こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

「休んでも疲れがとれない」
「お酒が弱くなった」
「最近痩せなくなってきた」

みなさまの中にこのようなことで悩んでいる方はいませんか。

心当たりがある方は、もしかすると肝臓の疲れが関係しているかもしれません。

「仕事の疲れをアルコールで解消している」
といった人も実は要注意です。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、病気がかなり進行しないと症状が現れにくい臓器です。

アルコールを控えることを「休肝日」というように、肝臓はアルコールと密接な関係にあることがよく知られています。

さらに肝臓はアルコールの代謝以外にも、体を作るためのさまざまな働きを担っています。

では、どうして肝臓が疲労すると、疲れがとれなくなるのでしょうか。

肝臓疲労とは、一体どのような状態をさすのでしょうか。

肝臓の働きは知っていても、日ごろから肝臓に気を使っている、という方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

今回は、肝臓疲労について原因やチェック方法、予防法について詳しくご紹介します。

1.肝臓の働き

肝臓

肝臓は、体の臓器の中でもっとも大きな臓器で、体重のおよそ50分の1を占めています。

肝臓には「代謝機能」「解毒機能」「胆汁の生成・分泌・排泄」と大きく分けて3つの機能が備わっています。

1-1.代謝機能

食べ物は、体に取り込まれ、胃や腸で消化・吸収されますが、そのままでは体に必要なエネルギーや栄養素として利用したり蓄えたりすることはできません。

そのため肝臓では、この消化吸収された食べ物を体で利用することができるように、必要に応じて分解・合成を行います。

肝臓の働きによって、食べ物は体を動かすために必要なエネルギーや体の働きに必要な物質に変換され、体のあちこちに送り出されます。この機能を肝臓の代謝機能と呼びます。

例)
・糖をグリコーゲンに変換し蓄え、必要に応じてグリコーゲンを糖に変換させ、血中の糖分の量をコントロールしながらあらゆる組織に供給する
・脂質を人間の細胞膜、消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンのもとになるコレステロールに変換する
・アミノ酸から、血液を構成する成分に必要なタンパク質であるアルブミンやフィブリノゲンなどを作る

1-2.解毒機能

日本酒 アルコール

肝臓には、アルコールやたばこに含まれるニコチンなどの老廃物などの有害な物質を解毒や分解する役割があります。

例えばアルコールの場合、肝臓内でアルコール脱水素酵素(ADH)の働きを受け、アセトアルデヒドに分解されます。

このアセトアルデヒドは悪酔いや頭痛、動悸の原因ともなる、体にとって有害な物質です。

その後、アセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きにより酢酸に分解され、最終的に水と二酸化炭素となります。

これら一連の解毒プロセスが肝臓の酵素によって行われます。

また、腸管内の細菌により、食物のタンパク質から体に有毒なアンモニアが産生されますが、肝臓はアンモニアを無害な尿素に変換させ、尿とともに体外に排泄することができます。

肝機能が低下すると、この無毒化する機能も低下します。

1-3.胆汁の生成・分泌・排泄

3つ目の働きとして、胆汁を生成・分泌し、胆道に排泄する働きがあります。また血中のコレステロールから胆汁に含まれる胆汁酸を合成します。

胆汁とは、脂肪の乳化とタンパク質の分解をスムーズに行うための消化酵素です。
肝臓で合成され、胆のうに蓄えられ、消化に必要な際に十二指腸に分泌されます。

脂肪の乳化とは、本来水に溶けにくい脂肪の表面を変化させることで、水と混ざりやすくすることにより、腸から体に吸収されやすい形にすることです。 

2.なぜ肝臓が疲労を起こすと疲れを感じるのか

疲れた女性

筋肉疲労や眼精疲労などに比べて、肝臓疲労という言葉は聞きなれない言葉かもしれません。

しかし、日常生活の中で、夜更かしやストレスがたまることで疲労を感じることは、誰しも経験したこがあると思います。

実はこの疲労の中には肝臓が深く関係している可能性があります。そのメカニズムについてご紹介します。

<肝臓疲労すると、疲れを感じるメカニズム>

(1)肝臓は、なんらかの理由により負担がかかり、疲労を感じるようになると、体内で発生する老廃物(アンモニアなど)を処理する機能が低下する。

(2)処理できなかった老廃物アンモニアやアセトアルデヒドは、ミトコンドリアのエネルギー産生を妨害します。

(3)さらに、アンモニアは中枢神経に毒性があり、脳機能を妨害します。このために「脳疲労」と呼ばれる状態をつくりだし、頭がボーッとする、もやがかかったような状態になります。

(4)さらに肝臓の代謝機能低下によって、体内に取り込まれた栄養素を効率良く変換することができなくなり、体に必要なエネルギーを産生することができなくなる。

(5)エネルギー不足となった体は、うまく体を動かすことができず、疲れやだるさを感じる。

3.肝臓疲労により現れる症状

疲れてやる気の出ない女性

肝臓が疲労することにより現れる疲労感には、疲れが残る・活動力の低下・やる気が起きないなどの気力の低下・頭痛や肩こりなど体への症状などといった、以下のような症状がみられます。

・眠気が強くなる
・体の疲れが抜けない、だるい、重い
・集中力や思考力が低下する
・やる気が起きない
・常にイライラする、焦った気持ちになる
・肩こりや頭痛がする
・体臭や口臭がする

4.肝臓を疲れさせる原因

では、肝臓に負担がかかる原因はどのようなことがあるのでしょうか。

4-1.アルコールの飲みすぎ

ハイボール アルコール

お酒を飲みすぎた次の日は、二日酔いでなくても、体がだるさや眠気、頭が重いといった経験をされた方はいると思います。

アルコールが肝臓で代謝されることは有名な話ですが、このアルコールの分解により産生されるアセトアルデヒドが肝臓を疲労させる原因物質です。

アセトアルデヒドは、体にとって有害な物質であり、肝細胞内のエネルギーを生成するミトコンドリアの機能を弱めます。

さらにアルコールを処理する過程の中で、肝臓内にはNADHという物質が増加します。

NADHの増加は、ミトコンドリアの役割の一つである、糖やケトン体の生成を阻害します。
アルコールの摂取によって、これらの働きが妨害されることで、低血糖や脂肪肝をひきおこします。

ミトコンドリアが糖やケトン体を十分に作れなくなると、脳への糖やケトン体の供給が不足します。

そのため体は疲労感を覚え、休むためのサインを出します。

その結果、だるさや疲労感を感じるようになります。

4-2.食べ過ぎ

食べ過ぎは、体内に過剰な食物が多く入ってくる分、肝臓が分解や合成などの処理に追われます。

そのため、肝臓がもつアンモニアなどの毒素を解毒する解毒作用を阻害し、毒素の代謝の遅れに影響します。

4-3.運動不足・過剰な運動のしすぎ

運動をする女性

食事に含まれる脂肪は中性脂肪に変えられ、全身のエネルギー源として供給されますが、運動不足になると中性脂肪が肝臓に蓄積して脂肪肝になり、肝機能が低下します。

生活習慣病の予防のためにも適度な運動は必要です。
筋肉は、肝臓と同様にアンモニアを処理する能力があるため、適度な筋力を維持することは重要です。

しかし、過剰な運動のしすぎは、体を動かすために必要な骨格筋への血流量が増加するため、消化管への血流量が減少します。

そのため、消化管の一つである肝臓も運動時は血流が減少し、機能が低下しやすくなります。

4-4.ストレスなど精神的負担、睡眠不足

肝臓は副交感神経が優位になることで、活発に働きます。

しかし精神的なストレスは交感神経を高め、副交感神経によって働く肝臓の働きを抑えてしまいます。

この状態が長く続くと、肝臓の機能が低下し、肝臓疲労として体にさまざまな症状が現れます。

疲労やストレスがあると、血液中に肝臓で処理しきれなかったアンモニアが増え、汗の中にアンモニアがまざるようになります。これを「疲労臭」といいますが、疲労の敏感なサインになります。

5.あなたの肝臓は疲労している? セルフチェック

肝臓疲労のチェック

もし体の疲れを感じるようになれば、肝臓が疲労していることが原因かもしれません。

以下の症状に心当たりがある場合には、肝臓疲労の可能性があります。
大切な肝臓を守るためにも、日頃から予防をするようにしましょう。

・アルコールを美味しく飲めなくなった
・疲れやすくすぐにだるさを感じる
・食欲が沸かない(とくに脂っこい食事などを欲しなくなった)
・体臭がアンモニアくさい
・健康診断で、肝機能に異常があるといわれた

6.肝臓疲労にならないための予防策

肝臓疲労を予防するための方法には、規則正しい生活を送ることや、十分な睡眠、食事方法について意識するなどといった方法があります。

いずれも毎日の生活習慣の一部であるため、少し意識を変えることで肝臓への負担をぐっと減らすことができます。

6-1.適度な運動    

適度な運動は、生活習慣病予防だけではなく、肝臓疲労を予防するためにも効果的です。

理想は1日15~30分程度、週3日、ウォーキングや水泳など有酸素運動を取り入れてみましょう。

逆に、過度な運動を行うと血中のアンモニアの上昇に伴い、肝臓がその処理に追われます。過剰な運動は控え、適度な運動を心がけるようにしましょう。

6-2.質の高い睡眠

質の良い睡眠をする女性

質の高い睡眠は体の疲労を回復させ、肝臓への負担を軽減します。

まず布団に入る前には、睡眠の妨げとなるようなテレビの音やスマホやPCの光など刺激の少ない環境を整えましょう。

また、夜にカフェインの入った刺激物やアルコールをとることも控えましょう。

日中の長時間の仮眠は、夜の睡眠が浅くなる可能性があるため、15時前の20~30分程度にとどめるようにしましょう。

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6-3.毎日湯船に浸かる

入浴はリラックス効果があり、ストレス解消に効果的です。

ストレスが解消されると自律神経が整い、肝臓への負担が軽減します。

肝臓への負担を和らげるためにも、できるだけ毎日、気持ちがほっとする40℃前後のお湯につかるようにしましょう。

6-4.バランスのとれた食事

肝臓は食物を分解し、体に必要な物質に変換する臓器です。

そのため、食生活もバランスのとれたものになるよう意識することが大切です。

とくに1日3食、腹八分目程度できちんと食べることが、体のリズムを整えることになり肝臓の負担を減らします。
過剰なカロリーや糖質、脂質は脂肪肝の原因になるため控えましょう。

さらに、体を作るために必要な良質なタンパク質も必要です。

体内では合成できない必須アミノ酸をはじめ、肉・魚・大豆製品・卵を中心に、主食・主菜・副菜を意識してバランスのとれた食事をこころがけましょう。

過剰なタンパク質の摂取で腸内環境が悪化すると、アンモニアが発生し、肝臓の仕事が増えてしまいます。
タンパク質は十分に消化吸収できる適度な量を食べ、腸内の腐敗を防ぎましょう。

腸内環境を改善し、アンモニアの発生を抑えるには、腸の有用菌の餌となるプレバイオティクス(水溶性食物繊維、オリゴ糖、難消化性でんぷん、難消化性タンパク質など多糖類)を十分に食べましょう。

6-5.アルコールを控える

休肝日 休む肝臓

アルコールの摂取により、肝臓の処理能力が限界となると、エネルギーを作る肝臓の機能が落ちるため、脳に疲労のサインが送られます。

肝臓の疲労を抑えるためには、お酒はできるだけ控えるようにすると良いでしょう。

また、お酒を飲む人は、普段からタンパク質やビタミン・ミネラル類をしっかりと摂取し、解毒や代謝が十分にできるように栄養を補給しましょう。

週に2日は休肝日を設けて肝臓を休ませる日をつくるなど、お酒と上手に付き合っていくように心がけましょう。

7.肝臓疲労を予防するためにも毎日のこまめな気遣いを心がけましょう

肝臓疲労をケアする女性

「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状があまり出ない肝臓は、普段の生活の中で特別意識することは少ないと思います。

しかし、肝臓は体の栄養素をエネルギーに変える、毒素を無毒化するなど体の中で重要な働きを担っている大切な臓器です。

なんだか取れない疲れやだるさは実は肝臓からきているのかもしれません。

中には、疲れやストレスを感じると、ついついお酒の力に頼りたくなる人もいるかもしれません。

筆者自身も社会人になりたての頃は、仕事のストレスを帰宅後のアルコールで解消していた時期もありました。

しかし、この行動は肝臓疲労のことを考えると逆効果です。

飲みすぎに注意する・栄養をしっかりとる・腸内環境を改善する・カロリーや塩分控えめにするなど、気を付けながら楽しむことが大切です。

肝臓にとって気を遣うことができると、体も気持ちもうれしくなりますよね。

また、肝臓の状態は普段の生活では目に見えない分、知らず知らずのうちに負担をかけていることも少なくありません。

だからこそ毎日の生活習慣や食事のバランスなど、こまめに気を配り、肝臓をサポートすることが大切です。

これからも生き生きと健やかな生活を送るためにも、今よりちょっとだけ自分の体と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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