こんにちは。ライターの和重 景です。

皆さんのなかには、更年期真っただ中の時期を過ごしている人もいるのではないでしょうか。

更年期障害の不快な症状は、1日も早く終わってほしいですよね。

いつまで不快症状が続くのかわからない状況は不安以外の何物でもありません。
ゴールが見えない不安はすぐにでも解消できるよう、不快症状の原因を探るなど対策を立てましょう。

この記事では、更年期障害の原因や継続期間、やわらげる方法などについて解説します。

1.更年期障害とは?

更年期障害がいつまで続くのかを知る前に、何が原因で起こるのかを知っておきましょう。
具体的に、どのような症状のことを更年期障害というのかを知っておくことも必要です。

この章では、更年期障害の具体的な症状について解説します。

1-1.更年期障害の原因は?

更年期障害とは、性ホルモンが急激に減少することによって引き起こされる不快症状のことです。

女性特有の症状だと思われがちですが、実は男性にも更年期があり、悩まされる人もいます。

ただし、女性の性ホルモンのほうが、男性の性ホルモンの分泌よりも減り方が急激です。そのため、女性のほうが男性よりも更年期の影響が強く現れます。

女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2種類あり、それぞれの女性ホルモンがバランスを取りながら周期的に分泌量を変化させるため、バランスが崩れやすいことも、女性の更年期障害が男性よりも強く出やすい原因になっています。

1-2.更年期障害の症状は?

更年期障害の症状は、人によってまちまちです。

しかも、通常は複数の症状が表に出ます。

そのため、悩まされている症状が更年期障害によるものと気付かずに過ごしてしまうことも少なくありません。

ほてりやのぼせ、異常な発汗、冷えなど、体温調節が上手くいっていないと感じるような症状が現れる場合があります。

特に、ほてりやのぼせ、発汗が上半身のみに現れるときは、更年期障害の症状の可能性が高いです。

動悸や息切れ、めまい、耳鳴り、頭痛などの症状は、単なる不調や別の病気によるものだと思ってしまうこともあるでしょう。

更年期障害によるものだとは気づきにくい症状です。

具合が悪い女性

イライラや不安感、焦燥感、抑うつ、無気力、不眠など、精神的な症状が出ることもあります。特に、イライラ感は典型的な更年期障害の症状です。

肩こりや腰痛、関節痛、皮膚の乾燥やかゆみといった症状は、単独では更年期障害の症状とは気づきにくいものです。

しかし、女性ホルモンの減少により泌尿生殖器が萎縮して、膣の乾燥や痒み、性交痛、頻尿、尿失禁などの症状が併せて起こると、更年期の症状だと気づきやすくなるかもしれません。

2.更年期障害の症状は個人差が大きい

更年期障害の症状は人によって異なります。

どの症状が現れるか、いくつ症状が現れるかは人それぞれです。

そのうえ、症状の強度にも個人差があります。更年期障害だとは気づきにくい症状ばかりで、しかも軽ければ気付かずに終わってしまうかもしれません。

また、症状の強度は日によっても差があります。

重い更年期障害の症状に悩まされる人でも、毎日同じ強度で症状が現れるわけではありません。つらいと感じるときもあれば、あまりつらく感じないときもあります。

3.更年期はいつからいつまで?

更年期とは、閉経前後の各5年間を指します。

ただし、更年期障害は症状や重症度が人によって異なるので、実際に更年期障害を体感する期間は人によって差があります。

全員が等しく10年間の更年期を辛いと感じながら過ごすというわけではありません。

平均的な閉経の年齢は50歳前後なので、45歳から55歳ごろまでを更年期ということが一般的です。

しかし、閉経の年齢は個人差が大きく、早ければ30代で閉経する人もいれば、60歳近くまで月経がある人もいます。何歳から何歳までが更年期だと明確に言うことはできません。

4.更年期障害にゴールはあるの?

自分が感じている不快な症状が更年期障害によるものだとわかっても、安心できるとは限りません。

つらい更年期障害の症状がこの先何年も続くのかと思うと、かえって不安が増す可能性もあります。

ゴールが見えないことによる不安です。閉経前であれば、まだ5年以上続くかもしれませんが、ホルモンの急激な減少が落ち着けば、症状は長引かずに軽減されていくことが一般的です。

窓辺のラベンダー

更年期障害のゴールは見えにくいだけで、きちんとあるので心配する必要はありません。

気長に症状と向き合わなければなりませんが、抜け出たと感じられるときは来ます。

症状がつらいと、一生このままなのではないかと思ってしまいがちですが、必要以上に不安になることはやめましょう。

5.更年期障害を軽くする方法は?

更年期障害の症状がやわらげば、長丁場でも楽に乗り切ることができそうです。

更年期障害をやわらげる方法はあるのでしょうか。この段落では、その方法について解説します。

5-1.女性ホルモンの減少カーブを緩やかにする

更年期障害の主な原因は、女性ホルモンの急激な減少です。

性ホルモンに限らず、どのようなホルモンも、微妙な分泌量の差やほかのホルモンとのバランスによって、脳や内臓など全身に大きな影響が出ます。

分泌量の減り方が大きければ、そのぶん影響も大きくなって当然でしょう。

女性ホルモンの減少による影響をできるだけ小さくするなら、ホルモン分泌の減少幅を小さくすることが重要です。

女性ホルモンや女性ホルモンと似た働きをする成分を補うことが、症状をやわらげるのに有効だと考えられます。

5-2.女性ホルモンを補う

40代、50代になってから女性ホルモンの分泌量自体を増やすのは難しいと言えます。

女性ホルモンの量は、20代半まで分泌量が増えたら、あとは減る一方です。

ですが現在、医療機関において、ホルモン補充療法(HRT)という手段があります。

これらは、

・経口剤(飲み薬)
・経皮剤(貼り薬、塗り薬)

の2種類があり、女性ホルモン自体を補う方法です。

特徴として、経口剤は、

・エストロゲン単剤
・プロゲステロン単剤
・エストロゲンとプロゲステロンを配合した配合剤

の3種類。

内服薬なので簡易的に摂取ができますが、デメリットとしては、薬は胃を通り腸から吸収され、まず肝臓を通ってから全身に作用します。

そのため、胃腸・肝臓に負担がかかってしまうことがあり、胃腸の調子が優れない場合や、もともと肝機能障害がある場合には飲むことが難しい点です。

薬

一方、経皮剤は、

・エストロゲンの貼り薬と塗り薬
・エストロゲンとプロゲステロンを配合した貼り薬

の2種類。

飲み薬と違って、皮膚から直接薬が吸収されます。胃腸を通らない上に、全身で作用した後で肝臓で分解されるために、投与量も経口剤と違って少なくてすみます。

そのため、胃腸や肝臓といった消化器への負担は少ないという点はメリットと言えるでしょう。

しかし、皮膚が弱い方の場合は、かゆみやかぶれなどの皮膚症状が起こる可能性があるため、注意が必要です。

▼ほか、詳しいホルモン療法については、こちらの記事をご参照ください。
https://wellmethod.jp/hrt/

または、女性ホルモンと似た役割をする食品成分もあります。

エクオールという成分で、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されたものです。
ただし、人によっては大豆イソフラボンをエクオールに変換する腸内細菌を持たないケースもあります。

5-3.症状の体感を軽くする

実際に現れている更年期障害の症状は同じでも、実際よりも軽いと感じることができれば、つらさはやわらぐはずです。

たとえば、イライラの症状は、更年期障害以外の原因でも起こるものなので、ほかの原因を取り除けば体感する症状の重さをやわらげることは可能かもしれません。

睡眠不足や栄養不足もイライラの原因です。睡眠を十分にとったり、ビタミンやミネラルを十分に摂ったりすることで、イライラ感を軽減することもできるでしょう。

リラックスした状態のときに症状が出にくいのであれば、リラックスできる環境づくりをすることも大事です。

体を適度に動かすことで症状が楽になることもありますが、ストレスだと感じてしまうと逆効果になってしまいます。

有酸素運動によって更年期のイライラが楽になったという研究報告もあるので、取り組みやすいものを選んで、無理のない範囲で試してみると良いでしょう。

心地よいと感じられる環境では、物事をプラスに捉えられるかもしれません。

6.更年期障害は終わるときが来る

つらい更年期障害の症状に苦しんでいるときは、その症状がずっと続くように感じられるかもしれません。

しかし、更年期は限られた期間だけ。

約10年という期間ですが、重い症状が現れるのはその一時期です。

必ずゴールがあります。

抜け出るまではつらい思いをすることが何度も続くことがあるかもしれませんが、工夫によって体感を軽くすることは可能です。

そう考えると、少し気持ちが楽になりますよね。

更年期障害を悪いものとするのではなく、自分に合った身体がやわらぐ方法を取り入れることで、うまく付き合っていく方法を探っていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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