こんにちは。ライターの和重 景です。

更年期を迎えると、女性の身体にはさまざまな変化が訪れます。

激しいめまいやのぼせ、精神的にも不安定になったらどうしよう……。

筆者も、そろそろ更年期と言われている年齢にさしかかった頃は、不安を覚えたものでした。

当時、夫に話をしても、いまいち実感が伴わないために理解が難しかったようで、仕事に家事に子育に、ひとりでがんばらなければ……と、気が張っていたように思います。

きっと筆者のように、心と身体の変化に戸惑いを感じたり、どう対処すればいいのか悩んでしまう女性は少なくないのではないでしょうか?

幸い、そこまでひどい症状にはならずに済んだのですが、いまでも時々、「もしかしてこれから先に、ひどい症状がやってきたら?」と不安になることがあります。

女性であれば、避けて通れないのが更年期。

否定するのではなく、うまく付き合っていくことが大切です。

そのためには、普段から「食生活の見直し」をすることが重要です。
(日常生活に支障をきたすほどの更年期障害に発展した場合は、迷わず病院で適切な治療を受けてください)

この記事では、更年期とうまく付き合っていくための食事のポイントについてお伝えします。

1.更年期と食事の関係

そもそも更年期とはどのようなものなのか、概要や食事との関係性についてチェックしていきましょう。

1-1.更年期とは

女性は、年齢を重ねてると徐々にエストロゲンの分泌が低下し、閉経が近付いていきます。

エストロゲンには肌・骨・血管などの健康状態を維持するための働きがあります。

エストロゲンはいわば、女性にとって「お守り」ともいえるものなのです。

このエストロゲンの分泌が減ると、女性の身体にはさまざまな変化が生じるようになります。

たとえば、発汗・めまい・身体のだるさなどの症状が代表的です。このように、ホルモンバランスの変化によって身体に不調が表れやすい閉経前後の時期を、一般的に「更年期」といいます。

1-2.更年期と食事の関係性

更年期が訪れるとホルモンバランスの変化や精神的なストレスから、過食や食欲不振になってしまう人もいます。

また、女性は更年期になると代謝が下がり、太りやすくなる人もいます。

さらに、エストロゲンの減少によって骨量が減少し、「骨粗しょう症」などの病気を招くおそれもあるため、注意が必要です。

このように、心身の健康面に大きな影響をおよぼす可能性があります。健康的な心身を維持するためには、日頃の「食生活」を意識することが大切です。

栄養が欠乏したり、反対に過剰になったりしないように、自分に合う食事を取り入れることがポイントとなります。

2.更年期の食事のとり方

更年期はどのような食事をとれば良いのでしょうか。

基本的には、「バランスの良い食事」が重要になります。特に、更年期の食事は「一汁三菜」を意識するのがおすすめです。

更年期の食事のポイント

2-1.一汁三菜とは

一汁三菜とは主食に汁もの、さら主菜1品、副菜2品で構成されたメニューのことです。

ご飯に味噌汁、メインのおかずに小鉢というように、基本的な日本食を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

ご飯などの主食で適量の炭水化物をとり、汁もので水分を補います。さらに、おかずで必要な栄養をとるというスタイルです。

2-2.一汁三菜を取り入れるメリット

毎日の食事で一汁三菜を取り入れると、更年期によってさまざまな変化がみられる心身をいたわることができます。

一汁三菜は、必要な栄養素をバランス良く摂取しやすくなるのがメリットです。

糖質・脂質・たんぱく質、さらにビタミン・ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなど、女性が毎日をいきいきと過ごすために必要な栄養を、無理なく摂取できるメニューに近付けられます。

3.更年期を乗り切るメニューの考え方

更年期を乗り切るためのメニューの考え方や具体的な例は、以下の通りです。

3-1.基本的なメニューの考え方

基本的なメニューとしては、主食は「ご飯」にしましょう。ビタミンやミネラル、食物繊維をプラスする目的で「雑穀」を混ぜるのもいいでしょう。主食である炭水化物は、エネルギーになるだけでなく、重要な食物繊維源にもなります。

主菜は「肉類」「魚介類」、「大豆製品」「卵」などをバランスよく選びましょう。主菜は血や肉となる食品を取り入れましょう。

副菜は「緑黄色野菜」「海藻類」「きのこ類」、「芋類」「豆類」などを選ぶと、バランスの良いメニューになります。副菜は身体の調子を整えるビタミン、ミネラルを含む食品をメインに選ぶことが大切です。

3-2.メニューの一例

具体的なメニューの一例としては、主食に「ご飯」、汁ものとして「味噌汁」を取り入れます。

主菜には「魚料理」、副菜として「緑黄色野菜を使った煮物」や「おひたし」をメニューに加えるという具合です。

主菜と副菜の料理を工夫することで、飽きずに一汁三菜のスタイルを継続しやすくなります。

また、楽しみとして、適量のフルーツをメニューに加えるのもおすすめです。リンゴやイチゴなど、季節の旬のフルーツを取り入れると食卓が華やかになります。

フルーツはたくさん摂ると、果糖やブドウ糖を多く含むため、糖質過多になるため注意しましょう。

4.更年期に取り入れたい食品とは?

積極的に取り入れたい食品には、以下のようなものがあります。

更年期を乗り切る食事のポイント

4-1.大豆食品

大豆食品に含まれている「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンと似た働きをするという見方があり、高い注目を集めています。

腸内細菌のうち、エクオール産生菌は、イソフラボンを食べて、より活性の高い「エクオール」に変えることが分かっています。

また、大豆は食物繊維やオリゴ糖を含み、腸内環境を整えるサポートをしてくれるのが特徴です。

骨を丈夫に維持するための「カルシウム」「マグネシウム」も豊富に含まれています。大豆食品にはさまざまなものがあり、毎日の食事に気軽に取り入れやすいのも魅力です。

4-2.青背魚のEPA・DHA

女性の身体は更年期を迎えると、「脂質異常症」「動脈硬化」、「心筋梗塞」「高血圧」などのさまざまな病気にかかりやすくなるリスクにさらされます。

これらの病気を予防するためには、毎日の食事で血管の健康を守ることが大切です。

血管の健康を守るためにおすすめの食品には、「青背魚」が挙げられます。鮮度の良い青背魚には、多くの「EPA」「DHA」が含まれています。

EPA・DHAは人間の体内では作ることのできない必須脂肪酸の一つであり、細胞の膜や脳の原材料として、血管・血液の健康維持などに役立つのです。具体的な青背魚の種類としては、イワシ・サバ・サンマなどがおすすめです。

4-3.カルシウムとマグネシウム

更年期が訪れると骨がもろくなり、「骨粗しょう症」などの病気を引き起こすリスクが高まります。

骨粗しょう症を防ぐためには、日頃の食事で「カルシウム」を摂取することが大切と言われていますが、カルシウムだけでは骨になりません。

マグネシウムやビタミンD、Kも同時に摂取することで、効率よく骨を形成します。

カルシウムは「牛乳」「モロヘイヤ」「水菜」などに多く含まれています。

また、カルシウムの働きを調整する作用を期待できる「マグネシウム」もとるように意識すると良いでしょう。

マグネシウムは「アーモンド」「わかめ」などに多く含まれており、日頃の食生活で積極的に取り入れることが肝心です。

さらに、カルシウムの吸収をサポートする、「ビタミンD」「ビタミンK」も一緒に摂取することがおすすめです。

ビタミンDは「シャケ」「ウナギ」「干し椎茸」「きくらげ」、ビタミンKは「納豆」「小松菜」などに豊富です。

5.食事における注意点

更年期は食事のメニューに気を配るだけではなく、注意点をしっかりと頭に入れておくことが大切です。主な注意点には、以下のようなものが挙げられます。

5-1.食べ過ぎは禁物

いくら身体のことを考えているからといって、「食べ過ぎ」には注意が必要です。

食事はバランスよく、適量を守ることが基本です。

更年期を意識するあまり、「栄養が豊富だから」と食べ過ぎてしまう人もいます。

しかし、いくら健康にプラスに働く食品でも、食べ過ぎてしまってはバランスの崩れた食事になってしまうため、注意が必要です。

全体的な食事の種類や量のバランスを考えるように心がけましょう。

例えば、メインの食事だけではなく、普段のおやつ。

特に、おやつは、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素に欠ける割には、脂質と糖が過剰で、栄養バランスが悪い上に太りやすいのが問題です。

例えば、「大豆製品」などに変えてみるのも良い方法です。自分なりに工夫して、食べ過ぎることは避けるようにしましょう。

5-2.同じ食品ばかり食べない

食べ過ぎのほかにも、集中的に「同じ食品ばかり食べてしまう」人も注意が必要です。

食品ごとに、含まれる栄養は大きく異なります。

身体に良いとされるものでも、毎日のように食べていたら、栄養が偏ってしまう原因につながります。さまざまな食品をバランス良く食べることが大切です。

6.症状が深刻な場合は医療機関に相談しよう

更年期による症状が深刻な場合は、婦人科などで相談するのも一案です。

更年期を乗り切る食事のポイント

不安があったり、症状に悩まされたりしている場合は、医師に相談することで心身が楽になるケースもあります。

また、必要に応じて更年期に対するケアを受けることも可能です。

デリケートな女性の身体を守るためにも、セルフケアでの対処が難しい場合は無理をせず医療機関を受診して、適切なケアを受けましょう。

7.無理なくいまできることからはじめよう

更年期は、いわば女性にとって「人生のターニングポイント」ともいえるものです。

これから迎える方は、いまから身体を整える準備を。

いままさに更年期の方は、少しでも楽に過ごせるように、大切な身体をいたわっていただきたいと思います。

大切なのは、無理をしないことです。

「これを食べなければ」と厳しくしすぎることがかえってストレスになることもありますので、できることからはじめられるのがよいのかなと思います。

いつまでもいきいきビューティー・ライフを送るために、いまできることからトライしてみてくださいね。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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