そのべたつきは隠れ乾燥の「インナードライ肌」!? 改善するためのお手入れ方法
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
自分の肌のタイプがどのようなものか、正確にわかっている人は少ないかもしれません。
常に鼻周りや額を中心に脂ぎってしまうことが多い肌の場合、自分では脂性肌だと思っているという方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、過剰にあぶら取り紙で自分の皮脂を取り除いたり、洗浄力の高い洗顔料を使用するたびに、かえって皮脂が浮く体質になってしまい、乾燥した場所ほど肌荒れが起こる…なんていうこと、ありませんでしょうか。
実はこういった肌は「インナードライ肌」と呼ばれる状態だったのです。
一見表向きには見分けが難しいインナードライ肌、今回はその見分け方や対策方法について紹介します。
目次
1.テカテカに光る肌、実はインナードライ肌かも
肌の表面がすぐにテカったり、Tゾーンを中心にベタついたりする人は、脂性肌を疑うかもしれません。
実際に皮脂の分泌が多くなる夏場はとくに、あぶら取り紙を頻繁に使ったり、洗浄力の高い洗顔料を使っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そうしたスキンケアをしても肌の状態が良くならない場合は、インナードライ肌である可能性が高いのです。
1-1.インナードライ肌とは
そもそもインナードライ肌とは、肌の表面は皮脂でベタついているが、肌内部の角質の水分量は不足している状態をいいます。
表面は脂っぽく見えつつ、肌の内部(インナー)である角質は水分不足を起こしているため、インナードライ肌といわれています。
ちなみに脂性肌とは、油分が多いのみで、角質の中の水分量は失われていない状態の肌です。
1-2.インナードライ肌と脂性肌との違いは?
肌がテカテカと光ったり、Tゾーンを中心に脂っぽくなってしまうのは、脂性肌もインナードライ肌も同じです。
共通点としては、
・毛穴が普段から目立つ
・ベースメイクがのらず、皮脂によって崩れやすい
・皮脂の酸化により皮膚に炎症・赤みがある
などがあります。
しかし、脂っぽい上に、次にあげる肌の状態に多く当てはまる場合は、インナードライ肌の可能性が高いです。
・肌にかさつきやガサガサした感じがある
・夕方になるとくすみやすい
・洗顔後は肌の突っ張りを感じるが、時間が経つとべたつく
・皮膚がごわつく
脂性肌は、肌の角質における油分や水分が多い状態のため、肌がカサついたりごわついたりすることはほとんどありません。
角層の水分は保たれていますが、肌表面に皮脂が分泌されている状態です。
インナードライ肌も脂性肌も、肌表面のべたつきがあるのは共通していますが、脂性肌の場合は洗顔後に肌の表面に少しずつ皮脂が現れるのに対し、インナードライ肌は肌内部の水分が少ない状態なので、洗顔後に肌の突っ張りやカサつきを感じ、時間が経つとべたつきが出てくるのが特徴です。
1-3.インナードライと混合肌の違い
混合肌は、水分も皮脂も不足している「乾燥肌」と、角層の水分は保たれているけれども肌表面に皮脂が分泌する「脂性肌」両方の性質を持っています。
たとえば、目元や口周りは乾燥しやすいけれども、Tゾーンは皮脂分泌が多い場合など、部位によって肌の皮脂分泌やカサつきが異なる場合には混合肌の可能性が高いです。
混合肌とインナードライは似ていますが、角層内の水分量が異なります。
インナードライは、全体的に角層内が乾燥していますが、混合肌は部位によっては角層内に水分が保たれています。
医学的な用語ではなく、インナードライと混合肌は同じと扱われる場合もあります。
2.インナードライ肌になる原因
インナードライ肌になってしまう原因について詳しく見ていきましょう。
2-1.皮脂を落とし過ぎる間違ったお手入れ
インナードライ肌の表面は脂ぎっていることが多いため、つい目立つ皮脂を落とそうと間違ったケアをしている人が多いです。
次のような肌ケアをしている人は、かえってインナードライ肌を悪化させてしまうことがあります。
・頻繁にあぶら取り紙などを使って肌表面の皮脂を落としている
・洗浄力の高い洗顔料やクレンジングをしている
・皮脂汚れを落とすよう、洗顔はゴシゴシと力をいれている
・ピーリングや角質を落とす洗顔などを頻繁にしている
これらの肌ケアは皮脂を落としすぎてしまうため、肌は乾燥を防ぐためにさらに皮脂の分泌量を増やしてしまいます。
皮脂を落とし過ぎる間違ったお手入れを続けると、肌表面は余計に脂っぽくなり、肌の内部は乾燥が進むインナードライ肌の状態を悪化させてしまうのです。
2-2.とくに洗顔方法には要注意
インナードライ肌が悪化する原因は、間違った洗顔方法をしていることが多いです。
インナードライ肌はTゾーンを中心に皮脂の分泌が多いため、ニキビなどの肌トラブルもよくみられます。
そのためニキビ用の洗浄力の高い洗顔料を使ったり、強い力をかけてゴシゴシと顔を洗ったりする人もいます。
しかしこうした洗顔は肌の皮脂を過剰に落として、角質層にも負担をかけてしまうため、かえって肌全体が乾燥してしまいます。
すると余計に皮脂の分泌量が増えて肌の表面は脂ぎった状態になり、肌の内部は乾燥するといった悪循環を引き起こします。
インナードライ肌を改善するためには、刺激の少ない正しい洗顔方法を実践することが大切です。
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2-3.睡眠不足や偏った食生活も
インナードライ肌が引き起こされるのは、不規則な生活が原因であることも多いです。
まずは美肌に大敵の睡眠不足。
なぜ睡眠が足りないと肌が荒れるのでしょうか。それは睡眠中に分泌される成長ホルモンの影響があります。
成長ホルモンには皮膚細胞を構成するたんぱく質を合成する働きがあり、肌のダメージを修復してくれます。
しかし睡眠不足が続くと睡眠中の成長ホルモンの分泌が妨げられます。
これにより肌荒れが起き、角質層の水分が減るなど、インナードライ肌を悪化させてしまいます。
また、バランスの良い食生活も大切です。
とくに過度な糖質を摂取したり、脂質が多く含まれるスナック菓子などを食べ過ぎたりすると、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。
過度な脂質や糖質をとるのは控えめにし、タンパク質や良質な必須脂肪酸(オメガ3系脂肪酸を意識して)、ビタミン、ミネラルや食物繊維を含む食材をバランス良く食べることが大切です。
3.インナードライ肌の正しいお手入れ方法
インナードライ肌を放っておくと、化粧のりが悪くなったり、肌のカサツキやゴワつきが悪化したりします。
そうならないためには、インナードライ肌を改善するための正しい肌ケアが重要です。
3-1.まずは正しい洗顔方法が大切
インナードライ肌の改善には、正しい洗顔が欠かせません。
前述したように、ゴシゴシとした過度な皮脂落としをする洗顔は、かえって皮脂分泌を促し、インナードライ肌を悪化させてしまいます。
インナードライ肌を改善させるためには、以下のような肌に負担をかけない洗顔が大切です。
①洗顔の前にぬるま湯でやさしく予洗いをする
②洗顔料はしっかり泡立て、濃密泡を準備する
③洗う順番は皮脂の多いTゾーンからやさしく泡で洗う
④すすぎの温度はぬるま湯の30~34℃がベスト
⑤タオルは新しいものを用意し拭くときは優しく押さえるだけにする
肌をゴシゴシこするような洗い方ではなく、ホイップクリームのような濃密泡をたっぷりと肌にのせ、摩擦をかけないよう泡で洗うのがポイントです。
また予洗いもすすぎのときも、お湯の温度は30~34℃にし、体温よりも低めの温度でやさしく洗い流すようにしましょう。
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3-2.保湿ケアはオールインワンなどシンプルなものが良い
インナードライ肌を改善するためには、保湿ケアが重要です。
インナードライ肌は表面上皮脂分泌が多く見られるため、保湿は必要ないと思うかもしれません。
しかし肌の内部は乾燥しているため、きちんとした保湿ケアをしないと内部から乾燥が進み、肌の表面はますます皮脂分泌が進むといった悪循環が起こります。
保湿剤にはクリームや乳液などさまざまなものがあります。
肌の触り過ぎによる負担を避けるためには、オールインワンゲルなどシンプルなケアがおすすめです。
化粧水や乳液、クリームなど多くの基礎化粧品を肌に塗ることは、一見肌にとって良さそうに見えます。
しかし何ステップもの工程を含むスキンケアは、肌に触れる度に摩擦を引き起こし、肌に負担がかかっているのです。
その点、1回の工程で済むオールインワンゲルなら、肌に過剰な摩擦を引き起こさずに潤いを感じることができます。
正しい洗顔を行ったあとは、保湿成分の高いオールインワンゲルをたっぷりと肌に馴染ませてあげましょう。
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3-3.保湿成分はセラミドがおすすめ
保湿成分にはヒアルロン酸やコラーゲンなど多くのものがありますが、皮膚表面から皮膚内に届けることができません。
おすすめは、皮膚からもしっかり角質層に届き、保湿をする「セラミド」です。
乾燥状態の皮膚は、セラミドを主体とした細胞間脂質が失われている傾向があります。
基礎化粧品に含まれているセラミドは、肌に潤いを届け、肌の水分を蒸発しにくくさせる特徴があります。
水分と結合することができる親水性も持ち合わせており、肌に乗せることでしっかりと潤いを保つことができます。
オールインワンゲルなどの基礎化粧品を選ぶ際、何にしようか迷ったときは、セラミドが配合されているものを選んでみると良いでしょう。
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3-4.乾燥しているときはフェイスマスクを
エアコンの風を直接顔に受けたり、乾燥が激しい冬の時期などは、肌は思った以上に乾燥してしまいます。
そのようなときはセラミドが配合されているフェイスマスクがおすすめです。
乾燥を防ぐためには、目元にアイクリームをのせたり、夜専用のナイトクリームを使う方法もあるでしょう。
しかし重ね塗りが必要なスキンケアは、それを行うたびに肌と指の間で摩擦が起き、肌にダメージを与えてしまうこともあります。
その点フェイスマスクは肌に乗せるだけなので、摩擦が生じることもありません。
またシンプルかつより保湿ができる方法としては、オールインワンゲルで顔を保湿をしたあと、セラミド配合のパックを顔に乗せるのもおすすめです。
4.インナードライの普段の生活から改善する方法
日常生活がストレスフルで睡眠が足りないといった状況では、いくら正しいスキンケアを実践しても肌質は改善されません。
ここからは、インナードライ肌を防ぐための日常生活のポイントを紹介します。
4-1.質の良い睡眠をとる
2章でご紹介した通り、睡眠不足は美肌の大敵であり、インナードライ肌をはじめとしたさまざまな肌トラブルを引き起こします。
反対に良く眠れた次の日は、肌の張りやツヤを感じることがあるでしょう。
それは肌ダメージを修復してくれる成長ホルモンが分泌されたおかげです。
成長ホルモンの分泌を促すには、質の良い睡眠をとることが一番です。
そのためには「適度に運動する」「お風呂でしっかりと湯船につかる」「朝起きたら太陽の光を浴びる」「夜間の血糖値の上昇を防ぐ」といった生活を意識してみましょう。
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4-2.エアコンをはじめとした乾燥に気を付ける
インナードライ肌を防ぐには、外部からの乾燥を防ぐことも大切です。
とくに室内の乾燥は長時間に及ぶこともあるので注意しましょう。
・エアコンの風が直接肌に当たらないようにする
・乾燥している季節は加湿器を使う
・こまめに水分を取り内側からも水分を補給する
とくにエアコンの効いた場所は湿度が低く乾燥しているので、肌の水分が奪われやすいです。
乾燥時には加湿器を使ったり、こまめに水分を取るなどして、外気からの乾燥から肌を守りましょう。
4-3.紫外線は肌の大敵
紫外線は肌の大敵であり、インナードライ肌も紫外線による外部刺激を受けやすい状態になっています。
そもそも肌の角質層には水分の蒸発を防ぐ「バリア機能」があり、これにより肌の水分が適度に保たれています。
しかし紫外線を浴びるとバリア機能が低下し、肌が乾燥します。
もとから水分が少ないインナードライ肌は、紫外線によってますます乾燥が進み、シミやそばかすが増えてしまう可能性もあります。
紫外線は季節や時間を問わず、日中に降り注いでいます。
インナードライ肌を防ぐためにも、日頃から日焼け止めクリームを塗り、紫外線を予防しましょう。
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5.自分の肌質を知り、正しいスキンケア対策を
肌が脂ぎっている、Tゾーンがべたつく、そんな肌の状態から自分は脂性肌だと思い込んでいる人は少なくありません。
しかし、脂っぽい肌でも肌全体にかさつきやガサガサした感じがある場合は、インナードライ肌である可能性が高いです。
インナードライ肌は、ゴシゴシと洗う肌に負担のかかる洗顔や、摩擦の掛かる間違った保湿ケアで悪化します。
まずは自分の肌質がインナードライ肌かどうかを確認し、今日から肌に合った正しいスキンケアを実践していきましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
- 桐村 里紗の記事一覧
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか