皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

WELLMETHODの栗本編集長といえば、5匹の保護猫の飼い主(=下僕)であることで、猫好き界隈で知られています。

先日、Facebookライブで、栗本編集長のにゃんず様を愛でながら、コロナストレスを乗り切り、ウイルスへの防御力を高めようというちょっとした実験イベントを行いました。

その時に話題になったことは、ペットを飼っているとよく笑うということです。

これは、コロナ禍を乗り切るためにとっても大切!

ウイルス感染細胞を撃退する自然免疫の要・NK細胞活性は、ストレスを感じると活性が低下してしまいますが、ストレスを一気に吹き飛ばし、NK細胞活性を高めるには、笑うことが一番ですから。

1. 9割が「ストレスあり」、コロナ禍の事情

新型コロナウイルス

オンラインヨガスタジオを展開するSOELU株式会社が、2020年7〜8月に行った「Withコロナ時代における心の健康調査」によると、「新型コロナウイルスの流行による精神的な負担やストレスを感じますか?」との質問に対して、92.6%が「感じる」と回答したとされています。

1-1. 人間らしい生活ができないストレス

「何にストレスを感じるか」という内訳は、

1位「行きたいところにいけないストレス」75.6%
2位「ウイルス感染への不安」71.5%
3位「マスク着用や消毒など気を使うことが増えたこと」68.1% 
4位「人に会えない・会いづらいこと」66.9%
5位「その他」48.9%

ウイルスへの不安や配慮もさることながら、人間らしい社会活動や人との交流が制限されていることが主なストレスになっていることが分かります。

マスクをするだけでも、人と遮断されている気分になりますし、実際に表情が見えないとコミュニケーションも難しいですね。

1-2. ほとんどが日常生活に影響あり

コロナでストレスを感じる女性

「精神的負担やストレスを感じる」と回答した92.6%のうち、98.1%は、「日常生活に支障影響が出てしまった経験がある」と回答しており、

1位「熟睡できない・睡眠不足」44.5%
2位「過食・食欲減退」28.3%
3位「PMS悪化・生理不順」11.9%
4位「その他(イライラ・無気力など)」13.5%

ストレスによって、人間にとって最も大切な睡眠と食生活に悪影響があること。また、女性の健康に不可欠な月経が乱れたり、月経前症候群(PMS)が悪化するなど、バイオリズムが乱れていることが伺えます。

ホルモン分泌のバランスのためには、睡眠リズムや自律神経のバランスが保たれていることがとても大切ですが、ストレスや生活リズムの変化によって、これらが乱れてしまったためと考えられます。

健康な人にとって、新型コロナウイルス以上に、ストレス障害による心身への悪影響を危惧する専門家の声もあります。

調査でも、人間が人間らしく生きられないことで、健康の根本となる自律神経やホルモン分泌などの働きが乱れてしまっている、極めて危機的な状況ということが分かります。

1-3. ストレスは免疫力低下の最大危機!

コロナでストレスを感じる女性

調査によると、ほとんどの人がストレスにやられていることが分かります。
この時期、何よりも免疫機能を向上したいところですが、ストレスは免疫力が低下する最大の危機です。

免疫システムをになっているのは、白血球と呼ばれる免疫細胞です。

感染症に対する免疫の働きには、二段階の攻撃があります。

1)自然免疫・・・元々備わっている免疫で、先陣を切って攻撃を仕掛ける
2)獲得免疫・・・一度侵入した敵を覚え、次回の感染を起こさないように備える

新型コロナウイルス感染症では、「ウイルスに対する抗体を作る働きが弱い」ということが指摘されています。抗体は、獲得免疫が働き、作られるものです。
実は、自然免疫がしっかりと働いていれば、抗体を作る獲得免疫が出動するまでもなく、自然免疫が感染を食い止めてくれるためと考えられています。

自然免疫は、本来備わっている免疫のポテンシャルですから、ここを高めることが大切と言えるわけですが、ここで、ストレスが大敵になります。

免疫システムは、自律神経の支配を受けていますが、ストレス状況下で交感神経が活発になり、ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質ホルモン・コルチゾールが分泌されると、ウイルス感染細胞をアタックする働きがあるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の働きが抑制されます。

NK細胞は、自然免疫のスター選手です。

このNK細胞は、がん細胞を駆逐する働きもあるため、ウイルス感染やがんに対する免疫に不可欠です。

2. 抗ストレス・免疫の妙薬「笑い」

笑顔の親子

何とか、ストレスを回避して、NK細胞の活性を高めたいところですが、ここで大切なのが「笑い」の力です。

「なんだ、そんなこと!?」と思われるかも知れませんが、ストレスリリースに最も速攻で効く最大の妙薬です。

もう一つ、日常的にタダでできるストレスリリース法で重要なのは睡眠ですが、笑いには、睡眠よりも即効性があることがポイントです。

2-1. 笑いと自律神経の反応

何か楽しいことがあって、自発的な笑いが起こると、まずは、自律神経のうちの交感神経が活発になり、その回復期で交感神経の働きが低下して、副交感神経の働きが活発になることで、結果として継続的なリラクゼーション効果が得られると分かっています。

※『人間科学研究』文教大学人間科学部 第 29 号 (2007)

2-2. 笑いと抗ストレス作用

その結果として、ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質ホルモン・コルチゾールの分泌が低下し、抗ストレス効果が得られます。

コルチゾールの分泌が低下すると、酸化ストレスの低減や冷え性の改善、睡眠の質の改善などその他の働きも得られます。

免疫をあげる笑顔の猫

2-3. 笑いと自然免疫

これらの一連の自律神経、ホルモンの変化に加えて、自然免疫の要であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が高まることも大きなメリットの一つです。

実験により、元々NK細胞活性が低い人や標準値である人は、笑った後に活性が上昇する傾向があることが分かっています。
その効果は、免疫療法剤の注射よりも即効であったとのことで、笑いの効果のほどが伺われます。

元々活性が高い人は、適正化される傾向にあるようです。

※心身医学34:565-571(1994)

2-4. 作り笑顔でもスイッチが入る

作り笑顔の猫

私たちは、「楽しい」「嬉しい」と感じている時、自然に笑顔になっています。

脳科学者・アントニオ・ダマシオ博士によると、人に喜怒哀楽の感情がわく前には、必ず身体的な変化があり、その体の変化が脳にインプットされることで、何かしらの喜怒哀楽が感じられるということです。

以前から、目尻を下げ、口角を上げ、表情筋を意図的に変化させて笑顔を作ることでも、人は「楽しい」と感じることが報告されています。

さらに、ストレスホルモン・コルチゾールの分泌が低下し、NK細胞の活性も上がることも分かっています。

今、社会的にストレスが高い状況が続き「笑うことなんてとてもできない!」と感じておられる方も多いかも知れませんが、その状況でも表情筋を緩めて笑顔を作るだけでも、心身の負担を軽減できる可能性があります。

2-5. 笑う方法は何でも良い

笑う方法は、一つだけではありませんし、笑いのツボは人それぞれだと思います。

ペットがいる方は、ペットとの関わりで笑いが得られるでしょうし、ペットが飼えない方は、おもしろ動物映像を観るだけでも十分です。
好きなお笑い芸人の漫才やコメディ映画を観てもいいですね。

ペットで笑顔になる女性

楽しい仲間や友人と馬鹿話をするのも最高です。人と会う機会が少ないと気分が滅入りますから、リアルに会えない場合はオンラインでおしゃべりしてもいいでしょう。

とても愉快な笑いヨガ(ラフターヨガ)を実践するのもおすすめです。動画検索すれば、実践方法が出てきますが、観るだけでも笑うことができると思います。

名作イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」をご覧になった方も多いと思います。第二次世界大戦中に迫害されたユダヤ人親子の物語ですが、大変な状況下で、父親が息子をユーモアで救い、「人生は美しい」ということを教えます。

今、この時代は、ストレスフルだからこそ、笑いを味方にして、乗り切っていきたいと思うのです。

「笑う門には福来る」は、きっと本当になります。

笑う門には福来たる招き猫

3. Facebookグループにて猫を愛でよう

猫で笑顔

WELLMETHODのFacebookグループ「Do Think WELLMETHOD!」では、栗本編集長の保護猫5匹を愛でながら、コロナ禍に幸せホルモンを分泌し、自然免疫を高めてしまおうという実験的なFacebookライブ動画を共有しています。

このグループでは、マイナスイメージを持たれがちな加齢や身体の変化をポジティブに解釈して、これからの人生を今以上にもっと明るく生きるために、「みんなでWELLMETHODしましょう!!」というコンセプトをもって、スタートしました。

メノポーズカウンセラーでもある栗本編集長や、監修医の桐村と交流しながら、大人の女性に知ってほしいことを学ぶことができます。

女性ならどなたでもご参加いただけますので、ぜひともご参加ください!
https://www.facebook.com/groups/1641592472680700/

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか