皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

「エシカル」や「サスティナブル」というキーワードが、公共機関や商業施設、スーパーなどで目につくようになってきましたね。
ファッション誌やライフスタイル誌でも、特集が組まれるようになってきました。

「自分のため」の行動で、気づかないうちに、誰かや地球を犠牲にしてきたのがこれまでの時代。
でも、それは、持続不可能だし、人としてクールじゃない。

その行動が「自分のため」でも、もちろん良いのだけれど、同時に、誰かや地球をも幸せにするのが、「エシカル消費」や「サスティナブルなライフスタイル」です。

ヘルスケアにとっても、とても大切な考え方ですので、私自身も、日々実践しています。
無理なく、楽しく、自分らしく、エシカルでサスティナブルな暮らしをするヒントをお伝えしていきたいと思います。

1.人と地球の健康「プラネタリーヘルス」とは?

プラネタリーヘルス

1-1.人間だけの健康は実現しない

私自身は、医師なので、これまで「人間」のヘルスケアを提案してきました。
でも、実は、「人間だけ」を健康にすることは不可能です。

コロナ禍に誰もが実感したと思いますが、人間と環境は切っても切り離せません。
どんなに自分1人が健康になろうと思っても、環境の変化に翻弄されてしまいます。

人間と、それを取り巻く環境も同時にアプローチしないことには、本当の意味でのヘルスケアは実現しません。

1-2.「プラネタリーヘルス」とは?

人間を地球全体の生態系の一部と捉え直して、全体の健康を実現するという考え方を「プラネタリーヘルス」と言います。

地球と人間は別々な存在ではなく相互依存関係にあるという考えを基盤に、多様な生物が生かし合う自然環境を維持し、人間を含めた地球全体の健康を実現することを目指しています。

「プラネタリーヘルス」と言うと、壮大すぎてイメージが追いつかないと思われるかもしれませんが、自分自身も地球の一部なのですから、結局は、「自分のために」健康を実現する話でもあると考えてください。

※「Down to Earth: The Emerging Field of Planetary Health」Environ Health Perspect. 2018 Jul; 126(7): 072001.

1-3.SDGsの実現は「プラネタリーヘルス」のため

地球に暮らす全ての人、生物、そしてそれを取り巻く社会や環境の全てを健康的に、そして幸せにしよう。
それは、まさに「プラネタリーヘルス」ですが、そのためのアクションが、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)です。

「SDGs」は、社会や企業が考えるべきことで、自分個人とは無関係のように思ってしまうかも知れません。

でも、私たち一人一人が毎日消費するモノや食べ物は、それが生産・加工される過程で、地球環境や周囲の生態系、関わる人たちに何かしらの負担をかけてきました。
ですから、私たち一人一人が、SDGsに関わることがとても重要です。

プラネタリーヘルスあなたはどうする

1-4.「あなたはどうする?」が問われている

自分に悪気がないのに、自分の言動が誰かを傷つけてしまうことがあります。
それって、とても辛いことですよね?
知っていて傷つけるよりも、知らずに傷つける方が、致命傷とも言えます。

私たちのこれまでの行動は、後者だったと言えます。

誰かを傷つけていたことに気づいた時、あなたはどうしますか?
それが問われているのが、今です。

1-5.ハッピーのシェアと考える

そして、多くの場合、誰かを傷つける行動は、自分をも傷つけます。
結局、誰かに優しくする方が、自分の幸せや徳に繋がりますよね。

「エシカル消費」を心がけることで、誰にも負担をかけず、むしろハッピーにすることができる上に、結局は自分のハッピーに繋がります。

「人や社会、地球環境に配慮した倫理的に正しい消費」を行うのが、「エシカル消費」の意味ですが、日本語にするとピンと来づらいように感じます。

難しく頭で考えず「ハッピー」のシェアだと思えば、楽しく取り組めるのではないでしょうか?

自分も地球もハッピーになれば、「プラネタリーヘルス」が実現します。

2.今日からできる「エシカル消費」

エシカル消費

私たち一人一人は、社会で生活する限り、必ず何かを消費しながら生きています。

どんなに慎ましく生活しようとも、100%自給自足は、先進国で生きる限りは不可能です。
食品や生活必需品、衣服や電化製品、食器に家具、さらに、家や車など、全て消費によって成り立っています。

特に、食品や日用品は日々消費し、ほぼ毎日スーパーに足を運ぶ方も多いと思います。
エシカル消費は、今日から誰にでもできる、最も身近なアクションです。

2-1.「エシカル消費」に繋がるキーワード

エシカル消費に繋がるキーワードは、色々あります。

「フェアトレード」「オーガニック」「アニマルウェルフェア(動物福祉)」「リサイクル」「アップサイクル」「障害者支援」「地産地消」などは、いずれも、エシカル消費に当たります。

実は、気づかずに、スーパーで地産地消の農産品やオーガニック食品を買っていたかも知れませんね。

2-2.「エシカル消費」に役立つ認証マーク

エシカル消費の手掛かりになるのが、商品についている「認証マーク」です。
様々な認証マークがありますが、その代表的なものの一部をピックアップしてご紹介します。

1.オーガニック認証

オーガニック、つまり、農薬、化学肥料を使用する慣行農業に対して、それらを控えた農法の総称です。

人間が食べるものだけを単一的に栽培する既存の農業は、動植物の多様性を低下させ、耕作によって温暖化ガスを排泄し、農地化によって砂漠化を招く大きな原因になっています。

オーガニックと言えども、様々な農法がありますが、慣行農業と比較すると環境への負荷が低くなります。

世界のオーガニック認証がありますので、一例をご紹介します。

日本「有機JAS」

日本「有機JAS」

農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/index.html

農薬や化学肥料を使わず、遺伝子組換えでない農産物。有機飼料を使用し、アニマルウェルフェア(動物の福祉)に配慮するといった基準を満たした畜産に与えられる日本の認証制度。

日本「有機JAS」のついた商品

アメリカ「USDA」

アメリカ「USDA」

USDA https://www.ams.usda.gov/

アメリカの政府機関・農務省の基準に基づいて認定機関によって認定される。
農産物や食料品の基準ですが、オーガニックコスメに対しても採用される場合があります。

3年以上農薬・化学肥料を使っていない耕地で栽培されたもの、また、オーガニック原料を使っていること。
100%有機栽培で育てられた原料を使っている(100%Organic)。
水分と塩分を除き、重量ベースで95%以上がオーガニック原料を使っている(Organic)。

ユーロリーフ

ユーロリーフ

European Commission https://ec.europa.eu/info/index_en

EUの有機農業規則に従って生産された農産物であることを認証するマークです。
EUで最大の有機認証機関です。

EU加盟国において生産・包装されたすべての有機食品の内、EU基準をクリアしている製品には、ユーロリーフのロゴを付けることが義務づけられています。

ユーロリーフのついた商品

フランス「ECOCERT」

フランス「ECOCERT」

ECOCERT https://www.ecocert.com/

フランスの国際有機認定機関「ECOCERT」は、世界最大規模の団体です。
食品に対する認証だけでなく、化粧品に関する二段階の認証があり「COSMECO」と、さらに厳しい「COSMEBIO」があります。

衣料品「GOTS」

衣料品「GOTS」

NPO法人 日本オーガニックコットン協会 http://joca.gr.jp/

2年から3年以上、農薬や化学物質を使用せずに栽培されたオーガニックコットンを使用したコットン製品が対象となる認証。

「GOTS」マークのついたオーガニックコットンの商品

Textile Exchange https://textileexchange.org/

2.環境を守る認証

エコマーク

エコマーク

公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局 https://www.ecomark.jp/

日用品、衣料品、家電などから飲食店やホテルなどのサービスなどが対象となるため、様々な場所で見たことがあると思います。
「生産」から「廃棄」まで、製品のライフサイクルにおいて環境への負荷が少なく、環境保全に役立つ製品につけられる環境認証。

バイオマスマーク

バイオマスマーク

一般社団法人 日本有機資源協会 https://www.jora.jp/biomassmark/

日本有機資源協会による、化石燃料を由来とする素材の代わりに、生物由来のバイオマスを原料にした製品に付けられる認証。
プラスチック素材など、私たちの身の回りのものは、多くが化石燃料に由来しますが、気候変動や生物多様性の減少、また、マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題などが起きている現実があります。

含まれているバイオマスの割合が、乾燥重量で10%以上で、品質と安全性が確認された製品が対象になります。

森を守る「FSC®︎」認証

森を守る「FSC®︎」認証

FSC JAPAN https://jp.fsc.org/jp-jp

FSC®︎ (Forest Stewardship Council ®:森林管理協議会)による認証。
環境保全をはかり、地域社会や労働者・先住民などの人権にも配慮し、経済的にも持続可能な「責任ある森林管理」の規格を満たした森林や木材製品、それらを扱う組織につけられます。
FM(Forest Management、森林管理)認証とCoC(Chain of Custody、加工・流通過程)認証があります。

海を守る「MSC」認証「ASC」認証

持続可能な漁業と養殖業によって得られた海産物の認証です。
これらを選ぶことで、海の環境や生態系が守られ、未来にも持続可能性を持って魚を食べていくことができます。

MSC認証

MSC https://www.msc.org/jp/home

MSC認証は、「海のエコラベル」と呼ばれています。
水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の認証です。
海洋環境や水産資源に配慮した、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物を認証する制度。

ASC認証

ASC https://www.asc-aqua.org/ja/

ASC認証は、MSC認証の養殖業版のエコラベルです。
養殖水産業には、海洋環境の悪化、餌となる天然魚の過剰利用、養殖魚の逃避による生態系の攪乱など、環境に悪影響を及ぼすケースが少なくありません。
環境に負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業を「認証」し、「責任ある養殖水産物」を示すものです。

ASC認証・MSC認証

3.フェアトレード(公正・公平な貿易)

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベル

FAIRTRADE JAPAN https://www.fairtrade-jp.org/

製品の取引の最低価格を保証し、小規模な生産者と労働者の生活を守り、児童労働・強制労働を禁止し、有機栽培を奨励するといった基準を満たした製品に与えられる認証。

国際フェアトレード認証ラベルが付いた製品は、社会的、環境的、経済的基準について定めた国際フェアトレード基準を満たしています。

チョコレートやコーヒー、コットン製品などにみつけられると思います。

国際フェアトレード認証ラベルのついた商品

国際フェアトレード認証ラベルとユーロリーフのついた商品

4.アニマルライツ(動物の権利)アニマルウェルフェア(動物福祉)

LEAPING BUNNY(リーピング・バニー)

LEAPING BUNNY(リーピング・バニー)

LEAPING BUNNY https://www.leapingbunny.org/

動物実験を行わないことを示す、「クリエルティフリー」の認証マークです。
製品の開発から製造に至るまで、全てのプロセスで動物実験がされていない化粧品やそのメーカーを示すものです。

アニマルウェルフェア畜産認証

アニマルウェルフェア畜産認証

一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会 http://animalwelfare.jp/

アニマルウェルフェアとは、家畜動物を感受性を持つ生き物として扱い、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。
日本で初めて、一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会によって運用された認証制度です。
動物にストレスを与える、空腹、不快、痛みや病気、行動制限、恐怖や苦悩などからの「5つの自由」を守り、動物・管理・施設の各ベースの評価項目を80%以上クリアした農場を認証します。

他にも多数の認証がありますが、何かを購入する際に、その製品についているこれらの認証ラベルを目安にしてみると、エシカル消費に繋がり、結果として、プラネタリーヘルスに繋がります。

3.楽しく自分のスタイルで

自分らしく楽しくエシカル消費

私自身は、元々ナチュラル志向なので、食品はオーガニックなものを選び、製品はエシカルなものを選んできました。
別に、義務的に考えているわけでもありません。

愛のあるこだわった生産者さんの農作物はとても美味しく、野菜も元気です。
肉も食べますが、動物にストレスを与えていると思うと気持ちよくありませんし、霜降り肉よりも、自然放牧された牧草牛の赤身肉の方が味もしっかりして好みです。

エシカルな製品の多くは、シンプルで心地よく、最近は、デザインも素敵なものが多いので、使っていても嬉しくなります。

まずは、自分自身の「心地よさ」という基準で、エシカル消費をしてみるのも良いのではないでしょうか。

自分自身と地球の健康、プラネタリーヘルスは、みんなのちょっとした行動の積み重ねで実現していくものだと思います。

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詳しくは→ https://wellmethod.jp/present/

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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