閉経に備えるために。40代女性の心と身体の変化
こんにちは、ライターの廣江です。
女性は、年齢を重ねると身体にさまざまな変化が訪れます。
なかでも、大きな変化といえるのが「閉経」です。
思春期の頃、少女から女性の身体へと変化していく中で、うれしいやら恥ずかしいやら、なんとも言い難い繊細な心の変化があったのをよく覚えています。
「閉経」は、女性の人生の中で、心も身体も大きく変化するターニングポイント。
そろそろその時を迎えようとしているいま、“女として、これからどう生きていこうか”なんて、少しセンシティブになったり瞬間もある。
でも、“楽しみはこれからよ”なんて、どこか“何があっても大丈夫”って穏やかな自分もいる。
できることなら、安心した状態で、その時を迎えたいものですよね。
そのためには、「知ること」が大事なのではないでしょうか。
「閉経」とは一体、どのような症状なのでしょうか。
この記事では、閉経の概要や訪れる平均的な年齢、さらに閉経前後にみられる心と身体の変化について解説します。
目次
1.そもそも閉経とは?
閉経とはどのようなものなのか、概要やメカニズムについて見ていきましょう。
1-1.閉経とは?
閉経とは、一般的に「卵巣機能が低下して月経が完全に停止した状態」を指します。女性の身体が性成熟期のゴールに到達した証拠ともいえるものです。
1-1-1.閉経のメカニズム
性成熟期の終わり頃に差し掛かると、女性の身体はいわゆる「更年期」に突入します。
更年期に入ると卵巣の活動が徐々に落ち着き、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が低下していきます。
また、原始卵胞の数が少なくなるのも特徴です。
原始卵胞とは、生まれながらにして女性の卵巣に備わっている卵の素のことです。その数は生涯増えることはなく、生まれた時には4〜8万個あるとされますが、月経ごとにその卵をどんどんと消費し、数を減らしていきます。
これらの要因によって月経回数も減っていき、やがて完全に停止することで、「閉経」になるのです。
1-1-2.平均的な閉経年齢
閉経が始まる平均的な年齢は、「50歳前後」だとされています。
ただし、これはあくまでも平均的なデータであり、個人差があるため注意が必要です。
なかには、40代で閉経する人もいれば、50代後半まで月経が続く人もいます。残念ながら、いつ始まるかどうかを知ることは、難しいのが現状です。
1-1-3.早期閉経について
人によっては40歳未満など、一般的な閉経年齢ではない年代であっても、月経が止まる人もいます。
このような状態を、一般的に「早発卵巣不全」という疾患で「早期閉経」などとも呼びます。
早期閉経は何らかの原因によって卵巣機能が停止し、「無月経」の状態になっているケースが多いです。
2.閉経かどうかを知るための方法
月経が停止している場合、「自分は閉経したのかどうか」が気になる人もいるでしょう。
月経が止まった時点で閉経と診断するのは、難しいといわれています。閉経している状態かどうかを判断するためには、「1年間以上の無月経」を確認する必要があります。1年間月経がみられなかった場合に確定することができるのです。
なお、子宮摘出などによって月経での判断が困難な場合には、「ホルモンの変化」をチェックすることで、閉経後の状態であるかどうかを確認できます。
気になる人は、婦人科などで相談してみると良いでしょう。
3.閉経が近付いたときのサインとは?
閉経が訪れるタイミングは、基本的に把握することができません。
ただ、前後には身体にさまざまな変化が生じるといわれています。閉経が近付いたときの「身体のサイン」をチェックすると、おおまかなタイミングを予想することが可能です。
閉経が近づいたときにみられるサインには、以下のようなものがあります。
3-1.月経周期が短くなる
女性が年齢を重ねていくと、卵胞の数が徐々に減っていきます。
すると、卵胞数の減少とともに、「月経周期が短くなる」のが特徴です。
これは、卵胞から分泌されるエストロゲン・プロゲステロンなどの量が減少し、脳がホルモンをより多く分泌させようとするためです。
この脳からの指令によって卵巣に過度な刺激が加わり、排卵が早く起こるようになるのです。また、プロゲステロンが減少して黄体期が短くなることも、月経周期の変化に影響を及ぼしているという見方があります。
3-2.月経不順
閉経が近づくと、「月経不順」になることがあります。
月経不順の症状は人それぞれ異なり、月経そのものの日数が少なくなる人もいれば、長期間少ない量の出血がだらだらと続く人もいるのです。
また、月経の量が減ったり、逆に増えたりするケースもあります。なかには、月経量が多くなることで貧血の状態になってしまう人もいるため、注意が必要です。
3-3.自律神経の乱れ
閉経前後はホルモンバランスの変化によって、「自律神経の乱れ」を引き起こすケースも多くみられます。
自律神経が乱れると、「不眠」「身体の冷え」「頭痛」などを招く場合があります。
さらに、代表的な症状として挙げられるのが「ホットフラッシュ」と呼ばれるものです。
ホットフラッシュは主に「のぼせ」や「ほてり」などを感じ、大量に汗をかくなどの特徴があります。精神面ではイライラして攻撃的になったり、精神的に不安定になったりするケースが多いです。
4.閉経後の身体に起こる変化とは?
定期的にあったはずの月経が止まって閉経すると、身体にどのような変化が生じるのか、不安になるものです。
あらかじめ知っておくことで、不安を和らげやすくなります。閉経後の身体に起こる変化には、以下のようなものが挙げられます。
4-1.妊娠しなくなる
閉経後は卵巣機能が停止するため、基本的に妊娠しなくなります。
ただし、診断から1年程度は、完全に閉経しているとも限らないため、少なからず妊娠する可能性もあります。絶対に妊娠しないとは断言できないため、希望しない人は注意しましょう。
4-2.おりものの減少
卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの量が減り、おりものの量が少なくなることがあります。
膣が乾きやすくなり、痒みを伴ったり、雑菌が入りやすくなる可能性もあります。
4-3.病気リスクが高まることも
閉経すると女性ホルモンの分泌が減り、病気リスクが高まることがあります。
エストロゲンは骨の維持やコラーゲンの産生と深い関わりがあるものです。
そのエストロゲンが減少すると、骨がもろくなって筋肉・関節などに負担がかかりやすくなる場合があります。
また、女性にとって、若々しさを保つ1番のホルモンは、エストロゲンです。活性酸素を防ぐことで、老化現象を予防してくれていたため、肌だけでなく、血管を含めて全身の臓器で老化が促進されます。
人によっては、「骨粗しょう症」「動脈硬化」などの病気を招くリスクがあるため、気を付けましょう。
5.閉経による悩みへの対策法
閉経後は、さまざまな身体の変化や不調などに悩まされる女性も少なくありません。
ただ、これらの症状は加齢によって生じる、正常な反応なのです。
そのため、身体の変化は「以前の状態に戻そう」とするのではなく、「うまく付き合っていく」ことが重要になります。
変化とうまく付き合っていくためには、対策法を知っておくことが大切です。閉経による悩みへの対策は、「生活習慣の見直し」が基本となります。主なポイントは、以下の通りです。
5-1.リラックスして過ごす
閉経後は自律神経が乱れやすい状態です。
自律神経はストレスの影響を受けやすいため、できるだけリラックスして過ごすことが大切です。
ただ、生活を送るうえで、まったくストレスをためずにいることは難しいものといえます。
そのため、音楽を聴いたり、友人とおしゃべりをしたりするなど、自分なりの「ストレス解消法」を見つけておくことが重要になります。また、睡眠をしっかりとり、心と身体を十分に休めることも必要です。
単にダラダラするのではなく、朝はしっかり起きて、日中は活動し、夜はゆったり過ごすなど、生活のリズムをしっかりと整えることが重要です。
5-2.入浴の時間帯に注意する
ほてりの症状がみられる人は、入浴の時間帯に注意する必要があります。
寝る直前に入浴すると身体がほてり、うまく眠れなくなる原因につながります。就寝の約2時間前には入浴を済ませておくと良いでしょう。
5-3.適度に運動する
運動をすると血行が良くなり、気分転換にもなります。
のぼせを防ぐためにも、足の筋肉をしっかりと使い、全身に血液を巡らせるといいでしょう。
ストレス解消にもつながるため、日頃から適度に運動をするように心がけるのが大切です。
運動は毎日コツコツと続けられる負担の少ないものを選ぶと、無理なく継続しやすいです。ウォーキングや軽いストレッチ、またジョギングやダンスなど、自分に合うものを選びましょう。
6.閉経による悩みは医療機関に相談しよう
閉経による症状に悩んでいる場合は、医療機関に相談するのも一案です。
生活に支障が出るようなつらい症状がみられる場合は、医師に相談することで、気持ちが楽になるケースもあります。
また、婦人科などを受診すれば、必要に応じてホルモンを補うための治療を受けることも可能です。体調の変化などで悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに医療機関に相談して、適切なケアを受けましょう。
7.閉経への知識を深めて身体の変化とうまく付き合っていこう!
「閉経」は、大きなターニングポイント。
何も知識がない状態だと、身体の変化に戸惑いや不安を感じやすいものですね。
事前に基礎知識や対策をしっかりと頭に入れておくことで、訪れたときに冷静に対処しやすくなります。
心も身体も大きく変化しやすいと言われている閉経時。いまから心と身体を整えていくことが、憂鬱な気分を乗り切る秘訣でしょう。
毎日をイキイキとポジティブに過ごす準備、いまからはじめてみませんか?
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか