女性の抜け毛の原因は? 美髪を保つために毎日実践したい内側・外側からのケア
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
「最近、髪のボリュームが減った」
「抜け毛が増えた」
「髪の分け目や生え際が気になる」
40代を過ぎてから髪の悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者は40代になってから、抜け毛が増えました。少し前までは抜け毛が気になり、シャンプーをしているときに思わず抜け毛の本数を数えてしまうこともありました。
「以前はこんなに抜け毛が多くなかった」と悩んだり、「生え際や頭頂部が薄毛になるのではないか」と不安に襲われたこともありましたが、生活習慣やヘアケアを見直すことで抜け毛に悩むことはなくなりました。
また女性の抜け毛はさまざまなことが原因となって起こり、やや複雑なものではありますが、抜け毛対策は特別なことをするわけではなく、毎日の生活の中で行っていることをほんの少し見直すだけです。
今回は女性の抜け毛の原因とその対策、予防法についてご紹介します。
目次
1.抜け毛が起こるメカニズムとは?
女性の髪は平均で1日あたり50~100本程度抜けるといわれています。
抜け毛は気づかないうちに自然に抜けることもあれば、シャンプーやブラッシングなどをしたときに抜けることもあります。
ではなぜ抜け毛が起きるのでしょうか。抜け毛対策を行う前に、抜け毛のメカニズムを解説します。
1-1.毛髪の成長サイクル
髪の毛はある程度成長すると自然に抜け落ち、同じ毛穴から新しい髪が生えるということを繰り返しています。それを「毛周期」といいます。
毛周期は「成長期」「退行期」「休止期」の3段階にわかれています。
1.成長期
古い髪が抜け落ち、同じ毛穴から髪が生えてくる段階です。
髪は活発に成長を続け、成長期は2~6年といわれています。
成長期の髪が頭髪全体の約85~90%を占めます。
2.退行期
成長期が終わると退行期に入ります。
退行期は数週間と短く、頭髪全体の約1%です。
退行期の髪は成長が止まって毛根が退化していきます。
3.休止期
髪は抜け落ちる前に、休止期に入ります。
休止期は約3~4ヵ月続き、頭髪全体の約10%弱が休止期にあたります。
休止期では髪が徐々に皮膚表面に向かって押し上げられていき、自然に抜け落ち、数週間後に新しく成長期の髪が生えてきます。
1-2.こんな症状があったら抜け毛対策のサインかも
1日何本髪が抜けているのか数えることは難しいですよね。抜け毛を数えること自体がストレスにもつながります。
抜け毛が気になる方の多くは、これまでとなんらかの変化を感じているのではないでしょうか。
以下のようなサインがある方は、抜け毛対策をスタートする時期かもしれません。
・お風呂の排水口に髪の毛が以前よりも多くたまるようになった
・ドライヤーの後、落ちている髪が多くなった
・分け目やつむじあたりの地肌が目立つようになった
・髪が細く柔らかくなった
・髪のボリュームが減った
・1本の毛穴から出ている髪の毛の本数が1本だけになる
(健康的な状態であれば、2~3本生えています)
2.女性に見られる脱毛の種類
髪の毛には「成長期」「休止期」「退行期」とありますが、年齢を重ねると「成長期」の割合が低下するため、薄毛を引き起こします。
加齢とともに薄毛となることは自然な現象です。
ここでは、女性に見られる脱毛の種類についてご説明します。
2-1.女性型脱毛(FPHL)
女性型脱毛症(female pattern hair loss : FPHL)は、女性のAGA(FAGA)の3タイプに分類されます。
1.Hamilton型
男性のAGAと同じく生え際に剃り込みが入るタイプ。
2.Olsen型またはクリスマスツリー型
生え際から頭頂部の中心がクリスマスツリーのように広がっていくタイプ。
3.Ludwig型
生え際の後退はなくヘアラインは保たれているが、頭頂部から後頭部が全体的に薄くなっていくタイプで、女性に多く見られるタイプ。
女性型脱毛症の治療には、薬物治療と外科治療の2種があります。
基本的には薬物治療を主としていますが、10〜12ヵ月間治療を行っても改善が見られない場合には、上記の3タイプの場合のみ、植毛を考えます。
詳しい治療法についてはこちらをご参照ください。
2-2.男性型脱毛との違い
男性の脱毛の大多数は、遺伝的要因と男性ホルモンの作用によって引き起こされる「男性型脱毛症」がほとんどです。傾向として、前頭部と頭頂部が一定のパターンで薄くなる傾向が見られます。
女性の場合は、じつは、約半分が「男性型脱毛症」といわれるタイプで、更年期を迎えたことにより女性ホルモンの分泌が減少し、女性の体内でも分泌されている男性ホルモンの作用が相対的に強まり発症に至ります。
その場合は、男性とは異なり、前頭部よりも頭頂部を中心とした比較的広範囲にわたり頭髪が薄くなる傾向があります。
「男性型脱毛症」の場合、成長期の期間がどんどん短くなります。その影響により、毛髪がうぶ毛化し、薄毛が進行します。また、髪の毛が柔らかく・細くなるため、薄く見えるようになります。
そのほか、「休止期脱毛症」という女性特有の脱毛症も存在します。
2-3.休止期脱毛症
「休止期脱毛症」の原因は現在では明らかになっておらず、男性ホルモンとは無関係で起こる症状で、毛周期がなんらかの原因で乱れ、休止期の毛が増えることによる脱毛です。
特徴として、男性型脱毛症のように脱毛の位置が特定される症状ではなく、頭部全体に薄毛が進行していきます。
「慢性休止期脱毛症」の場合は、休止期の期間が長くなることにより発生します。
髪が抜けた後に次の新毛が生えてこないため、毛髪の本数が減ってしまい、薄毛を引き起こします。
通常は一つの毛穴に3本程度は毛が生えているものが減少することで密度がまばらになり、薄く見えるようになります。
2-4.牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)
髪を後ろに束ねたり、髪を引っ張るようなヘアスタイルを長期間続ける、ヘアアイロン、エクステなどにより、特定の場所に長期間負荷がかかると頭皮の血行不良が発生し、髪の毛に栄養が行き届かなくなります。
これを「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)といいます。
2-5.何らかの病気や疾患の可能性に注意する
なお、何かの病気や疾患が原因で抜け毛や薄毛を招く場合もあります。その可能性を否定するためにも、最近抜け毛が急に増えた場合には、クリニックを受診するようにしましょう。
脱毛は皮膚科の領域です。また脱毛を専門にしたクリニックがあります。
医療機関では診察をはじめ血液検査や血圧測定、医師の判断により必要な検査が行われます。
1.甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症とは、甲状腺から分泌されるホルモンが基準値よりも低値になる病気です。
一方、甲状腺機能亢進症は低下症と反対で甲状腺ホルモンが基準値より高値なります。
甲状腺機能低下症の方が脱毛の頻度は高いですが、どちらの病気においても抜け毛が増えるといった症状がみられることがあります。
甲状腺ホルモンには、体の代謝を調整する働きがあります。
そのため甲状腺ホルモンのバランスが崩れることで、毛周期と毛根の形との両者に異常をおこすことで脱毛や毛質の変化が起こります。
2.栄養素の欠乏
タンパク質が不足すると、生命維持に必要な臓器に優先的に使われます。そのため、髪のケラチンというタンパク質を作る原料が不足します。
鉄や亜鉛、ビタミンB群は酵素の働きに必須で、抗酸化作用や新陳代謝に不可欠ですから、不足することで抜け毛が起こりやすくなります。
3.大幅な体重減少
無理なダイエットをはじめ、ダイエットをしていなくても大幅な体重の減少がみられたときは抜け毛のリスクが高くなります。
体重が減少してから約6週間~12週間後に、抜け毛が多く見られるようになります。
また健康維持に必要な栄養が不足すると、生命を維持するために髪の毛は必要不可欠なものではないため、最初に髪の毛に影響が出ると考えられています。
3.自宅でできる女性の抜け毛対策[マッサージ・ツボ]
では、抜け毛を防ぐために、日頃どのような対策が必要なのでしょうか?
ここでは、抜け毛や薄毛を引き起こさないための日頃の習慣やケア法についてお伝えしていきます。
3-1.頭皮マッサージをする
頭皮の血行を改善し、髪に必要な栄養を行き届くようにするためには、頭皮マッサージが有効です。
爪を立てずに指の腹で頭皮全体を動かすようにマッサージしましょう。
入浴の際に湯船につかり体を温めてから育毛剤やマッサージブラシを使うとより効果的です。
マッサージの効果をあげようと力を入れすぎないように注意しましょう。
その際、各箇所においてコツがありますので、ここではその方法をご紹介していきます。
1.うなじから頭頂部にかけて行うマッサージ
指の腹で、襟足から頭頂部に向かって頭皮を動かすようにマッサージを行います。
次に側頭部をマッサージしていきます。側頭部のマッサージは耳の上から頭頂部に向かって指を動かしていきます。
マッサージの目安となる力加減は、頭皮に軽く圧力を感じ程度で頭皮がやや動くくらいがベストです。
痛みや刺激を感じる場合は、マッサージは控えましょう。
2.頭頂部におすすめのマッサージ
頭頂部のマッサージは指の腹を立てて行うことがポイントです。
指の腹を頭皮に垂直に立てた状態で左右の手は前後反対に動かします。
シャンプーをイメージしてみてください。
シャンプーをしているとき、左右反対方向に動かすことがあると思いますが、それと同じようなイメージで頭頂部をマッサージしてみましょう。
3-2.育毛のツボ
マッサージの仕上げに育毛におすすめのツボを刺激しましょう。
息をゆっくり吐きながら5~10秒程度、押し続けます。10秒経過したあと頭皮から指を離さず力を抜き、再度同じツボを押します。これを5回繰り返しましょう。繰り返し行うことでより効果を感じられます。
ツボ押しは食後30分や飲酒後は避け、体調の良いときに行いましょう。
▲育毛におすすめのツボ:百会、通天、上星、角孫、完骨、天柱、風池
▲育毛におすすめのツボ:親指と人差し指の付け根にあるツボにある「合谷」
4.自宅でできる女性の抜け毛対策[食生活・生活習慣]
抜け毛対策としては、マッサージやツボ押しだけでなく、内側からのアプローチとして、食生活の改善や生活習慣を整えることも、美しい髪を保つためには大切なことです。
4-1.食生活を見直す
健康的な髪を育てるためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。
とくに髪の原料となるタンパク質や髪の主成分である亜鉛を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。
タンパク質を多く含む食品:
・鶏肉(ムネ、ササミ)、牛肉・豚肉(ヒレ、モモ)
・青魚(アジ、サバ、イワシなど)
・卵製品
・大豆製品
・乳製品
亜鉛を多く含む食品:
・牡蠣など貝類
・ナッツ類
・ハイカカオチョコレート
・納豆
その他にビタミンB群を含むのは、動物性食品や発酵食品、葉酸は野菜類などもおすすめです。
また、髪に良いとされる食材ばかりを食べるのではなく、主食・主菜・副菜をバランス良く摂取することが大切です。
4-2.生活習慣を整える
できるだけ毎日、適度な運動を行うようにしましょう。
毎日が難しい場合は、週に2回、15~30分程度のウォーキングやジョギング、ストレッチなどがおすすめです。
また質の良い睡眠をとることも髪の成長には欠かせません。
髪を作る細胞は睡眠中に作られています。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、7時間以上睡眠をとるようにしましょう。
4-3.紫外線対策をする
紫外線を長時間浴びると、頭皮や髪はダメージを受けます。
とくに頭皮のダメージは抜け毛や薄毛に繋がるため、日傘や帽子などを使ったり、できるだけ日陰を歩くようにしましょう。
4-4.濡れた髪はすぐにドライヤーで乾かす
髪が濡れたときはすぐにドライヤーで乾かしましょう。
濡れたまま放置しておくことで頭皮が乾燥すると、逆に皮脂分泌が増えます。皮脂が好きな常在菌・マラセチアが増殖すると脂漏性皮膚炎を起こし、悪化すると抜け毛を引き起こす可能性があります。
4-5.ストレスをためない
過度なストレスによって、女性ホルモンバランスが崩れてしまう可能性があります。
とくに40~50代の女性は仕事や育児・家事・親の介護などに追われ、ストレスを感じやすい年代でもあります。
ストレスをまったく感じない生活を送ることは現代社会では難しいため、リラックスできる時間やストレス解消法を見つけ、ストレスをためない生活を送るようにしましょう。
5.日々の習慣を見直して抜け毛の悩みを解消しましょう!
抜け毛は気になる悩みの一つです。
抜け毛が増えていくことでさらにストレスを抱え、薄毛へと進行していくこともあります。
しかし抜け毛は加齢が原因であることも多くありますが、だからといって何もしなければ抜け毛は増えていくかもしれません。
抜け毛に効果的な対策は、生活習慣と日々の習慣を見直すことです。
生活習慣を見直すことは髪の健康はもちろん、体の健康にもつながります。
継続的に生活習慣を見直し体のメンテナンスを行うことで、これからも自分らしい人生を送りましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
- 桐村 里紗の記事一覧
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか