皆さま、こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

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今日は、WELLMETHODの読者の方からご要望をいただき、繊細過ぎて生きづらい内向的なHSP(Hyper sensitive person)と、外交的ながら繊細過ぎて自滅するHSS型HSP(High Sensation Seeking:刺激探求型)についてお話ししたいと思います。

私自身、HSS型HSPの診断基準にほぼ当てはまりますので、刺激に対して繊細なクセに刺激を求めて冒険してしまうため、自律神経がやられて不眠となり、その後しばらく寝込むことしばしば。
30後半となり、少しずつ自分の取説がわかるようになってきました。

繊細過ぎて生きづらいという方は、まず、自分が何者かを知るために、HSPやHSS型HSPについて理解してみましょう。

1. 繊細過ぎて生きづらいHSPとは何か?

HSP

まずは、HSPからお話しましょう。
こちらは、かなり認知されてきていると思います。

外からの刺激に繊細過ぎて、内向的。そして自分の内側の想像力が豊か過ぎて、思考がグルグルと展開し、物事を始めようとしても実行に移せない。
しかし、色々と調べていく過程でかなりの物知りになり、人よりも知的で思慮深い傾向があります。

1-1. HSPは精神科的病気ではなく特性

まず、大前提として、HSPは、精神科の診断基準に載っているような精神的な病気ではありません。

HSP(Hyper sensitive person)は、臨床深層心理学の博士・Dr.エレイン・N・アーロンによって、定義された「生まれつき過剰に繊細な人」のことを意味します。
科学的な専門用語としては Sensory-Processing Sensitivity (=感覚処理感受性)(SPS)と言われる特性の一般用語です。

HSPは、身体的、感情的、または社会的刺激に対する中枢神経系の感受性が人よりも高く、非常に繊細です。

生きづらさを感じている方の多くには、HSPが隠れているとされています。

1-2. HSPチェックリスト

HSPチェック

Dr.アーロンは、HSPの診断項目についてスケールを作成しています。

(Highly Sensitive Persons Scaleを改編 Elaine N. Aron、1996)

HSPチェックリスト

※The Highly Sensitive Person公式サイト
7問目以降の質問は公式サイトをご参照ください。

14以上の項目に当てはまれば、HSPの可能性が高いと言えます。
ただし、該当する項目が少なくとも、非常によく当てはまる場合は、HSPの可能性も否定できないとされています。

自分自身の生活などに照らし合わせて、あくまで診断ではなく、簡易チェックとして使用することをDr.アーロンは推奨しています。

1-3. 4つの際立った特性

HSP

HSPには、4つの際立った特性DOESがあるとされています。
いずれも、良い特性とも言えますが、本人が苦しむ可能性があります。

1) D:Depth of processing=深く考え処理する

ものごとを深く考える傾向があります。
考え過ぎと言え、考え過ぎることで疲れたり、ストレスが溜まったりします。
また、考えるばかりで、行動できないこともあります。
一方で、物事を深く考えることで、誰も辿りつかない本質に辿り着く可能性もあります。

2) O:Overstimulated=過剰な刺激の受けやすさ

外から五感を通してはいって来るあらゆる情報に対して、とても感受性が高く、他人の言葉や表情、しぐさなどに対しても非常に繊細に感じ取ります。他人と接することだけでも情報過多となり、ストレスを感じやすく疲れやすいため、一人でいることを好む傾向があります。

3) E:Emotional reactivity and high Empathy=感情的反応性・高い共感性

他人の感情に対して、共鳴しやすく、共感力が高い一方で、相手からの影響を受けやすく、ストレスを抱えやすくなります。無意識に感情がうつってしまうため、怒りやイライラを抱えた人の横にいるだけでも、自分自身の感情が乱れます。共感力が高いため、空気を読む力が非常に高いのはメリットにもなりますが、自分ではない感情に疲れてしまいがちです。
感情や心の状態などに対する感受性が高い人は、「エンパス」とも呼ばれます。

4) S:Sensitibity to Subtleties=些細な刺激に対する感受性

光や音やにおいなど、五感から入る刺激に敏感で、気になりやすい傾向があります。
都会生活は非常にノイズが多いと感じるため、自然を好む傾向があります。
子供の頃から、過剰に音が気になって寝付けなかったり、何かしら親が敏感さに気づきます。集中できず、気が散ってしまったり、強い刺激に疲れてしまいやすくなります。

※分子栄養療法的な視点では、ビタミンB群が不足しがちな母親から生まれた子供はビタミンB群の不足から神経過敏になりやすいため、補うことで緩和される可能性もあります。

外からの刺激に対して、過敏に反応してしまうことで、自分自身が疲れる一方で、共感力や協調性がある良い人だとも思われがちです。
でも、本人としては、他人といるだけで疲れてしまうため、大人数は苦手、人混みは苦手で、一人で静かに過ごすことを好み、都会よりも自然を好む傾向があります。
内向的で慎重な傾向があります。

1-4. HSPの人が生きやすくなるためのヒント

HSP 公園で伸びをする女性

まず、自分のために自分の感性や性格とは合わない人、一緒にいて疲れる人とは、できるだけ距離を置きましょう。
嫌でもその人の影響を受けてしまいがちなため、自衛のために離れることが安全です。
どうしても難しい場合は、その分、自分の安全域や自然の中で一人静かになる時間を大切にしましょう。

友達はたくさんいりません。本当に気の合う人とだけ自分のペースで付き合えば良いのです。
考え過ぎて冒険できない自分がいたとしても、それは自分が人以上に思慮深いためで、それによって人よりも多く考え、知識を持ち、知恵を高めることができると言えます。

でも、失敗やハズレを恐れず、時に誰かのチャレンジングな誘いに乗ってみるのも一考です。
新しい世界の扉が開き、自分の枠組みが大きく広がるかも知れません。

2. 外交的なのに繊細過ぎるHSS型HSPとは?

過敏であるには違いないが、内向的でもないし、刺激が好き。どうも、基準には当てはまらないぞ?という方は、HSPの3割ほどが当てはまると言われるHSS型HSPであれば、しっくり来るかもしれません。

私は、まさにこちらのタイプです。
外交的で、冒険は好きだが、飽きっぽく、刺激を求めるクセに、刺激で自滅する。

周りから見ると、社交的で共感力も協調性もありますが、実は本人はぐったり。刺激を得た分、回復に時間を要するため、一人の時間が必要になります。
繊細さを自覚してセーブすることも、経験と共に学んでいきます。

2-1. HSS型HSPの特性

HSS 駆け出すこども

こちらは、特にチェックリストのようなものはありませんが、以下に特徴をあげてみます。

1. 初対面の人も打ち解けられるが、距離感が分からず実際には疲れがちであったり、徐々に距離を置きたくなる
2. 刺激を求めて出かけるものの、いざ外に出ると人混みや騒音、色彩などに疲れて後悔する
3. チャレンジしたい気持ちはあるが、考え過ぎてチャレンジできない
4. そうした結果、自分には何もできないと自己嫌悪に陥りがちだ
5. 周りからは明るいと思われているが、実際には一人でうつうつと考えがちだ
6. 好奇心が強く新規性のあることに飛びつくが、すぐに飽きてしまう
7. 緊張感が常に高く、なかなか気が休まらない
8. 大胆な行動をとるが、小さなミスを気にしてクヨクヨ引きずりがち
9. 人の意見に流されやすい
10. モチベーションが一定せず、アップダウンが激しい

こうした傾向がある人は、HSS型HSPの特性を持っている可能性があります。

刺激を求めるのに、刺激に弱く、心身に打撃を受けるため、自律神経はどちらかと言えば、交感神経モードとなり、不眠にも陥りがちになります。

2-2. HSS型HSPの人が生きやすくなるためのヒント

HSS 紙飛行機

刺激に対して、抑えきれない衝動がある自分を認めましょう。
しかし、その刺激は、繊細過ぎるHSPの特性として、心や体に強いストレスとなります。
一人で静かに休む時間が必要ということを自覚して、自分のテリトリーでの自分の時間を定期的に持ちましょう。

出かけたいのであれば、人やノイズのない自然の中にゆっくりと身を置くのが良いでしょう。

すぐに飽きて投げ出したとしても、また新しい何かを見つければ良いくらいの気持ちでいましょう。
たとえ、HSS型HSPであったとしても、狭く深くヒットしてずっと続けられる何かは見つかります。

その好奇心は、その何かを探すためにあると考えて、冒険に出かけても良いですが、十分な休息期間もセットで設けることを忘れずにいてください。

3. まとめ

HSPとHSS 握り合う2人の手

HSPとHSS型HSP、内向的か外交的か、慎重派か冒険派かの違いはあれど、いずれも感受性が強過ぎて繊細過ぎるという特徴を持っています。
そのために、なかなか人付き合いがうまくいかなかったり、社会や集団の中では生きづらいと感じている人も多いと思います。

近しい人に、この特性を理解し、尊重してもらうと、自分の安全域が広がります。
また、無理に交友関係を広げずとも、狭く深く心が通う少数の人と結ぶ方が、実はより豊かかも知れません。

既存の価値観に囚われず、自分の感性と特性を大切にしながら、日々、心地よく暮らすことを優先してください。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか