皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

コロナに熱中症に夏バテに。

今年の夏は、特別体調管理が重要になりますね。

体調管理に、内臓を休め、腸内環境を改善し、体をリセットするファスティングはおすすめですが、熱中症や夏バテが起こりやすいこの季節には、必要な塩分を含むミネラルやアミノ酸なども含む「みそ汁」でプチファスティングが健康的で安全です。

ブレンダーやジューサーなどでジュースを自作する必要もなく、お手軽な「みそ汁」でのファスティングをご紹介しましょう。

1. 夏の不調の原因に胃腸機能低下

お味噌

ダイエットや美容、健康管理目的で行われるファスティング。

夏太り、夏バテ、熱中症。
これらを予防するためにも、夏は、「みそ汁」でのプチファスティングがおすすめです。

1-1. 胃腸機能低下は夏の不調の原因に

ファスティングは、本来、日常の食べ過ぎや食事や環境由来の様々な有害物質の蓄積による代謝の低下をリセットし、内臓機能を休め、細胞の代謝を十分に回すために行うものです。

夏になると、「食べ過ぎ」というよりもむしろ「食欲減退」する人が多いかと思います。

暑さで麺類しか喉を通らない人、水分摂取が増えてお腹が冷えている人、いずれも、胃腸機能が減退しています。

1. 麺類しか喉を通らない人

そうめん

食欲が低下して、素麺などの冷たい麺類の登場頻度が増えると、自然とタンパク質の摂取が減ってしまいがち。
胃腸で働く消化酵素も全身の細胞でエネルギー代謝を回す代謝酵素も、タンパク質を原材料にできています。

タンパク質が不足すると、これらの酵素の働きが低下し、胃腸機能、エネルギー産生が低下し、さらなる食欲減退と、夏バテに繋がってしまいます。

2. 水分摂取の増加で胃腸が冷えている人

水

熱中症を予防すべく、水分摂取が増えていると思います。

温かい飲み物を摂り、胃腸を冷やさないようにしたいところですが、なかなかそうもいかず、ついつい冷たいものものも摂取しているかも知れません。

細胞の働きが最も上手くいくのは、37度程度ですので、常温の飲み物さえ、一気に飲むことで胃を冷やしてしまう懸念があります。

3. 胃腸の冷えが夏太りや夏バテを招く

食欲の低下から、麺類に偏りがちな食生活は、細胞のエネルギー代謝を促すタンパク質やビタミンB群、ミネラル類の摂取が不足しがちになります。

さらに、胃腸機能が低下すると消化が悪くなり、栄養素の吸収も低下します。

腸内環境も悪化すると、腸内では、食品の栄養素を増やす発酵より、栄養素を奪う腐敗が起こります。

すると、エネルギー代謝が低下して、夏太りをするだけでなく、「電池切れ」のような状態になって夏バテ、秋にまで持ち越すことで秋バテに繋がります。

さらに、睡眠の質の低下や抑うつ気分などを引き起こしますが、そもそも「かくれ貧血」で鉄不足がベースにある閉経前の女性は、リスクがあります。

4. ジュースファスティングは夏の不調のリスクに?

スムージー

ファスティングは、フレッシュなフルーツや野菜を圧搾したコールド・プレスジュースやスムージーを飲む方法が一般的ですが、夏にはちょっと心配な点も。

体調がバッチリな方は問題ないでしょうが、元々胃腸機能が低下気味で、夏バテ気味の方がジュースファスティングを行うことで、胃腸や体の冷えを増長し、さらに熱中症リスクを高める可能性があります。

特に、夏野菜や果物には、利尿を促し、身体の熱を冷まし、塩分を排泄するカリウムが多く含まれます。

ファスティングにおいては、このカリウムの利尿作用を利用して、排泄を促す狙いもあります。

ただし、汗で塩分を多く失っている体にとって、塩分を含まずカリウムが多いフレッシュなファスティングジュースをたくさん飲むことで、不足した塩分をさらに排泄し、身体の冷えを促すことになります。

そのため、熱中症や夏バテの懸念がある夏には、より安全に実践でき、不足がちな塩分を含むミネラル類やアミノ酸を補いながら、体を温める「みそ汁」での、無理をしないプチファスティングをおすすめしたいのです。

5. 無理な実践は不要

最初にお伝えしたように、ファスティングは、本来、食べ過ぎや様々な不要なものが蓄積した状態がある場合に、それをリセットするために行うものです。

普段から、食生活を整え、腸内環境を改善するシンバイオティクスなメニューを取り入れ、化学物質や重金属などを極力体に入れないようにと努めている人が、無理に行う必要はありません。

食欲がなく、ほとんど栄養が摂取できない場合にも、不向きで、むしろ栄養を補いたいものです。

特に本格的なファスティングは不要です。

一方で、1日のうちのある一定の時間に行うプチファスティングは、よほど栄養が取れない場合を除いて、毎日継続しても構いません。

もちろん、ファスティングを行う時間帯以外の食事は、十分に栄養バランスが取れたものを選ぶようにしてくださいね。

2. 「みそ汁」プチファスティング

みそ汁を飲む女性

特に、「みそ汁」プチファスティングは、胃腸機能を回復し、細胞のエネルギー代謝の回復に役立ちます。

2-1. お手軽なプチファスティングのすゝめ

一定時間、食事を摂らずに消化管を休める方法を「ファスティング(断食)」と言います。

ファスティングの期間は、様々です。

プチファスティング:24時間のうち一部の時間食事を摂らない・
・1日ファスティング
・数日ファスティング
・1週間以上の本格ファスティング:道場などで行う

ファスティングは、日数の分だけ、準備期間と回復期間が必要になります。

1日ファスティングであっても、準備期1日、回復期1日には、それ用の食事のコントロールが必要で、トータル3日間を要します。

それなりの準備や知識、気合と我慢を要するため、あまりお手軽に始められるものではありません。

そのため、私自身は、皆さんが簡単に実践可能なプチファスティングをおすすめしています。

2-2. ファスティングのメリット

以前に、コロナ太り解消の記事でもご紹介したように、ファスティングのメリットは色々とと研究されています。

ミトコンドリアのエネルギー製造能力が上がる
・代謝が回復する
・体のサビが減る(活性酸素が減少する、抗酸化力が上がる)
・免疫機能が回復する
・遺伝子を修復する
・体内の炎症を抑える
・自律神経を整える
・体内時計を整える
・内分泌を整える
・腸内環境を整える
・細胞のゴミ掃除、リサイクルする(オートファージを活性化)

etc…

※1『The Influence of Meal Frequency and Timing on Health in Humans: The Role of Fasting』Nutrients 2019, 11(4), 719
※2「Autophagy and intermittent fasting: the connection for cancer therapy?」Clinics. 2018; 73: e814s.

特に、細胞のゴミ掃除である「オートファージ」の活性化は、細胞をいつまでも若々しく健康に保つために重要です。

この活性化には、細胞への軽いストレスが必要で、そのためには、1日のうち16時間程度の飢餓状態が必要とされています。

2-3. 効果的なプチファスティングのタイムスケジュール

オートファージの効果を狙う場合、1日24時間のうち、16時間を空腹にすることになりますので、8時間で全ての食事を終えておくことになります。
ファスティングみそ汁は、8時間外に飲んで構いません。

お仕事の都合などで、夕食の時間が決まると思いますので、そこから逆算して、食事の時間を決めましょう。

みそ汁も、保温瓶などに入れて、職場に持ち込み、コーヒーの代わりの飲むことができます。

1. 例1)夜19時に夕食を終えられる場合

夕食を19時までに済ませられる場合のタイムスケジュール

朝は、ファスティングみそ汁。

最初の食事である昼食を11時以降に開始する。

夕食を19時までに終える。

2. 例2)夕食時間が遅い場合

夕食が遅くなってしまう場合のタイムスケジュール

お仕事で夜が遅い場合は、夕食をファスティングみそ汁のみで済ませ、朝食から食事をスタートして、8時間以内に昼食と間食を終えるといいでしょう。

朝食を8時に摂る。

昼食を摂る。

間食を含めて食事を16時までに終わらせる。

夕食をファスティングみそ汁に置き換える。

3. 胃腸の負担を避けるルール

胃腸に負担をかけないためには、以下のルールも守りましょう。

・食事可能な8時間のうち、間食も含めて2〜3食にする
・間食は、油と糖分の多いケーキ類、アイスクリーム類などを避ける。
・寝る前最低3時間以上前には食事を終わらせる。

4. 空腹を楽しみパフォーマンスアップ

空腹時間が長いですが、慣れてくると空腹も心地よくなります。

胃腸の活動に使われていた血流とエネルギーが、他の臓器や細胞に使えるようになりますので、脳の活動も活発になり集中力や思考力も向上します。

ファスティングを行っている人たちには、ビジネスマンも多いですが、その目的は「パフォーマンスを高めるため」。

仕事の能率も上がると評判です。

5. 低血糖に注意して

普段、糖質の摂取が多く、エネルギーの多くを糖質で賄っている人ほど、ファスティングで低血糖を起こしやすくなります。

この場合、エネルギーが枯渇して元気がなくなり逆効果です。

そもそも、低血糖が起きるということは、普段糖質の摂りすぎと心得て、無理してファスティングを行う前にまずは普段の食事を見直してください。

【医師解説】低血糖でうつやパニック? 糖質の摂りすぎが招く危険症状と6つの改善策|チェックリスト付
https://wellmethod.jp/hypoglycemia/

【医師解説】低血糖でうつやパニック? 糖質の摂りすぎが招く危険症状と6つの改善策|チェックリスト付

2-4. ファスティングみそ汁の作り方

プチファスティングみそ汁

ファスティング用のみそ汁は、消化機能を休める目的があるため、基本的に具なしです。

1. 出汁をしっかりととる

出汁

出汁は、旨味によって、舌と脳に満足を与えます。

グルタミン酸を含む昆布、イノシン酸を含む煮干しに、飛魚由来の煮干しであるアゴ出汁も加えると、ミネラルバランスも良くなります。

昆布はカリウムを多く含むため、味噌の塩分と拮抗して排泄する働きがあります。

グアニル酸を含む干し飯茸も加えると、イノシン酸との相乗効果で旨味がグッと引き立つ上に、免疫機能の維持・向上に不可欠な、ビタミンDも摂取できますし、深みが生まれます。

出汁パックや顆粒だしを使う場合は、代謝の負担を避ける目的で無添加のものにしましょう。

2. 味噌は控えめに甘い味噌は避ける

味噌には、米味噌、麦味噌、豆味噌があります。

噌の製造に使われる麹は、いずれも数十種類の酵素を含み、このうち、タンパク質を分解する酵素が、大豆のタンパク質をペプチドからアミノ酸にまで分解します。

米味噌のうち、白味噌は、糖質が多く甘味が強いのが特徴です。

ファスティング味噌に使うのであれば、白味噌は避けましょう。特に、市販の白味噌は、甘みをつけるために水飴などの甘味料を加えたものもありますので、注意しましょう。

3. 普段のみそ汁より薄めにする

お椀2杯分の目安として、水350mlに味噌大さじ1杯程度溶かします。

出汁をしっかりとった後、火を止めて味噌を溶かしましょう。

普段の味噌汁の半分程度の薄さになりますが、ここで出汁をしっかりとっていれば、薄くても旨味を感じることができます。

塩分が多いと体に水分が蓄積して、排泄よりも蓄積に傾きます。

そのため、ファスティング目的であれば、普段よりも塩分を少なめにしましょう。

朝飲む場合は、朝1杯を一気に飲んでも良いですし、お腹が空くのが心配な場合は、保温瓶に入れてチビチビ飲んでも構いません。

同時に水分は1日1.5Lを目安にこまめに補給しましょう。

汗をかく場合は、汗をかいた分だけ追加してください。

3. 夏こそ、みそ汁を

お味噌

みそ汁プチファスティングは毎日行っても良いですが、十分に体調が良ければ、無理に具なしの薄いみそ汁にする必要はありません。

胃腸機能が十分に回復したら、朝食に色々な野菜や海藻、豆腐などを加えた具沢山みそ汁に切り替えましょう。

汗で水分を失う夏は、水分と塩分が程度に補給できるみそ汁を定番にすることがおすすめです。

胃腸や体を温める働きもありますので、クーラーによる冷えに対抗できるポカポカ体質を目指しましょう。

監修:内科医 桐村里紗

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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