こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

最近、ずっと次回書籍の執筆のため、パソコンの前にお地蔵さんのように座りっぱなしでした。
すると、当然に、「目が疲れる」「目がショボショボする」といった症状が現れ、それでもなお続けておりましたら、目の痛みや肩こり、頭痛に発展し、不眠が悪化しました。

自戒も込めて申しますが、眼精疲労は放置すべからず!

1.眼精疲労の症状や対策

眼精疲労とは、パソコン作業など、日常生活や仕事での目の使いすぎによる、目の疲れのことです。
放置すると、頭痛やめまい、不眠を伴います。

眼精疲労の女性

1-1.眼精疲労の症状

眼精疲労の主な症状としては、

1.目の症状

・目が疲れる
・視界がぼやける、かすむ
・目が充血する
・目が痛い・重い
・目がショボショボする
・光がまぶしく感じる
などに加えて、

2.体の症状

・肩こり
・頭痛
・めまい
・吐き気
・不眠

など、筋肉の凝りによる体の諸症状が現れます。
これらの症状がある人は、肩や頭から連続する腰やお尻の筋肉がカチカチになっているはずです。

2.眼精疲労の3つの原因

眼精疲労は、目の病気や目の使いすぎ、またストレスによっても起こります。

2-1.目の使い過ぎ

パソコン作業の手元

まず、パソコンやスマホの見過ぎによる、目の酷使です。
パソコン作業が多い人だけでなく、一日中スマホを眺めている人も多いでしょう。
現代では、眼精疲労の最も多い原因です。

パソコンやスマホの見過ぎによるブルーライトの影響に加え、常に近くばかり見ているために目の筋肉が凝り固まって眼精疲労が起こります。

2-2.目の病気

1.視力調整障害:近視、乱視、老眼

近視や乱視、老眼などの視力調整障害が起こると、ピント調節が上手くいかなくなります。
毛様体筋という筋肉が柔軟性を失ってしまい、筋肉が凝った状態になります。
自分にあったメガネやコンタクトレンズを使っていないと、ピントが上手く合わないことで、目を凝らすなどの動作で、眼精疲労が悪化します。
姿勢の悪さも原因になります。

2.ドライアイ

ドライアイは、涙の量や質が変化して、目の表面に傷がつきやすくなっている状態です。
目の使い過ぎや瞬きの不足だけでなく、涙液が減る自己免疫疾患・シェーグレン症候群も女性に比較的多く起こります。
目がしょぼしょぼするのが特徴です。

ドライアイで目薬をさす女性

3.シェーグレン症候群

▼最近「かわき」が気になる…女性に多いシェーグレン症候群のセルフチェック方法

https://wellmethod.jp/sjogrens-syndrome/

4.白内障

白内障は、目の中にある水晶体にゴミが溜まり濁ってしまう病気です。
老化やアトピー性皮膚炎などで目を擦ることが習慣化している場合に
視界がかすんだり、ものが見えづらくなるため、目を酷使します。

5.緑内障

眼圧が高くなるなどして、視神経が障害されて視界が欠けたり、狭くなったりする病気です。
視界が欠けることで文字などが読みづらくなるため、眼精疲労の原因になります。

2-3.ストレスによる眼精疲労

ストレスが強くなると、知らず知らずのうちに、瞬きを忘れ、目や目の周り、頭、肩など全身の筋肉に力が入ります。
このために筋肉の凝りから眼精疲労になることがあります。

3.眼精疲労は日常で対策

眼精疲労は、日常から対策することで悪化させないことが大切です。
もともと視力が悪い人や目の病気がある人は、普段から無理をせず目を休めましょう。

3-1.目を休める

仕事の合間に伸びをする女性

要するに、目を使い過ぎているのが現代人です。
特に、パソコンやスマホ作業中で、ブルーライトを浴び続け、近くを見続けていると、目に負担がかかります。
作業の合間に、こまめに休憩をとること。

また、遠くの雲や緑を見つめる遠方凝視の時間を数分間とり、筋肉をストレッチすることも大切です。
瞬きを忘れていることも多いため、ドライアイ用の目薬を点眼したり、室内を加湿したりしましょう。

3-2.コンタクトやめがねを調整する

コンタクトやメガネを使っている人は、サボらずに定期検査に行くことも必要です。
特に近視の人で、パソコン作業が多く、近くを見ることが多い場合には、少し度を緩めにした方が疲れにくくなります。

遠くを見る時用のメガネと、作業をする時用のメガネを変えるなど工夫をしましょう。
ブルーライトカット、紫外線カットは、必須で入れる方が良いですね。

特に、更年期世代は、老眼がはじまり近くのピントが合いにくくなってくると思います。
もともと裸眼であった方も、近眼であった方も、近くの文字が読みにくいと感じるようになったら、一度眼科で検査をして、メガネやコンタクトの調整をすることをお勧めします。

無理に目を使うと眼精疲労の原因になりますので。

パソコン用のメガネ

3-3.眼圧や涙液の分泌などを検査する

眼精疲労が長引く場合、緑内障や白内障、また、シェーグレン症候群などの全身疾患がないかなど、検査をすることも大切です。
放置することで失明するリスクがあるケースもありますので、無理は禁物です。

3-4.筋肉の凝りをほぐしストレスリリースを

眼精疲労に頭痛や肩こりなどを合併している場合、要するに筋肉が凝り固まっていることで諸症状が出ているケースがほとんどです。

作業の合間に肩や首を回したり、スポーツやストレッチをするなど、筋肉を緩めることを心がけましょう。

3-5.アイマスクや入浴で血流を改善

アイマスクで目をケアする女性

お勧めは、温めるアイマスクや、入浴時に温かいタオルをのせて、目の周りの血流を改善することです。

私の場合は、全身の血流を改善するために、エプソムソルトをお風呂に入れて入浴し、タオルを50度くらいのお湯に浸して絞り、目の上に乗せて、冷める前にまたお湯に浸して絞り目の上に乗せる、を10分くらい繰り返します。

首までしっかりとお湯に浸かるようにすると、全身から頭、首回りの血流が改善し、しっかりと緩みます。

ヨガでリフレッシュする女性

私のように集中し過ぎて、座りっぱなしでパソコン作業を続ける毎日は最悪です。
ワーカーホリックは自分の体に毒ですから、適度に休む、緩めることで持続可能な体を維持してくださいね!

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか