更年期に起こる爪が割れる症状…健康な爪をつくる食事と自宅でできるケア
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
女性の手を見ると年齢がわかると聞いたことはありませんか?
実は手だけではなく、爪にも年齢サインが出やすいといわれています。
確かに20代の頃と比べると、肌や体だけではなく爪にも変化が現れてきます。
「爪に縦線が入っている」
「爪がデコボコしている」
「爪が割れることが多くなった」
更年期を迎えた女性のなかには、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者の爪が割れることが多くなったのは40代になってからです。
先日、手をテーブルの角にぶつけた際、爪が割れてしまいました。
若いときは、爪をテーブルにぶつけただけで割れるなんてことはありませんでした。
更年期の女性が抱える悩みはさまざまですが、爪が割れてしまうことに悩んでいる方はとても多いそうです。
筆者も爪トラブルに悩む一人です。
手は人の目に触れることも多いため、割れてデコボコした爪を改善したいと思っています。
今回は、爪が割れる原因と自宅でできる簡単な爪のケアについてご紹介します。
目次
1.爪の役割と成分
更年期の女性の多くが悩む爪のトラブル。
そもそも爪にはどのような働きがあって、どのような成分でできているのかご存じでしょか?
まずは爪の役割とその成分を知ることで、より効果的なケアの方法を学んでいきましょう。
1-1.爪の役割
爪には手や足の指先を保護する役割があります。
指の先端部には、爪の真ん中あたりまでしか骨がありません。骨がない部分を爪が支えているのです。
そのため、爪がないと物をつかむことが困難になります。
また足の爪には、足に力を入れて歩いたり、体を安定した状態に支える役割があります。
見た目は小さな爪ですが、このように手足の機能においてとても重要な役割があるのです。
1-2.爪の成分
爪は表皮角質が変化してできた皮膚の付属器官で、繊維たんぱく質である「ケラチン」が主成分となっています。
一般的に1ヵ月で約3mmほど伸びるのですが、年齢を重ねるにつれて爪が伸びる速度も緩やかになります。
2.更年期になぜ爪トラブルが増加するの?
更年期になるとなぜ、乾燥したり爪が割れやすくなったりするのでしょうか?
その原因は、女性ホルモンの低下によって、自らを保湿する力が減少するからです。
若い頃から乾燥肌で保湿機能が低い方は、さらに乾燥しやすいといえます。
また女性ホルモンの分泌が減少することによって、爪の主成分であるケラチンを保持する力も衰えてきます。
その結果、体の末端まで栄養が行き渡らず、爪が割れやすくなってしまうのです。
爪や髪は保湿力がなくなることでさらにもろくなるため、更年期になると爪が割れたり、髪がパサついたりすることが多くなってしまいます。
また爪が割れる以外のトラブルで多くみられるのが、爪の縦線です。
これにも乾燥や加齢が影響しており、早い方であれば30代からこの症状が出始めます。
爪のトラブルを気にしてマニキュアで隠す方もいる一方、職業柄マニキュアを使用できないという方もいるかと思います。しかし爪のトラブルを隠す必要もあきらめる必要もありません。
これからその原因と対策について詳しく解説していきます。
3.爪が割れる原因
爪が割れる原因は、外的な刺激によるものや栄養不足などさまざまです。
爪が割れる主な原因としては、ビタミンAの不足、紫外線による日焼け、洗剤や除光液などによるダメージ、爪の病気などがあります。
3-1.爪が縦に割れる原因
爪が先端から根元に向かって縦に割れる原因は、乾燥や圧力・外的刺激によるものです。
爪は皮膚の延長線上なので、乾燥する季節には、肌だけでなく爪も乾燥します。
最近ではネイルアートや除光液の使いすぎにより、爪がダメージを受けるケースが増えています。
ジェルネイルを繰り返すと、爪がもろくなり欠けやすくなります。また、マニキュアを落とすための除光液を使うことで爪の油分が抜けて、より乾燥してしまいます。
https://wellmethod.jp/measures-against-dryness/
3-2.爪が横に割れる原因
爪が横に割れる原因は、栄養不足や爪の成長が妨げられている場合です。
外傷や体調不良、ストレスが原因となっていることもあります。
外傷がある場合は、外傷がある指の爪のみに横線が入ります。
爪の根元には、爪母細胞という爪を作る細胞がありますが、外傷や炎症などでこの細胞が障害されると、正常な爪が生えなくなります。
複数の爪に同じように横線が入ることがあり、これを「ボー線条」と言います。
・麻疹などの高熱を伴う疾患
・手足口病、川崎病など様々な全身性疾患
・亜鉛欠乏
・薬剤
・妊娠出産
・強いストレスなど
これらの原因で、一時的に爪の成長が抑制される場合に起こることがあります。
爪がきれいなピンク色に見えるのは、爪の下の血流が良い証拠です。
爪が白っぽく、線が入って反り返っている場合は、貧血の可能性があります。
「スプーンネイル」と言って、スプーンのように反り返るのが貧血時の爪の特徴です。
https://wellmethod.jp/indefinitecomplaint_hiddenanemia/
4.健康的な爪に必要な栄養素
健康的な爪を育てるためには、まずは体の内側から整えていくために、毎日の食事で摂取する栄養素も重要です。
この章では、丈夫な爪をつくるために必要な栄養素についてご紹介していきます。
4-1.たんぱく質
前述しましたように、爪や髪の主成分はケラチンというたんぱく質が変化したものです。
まずはこの原料となるたんぱく質をしっかり摂ることが大事です。
たんぱく質を多く含む食材:肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆
4-2.ビタミンA
丈夫な爪を育てるためには、たんぱく質だけでは足りません。たんぱく質だけに偏ることなく、強い爪に必要な栄養素を摂り入れていくことが重要です。
ビタミンAは抗酸化作用のあるビタミンで、皮膚や粘膜の健康に不可欠ですが、爪もまた皮膚の延長線上です。
またビタミンAは、薄い爪を固く丈夫にしてくれる作用が期待できます。
さらにβカロテンを摂取すると、体内で必要な分だけビタミンAに転換して利用します。
ビタミンAを多く含む食材:鶏レバー、豚レバー、魚の肝、うなぎ、緑黄色野菜
4-3.ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)
ビオチンは、爪の細胞の成長を活発にし、より強度のある爪をつくる作用が期待できます。
ビオチンを多く含む食材:レバー、いわし、バナナ、玉ねぎ・豆類(ピーナッツ)
4-4.ビタミンB2
ビタミンB2は、細胞の再生や成長を促し、新陳代謝を活発にする作用があります。
ビタミンB2を多く含む食材:緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草、アスパラガス)、果物(りんご、パパイヤ)、レバー
4-5.鉄
鉄が不足すると、爪が反り返ったり、横筋が入って凸凹したりと変形してしまいます。
女性の鉄不足の最大の要因は、月経なので、閉経を迎えると鉄不足は解消されますが、更年期に月経量が安定せず、出血が増えてしまう場合には鉄不足が悪化する可能性もあります。
鉄を多く含む食材:
吸収の良い動物性の鉄:赤身の肉、レバー、魚の血合いなど
植物性の鉄:小松菜、ほうれん草、ひじきなど
このように、健康的な爪を育てるためには、まずは毎日の食事の栄養バランスを心がけることが大切です。
5.更年期でもあきらめない! 自宅でできる簡単ネイルケア
更年期で起こる爪トラブルは年齢のせいだからとあきらめる必要はありません。
食事と毎日の簡単なケアで改善が期待できます。
この章では、毎日自宅でできる簡単ネイルケアをご紹介します。
5-1.乾燥して割れやすい爪には保湿ケア
爪の甘皮部分が乾燥していると、生えてくる爪自体がもろくなります。こまめに保湿することが大切です。
普段使っているスキンケアクリーム・乳液やビタミンEが配合されている軟膏などを爪の生え際までしっかり塗りこみましょう。
日ごろからハンドクリームを使っている方は、手の甲だけではなく爪の部分まで塗りこむことでハンドケアと同時にネイルケアもできますよ。
どんなケアでも数日で改善するのは難しいため、継続していきましょう。
おしゃれを楽しみたい方は、マニキュアは甘皮部分に少し余白を空けて塗るのがいいでしょう。爪自体が弱くなってくるとちょっとした衝撃で爪が割れやすくなってしまいます。爪の変形や乾燥がある場合は、マニキュアを控えましょう。
5-2.割れた爪にはコーティング
爪が物理的な刺激で割れてしまった場合は、爪の表面を薄く削って凹凸を滑らかにしてから、マニキュアでコーティングしてみましょう。
爪の先端部分をコーティングするだけでも、強度が増し割れにくくなります。
また爪は長いと割れやすくなるため、長くしすぎないことも大切です。爪の形は両端を切り過ぎないように気をつけましょう。形は四角いスクエア型がおすすめです。
5-3.縦線などデコボコ爪にはネイルバッファー
更年期を迎えた女性の爪トラブルは、爪が割れること以外にも爪の表面に縦線ができたり、デコボコしたりと見た目が気になることがあります。
爪表面の縦線やデコボコになる根本原因に対処した上で、見た目を改善する方法は、爪の表面を磨くことです。
しかし、爪やすりを使ったことがない方は「難しそう」「テクニックが必要」と思われるかもしれません。
上手に使いこなせないなと思う方には、初めて使う方でも簡単に爪の表面を磨くことができるブロック型のネイルバッファーがおすすめです。
爪の表面を磨くことでデコボコを取り除きピカピカと艶のある爪に仕上げてくれます。
この時に、デコボコを解消するために磨きすぎると爪が過剰に薄くなってしまう可能性があるため、適度に磨くように気をつけましょう。
6.更年期の女性だから知っておきたい爪の病気
更年期を迎えると、さまざまな体の変化を感じますよね。
体の変化をすべて更年期のせいにしていると、治療が必要な病気を見逃してしまう危険もあります。
ここでは、爪の病気や治療が必要な症状についてご紹介します。
6-1.爪甲縦裂症
爪が縦に割れる状態や爪先に縦にデコボコした状態になるのが、爪甲縦裂症です。
この爪甲縦裂症の原因は、乾燥や湿疹等による爪根部の炎症や腫瘍などです。
爪甲縦裂症により爪が割れてしまうと、その割れ目から細菌が侵入し感染症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
自分でできるケアは、乾燥や湿疹を防ぐことです。
症状の改善が見られない場合は、皮膚科を受診してみましょう。
皮膚科では、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤の外用薬等が処方されます。
しかし、爪を作っている爪母が損傷していることが原因の場合は、現状の医療で治すことは困難です。
腫瘍の場合は、外科的切除が必要になります。
6-2.その他の爪が割れる原因
その他、爪は様々な原因で様々な割れ方をします。
・爪が薄く割れやすい
甲状腺機能異常症、先天性角化異常症など
・爪の一部が薄くなり縦に割れやすい
扁平苔癬(へんぺいたいせん)、全身性エリテマトーデス、凍瘡(しもやけ)など
・2枚に割れる(二枚爪):二枚爪、爪甲層状分裂症(そうこうそうじょうぶんれつしょう)
乾燥や栄養不足、外的な圧力など
7.更年期でもおしゃれは楽しみたい!
更年期を迎えると、心身ともに不調を感じることが多くなります。
憂鬱な気持ちになってふさぎこみ、自分に無関心になってしまっては毎日の生活を楽しむことはできませんよね。
年齢を重ねても自分らしくおしゃれを楽しみたいもの。
爪トラブルが起きたからといって、大好きなネイルをあきらめたり、人前で手を出すことをためらう必要はありません。
自分の体や体調とうまくつき合いながら、より豊かな人生を送っていきたいものですね。
40代以降の女性には、若いときとは違った美しさがあると思います。
筆者自身も、おしゃれなネイルをしているのはもちろん、マニキュアなどを塗っていなくても艶のある指先をしている女性に憧れます。
そしてネイルケアは、専門的なネイルサロンに行かなくても、ちょっとした隙間時間に自宅やオフィスでできるものがたくさんあります。
ご自分を慈しむために、ネイルケアを楽しむ時間を、毎日の生活の中に少しでも取り入れてみてくださいね。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
- 桐村 里紗の記事一覧
- facebook
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか