コロナ禍に勃発!?夫婦の「家事問題」家族関係のストレス解決法
皆さま、こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。
コロナ禍のストレスが続く中、毎日一緒にいる家族関係がストレスフルであると最悪ですね。
これまで、仕事に行くことや外出することなどで、煩わしい家族から逃れて息抜きしていた人にとって、ずっと家族と顔を合わせるなんて苦行に近い日々かも知れません。
目次
1.家族は生涯の学びと成長のパートナー
しかし、家族は生涯一緒にいる、学びと成長のパートナーです。
見たくないものに蓋をせず、この期間にしっかりと向き合ってストレスの原因を解決しておくと考えてはどうでしょう。
そのためには、相互理解と歩み寄りが不可欠です。
ただし、相手を変えようとしても抵抗されるだけ。
いかに相手が間違っている!と思って、ガミガミと指摘しても変わりません。
一方で、自分を殺して合わせると、いずれそのストレスが爆発して心や体に現れて爆発します。
自分がガミガミと言うタイプであれば、相手はそれに合わせたバランスをとります。
外に逃げてしまい、向き合ってくれないなどの反応となって現れます。
2.自分が変わることでバランスを変える
自分が自分を殺して合わせてしまうタイプであれば、相手はそれに合わせたバランスをとります。
相手は自分の主張が通るのが当たり前になり、ガマンさせていることにも気づきません。
家族関係は、二人であっても、複数であっても、全体のバランスを家族全員でとっているものです。
一人が変わればバランスが変わり、新しい均衡点を見つけるべく、全員が変わっていきます。
相手が何かしら気づいて勝手に変わる場合もありますが、多くの場合、人はなかなか変わりません。
自分が変わることで、変化させるしかないと思った方が楽です。
3.家事問題を考える
我が家の問題は、家事です。
私も仕事をしています。主人も仕事をしています。
しかし、家事をするのは、全て私。
私は、料理以外の家事は全て苦手です。
忙しいのにやってられないものですが、誰かがやらないと家の中がカオス状態になるので、全て私がやっていたのですね。
「やって」と言って動くタイプの夫ではないので、諦めの境地。
当然、私にとっては、時間もとられますし、大いにストレスです。
3-1.昭和の夫のロールモデル
夫の父、つまり義理の父は、右のものも左に動かさない昭和の典型的な夫像を体現したような方でした。
義父が小さい頃、母親が靴下まで履かせていて、大人になっても自分で靴下が履けなかったそうです。
義母も専業主婦なので、家事は全て義母がやる。
義父は仕事だけして家では何もしないのが当然と言うスタイルです。
私の夫は、義母曰く「器用なタイプなので料理も掃除も何でもできる」と言う触れ込みだったのですが、そんな父親をロールモデルにしているためか、結婚後、家ではほぼ何もしない。
通常は男性が得意なはずの電気系統の配線なども全くできないので、まさに「役に立たん!」と言うのが私の本音でした。
3-2.「家事を手伝う」という意識の罠
そもそも、男性が家事をする時、妻側も「手伝ってもらう」、夫側も「手伝ってあげる」。
そんな意識がそもそも間違いのもとです。
夫婦によっては、その逆の場合もあるかも知れませんが、どちらかに負担があるのがおかしな状況です。
この発言、家事をする主体は、妻。
夫は、サポートする役割という前提があり、出てくるセリフです。
夫「手伝ってあげようか?」
妻「手伝ってくれてありがとう」
夫は、手伝うことで感謝され、ありがとうという報酬をもらうことになります。
期待した報酬がもらえると嬉しくなり、やりがいを感じるという仕組みです。
3-3.報酬なき家事を一人でやる苦痛
しかし、妻は?
何の報酬もありません。
家事をやる主体として、やって当たり前。
「ありがとう」という言葉もなく、ただ黙々と、淡々と、目の前のゴミを片付け、夫が散らかしたパンツを洗濯機に放り込み、献立を考え、ため込むと翌朝の効率が下がるからとソファに横になりたい気持ちを抑えて洗いものをする。
その間、風呂の一つや二つ入れてくれたら良かろうものなのに、すでに弛緩した夫を横目に風呂を入れ、さぁ、ようやく終わりましたという頃には、すでに寝る時間。
読書の時間も取れぬままに慌ただしく1日が終わります。
3-4.家事は、基本的な人間活動
おかしい。
本来、家事というものは、人間の基本的な活動の一環です。
人間が生命活動する限り、必要なエネルギーを得るために食事を作り、出てしまう余分なゴミを片付け、散らかっていくものを整える、基本的な作業です。
基本的な作業を誰かに押し付けるのは、人間活動の放棄であると言えますし、そもそも「手伝ってあげようか?」ではなく、片方がやらない人間活動の一端が、もう片方に回ってきて2人分の負担がかかっているわけなのです。
3-5.やらないという勇気を持つ
この状況を打破するために、自分がやらないとどうしようもないからと、全てやってしまうと永遠にそのバランスは変わりません。
ガミガミと叱っても、うるさいと感じて逃げられるだけなので、それも賢明とはいえません。
色々な方策はあるかと思いますが、私が最も効果的だと思うのは「やらない」という選択です。
私の実家の両親の話をしますと、うちの父も高度経済成長期の典型的な昭和の夫として、家事に一切参加しない、男は仕事をしていればいい。というタイプでした。
しかし、私が小学校の頃から、母が病気で寝込んでしまったので、強制的に家事ができなくなりました。
当初、何もできなかった父ですが、小学生の私の朝食を作るために、朝から包丁をとり、決して旨いとは言えぬ味噌汁を作ってくれるようになりました。
夏休みの宿題の自由研究も、私を連れ出して一緒にやってくれるようにもなりました。
そうは言いつつ、ゼロからのスタートですから、しばしば、母親がお皿を投げつけるような激しい喧嘩をしていましたが、母が寝込んだ副反応として、父も料理や片付けが少々できるようになったのです。
今では、朝から自分で自主的に料理をし、母曰く「あまり上達しない」ものの、人をもてなしたりすることもあります。
3-6.心を鬼に、意図的にやらない
そのような次第で、ずっとやってあげていては、永遠にそのバランスは変わりません。
意図的にやらないことが効果的です。
いきなり全部やめてしまうと、家の中がカオスになりますから。
まず、自分のことだけやって、相手のことは放置する。
例えば、自分の洗濯物はするが、相手の洗濯物は放置してみましょう。
「パンツがない、靴下がない」と、当初は買ってくるということで対処するのですが、そのうち「洗濯機はどう使うのだ?」などと質問してきたらしめたもの。
料理も洗いものも、自分のことをやり、相手のことは心を鬼にして放置する。
すると、あれこれしながらも、そのうち、自分で勝手にやるようになります。
3-7.「手伝い」はNG「ありがとう」の使い方
子育てと同じで、当たり前のことながら、できたら一応褒める。
そのうち、肉を焼く、などの簡単な手料理など作るようになったら、美味しくなくても、「美味しい〜」とか言ってみる。
別に褒めたくはないが、相手の自尊心をくすぐり、自主性を高めるために、あえて褒める。
「手伝ってくれて、ありがとう」は、お手伝いしているという感覚を与えて主体性を奪いますから、「手伝って」と言う言葉は使わない方が良いでしょう。
しかし、「ありがとう」は、本来、「存在してくれるだけで、ありがとう」ということもできるパワーワードです。
何かと感謝することで、自分も変わり、相手も変わり、関係性が良くなります。
基本的な活動を讃える意味で、
「美味しい料理を、ありがとう」
「綺麗なお部屋を、ありがとう」
「一緒にいてくれて、ありがとう」
そんな風に、「ありがとう」を使うと良いですね。
3-8.期待と言うエゴを押し付けない
我が家の場合も、双方に気分のムラがあるため、夫の家事は長続きしません。
そこで、キーッとならないためには、過度な期待をしないことです。
「期待」と言うのは、こちらのイメージの押し付けですから、ありのままを尊重するものではありません。
だから、ポジティブな意味で期待しないと、こちらにもストレスはありませんし、いざ、期待を裏切ってくれたときに喜びもひとしおです。
3-9.人の成長を信じる
そして、信じることです。
人の精神的な成長を信じることで、過度な押し付けをせず、自然な成長を待つことができます。
忍耐も要りますが、「ま、そのうち変わるだろう」くらいの軽い気持ちで構えていれば、やはりストレスはありません。
3-10.お互いさまで我が身を振り返る
私にもできないことがたくさんありますから、お互いさま。
夫も色々と忍耐してくれていることがあるでしょう。
散々文句を言いながらも、できないことだらけの私を補ってくれて感謝しています。
お互いに、押し付けない、おおらかに構えて、今の相手を否定せず、認めながら、成長を見守る。
子育てのようですが、大人になっても、人間はそうそう成熟するわけでもありません。
もっとも身近な家族をみて、我が身を振り返り、自分の成長に活かすことができれば、アフターコロナは新しい生活様式と共に新しい家族関係が構築できるかも知れませんよ。
あくまでも、我が家の一例ですが、ご参考になれば幸いです。
4.家族とケンカしない5つの心構え
家族との時間が増えれば増えるほど、イライラがつのっている人も多いと思います。
こんなセリフを言っている人は要注意です。
「あなたのためにやってあげてるんだから」
「あなたのために言ってるのよ」
これって、自分の「エゴ」の押し付けです。
自分を振り返って、ケンカを回避し、家族関係のストレスを溜めないためには?
こちらもご参照ください。
我慢の冬!家族とケンカせずストレスをためない為の5つの心構え
https://wellmethod.jp/family-quarrel/
この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか