こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

先日、とても元気でおしゃれな70代の女性にお会いしました。
その女性の年齢を聞いたとき、驚いたと同時に憧れを抱きました。

その女性は一人でショッピングに行ったり外食をしたり、時には友人とお芝居を見に行ったりと、とても自分らしく素敵な毎日を送っています。

私も元気にそして自分らしく年齢を重ねたいなと思い、元気の秘訣を聞いたところ意外な答えが返ってきました。
それは「お口のケア」です。

「おいしいものをおいしくいただきたい」
「歯は健康にとってとても大切なものよ」

そう教えてくれました。

40代になってから体の不調を感じることが多くなり、食事や運動に気をつけてはいるのですが、そうした中でも特に気を付けているのが口をよく動かすことです。

食べ物をよく噛み、よく笑い、時間があるときは口の周りの筋肉のトレーニングを行っています。

オーラルフレイルってあまり耳馴染みのない言葉ですよね。
しかし、健康を維持するためにはとても大切なことなんです。

筆者はこのオーラルフレイルを予防するために、毎日自分で簡単にできることから始めています。

今回はオーラルフレイルはどのようなものか、そして予防の方法や生活習慣の改善方法についてご紹介します。

1. オーラルフレイルとは?

歯磨き

オーラルフレイルとは、フレイルの前段階であるプレフレイルのことをいいます。
口腔機能の低下によって起こる身体の衰えのことです。

口腔機能が低下すると体に必要な栄養素が十分に摂取できなくなり、低栄養を引き起こしてしまう可能性が高くなってしまいます。

そのため、身体の衰えを招いてしまうのです。

「フレイル」という言葉はあまり聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。
オーラルフレイルを理解するためにも、まずはフレイルの意味を解説します。

1-1. 知っておきたい! フレイルとは?

現在の日本は医療の発展や健康意識の向上により、「人生100年時代」といわれています。
日本は全人口の1/4が65歳以上という超高齢社会に突入しました。
元気な高齢者が増えているように思われますが、必ずしもそうとは言い切れません。

日本の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳と厚生労働省より発表がありました。

平均寿命が伸びる一方、いま注目を浴びているのが「健康寿命」です。

健康寿命は、フレイルと大きな関わりがあります。

WHOでは、健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。

つまり健康的に生活できる平均年齢のことで、日本の健康寿命は男性が71歳、女性が74歳とされています。
元気に自分らしく生活を送るためにはこの健康寿命を伸ばすことが大切です。

健康寿命のポイントとなるフレイルとは、簡潔にいえば「加齢により心身が衰えた状態」のことです。
その最初のきっかけになるのが、オーラルフレイルであるとされています。
フレイルの語源は「虚弱」を意味し、元気な状態と介護が必要な状態の中間的な状態のことをいいます。

つまり、心と体の働きが弱くなってきた状態ともいえます。
フレイルは大きくわけると3つの要素から成り立っています。

1. 身体的フレイル

活動量の低下により筋肉や体重の減少が見られます。体力が低下することで、さらに活動量が低下していく傾向が強くなります。

身体的フレイルは、運動器の機能低下である「ロコモティブシンドローム」(※1)や全身の筋肉量の減少や筋力の低下が特徴的な「サルコペニア」(※2)などを引き起こしてしまいます。

(※1)運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態
(※2)高齢期にみられる骨格筋量の低下と筋力もしくは身体機能の低下

2. 心理的・認知的フレイル

心理的・認知的フレイルとは年齢を重ねていくなかで、うつや認知機能の低下などが挙げられます。

心理面や精神面、認知面での問題を引き起こすことがあります。

3. 社会的フレイル

社会的フレイルとは、高齢になるにつれて徐々に社会とのつながりが減少し、閉じこもりや困窮、孤食など人との関わりが希薄になっていく状態のことです。

社会的フレイル

オーラルフレイルは、これらフレイルの連鎖の前段階に起こるきっかけになりますから、この段階でオーラルフレイルを予防することで、フレイルを予防し、寝たきりを予防することが重要です。

2. オーラルフレイルの原因とは?

オーラルフレイルの原因は、口腔機能の低下です。

歯を失ったことなどをきっかけとして、「噛む機能が低下」「物を噛むことができない」「やわらかいものを食べる」というサイクルを繰り返していきます。

このサイクルによって食欲の低下を引き起こし、口腔機能の低下へとつながっていくのです。

3. オーラルフレイルの症状とは?

オーラルフレイルの症状の代表的なものは、口腔機能の低下によって食事量が減ってしまい、体に十分な栄養を摂取できないため低栄養状態となることです。

オーラルフレイルの人が抱えるリスクについて表を用いてご紹介します。

オーラルフレイルではない人(正常群)を基準として、オーラルフレイルの人がそれぞれの項目において何倍の新規発症のリスクがあるかを表したものです。

身体的フレイル 2.4倍
サルコペニア 2.1倍
要介護認定(介護が必要な状態) 2.4倍
総死亡リスク 2.1倍

 

オーラルフレイルの症状としてみられる口腔機能のわずかな衰えが、後々の心身の機能低下につながってしまいます。

4. オーラルフレイルのチェックリスト

オーラルフレイルチェックリスト

口腔機能が低下しているかどうかは、なかなか自分では判断がつきにくいものですよね。ある日突然機能が低下することは少なく、徐々に低下していくため、自分では気付かないことも多いかもしれません。

それでは自分で簡単にできるオーラルフレイのチェックを行いましょう。

以下の項目が3つ以上当てはまると、口腔機能が衰えているサインです。

1.残っている歯が20本未満
2.咀嚼力が弱い
3.舌の力が弱い
4.活舌が低下している
5.硬い食品が食べづらい
6.「むせ」が増えてきた

5. 自分でできるオーラルフレイル予防法

オーラルフレイルケアは、心と体の健康維持にとって大切です。
自宅で簡単にできるオーラルフレイルを予防するための4つの方法をご紹介します。

5-1. 歯をしっかり磨く

食後、口腔ケアをしっかりと行うことが大切です。
歯磨きでしっかり磨いたつもりでも、実は不十分です。

歯周病によって歯茎が慢性的に炎症を起こしている人は、すでに歯周病菌が血管内に侵入している「菌血症」になっている可能性が高く、放置すると、生活習慣病にもつながってします。

菌血症になると、歯周病菌が血管を通じて全身に拡がり、心筋梗塞や動脈瘤、脳梗塞、アルツハイマー型認知症・糖尿病になる可能性もあります。
歯周病を放置すると、唾液に含まれる歯周病菌を誤嚥することで、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。

歯磨きのあとは、歯間の磨き残しを除去するためにフロスを使うことをおすすめします。

デンタルケア

▼医師が解説する正しい歯の磨き方

https://wellmethod.jp/bad_breath/

5-2. よく噛む

よく噛むためには、歯の咬み合わせが大切です。
歯が抜ける原因となる歯周病対策ももちろん重要です。

よく噛むことができると、唾液が分泌され消化吸収が良くなります。また、唾液中に含まれる天然の抗菌成分によって、口腔内の抗菌作用が期待でき、感染予防にもなります。

5-3. よく笑いよく喋る

よい表情でよく笑うことで、口角が上がるとリラックスを促し、ストレスをコントロールできます。
よく笑いよく喋ることで、口腔や舌、口や顎周りの筋肉を鍛えることができます。

5-4. 口輪筋のトレーニング

口輪筋は口の周りにある筋肉です。
口輪筋が弱いと口呼吸になり、への字口・低位舌・睡眠時無呼吸症候群などへとつながっていきます。

口輪筋を鍛えることで口呼吸を解消しましょう。

どこでもできる簡単な口輪筋のトレーニングをご紹介します。

口輪筋トレーニング

1.唇を閉じひょっとこのように小さくすぼめ、5秒間前の方に突き出します。
2.そのまま右へ移動し5秒間キープします。
3.次は左へ同じように移動し5秒間そのままキープします。

1~3を1セットととし、2~3セット行いましょう。

▼マリオネットラインは何故できる? 美肌をつくる顔ストレッチ&ケア法

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6. 歯科でできるオーラルフレイルケア

歯科クリニック

歯科でできるオーラルフレイルケアをご紹介します。

歯周病や咬み合わせの改善は、歯科医院で行うことをおすすめします。

口腔内の環境を整えるためにも、できれば3ヵ月に1回ほど定期健診を受けると良いでしょう。

また咬み合わせが悪いと、下顎のズレや顔の歪みを引き起こす可能性があります。このような状態になると、頭痛や肩凝り、耳鳴り・手足の冷え・不眠・生理不順などの更年期症状様の不定愁訴を起こすこともあります。腰痛や股関節などの痛みにもつながり、歩行に障害を起こすことにもつながります。

7. フレイルに進行しないために必要な3つの柱

5章・6章とオーラルフレイルの予防法についてお伝えしてきました。

オーラルフレイルの予防として口腔内のケアをすると同時に、生活習慣を改善することもフレイルへと進行しないためには大切な取り組みです。

7-1. 栄養

健康を維持するために必要な栄養を摂ることを意識しましょう。

食事は筋肉をつくるために必要なタンパク質を積極的に摂取し、栄養バランスの良い食事を心がけます。

ただし、脂身の多い肉などの動物性タンパク質の摂りすぎは腸内環境の悪化も招きます。
発酵食品などのプロバイオティクスと、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスを含むシンバイオティクス食品をしっかり摂るようにしましょう。

シンバイオティクス

また口腔機能を低下させたないためにも、定期的に口腔内の管理やチェックを行いましょう。オーラルフレイルの予防にもつながります。

7-2. 身体活動

体に無理のない範囲で運動を積極的に行いましょう。
たっぷりと歩くことや、少し体力に余裕がある方は頑張って筋トレを行うこともおすすめです。

7-3. 社会参加

仕事や余暇活動、ボランティアなど、人と関わる機会を増やしたり積極的に外出するようにしましょう。

社会参加と聞くと少し難しい印象もありますが、お友達と一緒にご飯を食べに行ったり、地域の活動に参加したりすることも社会参加といえます。

8. 30年後の私のためにいまできること

オーラルフレイルケアをしている女性

あまり耳馴染みのない「オーラルフレイル」。
みなさまは、いかがでしたでしょうか?

年齢を重ねたときに自分らしい生活を楽しむためには、いまから毎日の習慣を少しだけ変えてみる必要があるのかもしれません。

筆者も、普段から毎日食後に歯磨きをしたり、デンタルフロスを使うなど口腔内のケアには気を付けています。

また、定期的に歯科医院に通うことで、自分のいまの歯の状態を常にチェックしています。

実は、20代のころは歯科医院を苦手だと思っていました。
しかし、こうして継続できているのも、やはり素敵に年齢をを重ねたい、年齢を重ねることを恐れないという気持ちが芽生えているからだと感じています。

ぜひみなさまも、30年後の自分を想像してみてください。
いつも笑顔でイキイキしている自分が目に浮かびますか?

素敵なおばあちゃんを目指して、これからも継続して生活習慣を整えていきたいと思います。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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