【医師直伝】腸活レシピ決定版①濃厚アボカド入り「ガスパチョ」でシンバイオティクスな食卓に
皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。
これまで、腸活に大切なのは、「シンバイオティクス 」だと、WELLMETHODでは、繰り返し繰り返しお伝えしてきました。
「Dr.リサは、一体普段はどんな食事をしているの?」
「リサ先生の食べている食事を教えて!」
そんな読者の皆さまの声に応えるべく、今回から、私が普段作っているシンバイオティクス料理のレシピを、“気まぐれに”シェアしたいと思います。
目次
1. シンバイオティクス料理のフィロソフィー
私自身は、健康志向の母親に育てられたため、ヘルスケア精神が骨の髄まで染み込んでいることを自負しております。
医師になってからも、病気を予防することを第一に考え、「人の体を作る原材料であり、人を育てる土壌である腸内環境の基となる食事が最も基本である」と考えてきました。
シンバイオティクス料理は、善玉菌を含む発酵食品「プロバイオティクス」と、腸内の有用な常在細菌を育むエサである「プレバイオティクス」。
この二つの食材を組み合わせて「シンバイオティクス」にすることを目指しています。
1-1. 自分の土壌を改良するシンバイオティクス料理
植物を育てるには、土壌環境がとても大切です。
人の土壌環境とは、つまり、腸内環境です。
要するにシンバイオティクス料理は、土壌改良する料理です。
土壌が悪いと根腐れして、病気になりますが、土壌が良いと、健康になります。
腸内の有用菌の発酵を促し、フカフカの有機堆肥のような土壌を作ります。
有用菌は、腸内で食材から栄養素を生み出します。
ビタミンB群やミネラル類、酪酸・酢酸などの短鎖脂肪酸などの有機酸。大豆などの豆製品に含まれるイソフラボンからエクオールなどの腸内代謝物などです。
それを、腸の上皮細胞という根っこから吸収し、人の細胞の栄養にしています。
ですから、シンバイオティクス料理を日常的に食べることで、自分を育む最高の土壌を作ると考えてください。
1-2. ズボラでもできる簡単料理
でも、ご安心下さい!
私は、料理は好きですが、自他共に認めるズボラな人間です。
忙しくて料理に時間もかけられません。
私が普段作っている料理は、基本的には、簡単で、誰でもできるレシピです。
多くは、「切るだけ」「切って煮るだけ」「切ってミキサーにかけるだけ」など、、、
「切る」プロセスが要らない「水煮野菜」「カット野菜」などは、水煮したり、水にさらしたりする過程で、水溶性食物繊維や水溶性のミネラルなどの栄養素を失っているため、日常的にはお勧めしていません。
せめて、切ることだけは、お願いしたいと思います。
1-3. 普段の「惜しい」レシピにひと工夫
世の中には、「惜しい」料理がたくさんあります。
普段のレシピに、ちょっとした工夫をするだけでシンバイオティクス化できるのに、、、ということも。そこには、食材の組み合わせの妙があります。
私自身やWELLMETHOD編集部では、毎日食材を組み合わせて、シンバイオティクス化して食べることを習慣化しています。
意識してやってみると、ワンパターンになったり、プレバイオティクスである食物繊維は結構摂れているものの、プロバイオティクスとして発酵食品が摂れていない日も結構あるものだと気づくことなどがあります。
私たち自身も、日々、色々実験的に試しているところですが、日々のヘルシー料理のヒントになれば幸いです。
2. アボカドの濃厚「ガスパチョ」
ガスパチョは、スペイン南部アンダルシア地方、伝統の冷製スープです。
夏の緑黄色野菜をたっぷり使うため、抗酸化力が高いファイトケミカルも豊富で、「飲むサラダ」と呼ばれます。
夏のパワースープですが、これをシンバイオティクス化するためにひと工夫します。
2-1. 材料(2人前)
1. 玉ねぎ 大 1/2個
2. トマト 大なら2〜3個
3. きゅうり 1本
4. アボカド 大 1/2個~1個
5. 塩麹 少々 塩味をみながら調整
6. お好みのビネガー 大さじ3杯くらい
7. エクストラバージンオリーブオイル 大さじ1杯くらい+適量(盛り付け用)
2-2. 作り方
1. 食材はあらかじめ冷やしておく
2. 野菜をザクザク切って、ミキサーに。少し粒が残る程度になるまでミキシングしましょう。
お使いのミキサーの種類にあわせて野菜の大きさを揃えておくとよいです。
3. 塩麹、ビネガー、オリーブオイルを入れて、さらにミキシング!
4. 野菜と調味料がなじんだら、盛り付けて、オリーブオイルを垂らし、トッピングはお好みで、刻んだトマトやお好みでミントやパクチー、クミンシードなどを。
リサ先生愛用のミキサー。バーミキサーでも簡単に作れます!
2-3. シンバイオティクス化のポイント
1. 優秀なプレバイオティクス食材・アボカド入り
通常は、ガスパチョにアボカドは、入りませんが、優秀なプレバイオティクス食材なのでプラスしています。
アボカドは、可食部100gで、「水溶性食物繊維1.7g」と「非水溶性食物繊維3.6g」を含みます。大半分で、ちょうど100g程度です。
さらに、3.5mgほどのビタミンEも含みますので、夏の紫外線ダメージを受けた肌細胞の回復にも役立ちますね。(文部科学省:食品成分データベースより)
アボカドの濃厚さを楽しみたい方は、半分といわず、1個まるごと使うのもオススメです。
2.塩の代わりに塩麹でプロバイオティクス
調理に塩を使う代わりに、塩麹を使うことで、プロバイオティクスを加えられます。
有用菌である麹カビの発酵によりアミノ酸が生まれるので、旨味がアップし、塩分量も控えられます。
3.ビネガーは酢酸菌の恵み
ガスパチョは、ビネガーを加える、ちょっと酸っぱいスープです。
ビネガーの酸っぱさの素は、酢酸菌による発酵によって生まれた短鎖脂肪酸の一種「酢酸」が生まれます。
酢酸は、腸内を酸性に保ち、腸内を有用菌が暮らしやすく、悪玉菌が暮らしにくい環境に整えます。
ビネガーは、一般的な米酢でも良いですが、もっとシンバイオティクス化しようと思えば、無濾過・非加熱のりんご酢(アップルサイダービネガー)を選ぶとベターです。
無濾過・非加熱のアップルサイダービネガーは、酵母や酵素、りんごの水溶性食物繊維ペクチンが含まれるシンバイオティクス調味料です。
インターネットや輸入食材店で購入できますので、ぜひ探してみてください。
4.プレバイオ・フラクトオリゴ糖が豊富な玉ねぎ
玉ねぎは、腸内のビフィズス菌や酪酸菌を育てるプレバイオティクス食品・フラクトオリゴ糖が豊富です。玉ねぎを炒めると甘くなるのは、フラクトオリゴ糖の甘み。
2-4. アレンジするなら?
1. 玉ねぎの後味が苦手なら炒めてもOK
玉ねぎは、生でも、加熱しても、フラクトオリゴ糖が摂取できます。
生の玉ねぎの辛味による後味が気になる場合は、冷蔵庫に入れて冷やしたり、輪切りにして15〜30分程度放置したり、事前に炒めることで低減します。
基本的には、玉ねぎに含まれる水溶性のファイトケミカルは、水に溶け出してしまうため、水にさらすことはお勧めしていません(手間も省けます!)
2. パワーアップのために生ニンニクを入れても
本来のガスパチョには、生ニンニクが入っています。
このレシピでは、お口が臭くならないように抜いてありますが、生ニンニクを入れてももちろんOKです。
ニンニクに含まれるアリインには、疲労回復効果もあります。
夏バテ気味の方は、ニンニクをプラスしてみてください。
3. パクチー好きは追いパクチーを
パクチー嫌いも多いだろうと思い、レシピから抜いていますが、私は最近、パクチーをプラスするのがお気に入りです。パクチー好きの皆さんは、ぜひ、パクチーを入れてみてください。
ミキサーにかけることでより香りがたちますので、きっと夏のお気に入りレシピになることと思います。1束〜2束(30g程度)入れていますが、こちらもお好みでどうぞ。
我が家では、朝にも夜にも、このガスパチョが登場します。
食欲がない日も、ゴクゴク飲める「飲むサラダ」は、重宝します。
シンバイオティクスなガスパチョ、ぜひ、お試し下さいね。
この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか