こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

紫外線が強くなってきましたね。
先日、新しく開いた畑で無防備に農作業をしていたら、一気にこんがり焼けてしまいました。
免疫のため、ビタミンDの生成には必要な紫外線ですが、皮膚の中で活性酸素を発生させて細胞にダメージを与える老化の元凶でもあります。

紫外線ダメージを防ぐため、この時期ぜひ積極的に摂取したいのが、野菜や果物の色や香りの成分で、第7の栄養素と言われるファイトケミカルです。

例えば、みかんに含まれる色素でカロテノイドの一種・βクリプトキサンチン
みかんといえば、食べ過ぎると皮膚が黄色くなることで知られていますが、この色素は、皮膚の細胞の中で紫外線による細胞ダメージを防ぐ働きもあるんですよ。

1. ファイトケミカルを摂り入れる

みかん

1-1. ファイトケミカルとは?

ファイトケミカルは、第7の栄養素として知られている、野菜や果物などの植物に含まれている色や香り、苦味などの成分です。

元々は、太陽光に含まれる紫外線や土壌や環境にいる病原性の微生物や虫などに対抗するために、植物が体内で作り出した成分で、これを食事として摂り入れることで、人にも良い効果をもたらしてくれます。

1-2. 活性酸素に対抗する抗酸化力がある

ファイトケミカルは、基本的に「抗酸化作用」があります。

特に、屋外で太陽の光を浴びて育つ植物は、太陽の強い紫外線から身を守るために、自分自身の中に抗酸化力のある成分を高めます。
それが、ファイトケミカルです。

体内で酸素を使ってエネルギーを作る人は、必ず排気ガスとして活性酸素が発生します。
これが、細胞を障害して老化の原因になるわけです。

人の体内にも抗酸化酵素が備わっており、それは、適度な有酸素運動によって高めることができますが、年齢と共に、また運動不足であれば、体の抗酸化力が低下します。

食事に含まれる抗酸化作用のある成分は、抗酸化力を補うために不可欠です。

2. 7色のレインボーカラーで食べる

ファイトケミカルは、7色のレインボーカラーに分類されます。
この7色にはそれぞれに作用の特徴がありますから、日常的に彩りよく食べることがポイントです。

2-1. 赤色のファイトケミカル

トマト

1. リコピン

赤色野菜の代表といえば、トマトでしょう。
畑で太陽を浴び、真っ赤に熟れたトマトのリコピンは、ビタミンEの100倍の抗酸化力があります。

その他、スイカ、柿、金時人参など

2. カプサイシン

カプサイシンといえば、「辛い唐辛子」に含まれるというイメージがあるかもしれませんが、赤パプリカや赤ピーマンにも含まれる赤い色素です。
代謝を上げる働きもあります。

2-2. オレンジ色のファイトケミカル

パプリカ

1. βカロテン(カロテノイド)

体内でビタミンAに転換されるプロビタミンAの仲間です。
皮膚に蓄積して、皮膚を紫外線から守る働きがあります。
柑橘類に含まれるβクリプトキサンチンも、この仲間です。

柑橘類、カボチャ、人参、パプリカなど

2. ゼアキサンチン

体内では合成できない成分ですが、目の網膜に含まれる色素で、光刺激から目を保護し、目の調子を整えます。

パプリカ、マンゴー、ほうれん草、ブロッコリーなど

オレンジ色のファイトケミカル は、いずれも油に溶ける脂溶性で加熱にも強いので、油を使った調理で吸収が良くなります。
人参を食べる場合、ノンオイルドレッシングよりも、オイルを加えた方がベターです。

2-3. 黄色のファイトケミカル

1. フラボノイド

玉ねぎ

フラボノイドは、香りの成分です。
植物にはビタミンCと共に含まれ、その吸収を促したり、血管を丈夫にしたりします。

加熱には強いものの、水溶性で水に溶け出してしまいます。
玉ねぎは水に晒しすぎない方が良いですね。

玉ねぎ、レモンなど柑橘類、パセリなど

2. ルテイン

とうもろこし

こちらも目を保護することで有名な成分です。
視力回復などに役立つ他、動脈硬化を防ぐ働きがあり、高血圧の予防にも繋がります。
脂溶性で加熱に強いので、油を使った加熱調理に向いています。

とうもろこし、カボチャ、ブロッコリー、ゴールドキウイなど

2-4. 緑色のファイトケミカル

1. クロロフィル

葉物野菜

緑の野菜全般に含まれています。
植物の中で光合成を担う働きがあり、高い抗酸化作用があります。
消臭、殺菌作用や、糖・コレステロールの低下作用、血液サラサラ作用があります。

脂溶性ですが、熱に弱いため、葉物野菜のゆで時間は短くし、すぐに冷水に晒すと作用が維持できます。

葉物野菜、ブロッコリー、海藻類、クロレラなどの微細藻類

2-5. 紫色のファイトケミカル

なす

1. アントシアニン

こちらも、目に取り込まれるため、視力回復や白内障予防に効果を発揮します。
動脈硬化を防ぎます。

こちらは、水溶性で加熱にも弱いので、生食やジュースが向いています。
果実酢で摂るのも良いですね。

ブルーベリー、紫キャベツ、赤紫蘇、なす

2-6. 黒色のファイトケミカル

1. クロロゲン酸

ごぼう

黒ってなんだろう?と思われるかもしれませんが、イメージ通りのゴボウやコーヒー。
そして、切っておくと断面が黒くなる野菜や果物に含まれます。
脂肪燃焼作用があることは、トクホのコーヒー飲料でもご存知の方がいらっしゃるかもしれません。

黒いにも関わらず、皮膚の黒いシミの元であるメラニン生成を抑制し、肌のシミを防ぎます。糖の吸収抑制や血圧の上昇を抑える働きがあります。

加熱に弱く、水溶性ですので、ゴボウのアク抜きは最低限に、加熱は短時間に。

ゴボウ、りんご、バナナ、ヤーコン、コーヒー

2. カテキン

お茶に代表される苦味成分・カテキンも黒いファイトケミカルに分類されます。
抗酸化作用に加え、口臭を防いだり、殺菌作用があります。
動脈硬化を防ぎ、高血圧を予防する働きがあります。

水溶性で、お茶に溶け出します。加熱して変異しても効果が同様に保たれる種類がありますのでお茶として摂取することができます。

2-7. 白色のファイトケミカル

1. イソチオシアネート

ピリッとした辛味成分です。
脂質や糖の排泄、毒素のキレート作用などの働きがあります。
細胞が壊れた時に作られるので、大根は切って食べるよりおろした方が摂取できます。

大根・キャベツ・スプラウト・ワサビなど

大根おろし

2. 硫化アリル

こちらは薬味の成分です。
血液サラサラ効果や殺菌作用があります。暑い季節に薬味を使うと腐敗の予防にも。ビタミンB1の吸収を助けるので、豚肉やうなぎなどビタミンB1が豊富な食材と一緒に食べると相乗効果があります。

ネギ、玉ねぎ、ニンニク、ニラなど

上記は、いずれも水溶性で加熱に弱いので、薬味は水に晒しすぎず、ぐつぐつ煮ない方がベターです。

3. イソフラボン

大豆と緑大豆

豆類に含まれる成分で女性ホルモン様の作用があることで知られています。
ただし、腸内細菌であるエクオール産生菌がイソフラボンをエクオールに転換することでその作用が高まることは、WELLMETHODでもいつもお伝えしています。

エクオール産生菌が腸内で機能していない人、元々この菌を持っていない人は、イソフラボンの恩恵を受けられませんから、エクオールそのものを補うのも一考です。

更年期障害を軽減したり、シワを防いだり、骨粗しょう症や動脈硬化を予防したりと、女性ホルモンの低下に伴う女性の悩みを解決するために役立ちます。

大豆、小豆、ひよこ豆、くずなどマメ科

3. 毎日彩りを意識して食卓を華やかに

カラフルなサラダ

ファイトケミカルを摂取しようと思う時に、厳密に「何色が何の作用で・・・」と考えるよりも、なるべく日々彩りよく食べようと意識するのが目にも美味しくておすすめです。

毎日レインボーは難しいと思いますから、なるべくカラフルにと気楽に考えて。

色々な色を一度に摂りたいと思う場合には、カラフルな温野菜や豆や海藻も組み合わせたサラダやポタージュスープなどにすると、一気にたくさんの色の野菜が摂れますよ。

注意点として、色の組み合わせも大切です。
7色全部を意識して、スムージーを作る際に、緑色の葉物野菜と紫色や赤色のフルーツ類を組み合わせてしまうと、「魔女の秘薬」のようになんとも言えない色の飲み物が出来上がります。

健康のためと思えば、私は飲めますが、夫は恐ろしがって飲んでくれませんでした。

脂溶性の栄養素は、油を加えることで吸収率がアップしますから、アマニ油やヘンプシードオイルなどオメガ3系脂肪酸を多く含む油をちょい足しするのもおすすめです。

紫外線の季節に、ぜひカラフルな植物を摂り入れて、抗酸化力をサポートしてもらいましょう。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか