皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

人間を生かす土壌である腸内環境こそが、健康の秘訣と言われる今日この頃。

本当に健康で長寿な人の腸内環境には、共通点があることがわかっています。

それが、「長寿菌」と呼ばれるいくつかの腸内細菌が多いこと。

ギネス記録にも載った著名なご長寿が多い「長寿村」の伝統的な食生活にも秘密があるようです。

1.長寿村のご長寿の腸内細菌の秘密

1-1.日本では100歳以上が7万人突破

100万人
日本は、世界有数の長寿大国で、2019年には、100歳以上のご長寿が7万人を突破したそうです。

一方で、健康寿命が長ければ、老後も幸せですが、「病気で倒れて寝たきりの状態で長生きするのは辛い」という声もあります。

人生100年時代は、健康寿命をいかに延ばすかが課題です。

そこで、今日は、日本でも有数の長寿村のご長寿に共通する腸内細菌「長寿菌」の秘密と、長寿菌を保つ食生活に迫ってみたいと思います。

1-2.日本全国の健康長寿村の共通点「長寿菌」

日本の便研究といえばこの人と言われる理化学研究所・辨野義己先生の調査によると、全国の健康長寿村の高齢者に共通する3つの腸内細菌がわかりました。

健康長寿村とは、山梨県棡原、群馬県南牧村、島根県知島、大分県姫島、鹿児島県の奄美群島(奄美大島や徳之島)、沖縄県大東島などです。

そして、これらの長寿村のご長寿たちに共通する腸内細菌が、

・大便桿菌:フィーカリバクテリウム菌
・大便球菌:コプロコッカス菌
・ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属菌)

です。

大便桿菌や大便球菌は、人間の健康に大きな影響を与える短鎖脂肪酸の一種「酪酸」を分泌する酪酸菌の一種です。

腸内細菌全体で、これらの割合が4~6割であることが健康ご長寿の共通項であった為、これらを合わせて「長寿菌」と名付けています。

ビフィズス菌は、通常加齢と共に減少していくものですが、健康ご長寿の腸内では平均より多く、元気に生息しているようです。

こちらも参考に
「免疫力低下や肥満を防ぐ! 腸内環境のエース「短鎖脂肪酸」6つの働き」

https://wellmethod.jp/short_chain_fatty_acids/

免疫力低下や肥満を防ぐ! 腸内環境のエース「短鎖脂肪酸」6つの働き

実際に、私自身が腸内フローラ検査を患者さんに行ってきた経験からも、食生活がよく、元気な方では、これらが4~6割になる方もいらっしゃいます。

これらは、大好物のエサを与えること、つまり、食生活によって増やすことが可能です。

これらの地域には、ライフスタイルの共通項があることもわかっていますので、後ほど合わせてご紹介します。

1-3.酪酸菌がギネス級ご長寿の鍵を握る

鍵
酪酸菌が長寿と関連していることを示す健康長寿村の研究は、他にもあります。
京都府立医科大学が2017年から行なっている「京丹後長寿コホート研究」です。

京都府の北部にある京丹後市は、100歳以上の方(百寿者)の割合が全国平均の約3倍と多く、大腸がんの罹患率も京都市と比較して低いことがわかっています。

男性の世界最高齢を記録しギネスにも認定された、木村次郎右衛門さん(享年116才)も京丹後市生まれの京丹後市育ちです。

京丹後市に暮らす65歳以上の高齢者と、京都市に暮らす同年代を比較したところ、京丹後市のグループの腸内細菌には、「ファーミキューテス門」に分類される細菌が多く、特に、ベスト4が全て、酪酸菌であることがわかっています。

いずれも、人に良い働きをする善玉のクロストリジウム属菌に分類される酪酸菌で、この中には、前述の「長寿菌」も含まれます。

※Naito Y, et al. J Clin Biochem Nutr 2019, in press.

2.長寿菌を育てる3つのライフスタイル

全国の健康長寿村に暮らすご長寿には、共通したライフスタイルがあることもわかっています。

2-1.健康ご長寿に共通するライフスタイル

2-1-1.野菜や発酵食品をもりもり食べる

食事

これらの地域の伝統的な食生活の特徴として、肉や魚をあまり食べず、とにかく野菜(根菜 類、豆類、きのこ類など)や海藻類をもりもり食べているそうです。
腸内の有用菌を育てるためのエサである「プレバイオティクス」食品です。
発酵食品は、食物繊維で整えられた腸に、善玉菌を送り届け、腸内環境を整えるもので「プロバイオティクス」食品と呼ばれます。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせてとることを「シンバイオティクス」と言い、健康ご長寿は、伝統食品を通して、これらを日常的に摂っているようです。

こちらもご参考に
「腸内細菌が健康を左右する! 腸を整える“シンバイオティクス”という食事法のすすめ」

https://wellmethod.jp/intestinal_bacteria/

腸内細菌が健康を左右する! 腸を整える“シンバイオティクス”という食事法のすすめ

2-1-2.体をしっかりと動かしている

運動
日本の田舎では、腰の曲がったご長寿が山をスイスイ登りながら畑仕事をするなど、足腰の弱った都会の若者がびっくりするような健脚ぶりを発揮することも珍しくありません。

健康長寿村の多くは、田舎の山間部にあり、毎日坂道を登ったり、農作業をするなどして、日常的に足腰が鍛えられやすいようです。
高齢者になると下半身の筋力が低下して、排便が上手にできなくなり、便秘になることで腸内環境が悪化しがちになりますが、健脚は、良好な排便を保ち、腸内環境改善に役立っていると考えられています。

2-1-3.住民同士の助け合い

都会暮らしでは、隣に住む人の顔も知らないほどに人と人との交流が失われますが、田舎のコミュニティは、住民同士、特に高齢者同士の繋がりが強く、交流が盛んで助け合う関係性が保たれています。

実は、チンパンジーの研究で、集団の中での交流は、健康の要であり腸内環境の若さの象徴である「腸内細菌の多様性」を保つためにとても大切だということがわかっています。

※Science Advances  15 Jan 2016:Vol. 2, no. 1, e1500997

こちらもご参考に
「腸内環境改善に最重要!若さと健康のカギは菌の「多様性(ダイバーシティ)」にあり【医師が解説】」

https://wellmethod.jp/diversity/

腸内環境改善に最重要!若さと健康のカギは菌の「多様性(ダイバーシティ)」にあり【医師が解説】

これら3つのライフスタイルは、現代的な都市生活をする日本人には失われている習慣です。

でも、よくよく考えれば、人間の健康にとって大切な普遍的なライフスタイルですよね。

こうしたライフスタイルを取り戻すことで、長寿菌を増やすことは不可能ではありませんから、今からぜひ、実践して若々しい腸内環境から若々しい心身を保ち、健康寿命を延ばしましょう。

3.奄美の長寿島に学ぶ伝統食と長寿の10の心得

3-1.ギネス級のご長寿が複数の徳之島

ご長寿村の中に、ギネス級のご長寿を複数輩出する島があります。鹿児島県奄美群島の一つ、徳之島です。

ギネスブックに世界一の男性ご長寿として記録されていた、泉重千代さん(享年120才)。

2日寝て1日起きる独特の睡眠リズムで、寝姿が人気となった「かまとおばあちゃん」こと、本郷かまとさん(享年116才)。

いずれも、生年月日があやふやとして、後にギネスの記録が取り消されはしたものの、誇るべき日本のご長寿として話題になりました。

3-2.ご長寿の腸内細菌を育む食生活とは?

食生活
徳之島の伝統的な食生活は、まさに、シンバイオティクスです。

酵素や食物繊維が豊富な青パパイヤの漬物、サツマイモを乳酸菌で発酵させた栄養ドリンク「みき」、そして、食物繊維をたっぷり含むアオサなどの豊富な海藻類、島らっきょう、苦うり、へちまなどの伝統野菜をたっぷりと。

地域によって特徴は違えど、発酵食品や野菜、海藻たっぷりの料理は、日本全国の伝統的な食生活です。

こうした、伝統食の見直しが、自然に「長寿菌」を増やすことにつながっています。

3-3.世界一のご長寿に学ぶ長寿十訓

そして、心がけも大切です。
世界一の男性ご長寿、泉重千代さんは、生前に「長寿十訓」を残しています。

1.万事くよくよしないがよい
2.腹八分めか七分がよい
3.酒は適量ゆっくりと
4.目ざめたとき深呼吸
5.やること決めて規則正しく
6.自分の足で散歩に出よう
7.自然が一番さからわない
8.誰とでも話す笑いあう
9.歳は忘れて考えない
10.健康はお天とう様のおかげ

百二十才 泉重千代
※伊仙町役場HPより

当たり前な営みでありながら、この当たり前がなかなかできないものです。
日本が誇る、健康ご長寿に習って、一つ一つ、大切に丁寧に実践していきたいですね。

 

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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