こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

40歳を迎えた辺りから、生理が不安定だと感じる人は多いのではないでしょうか。

筆者の周りでも、昔よりも生理周期が不安定になったり、なかなか生理が終わらなくて茶色の出血が続いたりと、いろいろな症状に悩む人が増えてきました。

ゆらぎ世代は更年期を迎えて閉経が近づく時期です。そのため生理が不安定になるのは仕方ないともいえます。

しかし、あまりにも生理が長引いたり、出血量が異常に多かったりする場合は注意が必要です。

それは更年期症状が原因の出血ではなく、婦人科系の病気が隠れている場合もあるからです。

今回は更年期に起こりやすい生理が止まらない原因や、その対策について紹介します。

1.更年期に起こりやすい生理トラブル

40歳を過ぎると、ホルモンバランスが乱れることからさまざまな生理トラブルを生じる人が多いです。

まずは更年期に起こりやすい、具体的な生理のトラブル事例について見ていきましょう。

1-1.閉経はいきなり生理が終わるわけではない

なかなかとまらない生理

更年期を迎えると閉経し、生理は止まりますが、生理はある日突然ピタッと終わるわけではありません。

人によって症状は変わるものの、閉経までは次のような生理の流れになることが多いです。

【40代前半】
・生理周期が短くなる(24日以下になる)
・生理1-2日目の血液量が増えるが、出血日数は短くなる。

【40代半ば】
・一部が無排卵月経になる
・ホルモンの乱れによる「機能性出血」が混じる

【40代後半】
・生理周期が長くなることも加わり、不順になる。
・生理の血液量が増えたり、持続日数が長くなる
・その後、生理周期が2~3か月に1度になる

【50代以降】
・生理が1年以上来ない=閉経(平均50歳)

更年期は生理の状態が不安定になり、経血の量が減ったかと思えば、急に大出血を起こしてしまうこともあります。

また、ダラダラと生理が続くことも多く、なかなかナプキンが手放せないゆらぎ世代の女性も多いのです。
閉経するまでの流れについて詳しくはこちらをご参照ください。

▼生理不順は閉経のサイン? 40代からの生理の特徴と付き合い方

https://wellmethod.jp/irregular_menstruation/

1-2.生理が終わらないまま次の生理が来ることも

更年期における生理は、なかなか終わらないことも多いです。

生理が始まったかと思えばそのまま少量の茶色の経血がダラダラと続き、気づいたら生理が終わらないまま次の生理が来る、なんていうこともあります。

このような状態が続くと、いつまでもナプキンを使い続けなくてはならず、気持ちも不安定になりますよね。

終わりの見えない生理は何かの病気が隠されているケースもあり、注意が必要です。

1-3.更年期の生理の状態は人によってさまざま

なかなかとまらない生理

更年期を迎えるころの年齢は、生理周期が短くなったり、長くなったりします。

また、経血量が少なくなったり、逆にナプキンからもれるほど大量出血したりと、とにかく生理が不安定になることもあります。

これらの原因はさまざまですが、原因の一つに、卵巣機能の衰えからホルモン分泌が不安定になることが挙げられます。

ホルモンの分泌がうまくいかないことで子宮内膜が剥がれず厚くなり、大量出血や長期にわたる不正出血が起こるのです。

生理の変化には個人差があります。

50歳前後で生理周期が徐々に長くなるだけなら、自然な閉経を待っていても大丈夫。
しかし以下の場合は、婦人科、産婦人科を受診することが大切です。

・40代前半で生理が3ヶ月以上来ない
・量にかかわらず、10日以上出血が続く
・頻回に少量の出血を繰り返す
・大量の出血
・貧血や体調不良を伴う

ゆらぎ世代は、婦人科疾患の好発年齢でもあります。

子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頚管ポリープ、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症など、不正出血の原因がないか診てもらうと、安心して更年期を過ごせます。

2.更年期の生理が止まらない理由とは

更年期になかなか生理が止まらない理由として「機能性出血」が考えられます。

機能性出血は、卵巣機能の衰えが原因でホルモンバランスが乱れ、通常の生理期間以外でも出血が起きることをいいます。

つまり更年期が原因で出血が増えたり続いたりするため、病気が原因で出血が起きるというわけではありません。

しかし、人によっては鮮血が出たり、出血量が急に多くなったり長引いたりと、何かと心配なこともあります。

まずはこの機能性出血についてもう少し詳しく見ていきましょう。

2-1.女性ホルモンと排卵・生理の仕組み

更年期を迎え閉経が近づくと、女性はホルモンバランスが崩れてさまざまな症状を引き起こします。

では通常、女性ホルモンは私たちの体にどのように作用しているのでしょうか?
ここでは、女性ホルモンと排卵・生理の仕組みについて解説していきます。

1.エストロゲンとプロゲステロン

通常、女性の卵巣からはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されており、この2つのホルモンバランスが整うことで、定期的な生理が起きます。

通常、女性の卵巣からは2種類の女性ホルモンが分泌されています。卵胞が発育することでエストロゲン(卵胞ホルモン)が、排卵が起きることでプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。この2つのホルモンが子宮内膜を妊娠に適した状態に成熟させ、赤ちゃんが宿らない時ホルモンが消退し子宮内膜は剥がれて生理になります。

生理の仕組み

※ 卵胞刺激ホルモン(FSH):卵胞の成長を刺激し、育てる
※ 黄体形成ホルモン(LH):排卵をうながし、卵胞を黄体に変化させる

エストロゲンは子宮内膜を厚くする働きがあり、排卵前の子宮内膜の状態を「増殖期」といいます。一方プロゲステロンは、子宮内膜を柔らかく妊娠に適した状態にし、排卵後の子宮内膜の状態を「分泌期」と呼びます。

更年期では、無排卵や黄体機能不全のためエストロゲン・プロゲステロンバランスが破綻し、子宮内膜の正常構造を維持できずに、「機能性出血」をきたします。
その結果、出血がダラダラと続いたり、生理が早まるなどの生理トラブルの原因につながるのです。

2.排卵と生理の仕組み

女性の体は、おおよそ28日の周期で、妊娠に備えて卵子が育ち、子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整えます。

ここでは主に、排卵と生理の仕組みについて解説していきます。

・卵胞期
脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きにより、卵巣の中にある卵胞が成長すると共にエストロゲンの分泌量が増える。
エストロゲンの分泌により、子宮内膜が厚くなる。

・排卵期
エストロゲンの分泌がピークに達すると、脳下垂体から一気に黄体形成ホルモン(LH)が放出され(=LHサージ)、排卵が起こる。

・黄体期
排卵後の卵胞は黄体となる。プロゲステロンの分泌量が増えることにより、子宮内膜は妊娠しやすい柔らかい状態になる。
受精卵が着床しなかった場合、黄体は14日ほどで寿命を迎えて白体となり、エストロゲンとプロゲステロンが減少する。

・生理
エストロゲンとプロゲステロンが減少することにより、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、出血として排泄される(生理)。

2-2.「機能性出血」がダラダラ続く出血の原因に

なかなかとまらない生理

もともと卵巣にある原子卵胞の数は、排卵と加齢により減るため、エストロゲンの分泌も減少します。

プロゲステロンの分泌もまた、卵巣の状態や卵胞の数によって変化するため、卵巣の老化や卵胞の減少により分泌が減っていきます。

2章の冒頭で説明しましたように、更年期になると女性ホルモンの分泌が不安定になることで、「機能性出血」の頻度が高くなります。

この「機能性出血」が起こることにより、出血がダラダラと続く原因になるのです。

1.無排卵性出血

ストレスや環境の変化、加齢などで排卵が障害されると、卵胞は黄体に変化せず、プロゲステロンの分泌がされないまま卵胞が退縮します。
同時に卵胞から分泌されていたエストロゲンの分泌も徐々に低下するため出血が起こります。

無排卵出血は、あたかも生理のように出血しますが、多くの場合、出血期間が長引いたり、周期が長くなる、または短くなるなど、不安定になります。

2.黄体機能不全

黄体機能不全とは、黄体からのプロゲステロンとエストロゲンの分泌不全により、黄体期が短くなる、つまり通常の生理周期よりも前に子宮内膜が剥がれ落ち、出血することをいいます。

黄体期中期の血中プロゲステロン値が10ng/ml未満で、基礎体温にて高温相が10日以内、子宮内膜日付診にて正常生理周期と3日以上のずれが生じる場合に診断されます。

不妊や不育の原因にもなります。

3. 子宮内膜増殖症

上の2つ、無排卵と黄体機能の低下を知らぬ間に繰り返していると、プロゲステロンが不足し相対的にエストロゲン過剰は状態が続き、子宮内膜が厚くなりすぎてしまいます。これを子宮内膜増殖症といい、一度にドッと出血したり、だらだらと出血が続いたりします。

また、ホルモンバランスはストレスや日常生活からの影響によって乱れることも多いです。

過度なストレスや睡眠不足が続くと、ホルモンバランスが乱れ、生理がなかなか終わらないこともあるでしょう。

日常生活で思い当たることがある人は、日々の生活を見直してストレス軽減をはかることにより、生理周期が改善されるかもしれません。

3.生理が止まらないのは病気が原因のことも

なかなかとまらない生理、病気が隠れてることも

更年期に生理が長引く原因として、機能性出血以外にも何かの病気が隠れていることがあります。

病気が原因の不正出血は「器質性出血」と呼ばれており、その多くが子宮筋腫や子宮内膜ポリープといった良性の病気によります。

しかし、なかには子宮のがんが原因で生理が長引くこともあります。

ここからは、不正出血の原因になる病気の症例について見ていきましょう。

3-1.不正出血は主に4種類ある

通常、生理は3~7日間続き、1日目から3日目に鮮血がしっかり出てその後減少し褐色調になり消えていきます。

それ以上長引く場合や生理ほどの量にならず少量ままの場合は不正出血と呼ばれます。ホルモンバランスの乱れによる不正出血を「機能性出血」、病気が原因のものは「器質性出血」と呼ばれています。

ほか、排卵期に出血する「中間期出血」や「その他の理由」として妊娠時や性交により膣内が傷ついた場合などが挙げられます。

機能性出血は、更年期だけではなく思春期や性成熟期にも起こります。

更年期の機能性出血はとくに治療はせず、自然に閉経を待てることが多いのですが、病気が原因で起きる器質性出血の場合は、適切な治療が必要になります。

その他の不正出血の原因はこちらをご参照ください。

▼その不正出血の原因は? 生理以外の出血に潜む危険な理由と分類別特徴

https://wellmethod.jp/unjust-bleeding/

3-2.不正出血の原因となる病気とは

不正出血は女性ホルモンが原因だけでなく、次のような女性特有の病気によって引き起こされることもあります。

・子宮筋腫、子宮腺筋症
・子宮頚管ポリープ
・子宮内膜増殖症、子宮内膜ポリープ
・子宮頸がん、子宮体がん
・流産など

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープでは、子宮内膜の変形が起こり、子宮内膜増殖症では子宮内膜が厚くなり、経血が多くなったりダラダラ長引くことになります。

また子宮系のがんがあると、そのがんの部分から出血が起こり、生理が終わっても出血が続いてしまうこともあります。

これらの出血は、更年期による不正出血なのか、それとも病気による不正出血なのか、自分で見分けることは難しいです。

はっきりと判断するには、婦人科での診療が欠かせません。

3-3.病気かどうかを見分けるには

なかなかとまらない生理、病気が隠れてることも

基本的に不正出血は、その原因を自分ではっきりと判断することはできません。

そのため、生理が10日以上続いたときは、産婦人科に受診することをおすすめします。

産婦人科での診断は、まずは妊娠の有無を確認することが一般的です。

妊娠していない場合は、子宮ガン検診と超音波検査を実施し、必要に応じ血液検査でホルモン値を調べたりします。

その上で検査でとくに問題がなければ、更年期における機能性出血と判断されることが多いでしょう。

反対に検査で異常が出た場合は器質性出血と判断され、病状に合わせた治療が行われます。

また、閉経後でも出血がある場合は子宮系のがんであることも考えられます。

いずれにせよ不正出血を自分で治すことはできず、市販薬やサプリメントを飲んでも意味はありません。

病気かどうかを見分けるためには、婦人科の受診が欠かせないのです。

4.なかなか止まらない生理の対策方法

なかなかとまらない生理

長引く生理を自分で止める方法はありません。

ちなみに更年期における長引く生理は、閉経したら治まることが多いです。

そのため「もうすぐ生理が終わる予兆だ」として、そのまま放置する人もいるでしょう。

しかし紹介している通り、長引く生理のなかには病気が原因のケースもあり、自己判断で放置することは危険です。

また、たとえ機能性出血であっても終わらない生理を放っておくと、貧血などのトラブルを起こす恐れもあります。

なかなか生理が終わらないときや、普段の生理とは違う状態が続いたときは、なるべく早く産婦人科を受診しましょう。

4-1.生理が止まらない…病院に行くタイミングとは

基本的に10日以上生理が続く場合は、不正出血といえます。

貧血につながったり、病気による不正出血の可能性もあったりするので、生理が10日以上続いたら産婦人科へ相談しましょう。

また、以下のような症状があった際も、早めに医師に相談することが大切です。

・少量でも頻回出血を繰り返す
・普段より大量に出血している
・経血にレバーの塊のような血がある
・生理痛が重い
・腹部にしこりのようなものがある

このような症状がある場合は、子宮筋腫をはじめとした病気が隠されていることもあります。

ただ、こうした症状があっても、子宮内にはとくに異常が見られないこともあります。

まずは安心を得るためにも、長引く生理の原因を病院で診断してもらうことが大切です。

4-2.ホルモン補充療法で出血時期を安定させる方法も

更年期における不正出血には、ホルモン補充療法が行われることもあります。

ホルモン補充療法は、減少したエストロゲンとプロゲステロンの合成薬を飲み薬や貼り薬で補充する治療法です。

これにより、生理における出血時期が安定し、突然の出血や、大量の出血に悩まされることも少なくなります。

ただ、ホルモン補充療法は不正出血に悩む人すべてがおこなえる治療ではありません。

血栓ができやすい人や乳がんの既往がある人、タバコを吸う人、高血圧や糖尿病を患っている人には向いてないといった条件もあるので、詳しくは医師に相談しましょう。

▼体調が悪いのは女性ホルモンが原因? “ホルモン補充療法”という可能性

https://wellmethod.jp/hrt/

また、黄体機能低下によるエストロゲン過剰のバランスをとり戻すために天然プロゲステロン補充が海外では副作用の少ない方法として取り入れられています。

4-3. ライフスタイルの見直しが大切

なかなかとまらない生理、生活習慣の改善

女性ホルモンを分泌する卵巣は、単独で機能しているわけではなく、体の他の組織と複雑に相互作用を行なっています。

バランスの取れた食事・ストレス管理・運動や睡眠を整えることはホルモンの衰えを緩和し、更年期障害を予防し穏やかに閉経を迎えるために最も大切です。

タンパク質を十分に摂取し、トランス脂肪酸を避け良質な油脂を摂る、野菜雑穀を豊富に食べ、生成された糖質と乳製品および加工食品を控えることです。
農薬や環境ホルモンの影響を極力少なくするため生活環境の浄化も行いたいものです。

慢性ストレスは、副腎からのコルチゾールを過剰に分泌させ、女性ホルモンの産生を阻害します。自分自身を大切にし、十分に睡眠をとり、笑ったり楽しんだり、瞑想や呼吸法を取り入れたりして、リラックスする時間を持ちましょう。

運動は、あらゆる慢性疾患を予防します。ホルモンバランスを維持するためにも欠かせません。毎日20分のウォーキングでも十分なので、楽しんで続けられるものを見つけましょう。

5.生理が止まらない原因は自己判断が難しい…しっかりと病院で検査しよう

なかなかとまらない生理

更年期になると、それまで順調に来ていた生理の状態に変化が起こります。

周期が長くなったり、量が少なくなったりするだけならまだ良いのですが、出血が10日以上続いたり、大量に出血したりすると、心身に負担が掛かります。

更年期の生理トラブルは、その多くがホルモンバランスの乱れである機能性出血によるものが多いです。

しかし、なかには子宮体がんや子宮頚がんが原因で出血していることもあり、自己判断で長引く生理を放置することは危険です。

病気による不正出血ではなかったと安心するためにも、生理に異常があった場合はすみやかに産婦人科を受診しましょう。

また定期的に婦人科検診を受けておけば、いざ生理に異常があった場合でも落ち着いて対応することができます。

どの女性も年に1度は婦人科を受診し、やがて来る閉経に備えておくことが大切です。

この記事の監修は 医師 藤井 治子先生

【医師】藤井 治子
医師

藤井 治子

監修医

産婦人科専門医・医学博士
医療法人ハシイ産婦人科副院長
奈良女子大学非常勤講師

資格

日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本抗加齢医学会認定医
国際認定ラクテーション・コンサルタント
乳癌検診超音波検査判定医師A判定
マンモグラフィー撮影認定診療医師B判定
日本母体救命システム認定ベーシックインストラクター
臨床分子栄養医学研究会認定医

所属学会

日本産婦人科学会医会
日本女性医学学会
日本生殖医学会
日本産婦人科乳腺医学会
日本東洋医学会
日本超音波医学会
日本ラクテーションコンサルタント協会

学歴

高知大学医学部医学科卒業
京都大学大学院医学研究科卒業

大学卒業後産婦人科一般診療に従事し、大学院では胚着床メカニズムについて研究。
現在は地域医療を担う分娩施設で妊娠・出産を支えつつ予防医療にも力を注ぎ、
思春期から更年期まで全てのライフステージにおける女性特有の症状に、分子栄養療法や漢方療法を取り入れ診療を行なっている。

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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