皆様こんにちは。
医師で、予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

カンジダといえば、女性にとって「膣カンジダ」が思い浮かぶでしょうか?
高齢者であれば、口から食道にもしばしばカンジダ症が起こります。

しかし!腸管カンジダは、食生活やライフスタイルの乱れによって誰にでもリスクがあることをご存知でしょうか?
腸に炎症が起こり、疲労感や慢性的な不調の原因になります。

その疲れは、腸管カンジダのせいかも?

1.腸管カンジダとは?

「カンジダ」なんて無縁と思っているかもしれませんが、腸にとってめずらしいものではありません。
腸内フローラの乱れの主な原因でもありますから、ぜひ知っておきましょう。

1-1.腸管カンジダって何?

腸管カンジダ、カビ

カンジダといえば「病原菌」のイメージがあるかも知れませんが、実は、そこら中どこにでもいる酵母カビの一種です。
カンジダ属は、たくさんの種類の酵母を寄せ集めた総称で、実際には様々な種類があります。
実は、ワインなどのアルコールを発酵させる酵母(イースト)の仲間で、部屋などの環境、健康な人の腸や皮膚、膣内などにも暮らしています。

普段は、丸っこい酵母型をしていて大人しく病原性のないカビなのですが、病原性を発揮する場合、「浸潤型」と呼ばれるタイプに形が変化し、尖った根っこを伸ばして腸の上皮細胞にも穴を開けて侵入します。

こうなると、人にとって病原となり、問題を起こしてしまいます。

2.腸管カンジダが起こす様々な問題

腸管カンジダが病原性を発揮すると、腸内環境が悪化して様々な問題が起こります。

2-1.善玉菌が暮らしにくくなる

腸内のpHが弱酸性であることが、有用な腸内細菌が暮らしやすい条件です。
カンジダが増えるとアルカリ性になり、腸内が悪玉菌の楽園になってしまいます。

2-2.腸に炎症からリーキーガット症候群(腸もれ症候群)を起こす

浸潤性に変化すると、腸の上皮細胞に穴をあけてしまいます。
免疫反応を刺激し、炎症が起こります。

腸に炎症が起こり、腸の鉄壁の壁である上皮細胞が崩れてしまい、腸内から体内にアレルギー物質や毒素などが体内に入り、全身の炎症を引き起こす原因になります。

これを、腸もれ症候群=リーキーガット症候群と呼びます。

2-3.エネルギー欠乏を引き起こす

カンジダが分泌する代謝物は、人の細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアのエネルギー代謝を妨害します。
エネルギーがうまく作れないと、元気が出ない、疲れやすいといった不調の原因になります。

2-4.低血糖から食欲をアップさせる

腸管カンジダのせいで食欲アップした女性

カンジダが分泌するアラビノースという糖分は、血糖値を上げないので一見問題なさそうですが、インスリンの分泌は刺激してしまい、その結果低血糖を引き起こしやすくなります。それが食欲を刺激する原因に。

さらに甘いものや糖質を食べてしまうと、ますますカンジダが増殖するという悪循環が起こります。

2-5.アルコールが酩酊を引き起こす

カンジダは、お酒を作る酵母の仲間なので、食事の炭水化物を分解してアルコールを作ります。
過剰になるとお酒を飲んでいないのに酩酊したような状態を引き起こす可能性もあります。
頭がぼんやりするなどのリスクになることもあります。

2-6.重要な代謝を阻害する

カンジダによって発生するアセトアルデヒドという物質は、体の代謝にとって欠かせない回路をブロックしてしまいます。
メチレーションという重要な働きがブロックされてしまうと、

・解毒機能
・遺伝子の調整
・神経伝達物質の合成:ドーパミン・セロトニンなど
・ホルモンの合成
・免疫機能
・神経の保護
・DNA/RNAの合成
・エネルギーの産生

など、体が上手く機能するために必要な実に多くの働きが低下してしまうことになります。

カンジダが悪さをすると、とにかく不調のオンパレードになり兼ねません。

小児においては、発達障害のような症状を引き起こすことがあるため、疑わしい場合はカンジダが増加していないか確認することをおすすめします。

3.腸管カンジダのリスク

腸管カンジダのリスク、ビール

腸管カンジダを起こすリスクは、日常に溢れています。

1.糖質の摂りすぎ
 砂糖・果糖を多く含むコーンシロップ(異性化糖)
 炭水化物の摂りすぎ(特に精製されたもの)
2.アルコール飲料の摂りすぎ
 特にビールなど酵母発酵のもの
3.胃酸分泌の低下
 胃酸を抑制するタイプの胃薬
 胃の機能低下
4.便秘
5.薬剤の連用
 抗生物質・ステロイド・ピルなど

4.カンジダのリスクを避けるには?

カンジダのリスクを避けるには、食生活が重要になります。
カンジダのエサとなる糖質を控え、カンジダ抑制効果の食べ物を増やすことです。

4-1.控えるべき食品

腸管カンジダのリスク、パン

1.炭水化物・甘いものを控える

カンジダのエサになる糖質を控えめにすることが有効です。
これまで糖質が過剰だった人が急に一気に控えると、低血糖から不具合を起こすこともありますので、砂糖や果糖を多く含む食品や精製度の高い穀物は避け、精製度の低い穀物を少量食べる程度の軽い制限から始めましょう。

2.酵母の入った発酵食品を控える

パン・ビールなどの酵母で発酵した食品は、カンジダを増やす可能性があります。
健康に良いつもりの発酵食品も一旦控えた方が無難です。

4-2.摂るべき食品

1.「ま・ご・わ・や・さ・し・い」をしっかり食べる

腸管カンジダ予防におすすめの食材

食物繊維が豊富で精製された糖質の少ない食品は、腸内を弱酸性にする有用菌を増やし、カンジダが暮らしにくい環境を作ります。食物繊維を含む食品はもりもり食べるのがマルです。

和食の基本である「ま・ご・わ・や・さ・し・い」を意識して摂りましょう。
いずれも食物繊維を含む栄養素が豊富です。

・ま :豆類、大豆製品(味噌、納豆)
 たんぱく質とマグネシウムが豊富
・ご :ごま、ナッツなど種実類(ナッツなど)
 抗酸化栄養素やミネラルが豊富
・わ: わかめ、昆布などの海藻類
 抗酸化栄養素やミネラルが豊富
・や :野菜
 ビタミン、特に根菜類は食物繊維が豊富
・さ: 魚介類(特に小さい青背魚類)
 たんぱく質やオメガ3 を供給
・し:しいたけなどのキノコ類
 ビタミンD やムコ多糖類が豊富
・い:イモ類 食物繊維が豊富 
 お米やパンなどの代わりに少量

2.カンジダ抑制効果のある食品を取り入れる

腸管カンジダ予防に梅干し

カンジダ抑制作用のある食品として、以下のようなものも調理に取り入れると良いでしょう。
これらに含まれる脂肪酸や天然のファイトケミカルは、真菌を抑制する働きが知られています。

・中鎖脂肪酸・MCTオイル
・シナモン・ニンニクなどスパイス類
・オレガノやセージなどハーブ類
・ブロッコリーやブロッコリースプラウトなどアブラナ科の野菜
・酢酸やクエン酸を含むアップルサイダービネガーや梅干しなど

5.腸管カンジダをチェックするには?

カンジダが増えているリスクがある場合、思い当たる節があれば、まずライフスタイルを変えることです。

必ずしも検査が必須ではありませんが、不調が多く原因をはっきり確認して医師の指導を受けたい場合は検査が必要です。

5-1.腸内フローラ検査ではわからない

腸管カンジダが増殖しているかどうかを確認するには、腸内フローラ検査は役に立ちません。
現状、腸内フローラ検査をしても、カビ類は検出ができません。

5-2.カンジダを検出可能な検査

腸管カンジダの検査,尿検査

その代わり、カンジダが分泌するアラビノースなどの代謝物を尿から検出することが可能です。
「カンジダ/酵母検査」や「有機酸検査」などの検査で、腸管でのカンジダの増殖の有無とその程度が確認できます。

「有機酸検査」は、尿に含まれる75項目の代謝物を検査します。

カンジダや病原性の細菌が腸管内で増えていないか、またそれらが影響するミトコンドリアのエネルギー代謝や神経伝達物質などの分泌が確認できるので、腸内環境の悪化が全身にどのように影響を与えているかが総合的にわかります。

日本の検査機関では提供されていないサービスで、アメリカのグレートプレインズラボラトリーズという研究機関で解析や研究が行われています。

これらの検査を導入している医療機関や医師を通じて、海外に検体を送り、医療機関や医師を通じて結果を聞くことになります。
(個人でも検査キットを注文することはできますが、解釈が難しいためお勧めしません)

自費検査となり、医療機関によって金額が違いますが、4万円台〜が相場です。
この検査を提供する医療機関では、カンジダの効果的な除菌治療や食事指導も行っています。

全国の導入医療機関は、カリフォルニア・ニュートリエンツにお問い合わせ
https://www.ca-nutrients.com/bio-order.html

関西方面であれば、WELLMETHOD監修医の城谷先生のクリニック「ルークス芦屋クリニック」でも提供しています。
(※オンライン診療も可能です。)
https://lukesashiya.com/

腸管カンジダ予防にハーブ

腸管カンジダは、決して珍しい病態ではありません。
自分の食生活やライフスタイルを振り返り、リスクや不調があるのであれば食事やライフスタイルを変えてみてくださいね。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか