【医師がすすめる】フェムケア食材「豆」は女性と地球を救う!|レシピあり
こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。
皆さん、豆、食べてますか!?
大豆だけじゃありません。小豆、えんどう豆、そら豆、ひよこ豆、レンズ豆などたくさんの豆があります。
豆を食べることは、女性の健康・フェムケアにとっても、地球の健康・プラネタリーヘルスにとっても理想的です。
特に、更年期と閉経期、合わせて「メノ期」の救済食材である豆を日常に取り入れましょう。
目次
1.豆を食べよう
豆腐や納豆、それにあんこを食べる日本人にとって、豆は伝統食、かつ日常食ですね。
豆は、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸など、世界中の人々に昔から食べられており、人の健康に役立ってきました。
1-1.地球の豆、世界の豆
世界のマメ科植物はおよそ 1万8千種にも及ぶとされます。
そのうち、主に食用にされているものは、70〜80種類。
主に、
・大豆
・小豆
・緑豆
・インゲン豆
・えんどう豆
・ひよこ豆
・レンズ豆
・落花生
これらが、一般的に日本でも手に入る豆の種類です。
世界にはたくさんの伝統的な豆料理があります。
1-2.世界の伝統的な豆料理
豆は、人類の歴史と共にあります。
エジプトのツタンカーメンのピラミッドからも、エンドウ豆が見つかっています。
黄河文明を築いた人々は、大豆を栽培し、既に豆乳から豆腐を作っていたとされています。
豆は、人が農耕を始めて以来、とても大切なタンパク源で、世界中で、豆を煮込んだり、加工したりして歴史的に食べられてきました。
海外旅行をすると、意外にどこの国でも豆料理があるなぁと感じたことはないでしょうか。
メキシコのインゲン豆のチリコンカン、アメリカのベイクドビーンズ、中近東ではひよこ豆のディップ・フムスや豆のコロッケ・ファラフェル、ヨーロッパではレンズ豆のスープやインゲン豆の煮込み・カスレ、インドのダルカレー、カンボジアの緑豆のお汁粉、中国では麻婆豆腐や豆板醤・・・
そして、日本では、大豆を使った豆腐や湯葉などの加工食品、醤油や味噌などの調味料。小豆を使ったあんこや赤飯などを代表に、豆を食べ続けてきました。
2.マメ科の植物は地球に栄養を与え温暖化を抑制する
マメ科の植物は、地球の土に栄養を与え、温暖化の原因になる二酸化炭素を止めるためにとても重要な役割をしています。
マメ科の植物の根っこには、大気から天然の肥料を作る菌が共生しています。
化学肥料がなくても、マメ科の植物があれば、大気から植物の成長に欠かせない窒素が、土の中に固定されます。植物が育てば、大気中の二酸化炭素を吸って、酸素に変えます。
二酸化炭素は、温暖化を促進する温室効果ガスですが、それを吸収する森林を育てるのに、マメ科の植物はとても大切な役割をしています。
熱帯雨林があるジャングルのマメ科の樹木と根っこに共生する菌が、大気中から吸収する二酸化炭素の量を決めているという研究もあります。
私も、今、鳥取県で無農薬無肥料の畑を開いていますが、土を豊かにするために初期にマメ科の植物をたくさん植えました。
3.人の健康は豆が保ってきた
豆には、私たちの健康に欠かせない栄養素が含まれています。
豆には、植物性の重要なタンパク質源であるとともに、炭水化物(糖質+食物繊維)、脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル(イソフラボン、サポニン)などをバランスよく含んでいます。
3-1.豆の食物繊維
小豆やいんげん豆、ひよこ豆(茹で)は、100gあたり11〜12g。
ごぼうの約2倍もの食物繊維を含んでいます。大豆はその半分程度ですが、豆類は食品の中でもかなり食物繊維を多く含んでいます。
豆の食物繊維は、主に不溶性ですが、腸内細菌のえさとなる発酵性の食物繊維も含まれています。
豆の食物繊維は、便に水分を保持し、便通を良くし、腸内細菌のえさとなりながら、寝床を作る役割をしますので、腸内環境改善に最適です。
3-2.豆のファイトケミカル
豆には、ポリフェノールの一種であるイソフラボンやサポニンといったファイトケミカルが含まれています。
いずれも抗酸化作用がありますが、特に色の濃い小豆にはファイトケミカルが多く抗酸化活性が高くなります。
1.イソフラボン
マメ科の植物には、いずれもイソフラボンを含みます。
もっとも多いのは、大豆です。
食べ物として摂取することで腸内に入ると、腸内細菌の働きで生理活性が高い状態に変化します。
イソフラボンは、女性ホルモン・エストロゲンと似た構造を持っていますが、腸内でエクオール産生菌によって、エクオールに転換されることでより生理活性が高い状態になります。
これが体内で女性ホルモンの代わりに作用して、女性ホルモンが減少するメノ期の女性の更年期症状の軽減や骨密度の低下、動脈硬化の予防などに役立つとされています。
豆は、女性ならばどんどん食べたいフェムケアの基本食材です。
ただし、最近は豆類の摂取の不足で、エサがなくなったエクオール産生菌の数や機能が低下していることが指摘されています。
エクオール産生菌が腸内に定着していない場合、また、エクオール産生菌がいても十分に機能していない場合、エクオールそのものとして補給する方法もあります。
2.サポニン
サポニンは、植物の苦味の成分で、特に豆類に多く含まれています。
コレステロール、過酸化脂質の低下、抗がん作用があるファイトケミカルです。
ウイルスや細菌と戦うナチュラルキラー細胞の活性化にも働きます。
3.リン脂質・レシチン
レシチンは、フォスファチジルコリンとも呼ばれ、細胞膜の主成分です。
脳や神経組織に必要な成分です。
認知症の予防、動脈硬化の予防、肝機能の改善、脂質代謝の改善、美肌などに必要です。
4.まごわやさしいの基本食
健康食のキーワードは、「まごわやさしい(こ)」と言われています。
ま:豆類
ご:ごまなど種子類、ナッツ類
わ:わかめなど海藻類
や:野菜
さ:魚
し:しいたけなどキノコ類
い:芋類
こ:穀類
これらをバランスよく食べることが、腸内環境も改善し、健康食の基本になりますが、最初の「ま」は豆類です。
まごわやさしい(こ)を日常的にバランスよく食べると、たくさんの種類の植物性の食品をとることができ、人と地球の両方の健康を実現するプラネタリーヘルスを実現するためのプラネタリーヘルス・ダイエットにも繋がります。
豆をとりいれたバランスの良い食事は、女性の健康・フェムケア、人と地球の健康・プラネタリーヘルスを実現するための理想的な食事と言えます。
5.日常に豆料理を
私自身、自宅でもレストランでも、豆料理を良く食べます。
もちろん、豆腐や味噌、醤油なども日常的に良く使いますし、和食だけでなく、洋食でも、ひよこ豆のサラダやフムス、煮込みに使いやすいレンズ豆は常備してあります。
【レシピ】ホームパーティにも使えるひよこ豆のフムス
ホームパーティーのディップや、グリルの添え物や朝食にも取り入れやすいひよこ豆のフムスをご紹介したいと思います。
材料
A)
ひよこ豆(乾燥):200g
にんにく:2片
塩:小さじ1
水:1.5リットル
B)
エクストラバージンオリーブオイル:100ml
練りごま:30g
レモンの絞り汁:大さじ2
C)
カイエンペッパー:1つまみ
クミンシード:1つまみ
作り方
1)ひよこ豆を3倍程度の水で一晩もどす
2)鍋に、A)戻したひよこ豆と1.5Lの水に塩、ニンニクを入れて柔らかくなるまで4〜50分煮込む
3)フードプロセッサーに、ひよこ豆、ニンニクを入れ、B)を加えて滑らかになるまで混ぜる
4)水分が多過ぎたら、鍋に戻し、弱火にかけて好みの硬さになるまで水気を飛ばす
5)器にもり、カイエンペッパーとクミンシードを好みでふる
出来上がり!
【レシピ】本格スパイスレンズ豆カレー
以前にご紹介した本格スパイスキーマカレーのレンズ豆アレンジも定番です。
レシピはこちらへ
https://wellmethod.jp/spice-curry-recipe/#2-2
6.まとめ
日常に豆料理を取り入れることは、フェムケアにもプラネタリーヘルスにも繋がります。
メノ期の女性には、エクオールの元となるイソフラボンがとれるので特におすすめです。
エクオールは、メノ期の女性の味方ですから、日常的に意識して補給しましょう。
この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか