使用されることが多いです。また、ホルモン療法に伴う低エストロゲン症状を軽減する効果もあります。

2.ホルモン療法

ホルモン療法では、排卵を抑制することにより、卵巣に由来する内因性エストロゲン分泌を低下させて、子宮内膜症病巣を退縮させる効果と、病巣局所に直接働いて退縮させる効果があります。

使用期間に限り子宮内膜症の進行を防ぐことは可能ですので、服薬を中止すると再発する可能性があります。

通常、子宮内膜症は生涯にわたる管理を必要とする疾患ですので、複数の製剤を組みあわせて長期的に継続し、手術療法も取り入れる時期を工夫して効果的に抑制を試みます。

・低用量ピル

低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンの周期的な分泌を低下させることで、子宮内膜症の増殖を抑える効果が期待できます。第1選択薬として考慮されます。
28日周期投与法よりも、長期間連続投与法の方が、疼痛日数を減少させるため、推奨されています。

ただし、適応に制限があり、血栓症、乳がん、肝機能障害、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを持つ場合は内服することができません。また、35歳以上で1日15本以上のヘビースモーカーも内服することができません。

・ジエノゲスト (プロゲスチン製剤)

ジエノゲストは子宮内膜症病巣への直接作用をもち、慢性深部疼痛への効果も高く、長期使用も可能であるため、現在低用量ピルとともに第1選択薬になっています。

低用量ピルに比べて、血栓症、乳がん、肝機能障害のリスクが少なく、低用量ピルが使いにくい方にも使用できる利点があります。また、GnRHアナログに見られる低エストロゲン症状も少なく、穏やかで使いやすいお薬です。ただ、不正性器出血が目立ち、開始から数ヶ月持続することもあります。

・ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRHアゴニスト)

ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)とは、視床下部から脳下垂体を刺激して卵巣刺激ホルモンを分泌させるホルモンで、GnRHアゴニスト製剤とは、脳下垂体から分泌する卵巣刺激ホルモンの分泌を促す薬剤です。一過性には卵巣を刺激するものの、長期的に用いることで、卵巣からのエストロゲン産生を抑制することができ、病巣縮小効果と疼痛抑制効果に優れます。

しかし、卵巣機能の抑制作用が強いため、長期間使用すると骨量減少をきたすことがあるため、治療期間が6ヵ月までと制限されています。

・ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴ二スト(GnRHアンタゴニスト)

GnRHアンタゴニスト製剤は、下垂体のGnRH受容体を阻害することで、卵巣刺激ホルモンを抑制します。前述の、GnRHアゴニスト製剤と同様の効果で、効果の出現が早いことが特徴です。

・レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)

避妊リングと同様に子宮内に留置する器具で、5年間連続挿入ができます。
プロゲスチン製剤を長期的に徐放することにより、月経痛への有効性が示されています。直接病巣を退縮する効果ははっきりしていませんが、全身へのホルモン作用がほとんどなく、副作用が少ない治療法です。

子宮内膜症の原因 基礎体温イメージ

現在、子宮内膜症の原因は明らかになっていませんが、エストロゲンが子宮内膜細胞の増殖を促し、かつ月経の度に子宮内膜症病巣でも異所性に出血を繰り返すため、病状が進行するということはわかっています。

よって、毎月エストロゲンが子宮内膜細胞を刺激しないように抑えること、月経を止めることが進行を軽くするために重要とされています。

子宮内膜症は、自然経過の中でも、閉経によって軽減し、妊娠すると月経が止まるため病気の進行が遅くなり、症状の緩和につながります。

このことから、前述しました、GnRHアナログ/アンタゴニスト療法は、「偽閉経療法」と呼ばれ、ジエノゲスト(プロゲスチン製剤)療法は、「偽妊娠療法」とも呼ばれます。

5-2.手術

中等症から重症の場合、または不妊症の原因となっている場合は、骨盤内構造を正常化させながら、可能な限り子宮内膜症組織を除去または切除します。

通常は腹腔鏡下で電気焼灼法を用います。

結腸を巻き込む場合は結腸の閉塞を予防するために大腸内視鏡下での結腸部分切除術が必要となる場合があります。

子宮摘出手術は、妊孕性温存を希望する場合には行いません。子宮筋層内にも病変(子宮腺筋症)を伴っていたり、子宮内膜症の根治的な治療を希望し、かつ妊娠を希望しない場合にのみ行われます。

6.気になる症状があるときは早めに受診をしましょう

子宮内膜症 検査 お腹を抑える女性

40代を過ぎると体調に変化を感じやすくなります。

更年期世代ということもあり、婦人科系の疾患を更年期症状として捉えてしまいがちです。

子宮内膜症はよく耳にすることもあるかと思いますが、検査や治療方法についてはあまり知られていない疾患の一つであります。

発症は10代から始まり、不妊症にも関わり、女性の生活の質を落とす辛い疾患です。

残念ながら、明確な予防法は明らかにされていませんが、近年増え続けている慢性炎症性疾患の一つですので、バランスのとれた食事と運動習慣に加えて、動物性脂肪やトランス脂肪酸などの炎症を惹起する油脂の摂取を控え、炎症を抑制してくれるオメガ3系の油を積極的に摂取し、食物繊維や発酵食品により腸内環境を整え、化学添加物質を体内に取り込む機会を減らすことが、進行の予防につながります。

その上で、もしも気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

また毎年健康診断を受けることも大切で、安心や早期発見につながります。

いつも頑張っている自分の体を労わり、年に一度は体の点検を行いましょう。

この記事の監修は 医師 藤井 治子先生

【医師】藤井 治子
医師

藤井 治子

監修医

産婦人科専門医・医学博士
医療法人ハシイ産婦人科副院長
奈良女子大学非常勤講師

資格

日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本抗加齢医学会認定医
国際認定ラクテーション・コンサルタント
乳癌検診超音波検査判定医師A判定
マンモグラフィー撮影認定診療医師B判定
日本母体救命システム認定ベーシックインストラクター
臨床分子栄養医学研究会認定医

所属学会

日本産婦人科学会医会
日本女性医学学会
日本生殖医学会
日本産婦人科乳腺医学会
日本東洋医学会
日本超音波医学会
日本ラクテーションコンサルタント協会

学歴

高知大学医学部医学科卒業
京都大学大学院医学研究科卒業

大学卒業後産婦人科一般診療に従事し、大学院では胚着床メカニズムについて研究。
現在は地域医療を担う分娩施設で妊娠・出産を支えつつ予防医療にも力を注ぎ、
思春期から更年期まで全てのライフステージにおける女性特有の症状に、分子栄養療法や漢方療法を取り入れ診療を行なっている。

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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