女性らしさを維持する“女性ホルモン様作用”のある食品と取り入れ方
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
みなさまは最近、体の不調を感じたりイライラしたりしていませんか?
筆者は40代に入ってから疲れやすくなり、20代のときのように何でもパワフルにこなすことが難しくなりました。肌もハリがなくなり、鏡を見るとため息が混じることもあります。
40~50代の女性が体の不調を感じる場合、女性ホルモンのバランスの乱れが影響している可能性が考えられます。
「年齢を重ねても女性らしくイキイキと輝いていたい」
「いくつになっても自分に自信を持って笑顔でいたい」
そう思う女性には、女性ホルモンをサポートする女性ホルモン様作用のある食品を日常的に取り入れることをおすすめします。
いつまでも健康的な毎日を過ごすために、ぜひ参考にされてみてくださいね。
目次
1.女性ホルモン様作用とは
女性ホルモン様作用とは、女性ホルモンの「よう」な働きをする、ということを意味します。
大豆などに含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造をしているため、女性ホルモン様作用があるといわれ、話題となっています。
(イソフラボンと女性ホルモンの関係性については、次章にて詳しく解説していきます)
この章では、実際、女性ホルモンが体にどのような影響を与えているのか説明していきます。
1-1.女性ホルモンと体の関係について
女性ホルモンは、女性が毎日を快適に過ごすために必要なホルモンです。生殖機能にも深く関わっています。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。どちらも脳から指令を受けることで、卵巣から分泌されます。
エストロゲンとプロゲステロンは、常に同じ量が分泌されているわけではありません。
毎月の月経が終わると、まずエストロゲンの分泌量が増えていきます。14日ほどでピークを迎え、その後、排卵が起こると、エストロゲンの分泌量が減り、今度はプロゲステロンの分泌量が増えてきます。
エストロゲンの分泌量が多いときは、体と心の調子が良いので毎日快適に過ごせます。一方プロゲステロンの分泌量が多いときは、イライラしやすくなったり、むくみやすくなったりします。
このように女性の体と心は、毎月女性ホルモンの分泌量の変化による影響を受けているのです。
1-2.女性ホルモンのバランスが乱れる原因
エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されることで、女性の体と心のベースを支えることができます。
しかし、ホルモンバランスが乱れてしまうと、体の機能を支配している自律神経も乱れてしまい、さまざまな不調が現れてしまうのです。
ホルモンバランスが乱れる主な原因は、以下の2つです。
・加齢による影響
・ストレス
これらの原因によって、なぜホルモンバランスが乱れるのか解説していきます。
1.加齢による影響
女性は生まれるとき、約200万個の卵子の源を持っています。この数は、月経が始まる頃には約10分の1にまで減少してしまうのです。さらに、月経が起こるたびに約1000個ずつ消耗されます。
この卵子の数は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌にも影響を与えます。加齢に伴って残りの卵子の数が少なくなれば、女性ホルモンのバランスも乱れ、自律神経の乱れにつながってしまうのです。
2.ストレス
ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)は、女性ホルモンと同じ原料で作られています。このため、ストレスが増えると、ストレスホルモンばかりが作られてしまい、女性ホルモンの分泌量の低下につながる可能性があるのです。
また、ストレス過多になると、自律神経の交感神経が強く働いてバランスが乱れ、さまざまな不調が起こりやすくなります。
2.大豆製品を食べて女性ホルモンをサポート
近年、大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモン様の働きをするということは、よく知られていることと思います。
これは、腸内でイソフラボンをエサにする腸内細菌・エクオール産生菌によって、エクオールが作られることと関係しています。
この、エクオール産生菌によって生み出されるエクオールこそが、女性ホルモンの働きをサポートするのです。
この章では、エクオールの特徴についてご紹介します。
2-1.エクオールとは
大豆に含まれている大豆イソフラボンには、「ダイゼイン」「グリシテイン」「ゲニステイン」という3つの種類があります。
このうちダイゼインが、腸内細菌(エクオール産生菌)によって代謝されると、エクオールに変化します。
エクオールは、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た構造をしているため、体内にあるエストロゲン受容体に結合することが可能です。エクオールがエストロゲン受容体に結合することで、女性ホルモン様作用が現れるといわれています。
エストロゲンの受容体には、主に生殖器や乳房に分布しているα受容体と、骨、脳、血管、甲状腺、前立腺などに分布しているβ受容体があります。人の腸内でイソフラボンを原料に産生されるエクオールは、主に、β受容体に作用することが分かっています。
その為、乳がん、子宮体がんなどのエストロゲンに感受性のある腫瘍のリスクをあげることなく、様々な臓器の更年期に伴う症状の緩和に繋がると考えられています。
2-2.すべての人がエクオールを作れるわけではない
大豆イソフラボン(ダイゼイン)からエクオールを作るためには、エクオール産生菌の働きが必要です。エクオール産生菌は、近年は日本人の97%には存在するといわれているとの研究(※)もあるものの、日頃から大豆製品を食べないでいたり、腸内環境全体が悪化していると働きを忘れて、8割方の人の腸内ではエクオール の産生をサボっているということがわかっています。
※『第33回 日本女性医学学会』(『エクオール産生能と腸内細菌叢および食習慣ならびに生活習慣関連因子についての検討』)
ですので、エクオール産生菌のエサとなる納豆や豆腐、味噌などの大豆製品を日常的に食べることを心がけましょう。また、小豆にも豊富に含まれているので、おやつはケーキではなくあんこに切り替えましょう。
1.エクオール産生菌がうまく働かない場合
大豆イソフラボンをたくさん食べたとしても、腸内環境が全般的に悪い人の場合は、エクオール産生菌が少なく、いたとしてもエクオール産生菌能力が低下していれば、うまくエクオールを作ることができません。
エクオール産生菌にうまく働いてもらうためには、大豆製品を食べることと、日頃から腸内環境を整えておくことが大切です。
整え方については、次章でお伝えしていきます。
また、腸内でエクオールを作れる体質かどうかは、検査で確認ができますので、詳しくはこちらのリンクをご確認ください。
▼女性に欠かせない「エクオール産生菌」とは? 心と体の健康を保つ腸活の仕方
https://wellmethod.jp/equol-producing_bacteria/
3.腸内環境を整えて女性ホルモンをサポート
前章では、
1. エクオールが女性ホルモンの働きをサポートする
2. エクオールは、腸内細菌・エクオール産生菌によって作られる
3. エクオール産生菌は大豆製品に含まれるイソフラボンをエサにしている
そのため、大豆製品を日常的に摂取することが、女性ホルモンをサポートするということがわかりましたね。
しかし、腸内環境が全般的に悪い人はエクオール産生菌が少なく、いたとしてもエクオール産生能力が低下している可能性があるということもわかりました。
エクオール産生菌の働きを良くするためには、腸内環境を整えることが大切です。
大豆だけを食べていれば良いというわけではありません。
この章では、腸活に良い食事法をお伝えします。
3-1.シンバイオティクスで腸内環境を整える
エクオール産生菌は、善玉菌の「ラクトコッカス20-92」を含む腸内細菌です。
腸内細菌が活発に良い状態で働き続けるためには、バランスのとれた腸内環境が必要です。エクオール産生菌をもっていたとしても、食生活や生活習慣が乱れていると腸内環境も乱れてしまい、エクオールを十分に作り出すことができません。
腸内環境を整えるためには、シンバイオティクスを意識した食事を続けることが大切です。
シンバイオティクスとは、有用菌を含む食材(プロバイオティクス)と、有用菌を育てるための食材(プレバイオティクス)の両方を食べることを指します。
1.プロバイオティクスとは
プロバイオティクスは、主に納豆や味噌、ヨーグルトなどの発酵食品です。
これらに含まれている有用菌は、有機酸(短鎖脂肪酸や乳酸など)を作り出して腸内を酸性にします。腸内が酸性になると、腸内細菌が暮らしやすくなるのです。
さらに、短鎖脂肪酸は代謝や免疫などにも働きかけるので、健康維持にも役立ちます。
ヨーグルトや漬物など、有用菌で発酵させた発酵食品を食べることで、有用菌だけではなく有機酸も一緒に摂取できます。
2.プレバイオティクスとは
プレバイオティクスは、腸内細菌のエサになる食物繊維を含む食材です。食物繊維を含む食材は以下の通りです。
・水溶性食物繊維…リンゴなどの果物、キャベツなどの野菜、イモ類、海藻、豆類など
・非水溶性食物繊維…ゴボウなどの根菜、豆類、穀類(とくに未精製のもの)、クロレラなど
摂取した水溶性食物繊維は、吸収されずに大腸まで届き、有用菌全般のエサになります。有用菌は食物繊維を食べることで、酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を分泌するのです。
非水溶性食物繊維は、腸内細菌を育むための寝床のような働きをします。さらに、腸の運動をサポートするため、便秘解消にも役立ちます。
普段の食事に野菜やイモ類、豆類、海藻類などをバランスよく取り入れることで、水溶性と非水溶性の両方を摂取できます。
食物繊維の1日の摂取目安量は、女性で18g以上とされているので、意識して摂取するようにしましょう。
4.女性ホルモン様作用を意識した食事で健康体に
女性の体と心に影響を与える女性ホルモンは、加齢やストレスなどによって減少してしまいます。
大豆製品を食べて、エクオールがもつ女性ホルモン様作用を得ることができれば、毎日をより快適に過ごすことができるのです。
筆者は女性ホルモン様作用のことを学んでからは、毎日大豆製品やキャベツなどを食べています。
毎日の食事に大豆製品や食物繊維を含む食品を取り入れることで、エクオール産生菌の働きをサポートできます。また、腸内環境を整えることは、女性ホルモンをサポートするだけではなく、健康維持にも役立つのです。
女性ホルモンのバランスを良い状態で維持するために、毎日の食事を見直しつつ、ストレスを溜めないように注意して笑顔で過ごしましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか