こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

暑い季節になりましたね。

新型コロナウイルスが完全に収束していない中、筆者もソーシャルディスタンスを保ちつつ、本来の生活が送れるように日々考えながら行動するようになりました。

ところで、新型コロナウイルスにも気を付けなくてはいけませんが、暑さが続く夏場は、感染性胃腸炎にも気を付けなくてはいけません。

とくに暑い時期になると「集団食中毒が…」といったニュースを耳にしますよね。実はこれも感染性胃腸炎の一つです。

筆者も勤め先にはお弁当を持参しているのですが、この時期は傷まないかがとくに気になります。

感染性胃腸炎は、病原菌の種類により流行する季節や現れる症状などが異なります。

万が一、ご自身やご家族が感染性胃腸炎にかかったとき、どのような対応をとるのがベストなのでしょうか。また、日常生活において、どのような点を気を付けて予防すれば良いのでしょうか。

ご自身やご家族の健康のためにも、正しい対処法・予防法についてご紹介します。

1.感染性胃腸炎とは

胃腸炎

感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどが原因となり下痢や腹痛を引き起こす胃腸炎の総称です。

感染性胃腸炎は細菌やウイルスの種類によって流行する時期が異なり、夏場はサルモネラ菌やカンピロバクター菌などの細菌による「細菌性胃腸炎」、冬場はノロウイルスやロタウイルスなどウイルスによる「ウイルス性胃腸炎」にかかる人が多い傾向があります。

1-1.夏季に多い病原体と主な原因食品(細菌)

夏季は細菌のカンピロバクター菌、サルモネラ菌、O-157(腸管出血性大腸菌)、腸炎ビブリオなどの細菌により感染が起こりやすいといわれています。

・黄色ブドウ球菌…おにぎり、弁当、生菓子など
・サルモネラ菌…卵、卵製品や洋菓子類、加熱が不十分な食肉
・O-157(腸管出血性大腸菌)…井戸水、サラダ、生肉(生レバー・ユッケ)など
・カンピロバクター菌…鶏肉、牛生レバー、殺菌不十分な井戸水
・腸炎ビブリオ…魚介類の刺身、すしなど生の魚介類やその加工品

1-2.冬季に多い病原体と主な原因食品(ウイルス)

冬季はカキなど二枚貝を生食したときに起こるノロウイルスが代表的です。激しい嘔気嘔吐や下痢が起こります。

ロタウイルスやアデノウイルスによる胃腸炎は乳幼児によく見られます。乳幼児にロタウイルスが感染した場合、便が白色になります。

いずれも、汚染された飲料水や食品、牡蠣などの二枚貝などの摂取で起こります。

2.主な症状

寝込む女性

感染性胃腸炎は、感染すると約1~3日程度(病原菌より異なります)で症状が現れるようになります。主に次のような症状が多く起こるといわれています。

・下痢
・悪心
・腹痛
・発熱

感染性胃腸炎の症状は病原菌によっても特徴が異なり、細菌性胃腸炎であるカンピロバクター菌やO-157(腸管出血性大腸菌感染症)などにかかると、便に血が混じる血便となる頻度が高くなります。

サルモネラ菌、カンピロバクター菌、ロタウイルスなどは感染すると高熱と激しい水のような下痢の症状引き起こしますが、ノロウイルスの場合は嘔吐と下痢の症状がでる一方で発熱の症状がでるケースは少ないといわれています。

これら感染性胃腸炎で現れる症状には個人差があります。

また、細菌やウイルスが体内に入ったとしても、感染しないケースもあります。
腸内環境の状態は、食品に混入していた細菌の毒素量やウイルスの量によります。

一方で、体の免疫力が弱っていれば感染しやすくなるため、とくに体力のない小さなお子さんや高齢者は感染性胃腸炎にかかりやすく、脱水や症状が重症化する恐れがあるので注意が必要です。

3.どうやって感染するの?

パーティー

感染性胃腸炎が感染する経路は、病原体が付着した手で口に触れることによる感染(接触感染)、汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。

主に感染性胃腸炎の場合、ほとんどが口からうつる経口感染であるといわれています。

3-1.汚染された食品を食べた場合(食中毒)

夏場に感染者が増える細菌性胃腸炎の原因となるカンピロバクター菌は、鶏肉や鶏肉加工食品、レバーの加熱が不十分だったり、料理をする際にまな板や手などに細菌が付着したことにより、食品にも感染します。

同じく、腸管出血性大腸菌も細菌で汚染された食品を口にすることで感染します。

冬に患者が増えるノロウイルスでは、ノロウイルスが付着したカキなどの二枚貝を加熱不十分のまま食べることで感染します。

食品を調理する人が感染性胃腸炎になっていた場合、手洗いが不十分であると食品が病原体に汚染され、その食品を食べた人が感染します。

3-2.嘔吐物処理のときに感染など

感染した人の嘔吐物や糞便を処理した際に飛沫が飛び散り、口に入ることで感染します。

病原体であるウイルスなどが手に付着し、顔を触るなどして口に入り感染したり、感染した人の手に付着したウイルスがドアノブ等に付着し、そこに接触した手を介してウイルスが口に入り感染するケースもあります。

また、感染した人の嘔吐物の処理が不十分であると、乾燥してちりやほこりとなり、空気中を漂うことで口に入り、感染します。

4.治療法と対処法

水の入ったコップ

食中毒に伴う感染性腸炎は、一般的には自然治癒傾向が強いため、治療の原則は対症療法となります。

細菌性による食中毒の場合、抗生物質が処方されることもあり、重症化しやすいO157感染症では、原則的に抗生物質が投与されます。

軽症の場合は、主に、症状を軽くするための治療(対症療法)が行われます。
下痢止めは、腸内にある病原体を体内にとどまらせてしまい、体が毒素を吸収してしまう可能性があるため基本的には使用は禁止されます。

腸内環境を回復させるために、乳酸菌や酪酸菌などを含む整腸剤が使用されることはあります。

体力の弱い小さいお子さんや高齢者では、下痢や嘔吐などにより脱水症状になりやすいので、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

脱水症状にならないためにも、こまめに水分や栄養分をしっかり補給しましょう。

4-1.腹痛を伴う場合の水分と栄養補給

感染性胃腸炎にかかると、体はウイルスや細菌の毒素を排泄するべく嘔吐や下痢をして体の外に排出しようとします。

腹痛があるうちは、胃腸の負担につながり、かえって回復を遅らせてしまうことがあるため、極力食事は控えるほうが望ましいでしょう。

ただし、脱水状態にならないためにもミネラルを含むスポーツドリンク(OS-1、ポカリスエットなど)で水分をこまめに少量ずつ取ることは大切です。

最低でも1日に約1,000mLから1,500mLは必要ですが、嘔吐や下痢を伴う場合は「出た分を補う」という発想でこれ以上に水分が必要になります。また、水分すら飲めない、吐いてしまう場合は点滴での水分補給が必要になる場合があるので、必ず医療機関を受診しましょう。

4-1-1.避けるべき食べ物

また、食べ物や飲み物で胃に負担がかかりやすいものや胃腸を刺激するものは控えましょう。

揚げ物や、バターやマーガリンの入ったパン、肉類、唐辛子などスパイスの入った食べ物、繊維質の多いゴボウなど根菜類や、未精製の穀類、カフェイン入りのコーヒー、炭酸飲料などは避けましょう。

4-2.腹痛がなく、下痢や吐き気が落ち着いてきたときの水分と栄養補給

バナナ

消化が簡単で負担のないものを選ぶことが基本です。
バナナなど柔らかいフルーツやりんごのすり下ろしたもの。
とくにバナナはカリウムが豊富で、リンゴには整腸作用のあるペクチンが含まれています。

お米はエネルギー源である炭水化物を補給します。ヘルシーな玄米などは消化が悪いため、ここでは白米を選びましょう。

おかゆよりも、柔らかめに炊いたご飯をしっかり噛んで食べる方が消化に負担がありません。
味噌汁やスープ類も、根菜類を避けた具を選び、少しずつ開始してみましょう。

4-2-1.避けるべき食べ物

脂肪の多い食事や菓子類は避けるようにしましょう。

その他、腸に刺激を与える香辛料、刺激の強いニラやニンニクなどの野菜も避けましょう。もちろん、アルコール類も脱水症状を助長させるので摂取しないようにしましょう。

5.予防のポイント

感染性胃腸炎にかからないためには予防策をとることが一番です。

感染性胃腸炎が流行りだす時期に、自分や家族が感染しないためにはどうすれば良いのでしょうか。

また、もしも家族が感染性胃腸炎にかかってしまったとき、他人に感染させないためにはどうすれば良いのでしょうか。

5-1.日常生活の予防ポイント(日常生活)

私たちの生活の中でもちょっとした工夫で、感染性胃腸炎を防ぐことは可能です。

5-1-1.基本の手洗いをしっかり

手洗い

日常生活における予防の基本は手洗いです。

とくに手洗いを意識したいタイミングは、トイレに行った後、料理を作る前や料理中に次の調理作業に入る前などがあります。

また、手洗いは汚れの残りやすいところを意識して丁寧に洗いましょう。指先、指の間、爪の間、親指の周り、手首・手の甲などは汚れが残りやすいので注意が必要です。

ただし、ここで注意していただきたいのは、洗いすぎや殺菌効果のある石鹸の使用です。

皮膚は常在細菌によって守られており、手洗いや乾燥により表皮バリアである角質が傷んでしまうと、そこに汚れや微生物などがつきやすくなるだけでなく、常在細菌のバランスが崩れてしまいます。

ですので、感染予防として日常的に行うのでしたら、十分な水洗いか殺菌効果のない石鹸での手洗いでもウイルスを洗い流すことは可能ですので、常在菌バリアへのダメージを最小限に抑えながらの手洗いを意識いただけたらと思います。

▼医師が解説する新型コロナから学ぶウイルスとの付き合い方

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【新型コロナ】から学ぶウイルスとの付き合い方|免疫力と常在細菌の防御力を再確認

5-1-2.食品は十分に加熱して食べる

細菌やウイルスの多くは熱に弱ため、感染性胃腸炎を予防するためにはしっかり加熱しましょう。

例えばO-157の場合、目安は食べ物の中心部の温度が75℃で1分間以上、ノロウイルスの場合は85℃で1分間以上の加熱が望ましいといわれています。

カキなどの二枚貝や鶏肉、焼き肉などを食べる際には十分に加熱してから食べましょう。焼き肉やすき焼きなどを食べる際は、生肉を自分の箸で触らないことも大切です。

また、暑くなるこの時期は食品の冷所保存を心がけ、食品の作り置きなど長期の保存は控えるよう工夫をしましょう。

5-2.自分や家族が感染した場合の予防ポイント

万が一、家族や周囲の人が感染した場合、感染を広げないためにも食器・リネン類などの消毒や、嘔吐物などの処理を適切に行い、二次感染が防ぐように努めることが大切です。

5-2-1.食器・衣類・環境の消毒

消毒

感染性胃腸炎になった家族が使用した食器やタオルは他の人と分けて洗い、消毒します。

食器類は食べ終わったらすぐに塩素消毒液に十分に浸して消毒しましょう。また、ドアノブもこまめに消毒しましょう(金属部消毒後は、十分に薬剤をふきとりましょう。さびの原因になります)

洗濯するときは、衣類を洗剤に入れて静かにもみ洗いし、その後十分にすすぎます。

85℃で1分間以上の熱水洗濯や、塩素消毒液による消毒が有効です。さらに、高温の乾燥機を使用すると、殺菌の効果は高まります。

5-2-2.嘔吐物などの処理方法

自分や家族の嘔吐物は、他の人への感染を拡大させないためにも速やかにビニール袋に密閉して廃棄することが大切です。

また、嘔吐物を密閉する際にビニール袋の中で約0.1%(1000ppm)の塩素消毒液に浸すとなお良いとされています。

ノロウイルスやロタウイルスは乾燥すると空気中を漂い、口に入って他の人が感染することがあるので、処理中は吸い込まないように注意が必要です。終わったら必ず手洗いをしましょう。

5-3.塩素消毒液の作り方

塩素消毒液は、市販の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム含む)を水で薄めて簡単に作ることができます。

この場合、ドアノブや手すりなどを消毒する場合は濃度を0.02%に調節し、感染した人の嘔吐物や糞便の処理に使用する場合は濃度を0.1%のものに調節して使用することがポイントです。

また、次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させてしまうため、金属部分(ドアや取っ手など)に使用した際は、10分程度たった後に水拭きしてください。

5-3-1.市販の漂白剤(塩素濃度約5%の場合)で作る場合

漂白剤

※製品ごとに濃度が異なるので、表示をよく確認してから行いましょう

・0.02%(200ppm)の場合…ドアノブや手すりなど多くの人が触れる場所の環境消毒に使用
2Lのペットボトル1本分の水に対し、約10mL(原液をペットボトルのキャップ2杯分)

・0.1%(1000ppm)…嘔吐物・糞便が付着した場合の処理に使用します
500mLのペットボトル1本に対し、約10mL(原液をペットボトルのキャップ2杯分)

塩素系漂白剤は、強アルカリ性であり、強力な腐食作用があるため、液を調整する時も、調整した液を使用する時もゴム手袋などを装着し、手肌には絶対に直接つかないように注意しましょう。

5.感染性胃腸炎に気を付けて、毎日を健やかにすごしましょう

いかがでしたか。

冬場にくらべ夏場は風邪や胃腸炎などに対して、どうしても油断しがちになりますよね。

いつまでも健康で生き生きした毎日を送るためにも、予防は大切です。

感染性胃腸炎に関しては、夏場でも冬場でも感染する可能性があるので、対処法を知っておくだけでも大違いです。

感染胃腸炎や新型コロナウイルスに負けない体づくりを意識し、これからも健やかで輝ける毎日を送れますように。

監修:内科医 桐村里紗

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廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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