こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

更年期症状の代表的な症例としてホットフラッシュがあります。

ホットフラッシュは前触れもなく顔がカーっと火照ったり、上半身に汗をかいたりする症状です。

このホットフラッシュが起こることにより、自分が更年期だとわかる人も少なくありません。

ホットフラッシュは、漢方薬やホルモン補充療法で症状の緩和が期待できます。

しかし、現在治療中であっても、「突然ホットフラッシュが起きたら怖い…」と感じていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。

とくに、人と会っているときに急に発汗すると、焦ってしまいますよね。

そんなときに有効な対策として考えられているのが「ツボ押し」です。

人の体には各場所にツボがあり、それを押すことで自律神経を整え、ホットフラッシュを防ぐことが期待できます。

普段の治療に加え、別の対策も持っておくと、より安心感が増えるのではないかと思います。

ここでは、ホットフラッシュの予防に繋がるツボ押しの紹介や、日常生活でできるホットフラッシュの対策などについて詳しく紹介します。

1.ホットフラッシュはどのような症状?

ホットフラッシュが辛い女性

ホットフラッシュの代表的な症状は、何の前触れもなく急に顔や体が熱くなったり、大量の汗がどっと出たりするものです。

ホットフラッシュが出ると、寒い日でも暑くてイライラしたり、のぼせが起きて仕事が手につかなくなるなど、さまざまなトラブルが起きます。

まずは、この厄介なホットフラッシュが起きる理由について見ていきましょう。

▼ホットフラッシュってどんな症状?発症する原因や対策を知っておこう

https://wellmethod.jp/hot-flash/

1-1.ホットフラッシュはなぜ起こる?

ホットフラッシュが起こる原因は、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することによる自律神経の乱れといわれています。

そもそもエストロゲンは、子宮と乳房などに作用している女性ホルモンです。

このホルモンがバランス良く分泌することで、毎月生理が起こったり、女性らしい体作りのサポートに役立ったりしています。

そしてエストロゲンは、脳や筋肉・関節など体のあらゆる部分のサポートにも役立っています。

しかし更年期になり、エストロゲンの分泌が減ってしまうと、体をサポートする役割も衰えてしまいます。

それにより肩こりや頭痛、ホットフラッシュなど、体中にさまざまな悪影響が生じてしまうのです。

また脳の視床下部に存在する自律神経は、心身のバランスを整える大きな役割を持っています。

しかしエストロゲンの分泌も、脳の視床下部から指令が出されているため、このホルモン分泌が乱れることで自律神経まで影響を受けてしまいます。

これにより、暑くもないのに急に体が火照ったり、汗をかいたりなどの、ホットフラッシュの症状が出てしまうと考えられています。

1-2.ホットフラッシュはいつまで続く?

ホットフラッシュが辛い女性

ホットフラッシュは、更年期が終わると同時に解決することが多いです。更年期は一般的には45歳から55歳の約10年間とされています。
自身の閉経年齢からプラスマイナス5歳と考えましょう。

つまり、個人差はありますが、更年期の症状が終わる55歳を過ぎた頃には、ホットフラッシュの症状も治まることが多いでしょう。

しかしホットフラッシュの症状は人によってさまざまです。

月に1回程度起きる人もいれば、毎日のように悩まされ、日常生活がままならないという人もいます。

もしホットフラッシュの症状に悩まされている方は、更年期が終わるまで我慢するのではなく、婦人科で適切な治療を受けることが大切です。

また、ホットフラッシュは親から受け継いでいる腸内フローラが関連するともいわれています。

腸内に、大豆のイソフラボンをエクオールという物質に転換するエクオール産生菌がいて、しっかり機能している場合は、豆類を食べることでエクオールが作られ、女性ホルモンの減少による不調を補ってくれる可能性があります。

腸内フローラは、主に両親から受け継ぎますから、母親がひどい更年期症状に悩んでいた場合は、自分自身もリスクがあると考えた方が良いでしょう。

親がホットフラッシュに悩んでいた場合は、早めに対策をするよう気をつけましょう。

2.ツボ押しで自律神経を整えホットフラッシュを軽減させる

つぼ押し 足

ホットフラッシュの厄介なところは、突然前触れもなく発汗やほてりが生じることです。

これらを防ぐには、自律神経を整えるのに有効である「ツボ押し」がおすすめです。

しかし、ツボ押しをしたところで、必ずしもホットフラッシュが防げるわけではありません。

また、ホットフラッシュの症状が出たときに慌ててツボ押しをしても、急にそれらの症状を抑えることは難しいでしょう。

それでも、ツボ押しをすることは気持ちを和らげ、自律神経をサポートすることにもつながります。

また、毎日ツボ押しをすれば自律神経の調整にも繋がりますので、ホットフラッシュに悩む方は、日常にツボ押しを取り入れてみることも大切です。

2-1.ツボ押しをする際のポイント

さっそくここからは、ホットフラッシュの悩みの解消に繋がるツボ押しの方法を紹介します。

ツボ押しはただその箇所を押すのではなく、次のようなポイントを抑えることでさらに効果を実感できます。

1.あまり強く刺激せずゆっくりと圧を加える
2.「痛気持ち良い」という強さがちょうど良い
3.もう少し強く押したいときはゆっくり円を描くように刺激をする
4.ツボが固く感じる場所や、痛いところほど不調が出ているサインと意識する
5.なるべく毎日続ける

ツボ押しはただ刺激を与えるのではなく、ツボにゆっくりと指を添え、痛気持ち良いくらいの強さで5秒間ほどキープするのがポイントです。

初めは痛いと思う場所でも、毎日続けることで気持ち良いと変化することもあります。

ぜひこれらのポイントを抑え、さっそく次に紹介するツボ押しに挑戦しましょう。

2-2.足の親指と人差し指の骨が交わるツボ「太衝(たいしょう)」

太衝

太衝は足の甲にあるツボであり、ホットフラッシュなどの、のぼせやめまいなどに効果的なツボです。

足の親指と人差し指の骨が交わる箇所にあり、寝る前などにゆっくりと押してあげると良いでしょう。

太衝のツボを押すと、ホルモンバランスの調節機能を高める効果があり、更年期におけるホットフラッシュを落ち着かせる作用も期待できます。

そして浮き指など、足における不調にも効果的です。

肝臓にもサポートする場所なので、ちょっと飲みすぎたときにもぜひ押してみてください。 

2-3.くるぶしの上にある三陰交(さんいんこう)

三陰交

三陰交は、足のくるぶしの上にあるツボです。

このツボは「女性のツボ」ともいわれ、押すことで女性ホルモンのバランスを整える作用が期待できます。更年期障害以外にも、月経関連の不調に効果的です。

三陰交の正しいツボの場所は、内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅を4本そろえて、人さし指があたっているところです。

痛気持ち良いと感じる程度の強さでゆっくりと5秒ほどツボを押してみましょう。

三陰交のツボは、加齢に関わる調節機能を整える働きがあるため、乱れたホルモンバランスの調整に有効です。

ホットフラッシュの他にも、冷えやむくみの改善、シワやたるみ改善のサポートにも期待できます。

2-4.手首の「神門(しんもん)」はすぐに押せる便利なツボ

神門

手にあるツボは、いつでもどこでも押せるため覚えておくと便利です。

なかでも手首にある神門は、体や心の緊張をほぐしてくれる万能ツボです。

正しい場所は、手首の曲がりジワを小指側へ沿ってなでてゆき、骨の出っぱりの手前で指が止まるところになります。

神門のツボはリラックス作用もあるため、イライラしたときやストレスを感じたときに押すのもおすすめです。

ホットフラッシュに作用する他、不眠の解消やお通じの改善効果にも期待ができます。

2-5.小指と薬指の関節くぼみにある「中渚(ちゅうしょ)」もおすすめ

中渚

中渚は、小指と薬指の関節くぼみにあるツボです。

押すことで体全体の調節機能をサポートしてくれます。

わかりやすい箇所にあるので、ちょっと体調がすぐれないときや、オフィスワークの合間など、思い出したときにゆっくりと押してあげましょう。

中渚ツボは、体の調節機能に作用し、めまい、耳なり、立ちくらみなどの改善にも期待できます。

また呼吸や血液循環、消化吸収の機能改善もサポートしてくれるので、スキマ時間を使ってぜひこのツボを押してみましょう。

3.ホットフラッシュを軽減させる方法とは

ここまでホットフラッシュに効果的なツボ押しを紹介してきました。

ただ根本的にホットフラッシュを改善するには、ツボ押しだけで対処するのは難しいです。

ここからは、日常生活でできるホットフラッシュ対策や、婦人科でできる更年期障害の治療方法などについて紹介します。

3-1.悩ましいホットフラッシュ…まずは産婦人科へ相談を

婦人科 女医

ホットフラッシュの症状は人によってさまざまです。

日常生活でさほど影響が出ない人もいれば、「毎日ホットフラッシュが起きて通勤するのも大変」といった深刻なケースもあります。

ホットフラッシュに限らず、更年期の症状が辛くて日常生活に支障があるような場合は、我慢せずに婦人科を受診しましょう。

婦人科では主に次の2つの治療を提案されることが多いです。

1.ホルモン補充療法 

ホルモン補充療法は、更年期によって減少している女性ホルモン、エストロゲンを人工的に補充する治療方法です。

さまざまな処置方法がありますが、飲み薬や貼り薬、塗り薬などでホルモンを補充する方法が中心です。

ホルモン補充療法をすると、これまで悩まされていたホットフラッシュや、不眠やイライラといった更年期症状が劇的に改善されることも多いです。

また女性ホルモンを補うことで肌のハリやツヤが改善されるうれしい効果もあるでしょう。

ただ、ホルモン補充療法は乳がんの既往があったり、脳梗塞のリスクがあったりする人はできません。
腸管カンジダの増加など、腸内フローラへの影響も懸念されます。

まずは医師の診察を受け、自分に合った治療かどうか確認する必要があります。

▼教えて!高尾美穂先生vol.2〜産婦人科専門医に聞く、40代からの「エイジング」との向き合い方vol.2

https://wellmethod.jp/drtakao_int02/

2.漢方薬治療

漢方薬

漢方薬は更年期症状に対し、緩やかな作用に期待できる治療方法です。

ホルモン補充療法ができない人、もしくは、ホルモン補充療法とあわせていくつかの症状を訴える人に処方されることがあります。

ホットフラッシュ改善に期待できる漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがあります。

体質によって、これら3つを使い分けるのが一般的ですので、漢方薬店や漢方医に相談しましょう。

飲み始めてすぐに効果がでることは少ないのですが、何日も続けて服用することにより、緩やかな作用が期待できます。

3-2.大豆イソフラボンを意識してとろう

ホットフラッシュだけでなく、多くの更年期症状を緩和させるには、規則正しい生活や、体に良い食生活が大切です。

女性ホルモンを整えるためにも、豆乳や小豆といった大豆製品を意識的にとってみましょう。

大豆に含まれているイソフラボンは、摂取することにより腸内でエクオールという成分に変化し、これが女性ホルモンに似た働きをするとして注目されています。

また、納豆や豆腐、味噌などの昔からある大豆製品を意識してとると、それらがエクオール産生菌のエサになることもわかっています。

しかし、このエクオール産生菌は、大豆製品を摂取していないと働きをサボってしまうことがわかっているため、日常的に摂取をすることが大切です。

▼女性に欠かせない「エクオール産生菌」とは? 心と体の健康を保つ腸活の仕方

https://wellmethod.jp/equol-producing_bacteria/

3-3.お風呂や軽めの運動で体を温める

バスグッズ

ホットフラッシュは体がカッと熱くなることから、体を冷やしたほうが良さそうなイメージもあります。

しかし、実際には上半身に血液がのぼり、下半身は冷えていることが多いのです。

そのため身体を冷やしてしまうと下半身はさらに冷えることになり、ホットフラッシュを改善することにはつながりません。

ホットフラッシュに悩んでいる人は、下半身をよく温めることを意識してみましょう。

まずおすすめなのは、湯船につかってしっかりと下半身を温めることです。

湯船につかることはリラックス効果も高まり、自律神経を整えることからホットフラッシュを改善させる対策にもなります。

そしてウォーキングなどの軽めの運動を取り入れると、体全体が温まり、冷えた下半身の血流改善にもつながります。

▼手足が冷たくて眠れない! 末端冷え性の原因と冷えないための毎日の対策

https://wellmethod.jp/cold-end/

3-4.ストレスをためないことも重要

ホットフラッシュを予防するにはストレスを溜めないことも大切です。

ストレスが溜まると自律神経が乱れ、ホットフラッシュやイライラ、不安など、更年期障害の症状が悪化することもなります。

反対にストレスのないゆったりした時間は、副交感神経が優位になります。

交感神経にばかり偏ることなく、また、副交感神経ばかりにも偏ることなく、交感神経と副交感神経がリズムよく働くことが大切です。
自律神経のバランスが整うことで、ホットフラッシュの症状も軽くすることができるでしょう。

お風呂にゆっくりと浸かる、適度な運動をする、しっかりと睡眠をとるといった行動は、ストレス解消につながります。

毎日の生活ではあまりを無理せず、自分なりのストレス解消法を見つけていきましょう。

4.ツボ押しは自律神経を整えるのに効果的! ぜひ日常に取り入れてみよう

つぼ押し 親指

ホットフラッシュは更年期症状の中でも現れやすいものであり、日ごろから悩まされている女性も多いです。

根本的に治すには婦人科での治療が一番大切ですが、病院に通うほどでもないといった人は、今日紹介したツボ押しや、ストレスをためないといった日常生活を意識してみましょう。

毎日ツボ押しをすることで乱れた自律神経の調整にも繋がりますので、ぜひ今回紹介するツボ押しを実践し、日々の体調管理に役立てていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

続きを見る

著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

廣江 好子の記事一覧