皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

お肌といえば「弱酸性」が健康的な状態とされていますね。

実は、お肌だけではありません。健康のために大切な腸内環境も、実は「弱酸性」が理想の状態なのです。

皮膚も腸も、弱酸性の環境を作り出すのは、共生している常在細菌、有用菌(善玉菌)の生み出す「酸(さん)」のお陰。

腸内環境を弱酸性にするには、日々の食事が大切です。

1.身体に良い有機酸

1-1.お肌はなぜ弱酸性が健康なの?

女性の肌

「お肌の健康のために、弱酸性を保とう」という考えは、CMなどを通じて皆さん認知されていると思います。

でも、何故に「弱酸性になるのか?」と問われたら、「はてな?」と疑問に思われるのではないでしょうか。

実は、お肌の表面に共生する皮膚の常在細菌のバランスが健康な状態であれば、有機酸という酸を作り出して、皮膚を弱酸性に保つのです。

ちなみに、有機酸とは、酸性を示す有機化合物の総称で、食品に含まれて酸味の原因になったり、微生物や人が体内で作り出したりします。

1-1-1.弱酸性は健康な常在細菌がいる証拠

決して、「雑菌」などではなく、全身の皮膚は、約1兆個ともされる常在細菌に守られています。

表皮ブドウ球菌やアクネ菌などが代表的です。

彼らは、皮膚に分泌される皮脂を食べて、脂肪酸やプロピオン酸など、「〇〇酸」という名前の有機酸を作り出し、これが、お肌を弱酸性にします。

つまり、弱酸性が健康なのではなく、健康な皮膚の常在細菌がいるから弱酸性の環境が保たれるという訳です。

弱酸性であるということは、健康な常在の有用菌がちゃんと働いてくれている証拠なのです。

1-1-2.酸が皮膚の健康を守る

腕をかく女性

表皮ブドウ球菌やアクネ菌などの作り出した酸は、酸性の環境が好きな有用菌が暮らしやすい環境を作り出し、逆に、アルカリ性の環境が好きな病原性をもつ細菌の繁殖を防ぎます。

皮膚が乾燥してしまい、適切な皮脂が分泌されないと、有用菌が酸を分泌できなくなり、アルカリ性に傾いた皮膚の上で、病原性を発揮する黄色ブドウ球菌や真菌(水虫やタムシを起こすハクセン菌やカンジダ菌)を増殖させてしまいます。

乾燥の強いアトピー性皮膚炎の人の皮膚は、アルカリ性に傾き、黄色ブドウ球菌が悪さをしやすくなります。

お肌で健康な有用菌にしっかり働いてもらう為には、乾燥を防ぎ、適切な皮脂分泌を保つことが大切なのですね。

1-2.「酸」は健康?不健康?

このように、有用菌が生み出す「〇〇酸」は、健康的な状態を保つ為にとても大切です。
でも、周りの友人・知人に聞いてみると、「酸」と聞くと、どうも不健康なイメージがあるようです。

理科の実験で強酸性である「塩酸」「硫酸」を使った危険な実験をした記憶が根強いようです。

もちろん、強過ぎる酸は、人間の皮膚をも溶かしてしまいますが、「酸=危険」が全てではなく、有用菌の生み出す酸は、健康に良い働きをしてくれます。

実は、消化に不可欠な胃酸は、強力な塩酸です。これが薄まってしまうと消化力が低下する為、身体に必要な強酸性の液体もあるのですね。

1-2-1.「酸っぱい」発酵食品は酸の力

ヨーグルト

例えば、発酵食品といえば、誰もがイメージするヨーグルト。
ヨーグルトは、酸っぱいです。

特に、長く常温で放置すると酸味が増していきます。
これは、乳酸菌やビフィズス菌など、乳酸という有機酸を作り出す有用菌(善玉菌)の働きです。

キムチやすぐき漬けなど、乳酸菌によって発酵する漬物も、熟成が進むと乳酸が増えて、酸味が増します。

お酢の酸っぱさの原因は、酢酸菌による酢酸によるもの。以前にご紹介した、コンブチャも酢酸菌による酢酸をたくさん含むヘルシードリンクですね。

▼医師が解説する米国セレブ愛飲の美容発酵飲料コンブチャとは?

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米国セレブ愛飲の美容発酵飲料「コンブチャ」の止まらぬ進化と飲むべき理由

「酸っぱい」シードルとしてご紹介したバスク・シードルも、酵母と乳酸菌の働きで生まれたリンゴ酸、クエン酸、乳酸などの有機酸をたくさん含んでいます。

▼シードルブーム到来!医師が勧める健康酒|入門編

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要するに、発酵食品の多くは、有用菌が生み出す有機酸によって酸っぱい弱酸性の食品なのです。

2.腸内環境も弱酸性が健康

大腸

皮膚といえば「弱酸性」ですが、腸内環境の主役である大腸も、「弱酸性」が健康な状態です。

その状態であれば、常在細菌のバランスが有用菌(善玉)に傾いている証拠。
逆に、アルカリ性に傾くと、病原性を発揮する悪玉菌が増えてしまいます。

2-1.腸内細菌のうんち「腸内代謝物」

腸内を弱酸性にするには、大腸に共生する常在の有用菌に有機酸を作ってもらう必要があります。

常在の有用菌にエサを与え、その菌が分泌する「うんち」のようなもの、これを「腸内代謝物」と言います。
これにはたくさんの種類がありますが、腸内代謝物の一種が、腸内を弱酸性に保つ有機酸です。

腸内の有用菌がなぜ、健康に良いかと言えば、この「うんち」である腸内代謝物が、腸内環境や人の心身に良い働きをもたらすからなのです。

腸内代謝物については、改めてご紹介するとして、今回は、そのうち弱酸性を作る有機酸についてお話ししましょう。

2-1-1.腸内の有用菌は酸を作る

腸内の有用菌は、いずれも有機酸を作り出します。
腸内細菌のうち、「〇〇酸菌」と言う名前であれば、腸内の有用菌の一種です。

2-1-1-1.乳酸菌

乳酸を作る菌。
代謝物のうち20%以上乳酸を作るものが「乳酸菌」と呼ばれます。ビフィズス菌も乳酸を作る種類ですが、20%を下回る為、「乳酸菌」とは呼ばれません。

2-1-1-2.酪酸菌

酪酸を作る菌。長寿菌と呼ばれる菌もこの種類です。

2-1-1-3.酢酸菌

酢酸を作る菌。お酢に含まれる酢酸ですが、実は腸内でもビフィズス菌などの働きで、酢酸は作られます。

2-2.有機酸を活かすシンバイオティクス食品

ごぼう

腸内で起きているのは、「発酵」です。

発酵食品を食べることも健康の一つですが、腸内の有用菌にエサを与えて、腸内で発酵を起こし、有益な腸内代謝物を生み出してもらうことも効率的な方法です。

発酵食品自体を食べることを「プロバイオティクス」と言います。

一方で、腸内の有用菌に発酵を起こして腸内代謝物を生み出してもらうエサのことを「プレバイオティクス」と言います。

これには、海藻や根菜類、こんにゃく、発酵大豆などに含まれている水溶性食物繊維やオリゴ糖などがあります。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせて、シンバイオティクス 食品と言い、これらを両方摂ることが、腸内環境を改善し、健康の秘訣です。

詳しくはこちら

https://wellmethod.jp/indigenous_bacteria/

微生物は敵じゃない「常在細菌」とつくる3つのバリア機能で体を守る方法

2-3.有機酸の働き

小腸と大腸

発酵食品に含まれる有機酸、そして、腸内で有用菌によって分泌される腸内代謝物としての有機酸があります。

食品から摂取した有機酸は、通常、小腸から吸収され、人の体内で働きます。
腸内で分泌された有機酸は、大腸でも働き、腸内環境を改善すると同時に、人の体内でも働きます。

2-3-1.乳酸

乳酸は、乳酸菌やビフィズス菌によって生み出されます。
腸内を弱酸性に保つことで、有用菌の暮らしやすい環境に整え、悪玉菌の繁殖を防ぎます。

乳酸菌は、主に小腸で働き、ビフィズス菌は主に大腸で働くという活躍の場所に違いがあります。

乳酸は、体内で発生すると疲労物質のイメージがありますが、実はそれは事実誤認であり、今ではミトコンドリアのエネルギー源として利用される有益な有機酸と考えられています。

2-3-2.短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸)

これらの有機酸は、腸内の有用菌が人の健康を改善する為に重要な作用を発揮することが分かっています。

・バリア機能の強化
腸の上皮細胞は、人の体内を外敵から守る重要な防御壁です。
この防御壁を強化する働きはとても重要です。

・脂肪代謝の改善
脂肪細胞の肥大化を防ぎ、エネルギー代謝を高めて肥満を予防する働きがあります。

・糖代謝の改善
糖代謝に関わるインスリンや消化管ホルモンに関与して、糖尿病を予防・改善します。

・免疫機能の調整
腸管の周りには免疫細胞の7割が集結しています。
特に、酪酸は、免疫細胞のうち、過剰な免疫反応を抑制する抑制性T細胞(Tレグ)の成長を促し、体の適正な免疫機能を保つ為に不可欠です。

・発がん物質産生の抑制
発がんの原因物質である、二次胆汁酸の産生を抑制します。

・弱酸性の環境を保つ
これらの短鎖脂肪酸は、腸内環境を弱酸性に保ち、有用菌が暮らしやすく、悪玉菌が暮らしにくい環境を保ちます。

このように、有用菌の恵みの一つは、彼らの作り出す有機酸にあります。

酸っぱい発酵食品・プロバイオティクスや腸内で有機酸を生み出すエサであるプレバイオティクスを日常的に取り入れることで、“健康な酸”を生かして健康を維持していきたいですね。

 

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