こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

最近、鏡を見てため息をつくことが多くなりました。
ため息の原因は、「女の命」とも言われるのに、ペタンコになった髪です。

私と同じように鏡をみて、ため息をつく方もいらっしゃるのではないでしょうか?

顔や手は年齢が現れやすいと聞いていたため、早めにケアを行っていましたが、髪に関しては特に気をつけることなく、毎日を過ごしていました。

そんな毎日を送ってきた結果、髪はバサバサ、まとまらず、コシやハリもありません。
今では、10代、20代では当たり前のようにあった「天使の輪」を目にすることもなくなりました。

しかし、まだ諦めるわけにはいきません。
「もう一度、あの時の髪質に戻りたい!」
このような思いを抱えていらっしゃる大人女性の方は、少なくないのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、髪の「ハリ」や「コシ」がなくなる原因と取り戻す方法についてお伝えいたします。

1.髪の「ハリ」や「コシ」の違いとは?

美しく若々しい髪の条件は、髪に「ハリ」と「コシ」があることがあげられます。

髪にハリやコシがなくなると、髪のボリュームがなくなったり、スタイリングをしてもすぐに崩れてしまったりと、女性にとって気になるさまざまな悩みが起こります。

若々しい髪には「ハリ」と「コシ」があるということはよく知られていますが、この違いをみなさんご存知でしょうか?

美しい髪を復活させるためにも、まずはその違いをみていきましょう。

女性ヘアケア

1-1.髪の「ハリ」について

ハリは、「髪の強度」を意味します。

強度とは髪を引っ張ったときに、途中で切れることなく耐えることができる「強さ」のことです。

その「強さ」の度合いをはかるためには、抜けた1本の髪の両サイドを持ち引っ張り、途中で切れることがない髪はハリがあるといえます。

ハリのある髪は、太くて密度が高く丈夫です。

1-2.髪の「コシ」について

コシは、「髪の弾力」を意味します。

バネやゴムのように、引っ張ると伸び、手を離すと元の長さに戻る性質のことを指します。

髪は、毛先を指に巻きつけて押さえ、その指を離すとクルクルと元のまっすぐな状態に戻りますが、これは髪自体に弾力性があるためです。

この弾力性が強いほど、コシがある髪になるということです。

2.髪の「ハリ」・「コシ」がなくなる原因

20代の頃は、あまり髪の「ハリ」や「コシ」について悩むことはなかったのではないでしょうか。
それは、20代が髪の量や太さのピークであったからといえます。

30代に入ると個人差はありますが、徐々に髪は衰えてきます。

一方、ハリやコシがなくなる原因は、いくつかあります。

この章では、原因別に詳しくご紹介します。

女性ヘアケア

2-1.加齢によるもの

40代~50代の女性の髪に、ハリやコシがないのは加齢がひとつの原因であるといえます。
加齢が、髪にどのように変化していくのか知ることが改善の近道です。
ここでは、加齢による髪の変化についてみていきましょう。

2-1-1.ヘアサイクルの衰え

ヘアサイクルとは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つに分かれています。

ヘアサイクルは年齢を重ねることによって乱れていき、髪が新しく生える時期である「成長期」が短くなります。

「成長期」が短くなった分、「休止期」と「退行期」が長くなります。

休止期や退行期は、抜け毛や白髪が増える時期であるといわれているため、この時期が長くなればなるほど、健康的な髪が生える期間が短くなり、抜け毛や白髪が増えていく老化現象が進んでいきます。

▼女性の薄毛についての詳しい解説はこちら

女性に多い薄毛とは? タイプ別にみる原因と対処法

ヘアサイクルの乱れがもたらす影響は、髪だけではありません。

薄毛により頭皮が紫外線に晒されやすくなり、頭皮環境にも影響をもたらすため、フケやかゆみ、皮脂の過剰分泌などの頭皮トラブルが起こりやすくなります。

頭皮は、髪の成長にはとても大切です。

畑に例えるなら、髪は野菜で、頭皮は土壌。
土壌の環境がよくなければ、立派な野菜は育ちません。
頭皮と髪の関係は、これと同じことがいえるのです。

2-1-2.ホルモンバランスの変化

髪の成長サイクルは、女性ホルモンの影響が大きいため、ホルモンバランスが乱れることで不安定になります。

ホルモンバランスが乱れる時期は2つあります。

ひとつめは、妊娠・出産期です。
妊娠や出産は、女性ホルモンが直接的に影響しているため、抜け毛の増加や髪がなかなか伸びないということが起きます。

ふたつめは、40代~50代の女性の悩みに多い「更年期」によるものです。
更年期の女性が抱える身体的な悩みはさまざまですが、更年期に入ると女性ホルモンが減少します。

そのため、更年期が始まる年代から、髪の悩みを抱える人が多くなる傾向があります。

妊娠

2-2.喫煙・飲酒

タバコとお酒

喫煙や飲酒が原因で、髪のハリやコシがなくなることがあります。

最初に喫煙が髪にもたらす影響からみていきます。

タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させ、血流を悪くします。

その他にも多数含まれる有害物質の影響で、血管が動脈硬化を起こしやすくなります。

血流が悪化すると、髪に必要なたんぱく質やその他の大切な栄養素が行き届かず、抜け毛が増加する恐れがあります。

次に飲酒です。
お酒は、適量であれば問題はありません。

しかし、過度の飲酒は、髪に大きなダメージを与えてしまいます。

過度の飲酒をすると、アルコールを分解するために大量のアミノ酸が消費されます。

髪の主成分であるケラチンというたんぱく質を合成する際に、アミノ酸が必要不可欠です。

つまりアルコールの分解、髪の主成分であるケラチンの合成の両方で、アミノ酸が重要な役割を果たしているということです。

過度の飲酒によって大量にアミノ酸が消費されることで、髪に必要なアミノ酸が足りなくなってしまい、結果的に髪に大きなダメージを与えることになります。

ケラチンを合成するためには、アミノ酸が必要不可欠です。

2-3.間違ったヘアケア

毎日使用しているシャンプーは、どうのように選んでいますか?

頭皮や髪を清潔に保ち、健やかな髪を育てるためのシャンプーですが、選び方を間違えてしまうと頭皮に悪影響をもたらします。

石油系・高級アルコール系のシャンプーは、脱脂力が強いため必要以上に頭皮の皮脂を取りすぎてしまうことがあります。

頭皮が乾燥すると皮膚と常在細菌のダブルのバリア機能が低下するため、外からの刺激に対応できなくなり、髪の成長が遅れてしまうことがあるのです。

3.美しく若々しい髪に復活させるには

40代~50代になると、加齢により髪の「ハリ」や「コシ」がなくなってしまうことは仕方のないことです。

しかし、ハリやコシが低下するのは、加齢だけが原因ではありません。毎日のヘアケアや生活習慣、ストレスなどによっても左右します。

ですので、ハリやコシのある髪を手に入れることを諦める必要はありません。

ハリやコシのある髪に必要な要素は3つあります。

①十分な水分量があること
②髪の内部に主成分であるたんぱく質が満たされていること
③髪表面のキューティクルが整っていること

この3つの要素を満たすことで、ハリやコシのある髪に復活させることができます。

その方法は、今からすぐにできることばかりです。

この章では、ハリとコシを復活させるヘアケア方法をお伝えします。

ぜひ、美しい髪を手に入れるために、試してみましょう。

シャンプーをする女性

3-1.水分を保つドライヤー前のお手入れ

髪の根本からパサつき、ツヤがなくなっている場合は、水分不足が考えられます。

このタイプの方は、シャンプーとトリートメントを、ドライヘア用に変えましょう。

また、髪が1番傷つきやすいのは、濡れている状態のときです。

ドライヤーをすることなく、濡れたままの状態で寝てしまうと、乾く過程で髪内部から水分が奪われるだけでなく、髪同士や寝具との摩擦でキューティクルが傷つきはがれてしまいます。

まず、お風呂上りにタオルドライをしたあと、ドライヤーで頭皮と髪を乾かしましょう。

ドライヤー前には、ミストタイプの洗い流さないトリートメントで潤いを補給し、その後にはヘアオイルで表面をコーティングしましょう。

3-2.タンパク質不足の場合のシャンプーの仕方

また、根本は健康なのに、毛の先にいけばいくほど枝毛や切れ毛が目立つ場合。様々な原因がありますが、その一つには、「タンパク質」不足が考えられます。この状態の時には、毛髪内部がスカスカになっています。

その場合は、食事からしっかり栄養をとると同時に、ダメージヘア用のシャンプー、トリートメントを使用しましょう。

シャンプーの仕方にもコツがあります。

髪ブラッシング

まず、髪を濡らす前に、丁寧にブラッシングをします。全体にブラシを入れることで、頭皮の血行が促進され、抜け毛やホコリも取り除けるので、シャンプーの効率も上がります。

シャンプーをつける前は、シャワーのお湯で髪全体を流す予洗いをしましょう。予洗いは約30秒ほどすると良いでしょう。このステップがあることで、髪表面の汚れをとり除けるとともに、髪の内部に水分がしっかりと行き渡り、シャンプー時の摩擦から守ることができます。

シャンプー時には、ただシャンプーで髪を洗うのではなく、頭皮のマッサージをすることで、毛穴の詰まりを防ぎ、血流がよくなり髪の成長に必要な栄養が十分にいきわたります。

血流がよくなることで頭皮の状態が良くなり、ハリやコシのある髪が育ちやすくなるのです。

3-3.キューティクルを整える

キューティクルの乱れや破損も深刻な問題です。

これには、まずはシャンプー後のトリートメントとアウトバストリートメントで日常的にお手入れをすることが必要です。

まず、トリートメントの仕方は、シャンプー後につけたらすぐに洗い流すのではなく、浸透させることが重要です。

ホットタオル

シャンプー後、毛先を中心にトリートメントをつけ、ホットタオルやシャワーキャップを被り、数分間待ちます。

その間は、体を洗ったり、湯船に浸かってリラックスする時間にしましょう。

このステップがあることで、開いてしまったキューティクルに髪にトリートメントの潤い成分が浸透しやすくなります。

その後の、洗い流さないトリートメントの方法は、3-1のドライヤー前のお手入れをご参照ください。

4.女性ホルモンを整える

3章では、シャンプーやトリートメントなど、外側からのアプローチを紹介していきましたが、内側からのアプローチも必要です。ハリとコシを髪に蘇らせるには、女性ホルモンを整えることも有効です。

ハリとコシがなくなる原因として、加齢とともに女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが減少し、ヘアサイクルの中の「成長期」の期間が短くなる現象が関係しています。

大豆に含まれるイソフラボンには、女性ホルモンの働きを補う働きがあります。イソフラボンが腸内細菌に発酵されることで作られるエクオールは、より高い活性を持つことが知られています。

そのため、大豆製品をしっかり食べることは、女性ホルモンを整える働きがあり、結果、髪にも影響をもたらします。

その詳細は、下記リンクをご参照ください。

▼腸内環境を改善して女性ホルモンをサポートする

ホルモンバランスの乱れ、原因と対策とは?医師が解説する今日からできる備え

5.髪のエイジングケアをはじめましょう

加齢とともに髪のハリやコシが失われていくのは自然なことです。
しかし、その髪をキレイに若々しく復活させることは難しいことではありません。

まだまだ、諦めるのはもったいないです。私も少しずつできることから始めています。

キレイな髪を手に入れて、髪も心も若々しく毎日を過ごしていきたいですね。

監修:内科医 桐村里紗

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか