こんにちは。WELLMETHODライターの廣江です。

桜の咲く時期、「くしゃみ・鼻水がとまらない」「目がかゆい」。

このような花粉症の症状に悩まされる方はいませんか。実は筆者も花粉症に悩むその一人。

花粉が飛ぶ時期になると、目はかゆい・鼻水はとまらないなど、散々な毎日です。ひどい時には顔もむくんでしまい、「調子悪い?」「風邪ですか?」なんて心配されることも。

そんな花粉症ですが、症状を少しでも改善するには一体どんなことをすれば良いのでしょう。

今回は花粉症との付き合い方、症状を和らげるための対策などについてご紹介します。

1.花粉症とは

別名「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、花粉の飛ぶ時期にのみ引き起こされるアレルギー疾患のことをいいます。

花粉症対策

1-1.花粉症の症状

花粉症は「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の鼻の3大症状のほかに、「目のかゆみ」「涙目」「充血」等の目の症状を併せ持つことが多く、ほかにも「のどや皮膚のかゆみ」「下痢」「食欲不振」「微熱」などの症状がでることもあります。

1-2.花粉症のメカニズム

花粉症は、身体が花粉を排除すべき異物(抗原)だと思い込み、身体の外に排除させようとするアレルギー反応です。

花粉(抗原)が体内に何度も侵入すると、体内で花粉(抗原)を異物と判断させる「IgE抗体」が産生されます(感作の成立 ※1)。

その後、ふたたび花粉(抗原)が体内入り込むと、抗体が花粉(抗原)を認識し、身体から花粉を排除させようと化学伝達物質(ヒスタミン、プロスタグランジンなど)を放出して、くしゃみ・鼻水などを引き起します。これがアレルギー反応です。

※1:ある特定の抗原(今回は花粉)に対し、アレルギー反応を起こす体質になること

2.花粉の種類

花粉症の引き金となる花粉は国内に約60種類存在します。

また、地域や季節により飛散している花粉の種類や量は異なり、人により花粉症を発症する花粉の種類も異なります。代表的な花粉をいくつかご紹介します。

花粉

・スギ(ピーク:2月中旬~4月下旬)・・・花粉症の代名詞ともいえる日本で最もポピュラーな花粉です。スギは日本各地の広い範囲に分布しており、最も多くの花粉を飛散させます。

・ヒノキ(ピーク:3月末~5月中旬頃)・・・スギ花粉のピーク後にやってくる花粉です。飛散量はスギ花粉よりも少なめですが、スギ花粉と併発させている人も多い花粉です。

・イネ科…12月、1月以外のほぼ通年飛び続ける花粉。樹木より飛散量が少なめです。スギやヒノキの時期を過ぎても、まだくしゃみや咳が治らないという場合は、イネ科の花粉による可能性があります。

・ブタクサ、ヨモギ…秋口にかけて飛散量が増加する花粉です。ともにキク科の植物です。

3.花粉症の治療法

花粉症の治療法には、症状を一時的に和らげる「対症療法」と、花粉症のアレルギー反応そのものを少なくする「減感作療法」が存在します。

3-1.対症療法

対症療法に使用される薬は、内服薬・点眼薬・点鼻薬・注射薬などがあります。

薬は症状が現れる部位、重症度により使い分けをしたり、それぞれを組み合わせて使用したりする場合もあります。

花粉の飛散時期や飛散量に合わせて使用する場合もあり、自身の症状に合う治療薬をみつけることが大切です。

ここでは一般的に対症療法で使用されるお薬についてご紹介します。

目薬

3-1-1.抗アレルギー薬(内服薬、点眼薬、点鼻薬)

アレルギーを引き起こす化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)による作用を抑えます。

・抗ヒスタミン薬

抗アレルギー薬の中で代表的な薬です。

抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を引き起こす化学伝達物質「ヒスタミン」を体内でブロックし、アレルギー症状を抑える作用があります。

内服の場合は、花粉の飛散時期より半月前あたりから服用すると効果的といわれています。

副作用として眠気や口の渇きが有名ですが、最近では副作用の少ないタイプもあります。また、1日1回で良いもの、水なしで飲めるものなどが発売されており、比較的選択肢の広いお薬です。

その他、抗アレルギー薬として、ロイコトリエン受容体拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬など存在します。

まず、第一選択薬としては、抗ヒスタミン薬を使用するのが一般的で、効果がない場合に追加、または変更することが一般的です。

3-1-2.ステロイド薬(内服薬、点眼薬、点鼻薬)

即効性があり強力に症状を抑える薬です。

気軽に処方される薬ではなく、どんな治療も効果がなく、よほど症状が辛い場合に使用が検討されます。一般的には医師も極力使用せず、やむ無く使用する場合もごく短期間に止めるように努めます。

ステロイドの内服薬は長期服用すると副作用の心配もあるので、使用する場合は医師の指導のもと正しく服用しましょう。

点鼻薬

一方、ステロイドの点鼻薬の場合は、鼻の穴に直接薬液をふきかけるため、薬が全身に回りにくく副作用が少ないという利点があります。

点眼薬も内服のステロイド薬に比べると全身の副作用は少ないですが、眼圧が上がる等の副作用がある為、長期連用は避けたほうが良いでしょう。

3-1-3.血管収縮薬(内服薬・点鼻薬)

鼻粘膜にある血管を収縮させて、鼻づまりを解消するお薬です。

点鼻薬が代表的ですが、長期に連用するとかえって鼻詰まりを悪化させることもあり注意が必要です。点鼻薬の他、内服薬もあります。

これらの薬の中には、薬局やドラッグストアで購入できる花粉症の薬もあります。

しかし、風邪や副鼻腔炎などの花粉症とよく似た症状の病気も存在するため、適切な治療を受けるためには一度医療機関への受診をおすすめします。

3-2.減感作療法

減感作療法は別名「アレルゲン免疫療法」とも呼ばれます。

スギ花粉症の原因となるスギ花粉(アレルゲン)を少量ずつ身体の中に入れて、徐々に体をスギ花粉に慣らし、花粉症の症状を緩和もしくは完治させることを目的としています。

・舌下免疫療法・・・アレルゲン免疫療法の中で主流な方法です。舌の下からスギ花粉を原料としたエキスを吸収させ、徐々に身体を慣れさせます。現在、錠剤タイプと液剤タイプがあります。

治療の条件として、アレルギーの有無にかかわらず毎日服用、かつ数年以上(3年)の継続の必要があります。治療の開始時期は、スギ花粉が飛散していない6~11月に行います。

アレルゲン免疫療法は、喘息などお持ちの方、妊婦さん、β遮断薬とよばれる血圧薬を服用している方はよく医師と相談してから治療をはじめる必要があります。

また、治療を行っている医療機関が限られているため、耳鼻咽喉科などで治療が受けられるかどうか予め相談すると良いでしょう。

3-3.レーザー治療

近年「レーザー治療」が注目されています。

鼻粘膜をレーザーで焼くことで、アレルギー反応を起こす場所を減らし、症状を緩和させる方法です。

このレーザー治療は体質そのものを改善するわけではないので、鼻粘膜が回復すると再び花粉症症状が現れるようになります。

1回の治療で2年ほど効果が持続し、その後再治療を受けることも可能です。

4.日常生活での対策

花粉症の症状を和らげるためには、まず「花粉を身体に入れない」ことが大切です。
特に花粉のほとんどは鼻や口から入ることから、それらの侵入経路を防ぎましょう。

4-1.マスク

花粉症用のマスクは7~8割の花粉の侵入を防ぐことが可能です。しかし、マスクの正しい装着をしていないとその効果は期待できません。マスクを装着する際は、以下の点について注意しましょう。

・ノーズクリップを鼻の形に合わせ、マスクと肌との隙間をなくす
・プリーツをのばし、鼻から顎まで隠す(マスクから鼻が出る、顎が隠れていない場合はNGです)
・内側が汚れたら交換する

マスク

4-2.服装・メイク

花粉を顔や体に付着させないために、服装、メイクにも工夫が必要です。

・服の素材を綿・ポリエステルに・・・コートやジャケットのアウターは表面がツルツルしている綿・ポリエステルなどの素材がおすすめです。

なぜなら、花粉は、手で払ったり粘着ローラーで取り除くことができるため、ツルツルした素材を選ぶことで、未然に家の中に持ち込む花粉の量を極力少なくすることができるためです。

ウール・アクリル素材のニットなどの衣類は花粉が付着しやすいので注意が必要です。

柔軟剤

・柔軟剤を使用する・・・花粉や静電気により引き寄せられるため、衣服を洗う際は柔軟剤を使用しましょう。

柔軟剤であれば、どのような種類でも該当します。
これは、柔軟剤の中にある「陽イオン系界面活性剤」が、空気中の水分子と統合し、電気を流すという性質を持っているためです。
それにより、柔軟剤を使うと静電気が発生しにくくなり、衣服に花粉をつけづらくなります。

・フェイスパウダーで肌をカバーする・・・ノーメイクは花粉が肌に直接付着してしまうおそれがあります。そのためフェイスパウダーで肌表面を覆い、花粉が直接肌に付着しないように気を付けましょう。

一方で、花粉症によって皮膚炎が起きている場合は、無理にメイクをしない方が良い場合もあります。ホホバオイルなどの油性の化粧品で皮膚を保護し、刺激を感じる化粧品は使用を控えましょう。

4-3.洗眼、鼻うがい

マスクや眼鏡をかけても完全に花粉を取り除けるわけではありません。

隙間から入って鼻や目に付着した花粉を洗って取り除くためには、「洗眼」「鼻うがい」が効果的です。

・洗眼・・・洗眼液など市販で販売されています。ぬるま湯で行うことも可能ですが、洗いすぎると目の粘膜がダメージを負うことがあるので、注意してください。

・鼻うがい・・・液体を鼻の穴から流し込み、鼻粘膜を直接洗浄する方法です。水道水で行うと浸透圧の関係で鼻の奥がツーンと痛くなってしまうため、自分で0.9%食塩水を作る(1Lの水に対して9gの食塩をとかす)か、鼻うがい専用の液剤を使うと快適に使用できます。

4-4.規則正しい生活を心がける

睡眠をとる女性

花粉症の症状を和らげるためには生活習慣を見直すことも大切です。

・アルコールを控える・・・お酒は飲みすぎると、血管を拡張させ、鼻詰まりや充血を助長する恐れがあります。また、アレルギーの原因である「ヒスタミン」の分泌を促します。そのため、花粉症の症状がある場合はなるべく控えましょう。

・タバコ、香辛料を控える・・・タバコ、香辛料も鼻粘膜を刺激しやすく、花粉症の症状を悪化させますので注意が必要です。

・アレルギーを誘発する油を控える・・・植物性の油に含まれるオメガ6系脂肪酸のうちリノール酸は、アレルギーを誘発するアラキドン酸を増やす働きがあります。

サラダ油、コーン油、紅花油、大豆油、ひまわり油、加工食品に含まれる加工油脂、マーガリン等に多く含まれますので、食べ過ぎに注意しましょう。

・野菜や海藻類をしっかり食べる・・・野菜や海草に含まれる水溶性食物繊維は、大腸の中の酪酸菌によって酪酸という成分に作りかえられます。酪酸は、免疫細胞に働きかけ、アレルギーを調整する働きのある教育者のような抑制性T細胞(Tレグ)へと成長させるという大切な働きがあります。

その他、過労や睡眠不足を避ける、ストレスをため込まない生活などが花粉症の症状を和らげるために効果的といわれています。

5.症状を食生活・生活習慣を見直すチャンスに

毎年その時期になると悩まされる花粉症ですが、その治療は日々進歩しています。

それと同時に、日常生活のちょっとした工夫で症状を緩和させることは可能です。

また逆転の発想で、すでに症状が出ているということは、これまでの食生活や生活習慣を見直す時期、ということのあらわれでもあります。

そんな体からの小さな声を敏感に察知し、より豊かな毎日を過ごせるよう、見つめ直して見る良いチャンスに変えていくのはいかがでしょうか。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

続きを見る

著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

廣江 好子の記事一覧