皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

最近、貝印の広告がSNSで話題になっているのをご存知でしょうか。

「ムダかどうかは、自分で決める。」

というコピーと共に、オレンジ色の明るいヘアスタイルのヴァーチャルヒューマンMEMEが両手を挙げ、脇毛を堂々とみせつけるビジュアルが多くの人の心を惹きつけて、twitterでは、1.6万いいね!を稼いでいます。

貝印の広告では、従来の「女性の脇毛は恥ずかしい」「体毛は女性にとってはムダ毛」「体毛は男性のもの」という価値観ではなく、「男女ともに、体毛はあってもなくても良い」「剃っても剃らなくても良い」。
要するに、自分の気分やその時の状況で「どっちでも良い」という提案に共感が集まっています。

今、多くの人たちに共通する時代の欲求は、「美しさ」という鎧を脱ぎ捨てて、自由になり、自分らしさを表現したい!
そんな叫びのように感じられます。

ステレオタイプの「美しさ」を脱ぎ捨てて、私達はどう生きたいのでしょうか。

1.世界で起きている脱“ビューティー”の流れ

いま、世界的に、「美」のステレオタイプを脱ぎ捨てようという流れが巻き起こっています。

1-1.韓国発の脱コルセット運動とは?

ステレオタイプの象徴コルセット

ビューティー大国で、芸能人も一般の人も多くが美容整形を施し、化粧にも熱心というイメージのある韓国で、2018年頃から、女性をステレオタイプな美のコルセットから解放しようという「脱コルセット運動」が起こっています。

韓国と言えば、儒教的価値観が強く、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という固定概念が比較的強い国です。

特に、近年、Kポップアイドルにみるように、外見的な美しさの基準は定型的で、二重瞼に整った鼻筋、陶器のようにつるんとした白い肌、サラサラのヘアに、スラリとした肢体を持つことが女性としての必須条件のようにとらえられてきました。

中世のヨーロッパで、女性が男性にとって「美しく」みせるために、身体を締め付け健康を害するコルセットを身につけていたことから、ステレオタイプの女性像として押しつけられた価値観を「コルセット」と呼び、これを脱ぎ捨てようという運動です。

SNSでは、すっぴんを披露したり、ストレートパーマをかけない縮毛のままのヘアスタイルや「可愛い」とされない尖ったファッションを表現する写真をアップされています。

1-2.セルライトを堂々と披露するインスタグラマー

カメラ

「盛る」文化を中心的に牽引するインスタグラムにも変化が起こっています。

ドバイ在住の女性ジャーナリストDanae Mercer(ダナエ・マーサー)さんが、セルライトが目立つ太ももや臀部を加工することなく披露しながら、背中にポジティブなメッセージを書いて発信するアカウントが人気です。

「あなたの体重は変化しても、あなたの価値は変わらない」
「あなたは完璧になるために生まれたんじゃなくて、存在するために生まれてきたのよ」
「今の自分自身をリスペクトしてあげましょう」
「理想の体型より理想の人生を選びたい」

などのメッセージに共感が集まっています。

「ボディ・ポジティブ」と呼ばれるこのムーブメントは、往年のスーパーモデルのような体型を維持するために自分を歪めたり、不健康になったりすることへのストレスから解放され、「ありのままの自分が美しい」「自分らしい健康的な身体こそが大切」というメッセージを発信しています。

1-3.化粧は「生きるため」で炎上したカネボウ

化粧道具

日本では、2020年7月に化粧品メーカー・カネボウが公開したCMが反感を買ってしまいました。
「生きるために、化粧をする。」というコピーに批判が集まりました。

twitter上では、

「女性だけ化粧しなきゃ生きられない社会なんてクソくらえ」
「男も生きるために化粧したらいい」
「女性は美しく着飾れば、いいご主人様を見つけて幸せになれるってことですか?」
「女性に呪いをかけてまで化粧品売りたいんですか?」

などの様々なコメントが寄せられています。

「女性は化粧しないと生きられない」という意味にもとれるこのメッセージが、前時代的で、貝印のコピーのように、「ジェンダーに囚われず、多様性を発揮して生きよう!」というメッセージとは真逆の窮屈さを与えてしまいました。

1-4.大坂なおみという自由のアイコン

テニスラケット

全米オープンで、警察による暴力により命を落とした黒人差別の犠牲者の名前を記したマスクを着用しながら抗議をし、二度目の優勝を勝ち取った大坂なおみ選手は、現代に多様性を生きることのポジティブで強いアイコンになっています。

日本人の母とハイチ人の父のハイブリッドで、褐色の肌を持ちながらペラペラの英語と片言の日本語を使い、日本人選手としてアメリカを拠点に活躍する彼女は、まさに、地球の多様性の素晴らしさを体現しています。

その大坂なおみ選手がスポンサード契約する日清食品が、2019年、PRアニメで大坂なおみ選手の肌を白く描き「白人化」したと批判され、大坂なおみ選手に謝罪し広告を取り下げる騒動もありました。

これらに共通しているのは、押し付けられたステレオタイプの価値観への反発と、自由に多様性を表現したいという強い社会全体の欲求です。

2.「美しさ」を脱いでどう生きる?

2-1.美しさはコロコロ変化する

「美」の基準は「絶対的」であるかのように勘違いしてしまいがちですが、それは、時代や地域性などによって変幻自在です。

例えば、「すきっ歯」。

日本人にとっては、前歯に隙間がある「すきっ歯」に美しさを感じることはないでしょうが、欧米の人にとっては「歯と歯の間から幸運が入ってくる」とされ、幸運の象徴と考えられ、愛されています。

フランスでは、古くは、セルジュ・ゲンスブールの美の女神であり、エルメスのバッグの名前の由来にもなったジェーン・バーキン。そして、ジョニー・デップの元妻であるスーパーアイドル、ヴァネッサ・パラディもすきっ歯が特徴的です。
アメリカでは、美と強さのカリスマであるマドンナも、すきっ歯をその武器にしていますし、レディ・ガガは、ファッションのためにあえてのすきっ歯風メイクを施したこともあります。

一方で、日本では、かつてキュートとされていた「八重歯」は、欧米では「ドラキュラ」を連想し、不吉とされるため、美しさのためには絶対に矯正したいと考えられています。

メイクやファッションの流行も、時代時代によって移り変わっています。

平安時代は、高貴な人たちは、眉毛を引っこ抜き、額に炭で描く引眉(ひきまゆ)がスタンダードでしたし、バブルの頃に流行った細眉に、ソバージュ、ボディコン姿の女性達は今ではほぼ絶滅してしまいましたが、その当時は、それが「美」とされていたはずです。

体型についても、食料品が豊富すぎることが問題の先進国では、食べ過ぎて肥満になることは「醜い」こととみなされますが、飢餓に悩む国では、「多産」「豊穣」を連想するふくよかな女性が「美しい」とされることもあります。

このように、美しさの基準は、時代や地域性、短期的な流行などによってコロコロと移り変わってしまうものなのに、私達はそれに踊らされて、一喜一憂してしまいます。
絶対的な美しさなど、存在しないのですし、それぞれの人の個性、多様性が思う存分に発揮される時の本質的な美しさは、外側の基準によってステレオタイプに評価されるものではないのではないでしょうか。

2-2.自分をどう表現する?が分からない

虹色の色えんぴつ

私達は、とても重要な時代に生きています。

押し付けられた価値観を脱ぎ捨てて、自由に自己表現し、自由に生き方を選択していく権利を発揮できる訳ですが、その一方で、個性よりも協調性が重要視され、他人の目を気にしがちな日本人は、ここで、少し「ポカン」としてしまいがちかも知れません。

私達は、生まれた瞬間から、親の価値観や学校教育、社会の常識などを植え付けられ、自分の価値観という名の、外側からの鎧を気づかずに着ている状態です。
外側の世界から植え付けられた価値観を、あたかも自分の価値観だと思い込んでいます。

でも、おそらく、本当の自分の根本の声を聞く習慣がないために、本当の自分はどうしたいのか、何が好きで何が嫌いなのか、何が嬉しくて嬉しくないのかなどが分からず、自分の表現の仕方が分からないという人も多いのではないでしょうか。

2-3.流行やマナーにとらわれない

お洒落に迷う女性

例えば、これまで、雑誌などを見て「流行の」メイクやファッションをその都度取り入れていた人は、それを一旦やめてみるのはどうでしょう。

「春にはパステルカラー」と言われても、黒が好きなら全身オールブラックで。
「フレアスカートが来る!」と言われても、タイトスカートが好きならそれを貫けば良いでしょうし、パンツスタイルが好きならスカートを履かなくても良いでしょう。

化粧は、バッチリと決めたい時にはすれば良いですし、普段はナチュラルでいきたければ、別にしなくても良い。それが、仕事のシーンであっても、化粧は女性の「マナー」ではないですし、むしろ、男性もしたければすれば良いですね。

自然界、特に鳥の世界では、往々にしてオスの方が派手だったりします。それは、メスに求愛ダンスを踊る際に、目立ち、アピールするためとされています。
女性が男性にアピールするために「化粧をしなければならない」のとは真逆ですが、人間界でも、男性が化粧をして女性にアピールしても構わないのです。

2-4.年齢をごまかさず、素を生きる

素の自分で生きる

年齢をごまかさないことも、一つの自己表現です。

最近では、近藤サトさんがテレビに白髪をそのままに登場していることも話題です。
「白髪は染めるもの」という価値観ではなく、「若さにしがみつかず、グレイヘアのありのままを楽しむ」という潔さが共感を呼んでいます。

ウェルメソッドでは、年齢に抗う「アンチ・エイジング」ではなく、年齢と共にある「ウェル・エイジング」を提案しています。
今の自分を年齢のせいで否定するのではなく、そのままの自分を肯定し、自信を持って生きていくことが、当たり前の世の中になればと考えています。

ただ、もし、その方が自分が気分が良いのであれば、髪の色は何色に染めても良いですし、どんな年齢に見えるファッションを選んでも良いと思います。

限りなく、自由なのです。

素の自分のままに、思う存分生きて良いとしたら、どう生きたいでしょうか?
自由だからこそ、今、自分の心に問いかけてみる時ではないかと思うのです。

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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