こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

過ごしやすい季節になり、外へ出かける機会も少しずつ増えてきますね。

運動不足解消のためにウォーキングをしたり、エレベーターを使わずに階段を使う方もいらっしゃると思います。

毎年春になると「今年こそは運動しよう」と思うけれども、そんなやる気にブレーキをかけるのが膝の痛み…という方もいらっしゃるのはないでしょうか。

膝に痛みがあると「痛いから動かない。動かないから筋力が低下する」といった悪循環を繰り返してしまうことも少なくありません。

実は、膝の痛みは年配の方だけが抱える悩みではなく、40代でも同じような悩みを抱える方は少なくありません。

今回は40代以降の女性が抱える階段を降りるときに感じる膝の痛みの原因や筋力低下のリスク、毎日の生活の中で気をつけたいポイントをご紹介します。

1. 40代から起こる膝の痛みの原因とは?

膝の痛みを抱える女性の足

膝の痛みと聞くと高齢者の悩みだと思われる方も多いかもしれませんが、実は40代から膝の痛みに悩まれる方は多くいます。

とくに階段の昇り降りでは膝に大きな負担がかかるため、膝に異常がある場合、膝の痛みが生じやすいのです。

膝に痛みが生じる原因はさまざまですが、40代で膝が痛む原因は大きく3つにわけることができます。

1-1. 筋肉の衰え

膝の曲げ伸ばしをする際に動かす筋肉は、太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」や太ももの後ろ側にある「ハムストリングス」です。

その他にもお尻の筋肉である「大殿筋(だいでんきん)」なども膝を動かす筋肉をサポートしています。

膝を動かすにはさまざまな筋肉が使われていますが、年齢を重ねるにつれこれらの筋肉が衰えてきます。

筋肉が衰え筋力が低下していくと膝への負担が大きくなり、膝に痛みが出現してしまいます。

1-2. 体重の増加

体重計で体重管理をする

基礎代謝が低下するとこれまでと同じような食生活を送っていても、カロリーを消化しきれず体に脂肪が蓄積されるようになります。

基礎代謝が低下する原因は、加齢や筋肉量の低下があげられます。

基礎代謝が低下するときには、筋肉も衰えはじめてきている可能性も大きいため、より体重が増加しやすいといえます。

そうなると徐々に体重が増加していき、膝に大きな負担をかけてしまいます。

膝の負担を減らすためには、適正体重を維持することが大切です。

肥満度を示す指標として国際的に用いられているのが「BMI」です。BMIを計算することで、自分の適正体重を知ることができます。

以下の計算式で算出された値がBMIです。

[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

・18.5未満:低体重
・18.5以上25未満:普通体重
・25以上:肥満

BMIが22が標準体重であり、最も病気になりにくい状態です。

参考)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html

とくに40代を過ぎると、基礎代謝が急に低下する傾向があるため、体重の増加には注意が必要です。

▼40代からの基礎代謝を上げる9つの方法[栄養バランス・運動・生活習慣ガイド]

https://wellmethod.jp/metabolism/

1-3. 膝関節の酷使

私たちは毎日の生活の中で、立つ・歩く・座るという動作を繰り返しています。
こうした動きを行うにあたり、常に動いているのが膝関節です。

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の大きな2本の骨と膝蓋骨(ひざのお皿)が組み合わさりできています。

また、大腿骨と脛骨の間には、骨同士が直接当たらないようにクッションの役割を担う「関節軟骨」があります。

しかし年齢を重ねるとこれまで幾度となく繰り返し膝関節を動かしてきた影響で、関節の軟骨がすり減り、骨が傷ついてしまうことで膝の痛みが生じてしまいます。

1. 40代以降に発症しやすい変形性膝関節症

膝の痛みを抱える女性の足

40代以降で膝の痛みを抱える方の多くは、変形性膝関節症です。

変形性膝関節症は膝関節に長期にわたり負担がかかることで、関節軟骨や軟骨の一種である半月板が次第にすり減り、骨が傷つき膝の痛みや変形が起こってしまう症状のことをいいます。

初期の段階では強い痛みを感じることはありませんが、そのまま何もせずに放っておくと年月をかけて徐々に悪化し、膝関節の変形のために歩くことが困難になることもあります。

予防が大切ですが、膝に痛みを感じたら早めに医療機関を受診し、治療や悪化の予防に取り組むことが大切です。

2. 筋力低下や運動不足が招くリスクとは?

エスカレーターに乗る女性

年齢を重ねると10代や20代のときはできていた瞬発力が必要な激しいスポーツや、小刻みに体勢を変えなければいけないスポーツを続けることは、膝に大きな負担を与えてしまいます。

しかし膝に負担をかけないようにとエレベーターを使ったり、近所に出かけるときも車で移動したりしていると、運動不足になってしまいます。

運動不足の状態が長期にわたると、筋肉が衰えてしまい体力の低下を引き起こしてしまうのです。

筋力や体力が低下すると動くこと自体が困難となり、肥満にもつながります。

また、将来ロコモティブシンドロームを引き起こすリスクも高くなってしまいます。

3. 膝に負担をかけない筋力アップ&柔軟トレーニング

筋力アップと聞くと筋トレをイメージする方が多いと思います。

足の筋力アップに最適といわれるスクワットですが、膝の曲げ伸ばしをするため膝に痛みがあるときは無理は禁物です。

今回ご紹介するトレーニングは、関節に負担をかけず同じ姿勢を維持しながら筋肉を鍛えたり、筋肉を柔軟にすることが目標です。

一見すると地味に思えるトレーニングですが、継続することで効果が期待できます。

3-1. 座ったままでOK! 大腿四頭筋を鍛えるトレーニング

足のストレッチ

椅子に座ったままできるトレーニングなので、自宅やオフィスで隙間時間に挑戦してみましょう。

1. 椅子に深く座り両足を前に伸ばし、足首を交差させて床から浮かせます。
2. 上の足は下方向に、下の足は上方向に押し合うように力を加えて5秒キープします。
3. 足の上下を変えて、同じように5秒キープしたら力を抜きます。

1~3を5回繰り返し1セットとします。1日2~3セット行いましょう。

3-2. 膝関節を柔軟にするストレッチ

膝に負担をかけないためには、筋肉の柔軟性も大切です。

1. 大腿四頭筋を伸ばすストレッチ

1. 壁の近くに立ち、左手を壁につきます。
2. 右足をお尻の方に曲げ、右手でつま先をつかみます。
3. つま先をお尻の方へ手で引き寄せ、太ももの前側を伸ばします。そのまま20~30秒キープします。
4. 反対の足も同じように行います。

1日2~3セット行いましょう。

腿のストレッチ

2. ふくらはぎ・膝裏を伸ばすストレッチ

1. 椅子に深く座り、右足を真っすぐ前に伸ばします。足と床が平行になるようにしましょう。
2. 足首を床と垂直になるように立て、10秒間キープします。
3. ゆっくりと足をおろし、反対の足も同じように行いましょう。

1日10~20セット行いましょう。

4. 体重増加を防ぐための生活習慣

1章で前述しましたが、加齢や筋肉量の低下によって体重が増加することで、膝に大きな負担をかけてしまいます。

ここでは、適正体重を維持するための食生活の改善法と、40代女性に必要な運動についてご紹介します。

4-1. 食生活の改善

バランスの取れた食事

食生活を改善するには、毎日バランスの良い食事を摂ることが大切です。

腸内環境の改善を意識することが大切なので、腸活を意識しながらバランスの良い食材を取り入れていきましょう。

▼腸内細菌が健康を左右する! 腸を整える“シンバイオティクス”という食事法のすすめ

https://wellmethod.jp/intestinal_bacteria/

1. シンバイオティクスという食事法

シンバイオティクスの食事法は、腸内環境を整えるために大切なことです。

「シンバイオティクス」とは、腸内の有用菌を含む食材である「プロバイオティクス」と有用菌を育てるための食材である「プレバイオティクス」の両方を摂取することをいいます。

ここでは、それぞれの代表的な食材をご紹介していきます。

プロバイオティクス
主な食材 ・納豆
・キムチやぬか漬けなどの漬物味噌や塩麹などの発酵調味料
・ヨーグルト
・乳酸発酵飲料、甘酒、コンブチャ など
プレバイオティクス
主な食材

【水溶性食物繊維】
・リンゴや柑橘類、プルーンなどの果物
・イモ類
・キャベツや大根などの野菜
・昆布やワカメなどの海藻類
・麦を中心とした穀物
・大豆 など

【非水溶性食物繊維】
・未精製を中心とした穀類
・豆類
・ゴボウ、にんじんなどの根菜類
・クロレラ・スピルリナといった微細藻類

【その他】
・難消化性オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖以外のオリゴ糖類)
・難消化性デンプン
・難消化性タンパク質 など

 

4-2. 40代に必要な運動習慣

家事に育児に仕事に…私たちゆらぎ世代は責任世代でもあり、毎日自分のために時間を取り分けることが難しい方が多いかと思います。

そのため、運動した方が良いとわかっていても、なかなか継続できない…なんてこと、あるかと思います。

40代女性に必要な運動は、1回に30分の運動を週に2回必要とされています。
この30分の運動は、しっかり心拍数が上がる運動にすることが大切です。

▼教えて!高尾美穂先生vol.3〜産婦人科専門医に聞く、40代からの「エイジング」との向き合い方vol.3

https://wellmethod.jp/drtakao_int03/

たとえば、いつもの通勤時に一駅分歩いてみる、買い物時にはウォーキングもかねて少し遠回りをしてみるなど、いままでの生活習慣に少しだけプラスすることからはじめてみると継続しやすくなります。

1. ウォーキングは変形性膝関節症を防ぐことが期待できる

ウォーキングする女性の足

また、先に紹介した変形性膝関節症を防ぐために、ウォーキングを日頃続けることをおすすめします。

変形性膝関節症は膝に痛みを伴うため、なるべくならば外出したくないという方多いと思います。

しかし痛いからと動かずに生活していると膝を支える筋肉が衰えたり、運動不足により体重が増加するなど、さらに膝に負担がかかってしまいます。

変形性膝関節症の予防や改善にはウォーキングがおすすめです。

ウォーキングは気軽に行うことができる全身運動ですが、歩き方によっては膝に負担をかけてしまうこともあります。

膝の負担を軽減する歩き方をご紹介します。

1. 背筋を伸ばし、軽くお腹を引き締めます。
2. 顎を引き、視線は5~6m先を見ます。
3. 歩幅の目安は、足を着地するときに軽く膝が曲がる程度にとります。
4. かかとから着地し、次に親指の付け根に体重を移動し、つま先で大地をけるように歩きます。
5. 腕は足の動きに合わせて軽く振り、首は真っすぐに保ち、揺れないようにします。

5. つらい膝の痛みとさようなら! 生活習慣の見直しは定期的に

膝の痛みを解消した女性

膝が痛いとどうしても、姿勢が崩れたり痛みのせいで自分のしたいことができないこともあります。

とくにゆらぎ世代は、これまで経験したことがないような体の変化に戸惑うことも少なくありません。

この先もさまざまな不調と付き合っていくことになるかもしれません。

しかし素敵に年齢を重ねていくためには、体の基本となる生活習慣の見直しを定期的に行うことが大切です。

生活習慣を見直すことで、健康的な毎日へとアップデートしていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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